ニュース
[GDC 2012]携帯機器に脳波センサーを組み込んで商売できるか? NeuroSkyが問う「低価格生体センサーの活用法」
例年は展示会場におけるデモの模様をお伝えしているのだが,今回は,GDC 2012の2日め,北米時間3月6日に行われたNeuroSkyのセッションをお伝えしよう(※3日めから公開の始まった展示会場における同社の展示は例年より地味だったので,この選択は正解だったかもしれない)。
講演タイトルは「Think About It - How NeuroSky BioSensor Technology Will Make You Money」(NeuroSkyの「BioSensor」技術で利益を上げる方法を考えてみよう)。一言でまとめるなら,“脳波ビジネス”を啓蒙する内容となっていた。
BioSensorで測定できるのは,脳波の中でも皮質脳波(Electrocorticogram:ECC)と呼ばれるタイプのものと,心電図(Electrocardiogram:ECG)および心拍変動(Heart Rate Variability:HRV)である。ちなみに心拍変動は自律神経の失調判定などで使われるものらしい。
測定にあたっては,NeuroSkyが開発したヘッドセット風デバイス「MindSet」などを用いる。側頭部と額にセンサーを固定するような形で使うイメージだ。
- 緊張度
- リラックス度
- 瞬き
一方,心電図と心拍変動からは,
- 疲労
- ストレス
- 安静状態
- 肉体疲労
- 肉体年齢
などが判定できる(ないしはその影響を受ける)という。NeuroSkyの技術的な特徴は,どちらかといえば心拍変動を判定できる「CardioChip」を開発したところにあるようで,今回のセッションにおけるテーマは,このCardioChipを携帯電話や腕時計などに組み込むことで生体情報をモニタリングし,さまざまに活用しようというところになる。
たとえば,念力に見立ててモノを浮遊させる玩具や,観客の精神状況に応じてストーリー展開が変わっていくような映像コンテンツなど。ただ,こういったものは,いくつものパターンで映像制作しておいてつぎはぎするより,映像のリアルタイム生成を行うゲームコンテンツのほうが向いていそうなのは確かである。
会場で一番受けていたのは,2011年の東京ゲームショウでも出展された「nekomimi」だ。NeuroSkyの技術を用いたものではないようだが,収益化に向けた1つの活用事例ということで展示会場でも紹介されていた。
これら以外にも収益化やアプリケーション開発に向けたアイデアが語られたので,いくつかピックアップしてざざっと並べておこう。
脳波で照明を制御するもののようだ |
瞑想のサポート |
スポーツへの応用 |
集中度やリラックス度のモニタリング |
教育への応用 |
脳波の状態から起きやすいタイミングを探る |
脳波の活用法には,アクティブなものとパッシブなものがあるとされているが,ゲームでのアクティブな活用はちょっと難しそうではある。脳波は,ある程度であればコントロールできるので,BCI(Brain Computer Interface)として使うのも不可能ではないのだが,操作性などを考えると現実的とは言えない。生体モニタリングと緊張度判定などを補助情報として使うのがせいぜいではないだろうか。
2009年のE3で任天堂は,「Wii Fit」の発展版のようなかたちで心拍計や血圧計に興味を持っているらしいことを窺わせていたが(関連記事),アプローチ自体は似たものといえるかもしれない。
その真価はゲームと離れたところにありそうではあるものの,ゲームとのリンクはなかなか興味深いテーマになりそうな脳波センサー。携帯デバイスに組み込むからこそ意味のある生体モニタリングというのもあるはずなので,せっかくの低価格生体センサー技術が生かされるような活用法を開拓してほしいところだ。
NeuroSky公式Webサイト
- この記事のURL: