MMORPGなのにソロプレイオンライン宣言？「グランディアオンライン」大型アップデート「飛竜への道」に迫る

　

ソロプレイを押し進めていく方向へ舵を切ったGO。「ソロプレイオンラインRPG宣言」の真意とは？

　　プレイを交えながら第1弾となる「飛竜生誕」アップデートの説明を受けた後，今回のアップデートの肝心な部分ともいえる「ソロプレイオンラインRPG宣言」について，オンライン本部制作部部長代理の岩田容賢氏，オンライン本部第一マーケティング部第二企画課主任の小野進吾氏，オンライン本部ゲームサービス部三課主任の横内皇太氏に，インタビューを行ったのでお届けしよう。

オンライン本部制作部部長代理
岩田容賢氏

4Gamer：
　本日はどうぞよろしくお願いします。
　早速ですが，「ソロプレイオンラインRPG化宣言」は大きな反響があったと思います。この宣言にはどういった意図が込められていますか。

岩田氏：
　最初に，オンラインゲーム/オンラインRPGというものが出てきたときに，離れたところにいる友人達などと一緒に遊べるというのは，メリットであり，すごく面白いポイントだと感じました。時間の経過とともに，いろいろなコンテンツが出てきて，ブラッシュアップされていくなかで，みんなで一緒に同時に遊ぶ。オンラインゲームでは，それが最も大事だというイメージがあると思います。
　GOの開発はそこを踏まえて，一人で遊ぶ人がいても別にかまわない，でもパーティで一緒に遊ぶんだったら，そのメリットもちゃんと考えてあげようという形にして，どちらでもちゃんと遊べるものをご用意させていただきました。

4Gamer：
　なるほど。

岩田氏：
　実際に遊んでいただいているプレイヤーさんを見ると，「ガイアの鼓動」といったイベントは，みんなで集まって楽しんでいますが，基本的にソロで遊び続けられる限りはソロで遊ぶ傾向にあり，結果的にメインで遊んでいる時間のほとんどは，ソロで遊んでいるという人が非常に多くいらっしゃいます。
　その部分を厚くサポートして，オンラインRPGというのはソロでも楽しいと思えるようなものを，まずしっかりと作ろうということ。それと同時に，ほかのプレイヤーさんと一緒に遊ぶ楽しみを知ってもらいたいと思い，今回ソロプレイオンラインRPG化という宣言をしたのです。

4Gamer：
　一般的なMMORPGによくある「多人数でチャレンジしないとクリアできないコンテンツ」を増やす方針ではなく，現在のGOの長所でもある“ソロで遊べる部分”を強化していく，ということでしょうか。

岩田氏：
　実際，パーティプレイ推奨の方向で認められてきたゲームはたくさんありますし，そういったタイプのMMORPGで遊んでいる方々もいらっしゃいます。それらを否定するつもりはありません。しかし，時間の都合などでソロでしか遊べないという方も多数いらっしゃるなかで，最後まで遊び続けることができる，ゲームに実装されるほとんどの要素をソロで体験できるMMORPGが，あってもいいんじゃないかなということで，思い切ってそっちのほうに舵を切りました。

4Gamer：
　先ほど見せていただいた，「ガイアの鼓動 撃破戦」に出現するガイアゴーレムなどは，一人での攻略はさすがに無理ですよね？

岩田氏：
　そういった高レベルのプレイヤーが複数集まって遊ぶようなコンテンツは，ニーズがあれば今後も入れていきたいなと思っているのですが，それとは違う苦労や違うアプローチで同じ結果が得られるものや，別の結果ではあるけれど同じぐらいの価値があるものを，ソロで遊んでいるプレイヤーさんが手に入れられてもいいんじゃないかなという考えです。

4Gamer：
　多人数でなければクリアできないようなコンテンツはあまり入れる気はない，ということですか。

岩田氏：
　「今回は俺のためにみんな集まってくれ」という形で50人集める必要があるコンテンツよりは，「面白そうなイベントだなぁ」と参加したプレイヤーさん達が，最終的に複数集まって挑戦できるようなアプローチにすることで，多人数コンテンツと同じ楽しみ方を提供できればなと思っています。

小野氏：
　幸いなことにGOは，「ガイアの鼓動」実装以降，必然的に個々のプレイヤーさんが集まって楽しめる状況というのが出来ているんですね。そういったものを数多く増やしていって，そういったアプローチで一人一人のプレイヤーさんが集まって協力プレイが楽しめる状況を作ってあげて，かつクリアしやすくなるといった形ができれば，ベストかなと思います。

4Gamer：
　先日のアップデートで実装された「ガイアの鼓動」は，ソロプレイヤー同士が自然と集まって集団戦をするといった感じがしますが，「飛竜への道」アップデートは，それをさらに拡張したような感じになりそうですね。

岩田氏：
　「自分の好きな時間だけ遊びたいけど，知らない人でもいいから周囲には誰かいてほしい」「熱いコミュニケーションは苦手だけど，周りに人がいたほうが楽しい」という，遊んでいる皆さんが意識的にか無意識かは分かりませんが，そういったものをどこかで感じている，それが今の風潮じゃないかなと。

最終的な「飛竜」というコンテンツがどのようになるかは，まだ調整中

オンライン本部第一マーケティング部第二企画課主任
小野進吾氏

4Gamer：
　先ほど見せていただいた飛竜の巣には，低レベルでも挑戦できますし，飛竜の卵も運が良ければ低レベルでも入手できますね。この，低レベルキャラクターでも参加できるようにしたというのは，やはりソロプレイオンライン化の影響ですか。

小野氏：
　場所的にも，初心者でもすぐ参加できるところに設置してありますし，そういったところで初心者も楽しめる形にしたいなと考えています。


横内氏：
　飛竜戦へは，誰でも参加できます。低レベルの方でもすぐに参加できるというものをコンセプトに始めた企画なので。

4Gamer：
　なるほど。しかし，飛竜の卵の入手確率ってかなり低くないですか？　先のアップデートでPvPを行うことを考えると，1日に最低1個以下しか入手できないというのは，少ないような気もしますが……。

岩田氏：
　今はあの場所からしか飛竜の巣へは行けませんが，今回のアップデートでは，まず初心者でも誰でも卵が手に入る“可能性のある”イベントを楽しんでもらうことが目的なので，入手確率自体は低くしてあります。
　いずれ色違いの飛竜や亜種などを，例えば高レベル向けとして，別の場所から別のプレイスタイルで入手できるようにもする予定です。

4Gamer：
　では，最初のマップのポータルからだけでなく，ほかの場所からも飛竜の巣に行けるようになるということですか。

岩田氏：
　もしくは，今とは別の冒険王によるイベントも開催し，定期的なポータル開放が1日2回になるかもしれませんね。また，一度に卵を入手できるのが10人までになりました，ということもあるかもしれません。今の形でしばらくいくのであれば，開催数を増やすという形になると思います。
　一度の開催で最大1個しか入手できないというのは，数にこだわっているというわけではなく，最後に「飛竜と一対一」というシーンを見せたかったからなんです。ですから，10人選ばれて10人それぞれが個別のマップで対面することで，飛竜の卵の数を増やすということを考えています。


4Gamer：
　ところで，飛竜の卵を手に入れたプレイヤーが，その後も何度も参加する意味はありますか？

岩田氏：
　今後，戦闘用の飛竜や移動用の飛竜などさまざまな飛竜をコレクションしたり，カスタマイズしたりしたくなるような要素を実装する予定です。いっぱい飛竜の卵を集めておいたほうがいいかもしれませんね。

4Gamer：
　そういえば，飛竜の卵はトレード可能でしょうか。

岩田氏：
　今の時点では普通のアイテムと同様に可能です。実装直後は，価値が高いアイテムになるんじゃないかなと思います。

4Gamer：
　少し先の話になりますが，卵が孵ったあとでのトレードはどうでしょう。

岩田氏：
　実際に飛竜戦が入ったときに，トレードしても問題がないことが確認できれば，できるようにするつもりです。それに値する対価が得られるのであれば，トレードできても問題はないかと思います。

4Gamer：
　分かりました。では，卵を孵化させる方法を教えてください。

岩田氏：
　孵化するときにイベントを入れたほうがいいんじゃないか，というプランナーがいまして，せっかく手に入れるのに苦労したんだから孵化させるにも苦労してもらうかとか言っています（笑）。成長段階を5段階ぐらいに分けて愛着を持たせたいという意見もあれば，すぐに乗れるようにしたいという意見もあって，悩んでいるところです。

4Gamer：
　つまり第一弾のアップデートでは，卵止まりで孵化はさせられないわけですね。

岩田氏：
　はい，4月中旬のアップデートでは卵の入手までです。

4Gamer：
　チャプター名に「飛竜生誕」とあるので，てっきり生まれるものかと思っていました（笑）。

小野氏：
　グランディアという世界の中に飛竜というものが登場する，というところを「生誕」という形にさせてもらいました。

4Gamer：
　新たに登場した「飛竜」という存在そのものについての紹介は，ゲーム中で行われますか？

岩田氏：
　そうですね，飛竜という存在のバックグラウンド的なものは，NPCに語らせたり，後々イベントが追加されたりといった形で，より深いストーリーを見せていけたらと考えています。

4Gamer：
　なるほど。そうして11月には「飛竜戦闘」が登場しますが，本作においてどういう位置づけのPvPコンテンツになりますか？

岩田氏：
　いま，GOのプレイヤーさんに公開しているコンテンツのなかには，PvPというものがありません。まず，それをどういった形で皆さんに提供していくのかということを踏まえたうえで，飛竜戦を提供していきたいと思っています。
　いわゆる闘技場のようなところにプレイヤーを集め，そこで戦わせるというものを入れるつもりはありません。いま遊んでいただいているプレイヤーさんは，PvPというものに対してどう考えているのか，どういうニーズがあるのかを，この期間で一度確認させていただいたうえで，最終的な飛竜戦のルールなどを決めていきたいなと考えています。

4Gamer：
　アップデートスケジュールを見ると，PvPを含めて「飛竜戦闘」でようやく飛竜で戦えるのかなというように見えます。「飛竜生誕」から「飛竜天翔」までは約3か月，そこからさらに「飛竜戦闘」まで約4か月ありますよね。「飛竜生誕」から「飛竜天翔」までが卵を入手する期間であることは分かりますが，「飛竜天翔」から「飛竜戦闘」までの期間は，それこそ空を飛べるという要素だけでは，ちょっと長い気がします。

岩田氏：
　いま練っているいくつかの要素は，空が飛べるようになった瞬間にできるようになっても構わないだろうと考えています。それが7月なのか，その先なのかということは，開発を進めてみないとなんともいえないところがあります。
　ただ先ほどのお話のように，ひとまず地上のことは考えないで，「緊急回避」と「空中戦用の照準ロック」さえできれば問題はクリアだということになれば，先行して空中でのPvPを実装する，ということも可能かと考えています。

4Gamer：
　では，「飛竜天翔」の段階で，パートナーのように飛竜を戦闘などで使えるかもしれないわけですか。

岩田氏：
　7月の時点では，騎乗できるようなイメージを考えています。その前の段階として，連れて歩くことも考えています。その際に，ただ連れて歩くだけではなく，戦闘のサポートもしてくれるように対応する予定です。

4Gamer：
　飛竜を成長させるという要素はありますか。

岩田氏：
　育成が可能なようには作ってあります。ただ，ペットを実装したときにも同じ話になったんですが，GOではプレイヤーキャラとは別に「パートナー」という育てるべき存在がいるのに，ここからさらにペット育成の要素を入れるの？　育成に手間をかけた分だけの見返りが得られるの？　というところも踏まえて，ペットに関しては戦闘を支援してくれるパッシブスキルを持つものが，ランダムで手に入るというように調整した経緯があります。
　飛竜に関しても，おそらくプレイヤーキャラクターと同じくステータスや経験値やレベルを持たせることは可能なんですが，そこまでやりこみ要素を入れた育成ができるようにしたほうがいいのか，たくさんの飛竜を育てることができるんだから1体あたりの育成コストはできるだけ少ないほうがいいのか，難しいところです。どちらにせよ，我々としてはいろいろな飛竜を用意したい，それが飛竜の能力なのか別のプラスαの部分なのかは，これから検討していくところなのですが，そういった個性を強調するような要素は入れていきたいと思っています。

4Gamer：
　具体案はまだ検討中なんですね。

岩田氏：
　「キャラクターを育てるのが大好きなんだから，飛竜育成もウェルカム！」とプレイヤーさんが言うのであれば入れられるのですが，「誰でも飛竜を手に入れられて飛竜戦ができるといっていたのに，育てるのに3か月もかかるのかよ！」という方も出てくるかもしれません。

オンライン本部ゲームサービス部三課主任
横内皇太氏

横内氏：
　育てる要素が入ると，誰でも参加可能なPvPとは合わなくなってしまうので，そのあたりをどう折り合いつけようかと調整しているところです。

4Gamer：
　11月の「飛竜戦闘」ではPvPが実装される予定になっていますが，プレイヤーにPvPを遊んでもらう動機付けというのは，どのようなものを考えているのか教えてください。


岩田氏：
　一番分かりやすい例でいえば，プレイヤーさんにとってメリットが得られるものを用意して，奪い合うという形にするのがセオリーだと思います。あるいは，PvPは可能だけど，お宝を入手するという目的の中で邪魔なときだけ相手を倒す，戦うのがイヤなら僻地の宝箱を探す……という形がプレイヤーさんのニーズに合うのであれば，PvPが可能なお宝探しゲームが一番面白い形として提供できるのかなと考えています。

4Gamer：
　つまりPvPが目的ではなく，目的達成のための手段としてPvPもありだよ，と。

岩田氏：
　そうですね。血が出るようなゲームでもないので，やられたらバタンと倒れるようなものや，一定時間動けなくなるという，ちょっとしたデメリットが生じるだけで再開できるものといったところでしょうか。
　でも宝探しで，その場で5分動けないのはかなり痛いですよね（笑）。なんのために人を攻撃するのか，というものに対して，みんなが納得できるようなルールができたらなと考えています。

4Gamer：
　しかしこれなら，飛竜がなくてもPvPを実装できると思います。例えば，飛竜実装前にでも，PvPのテストなどができそうです。

岩田氏：
　先ほどの，いろいろなルールを入れたゲームを入れていきたいというのは，「飛竜への道」のアップデートのコンセプトと同じところから端を発していて，「ガイアの鼓動 撃破戦」にいろんなルールを入れていきたいというのも，その一環です。例えば「ガイアの鼓動」にPvP要素が入ってきたらどうなるの？　というコンテンツを入れてみたいと思っていまして。
　そういうところも踏まえたうえで，遊んでくださるプレイヤーさんに合致したもの，当初から狙っていた高低差のあるバトルを一番楽しめるものが「飛竜戦」になるように作り込んでいきたいと思っています。

4Gamer：
　ということは，11月のアップデートには，いくつかのPvPのパターンが提示されることになるわけですか？

岩田氏：
　「ガイアの鼓動」を絡めるか，まったくのオリジナルでいくか，はっきりとしたことはいえませんが，少なくとも人をターゲットにする「飛竜戦」というPvPを実装した際には，ソロプレイオンラインRPGだから全員でバトルロイヤルにするのがいいのか，飛竜の巣のように参加者が一丸となるようなチーム戦にしたほうがいいのか，といったことを踏まえて，いくつか用意したいと思っています。


4Gamer：
　では，最後にアップデートを待つ皆さんに向けてメッセージをお願いします。

岩田氏：
　昨年の正式サービス以降，さまざまなご意見ご要望を頂いていているなかで，今回ソロオンラインRPG化という形で，リニューアルといえるような大きな改修とアップデートを迎えることができました。
　過去に遊んでいただいたプレイヤーさんも，もう一度生まれ変わったGOに触れていただくとともに，オンラインゲームに今まで触ったことがなく「みんなで遊ばないといけないって大変なんでしょ？」と思われている方には，自分以外の人をあまり意識しなくとも必然的にほかのプレイヤーさんと楽しめるような導線を用意しています。GOでオンラインゲームを始めました，という方がたくさん出てくれると嬉しいなと思っていますので，ぜひよろしくお願いいたします。

4Gamer：
　本日はどうもありがとうございました。


　公式サイトでは，飛竜に騎乗して空を飛ぶムービーを見られるが，4月のアップデートでは残念ながら，まだそこまで体験することはできない。取材の際に触らせてもらったり，話を聞いてみたりした限りでは，まだまだ調整が必要な項目が多く存在するようだ。
　ただ，運営のスタンスとしてプレイヤーの声を積極的に取り入れようという意気込みを強く感じられたので，さしあたって4月中旬に行われる「飛竜への道」アップデートを楽しみに待ち，そしてどんどん意見を送ってみてはどうだろうか。

　また，物議を醸した「ソロプレイオンラインRPG化宣言」は，言葉にすると衝撃的ではあるが，実像に迫ってみると現時点ではMMORPGにパラダイムシフトを起こすものではないようだ。
　オンラインゲームとして，ソロを貫き通してもプレイに問題はないというのは少し寂しいところもある。しかし，カジュアルゲーム化が進む昨今では，正解の一つなのかもしれない。現にGOでは，もともとソロで楽しむプレイヤーが多いため，あまり混乱が起きないのではないかとも思えるのだ。

「グランディア オンライン」公式サイト