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3日間のゲーム音楽フェス「4starオーケストラ」開催。初日は植松伸夫さん率いる「EARTHBOUND PAPAS」ほか計3バンドが出演
会場となった江戸川区総合文化センター内の大ホールはライブハウスと化し,大いに盛り上がった。本稿ではその模様をレポートしていこう。
「4starオーケストラ」公式サイト
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オルガンとエレクトーンによる熱いライブ
「はもえれ」のパフォーマンスでフェスは幕を開ける
今回の公演でトップバッターを務めたのは,はもえれのお2人だ。ボーカルなしのインストデュオで,「ドラム以外はすべて生演奏」というスタイルのライブが披露された。編成は以下のとおりだ。
「はれもえ」
水城賢二さん(ハモンドオルガン)
堀越美沙さん(エレクトーン)
1曲目は,「ファイナルファンタジーV メインテーマ」(ファイナルファンタジーVより)が披露され,お客さんはそのパフォーマンスにじっと耳を傾けていた。
そして簡単に今回使用している楽器について説明がなされた後,名曲として名高い「ビッグブリッヂの死闘」(ファイナルファンタジーVより)が演奏される。さらにここからはMCなしで「ファイナルファンタジーフィールドメドレー feat. はもえれ」と題し,「ファイナルファンタジーIV メインテーマ」「悠久の風」「メインテーマ」(ファイナルファンタジー II),「メイン・テーマ」(ファイナルファンタジー)が一気に演奏され,客席からは温かい拍手が送られた。そして最後は「巨人のダンジョン 〜最後の闘い」(ファイナルファンタジーIVより)で締めくくられ,はもえれのお2人はトップバッターの大役を無事に務め上げたのだった。
■セットリスト
1. ファイナルファンタジー V メインテーマ [ファイナルファンタジーV]
2. ビッグブリッヂの死闘 [ファイナルファンタジーV]
3. ファイナルファンタジーフィールドメドレー feat. はもえれ
ファイナルファンタジーIV メインテーマ [ファイナルファンタジーIV]
悠久の風 [ファイナルファンタジーIII]
メインテーマ [ファイナルファンタジーII]
メイン・テーマ [ファイナルファンタジー]
4. 巨人のダンジョン 〜最後の闘い [ファイナルファンタジーIV]
セットチェンジをしている時間を利用し,ステージ袖には司会を務める声優の磯村知美さん,「4starオーケストラ」を企画した2083代表の斉藤健二氏,植松伸夫さんの3名が登場し,挨拶が行われた。
斉藤氏はこのイベントを昨年から計画していたそうで,植松さんにもその頃から出演をオファーしてたのだという。植松さんは「若い人達が新しいゲーム音楽のイベントを始めるのなら,ぜひ協力したい」と感じ,出演を快諾したそうだ。
また,初日の公演はすべて植松さんに関係する楽曲が取り上げられているが,それについて聞かれた斉藤氏は「私はファイナルファンタジーシリーズの音楽にすごく影響を受けているし,これらはゲーム音楽の代名詞とも言えます。ファイナルファンタジーなくしてゲーム音楽は語れませんので,最初に植松さんにオファーを出させてもらいました」と,その胸のうちを明かしていた。
なお,植松さんは初日のライブで自身が関わった曲ばかりが演奏されるという点には,ごく最近気づいたそうだ。「自分の曲だけで2時間も公演がもつかなと心配したんですよ」という発言をしていたが,磯村さんに「もちますよ」とツッコまれていた。
最後に植松さんは「こういうイベントが定着すると嬉しい。4年に1回ではなく,うまくいったらもっと開いてほしいね」とエールを送り,斉藤氏も「3日間開催されるので,最後まで楽しんでいってください」と述べ,挨拶を終えた。
わずか3曲ながら大きな存在感を見せた
MASHCANTINOIZ
2番手で登場したのは,シンガーソングライターのエミ・エヴァンスさんが率いるバンド,MASHCANTINOIZだ。メンバーはそれぞれがゲーム音楽の制作に関わってきた経歴を持っており,編成は以下のようになる。
「MASHCANTINOIZ」
エミ・エヴァンスさん(ボーカル)
江草啓太さん(キーボード)
工藤ともりさん(ギター)
宗田洋之さん(ベース)
鈴木克祟さん(キーボード,シンセサイザープログラミング)
実はMASHCANTINOIZは今回の公演が初ライブということで,エミさんもかなり気合が入っていた様子。ライブでは「Toneless」(「アナタヲユルサナイ」より),ボーカルを載せ,楽曲にもアレンジが施されて新たな魅力が生まれた「オープニング」(ファイナルファンタジーVより),そして「LORD of VERMILION」の楽曲が披露された。わずか3曲と短いセットだったものの,とくにエミさんの声による表現力は圧倒的で,会場では皆,聴き入っていた様子だった。
■セットリスト
1. Toneless [アナタヲユルサナイ]
2. オープニング [ファイナルファンタジーV]
3. LORD of VERMILION [LORD of VERMILION]
満を持して登場のEARTHBOUND PAPAS
迫力の演奏と力強いボーカルでフロアは熱狂の渦に
4starオーケストラの初日のトリを務めるのは,植松伸夫さん率いる新バンド,EARTHBOUND PAPASだ。編成は以下のとおり。
「EARTHBOUND PAPAS」
植松伸夫さん(オルガン,キーボード)
岡宮道生さん(ギター)
成田 勤さん(ギター,キーボード)
弘田佳孝さん(ベース)
羽生田 新さん(ドラム)
佐々井康雄さん(ボーカル,コーラス)
遠藤フビトさん,CHiCOさん,馬場宏美さん(コーラス)
バンドは最初からテンションが高く,1曲目で披露された「Advent: One-Winged Angel(再臨:片翼の天使)」(ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレンより)で,いきなり会場の空気を一変させる。そして2曲目には「Liberi Fatali」(ファイナルファンタジーVIIIより)を披露。この頃にはホール内のお客さんの大半が立ち上がっており,歓声が沸き起こり,その光景はロックバンドのライブそのものだった。
2曲目を終えたところでコーラスの皆さんは一旦舞台袖に引き,MCタイムに。植松さんは以前出演した「ファンタジー・ロック・フェス 2011」という,2日間にわたって行われたイベントのことについて語る。そのとき,初日のお客さんは演奏を座って見ていたそうだ。しかし植松さんとしては「ロックコンサートなんだから,立ってもいい」と感じていたそうで,そのことをTwitterで広めたところ,2日目は1曲目から観客総立ちとなったという。今回も1曲目から,座席から立ち上がって見ているお客さんが何人もおり,そういった人がいるのを見て「みんな立ち上がってくれるので演奏しやすい」と感じたそうだ。
続いて3曲目は「Thread of Fate」(GUIN SAGAより)が披露された。バラード調のしっとりとした曲で,1,2曲目とは打って変わって,みな座ってじっくり聴い入っていたようだった。
そして4曲目は「懐かしい曲をやるよ」と前置いた上で,「Those Who Fight Further(更に闘う者達)」(ファイナルファンタジーVIIより)を演奏。再びお客さんは総立ちになった。続いてはボーカルの佐々井さんを招き入れ,5曲目「Eternity」(BLUE DRAGONより)を披露。佐々井さんの熱いボーカルにお客さんのテンションもますます高まるなか,曲の途中に佐々井さんとギターの岡宮さんが客席に降りてきて場内を走りまわるなど,会場全体が大興奮に包まれた。
そして最後は再びバンドメンバー全員が登場し,「Bo-Kon-Ho-Ko(亡魂咆哮)」(LOST ODYSSEYより)でフィナーレを迎えるが,当然これで終わるはずがない。客席からはアンコールが巻き起こるが,すると植松さんは「まだ演奏するけど,1回舞台袖に引くのがルールだから」と話して笑いを誘い,その後約束どおり再登場。そしてインスト曲「Maybe I'm a Lion」(ファイナルファンタジーVIIIより)を披露し,ライブを無事に終えた。
■セットリスト
1. Advent:One-Winged Angel(再臨:片翼の天使) [ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン]
2. Liberi Fatali [ファイナルファンタジーVIII]
3. Thread of Fate [GUINSAGA]
4. Those Who Fight Further(更に闘う者達) [ファイナルファンタジーVII]
5. Eternity [BLUE DRAGON]
6. Bo-Kon-Ho-Ko(亡魂咆哮) [LOST ODYSSEY]
7. Maybe I'm a Lion [ファイナルファンタジーVIII]
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