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[E3 2006#086]人妻を操るシミュレーション「Desperate Housewives」は意外な良作!?
そのABCを傘下に持つThe Walt Disney Companyのゲーム部門,Buena Vista Studiosのブースには,この人気テレビ番組をゲーム化した「Desperate Housewives: The Game」(以下,Desperate Housewives)が出展されていた。円筒状ブースの内側にわずかなデモ機が用意されているだけという地味な展示ではあったのだが,このドラマを見ていない筆者が遊んでみても意外と面白かった。
ちなみに,開発元は南カリフォルニアに拠点を置くLiquid Entertainmentで,「Battle Realms」から「Dungeons & Dragons: Dragonshard」まで,派手さはないが確実に魅力のある作品を送り出してきたデベロッパである。Desperate Housewivesも,ライセンスものにありがちなつまらなさを払拭した作品に仕上がりそうな気配である。
Desperate Housewivesにおいてプレイヤーは,ブリー(Bree),エディ(Edie),ガブリエル(Gabrielle),リネット(Lynette),そしてスーザン(Susan)ら5人の主要キャラクター達が住む郊外都市のウィステリア・レーンに引っ越してきたばかりの,架空の女性としてプレイすることになる。正規ライセンスゲームだけあって,ほとんどのキャラクターの顔グラフィックスは,ドラマに出演した役者をデジタイズ化。また,アン・ヤング役の女優,ブレンダ・ストロングは,ナレーターとしても登場している。
プレイヤーはこの郊外都市で,玄関口での会話や午後のティーパーティといった近所付き合いを通じてウワサを収集し,一帯に起こる事件を解決したり,誰かの秘密を暴いたり,仲良く遊んで社交性を高めたりしながら,自分が潰されないようにする……という内容になっている。本作の脚本は,ドラマのライターであるスコット・サンフォード・トビスが全面協力しているため,テレビシリーズのファンを自認する北米女性にはたまらない“外伝”なはずである。
Desperate Housewivesは,基本的にThe Simsシリーズのようなゲームシステムを採用しており,プレイヤーがゲームに慣れているかどうかにかかわらず,誰にとってもかなりとっつきやすい印象を受ける。インタフェースもThe Simsシリーズの影響を受けているのは明らかで,デジタルキャラクターと会話し,何らかのアクションを起こすことでパラメータが刻々と変化していくのだ。
ゲームでは,ほかの家庭をスパイするだけでなく,自分の夫や子供達の世話をし,家庭の切り盛りやガーデニングまでをこなし,隙を見せないようにすることも重要だ。クッキングやポーカーゲームなど,ほかの女性達を相手にしたミニゲームも用意されている。
興味深いのは,Desperate Housewivesがインゲーム広告満載な点。テレビドラマのように,ゲーム中でも広告主の製品を見かけるのである。テレビシリーズには250社のスポンサーがついているといわれるが,自社ブランドのキッチン商品も持つデパートチェーンSearsをはじめ,ゲームのアチコチに実在する商品が存在した。ファンタジーな内容のゲームに出る広告と違い,ここまで直球で勝負されたら何の抵抗もできない。もはや,ゲームの一部として許容できてしまうのである。
夫が持ち帰る月給でヘアースタイルを整え,新しい洋服を買ってファッションでも後れを取らないようにし,ほかの家庭の夫を誘惑してみることだって可能だ。女性達の本音と建て前が交錯し,つかみ合いの喧嘩になることもある。そんな,男でも遊べる奇妙なシミュレーションゲームDesperate Housewives: The Game。今,ゲーム業界が狙うべき新しい市場とされる主婦層のハートを,がっちりワシ掴みできるだろうか。(ライター:奥谷海人)
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Desperate Housewives
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