インタビュー
「男の娘も入れてください!」シーズン4以降の展開も聞けた「TARTAROS-タルタロス- 」開発者インタビュー
今回は,韓国でタルタロスの開発作業を行っているINTIV Soft CEOのLee Ju Won氏の来日情報をキャッチしたので,さっそくコンタクトを取り,これまでの開発作業を振り返るとともに,今後のアップデートの方向性などについて話を聞くことができた。タルタロスプレイヤーにとっては興味深い内容なので,じっくりと読んでみていただきたい。
本日はよろしくお願いします。
日本で「タルタロス」の正式サービスが開始されてから,約5か月が経過しました。これまでの作業を振り返って,現在の心境はいかがですか。
INTIV Soft CEO Lee Ju Won氏:
一言でいうと「嬉しい」ですね。日本でのサービスが順調なのはもちろん,コミュニティなどを通じて,プレイヤーさん達が楽しんでいるのを目にするのがなにより嬉しいです。反響の中には厳しい意見もありますが,それもゲームを改善したくていったものですし,そういった反響をすべてひっくるめて,「嬉しい」という表現が適切だと思います。
4Gamer:
現在,タルタロスは3サーバーが稼動しており,4Gamerの掲載記事も全体的に注目度が高いです。日本でタルタロスがヒットした理由を,どのように分析していますか?
Lee氏:
あえていうなら,実際に遊ぶプレイヤーの立場で考えて,システムやシナリオを作り上げていったところでしょうか。そのうえで,弊社の開発スタッフと,運営を行っているシーアンドシーさんとの連携がうまくいっているのが大きいと思います。
4Gamer:
タルタロスの日本サービスは,他タイトルと比べるとアップデートのペースがとても早いです。これは,開発または運営,どちらの意向によるものなのでしょうか?
Lee氏:
シーアンドシーさんからの要望はかなりのボリュームがありますね(笑)。 日本のニーズについては,シーアンドシーさんからの情報を信頼しています。なので我々も,提案に対し実装可能なものには極力応えていきました。このサイクルがうまく回ったことで,よいペースでアップデートが行えたのだと思います。
4Gamer:
日本サービスにちなんだ作業で,とくに印象深いエピソードなどはありますか。
弊社のスタッフの中には,日本のゲームやアニメなどの文化が好きな人が多くて,タルタロスの感想を直接聞けたらいいなぁと常々思っていたんです。そんな中ある日,私のもとに日本のプレイヤーさんから直接,韓国語でメールが届いたんですよ。
4Gamer:
なかなか熱心なプレイヤーですね。どのような内容だったのですか?
Lee氏:
それがですね,「ソーマ用のアバターアイテムで女装したものを導入してください!」と熱心に語られていたんです。最初は「え?」という感じだったのですが,最近の日本のトレンドを調べていくと,そういうニーズがあるらしい,というのが分かりました。
4Gamer:
いわゆる「男の娘」ってやつですか……。
Lee氏:
まぁともあれ,わざわざ韓国語で要望を送ってきてくれたことに深く感動しましたので,社内報で紹介したりしました。すると,アバターデザイナーが妙に乗り気になってしまい,「セーラー服を着ているソーマ」をイラストに描いてしまったんです。アバターとして実装するのはいろいろと難しいのですが,感謝の気持ちを込めて,そのイラストをメールで返信しました。最近ではそれが印象深かったですね。
4Gamer:
これから続々とメールがくるかもしれませんよ(笑)。
我々も,つい先ほどその話を聞いて大笑いしました。ここまでやっていただける開発さんは,今まで見たことないですね(笑)。
4Gamer:
タルタロスは韓国や日本その他の地域でサービスが行われていますが,日本のプレイヤーに対してはどのような印象がありますか?
Lee氏:
プレイスタイルや細かなニーズなどは国によって微妙に違いますが,タイトルに対する愛情は,どの国のプレイヤーも一緒かなと思います。好きなキャラの絵を描いたり,プレイムービーを作ったりといった二次創作を見ると,タルタロスを開発してよかったなぁと,しみじみと実感しますね。
4Gamer:
そうやった愛情を注ぎ込むには,キャラクターの個性が欠かせませんが,その点タルタロスは,とてもよくできていると思います。彼らを作り上げるのは大変だったのでは?
Lee氏:
タルタロスは,現在皆さんが目にしているオンラインゲームよりも以前に,オフライン用のシューティングゲームとして作っていました。ソーマやシュバルマンなどといった主要キャラクターに関しては,その頃すでにベースができあがっていたんですよ。オンライン版ではキャラクターの設定は大きく変えていないので,その辺りにはスムーズに作業できました。
4Gamer:
それは意外ですね。
Lee氏:
開発スタッフの中にも,彼らのキャラクターにそれぞれ思い入れを持ってる人がいて,そのために揉めることが多いですね。「なんでピンコの出番が少ないの?!」とか,「クロモドならこの場面では,こういった喋り方をするはずです」とか。オンライン版では,そういった意見をとりまとめて,各キャラの扱いを同じようにしていくのが大変でした。
4Gamer:
シューティングゲーム版のタルタロスがどんなものか見てみたくなりました。
Lee氏:
社内にはデータとして保存してるので,一応プレイはできます。でも現在あらためて見ると,ちょっと恥ずかしいですね(笑)。
気になるシーズン4以降の展開,各キャラのサイドストーリーが続々?
4Gamer:
タルタロスの今後の展開について,話せる範囲で教えていただけますか。
Lee氏:
まずは全体的なコンセプトとして,今後はよりシナリオを重視します。先ほどのキャラクターの話にも関係してくるのですが,これまでは9名のキャラクターが"集まる"物語でした。それが今後は,集まったあとの各キャラクターのエピソードが展開されていきます。
4Gamer:
新キャラではなく,既存のキャラの話なんですね。
槇原氏:
シーズン4「海の伝説」では,"港町ベルト"という拠点エリアが実装されます。そこで発生するメインシナリオを通じて,各キャラのサイドストーリーが展開していきます。スケジュール的には7月上旬のアップデート分でベルトが実装され,7月下旬のアップデートでサイドストーリー第1弾が実装される流れになります。
4Gamer:
大まかなストーリーはどのようになっていますか。
ここではいろいろなキャラのエピソードが展開されていきますが,とくにピンコを中心にストーリーが展開していきます。これまでは辛口で意地悪なキャラとして知られていた彼女ですが,ちょっと意外な一面が明らかになります。ピンコだけではなくて,ソーマやクロモドなど,ほかのキャラも絡みつつ,これまで明かされなかったエピソードや,過去の話などもいろいろと明らかになります。シナリオとしての方向性は大きく変わるものの,ゲームシステムやプレイフィールは従来どおりなので安心してください。
4Gamer:
今後は,どれくらいのペースでシナリオが実装されていくのでしょうか?
槇原氏:
7月末を皮切りに,これから年末にかけて複数のアップデートでの実装を予定しています。
Lee氏:
秋のアップデートで,ベルトの次の拠点エリアを実装予定です。そこでは,ピンコとは別のキャラにスポットを当てたサイドストーリーが展開されます。今後はそういった感じで,2〜3人くらいのペースでまとめてサイドストーリーを導入していきます。
4Gamer:
アップデートの頻度は相変わらずのようですね。今あるワールドマップを踏破してしまいそうですが,そのあたりは問題ないですか?
Lee氏:
そのときは拡張します(笑)。スクロールするようにできていますので安心してください。
4Gamer:
これまでそうであったように,新キャラの追加を期待している人もいると思いますが,そのあたりはどうでしょうか。
Lee氏:
そういったニーズがあるのは把握していますが,当面は新たなキャラクターの追加よりも,従来のキャラクターに焦点を当てていきます。
チャレンジしがいのありそうな「エターナルダンジョン」など新コンテンツも
4Gamer:
新規シナリオのほかには,どのようなアップデート予定がありますか。
Lee氏:
続いて紹介するのは,"エターナルダンジョン"というコンテンツです。プレイヤー同士が協力しながらエリアを進行し,待ち受けるモンスターを次々と倒していくという内容です。
4Gamer:
ハイレベル向けコンテンツのようですね。
Lee氏:
はい。出現するモンスターの数は少なめなのですが,1体ずつの能力がずばぬけて高いです。どちらかというとボス戦のオンパレードみたいな感じですね。攻略時にはキャラの特性を生かした協力プレイが必須となるでしょう。
4Gamer:
対象とする主なレベル帯と,推奨人数はどれくらいですか。
Lee氏:
現在調整中ですが,中レベル以降の1パーティ(4人)が主な対象です。ステージクリア型の構成になっていて,どこまで進んだかによって報酬が変わってきます。全部で10層あるのですが,最後までクリアしなくてもそれなりの報酬が手に入るので,幅広いレベルのキャラにとって,ちょうどよいプレイ目標になると思います。
4Gamer:
そのほかのアップデートはどうでしょうか。
Lee氏:
これは来年以降になりますが,ペットシステムを現在検討中です。タルタロスのモンスターの中には人気が高いものもあるので,それらと一緒に冒険できたら楽しいかなと思っています。
4Gamer:
話を聞く限り,既存プレイヤー向けのコンテンツが多い印象を受けます。新規プレイヤーや,ライト層向けの内容はありますか?
Lee氏:
そのあたりに関しては,チュートリアルを全面的にリニューアルする予定です。
4Gamer:
アップデートとは少し逸れますが,今後タルタロスというタイトルを,どのように育てていきたいと考えていますか?
Lee氏:
タルタロスをプレイしている最中は,キャラと一緒に「旅」を進めているようなものだと考えてます。旅をしている最中や,あるいはいつか旅を終えるときがきたとしても,「あぁ,よい思い出だったな」と感じてもらえるようなタイトルにしたいですね。
4Gamer:
それでは最後に,タルタロスのプレイヤーに向けてコメントをお願いします。
Lee氏:
日本でのサービス開始以降,常に予想を大きく上回る反響があり,スタッフ一同本当に感謝しています。そういった反響の一つ一つが,今後開発するうえで大きな励みになっています。プレイヤーの皆さんには,この場を通じて感謝の気持ちを伝えたいですし,これからも改めてよろしくお願いします。
槇原氏:
これまで,WeMadeさんとINTIV Softさんとの関係は良好で,アップデート頻度など手応えも感じています。これからも,開発側のビジョンを尊重しつつ,日本のプレイヤーがいかにして楽しめるかを,積極的に模索・提案していきたいと考えています。MOタイトルは数多くのライバルが登場してきていますが,それらに負けないよう今後もタルタロスを盛り上げていきます。どうかよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
タルタロスが日本でヒットした要因に関しては,個性的なゲームシステム,魅力溢れるキャラクター,そして絶え間なく訪れるアップデートなどが挙げられるだろう。今回のインタビューではそれらに加え,開発と運営の良好な関係と,何より開発スタッフのタルタロスにかける愛情を強く実感できた。個人的にも,この人達は心底好きでタルタロスを作っているんだなぁというのがしみじみと伝わってきたし,その想いはゲームを通じて,プレイヤーにも着実に伝わってきているのではないだろうか。
今後のタルタロスはサイドストーリーを通じて,キャラクターの魅力をより深く掘り下げていくという。タルタロスに愛情を注いでいるスタッフにとって,それは恐らく最も得意とする展開のはず。各キャラクターが一体どんな活躍を見せてくれるのか,今から思いを巡らせてみるのも悪くないだろう。
「タルタロス」公式サイト
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タルタロス:リバース
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