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[AOGC2007#12]E-Sportsの現状報告,そしてE-Sportsの持つ可能性を紹介
犬飼氏は,CPL(Cyberathlete Professional League)やESWC(Electronic Sports World Cup),そしてid Softwareが毎年行っているQUAKECONなどといった事例を紹介しながら,欧米各国では,E-Sportsがかなり定着している様子を解説。アジアでも,ご存じ韓国におけるフィーバーぶりや,中国では政府がE-Sportsを積極的に応援していることなどを挙げた。中国の例をもう少し詳しく解説しておくと,中国では,中国国家体育総局が2003年11月にE-Sportsを99番目の「体育種目」に指定。また2008年に開催される北京オリンピックで,E-Sportsを正式種目にするべく,活動を行っているという。IT振興策の一環として,E-Sportsに目を向けている国はいくつかあるが,中国もそんな国の一つなのだろう。
E-Sportsを取り巻く現状をひととおり報告し終えたあとで,犬飼氏は,そもそもE-Sportsとは何か? について講演を続けた。氏は「産業が発展するにしたがってスポーツも発展/発明されてきた」と言い,「工業社会においてモータースポーツが生まれてきたように,E-Sportsとは,情報社会における新たなスポーツだと思います」と自説を展開。またプレイヤー(人間)のアクションがデジタルデータ化されることで,リプレイを始めとするさまざまな二次利用が可能なこと,オンラインを通じて遠くのプレイヤーとも一緒にプレイが可能なことなど,従来のスポーツではあり得ない利点が数多く存在することを説明した。
竹田氏は,「まだ詳しい発表ができなくて申し訳ありませんが」と前置きしつつも,「電通スポーツ事業局は,FIFA World CupやNFL(National Football League)などをはじめとして,国内外を問わず,スポーツ関連のマーケティング/放映ライセンスなどを取り扱っています」とコメント。今後,E-Sportsが新しいスポーツの一つとして,魅力的なコンテンツになっていくのでないかと,E-Sportsが持つ未来についての抱負を語った。
また同氏は「電通は,アジア室内競技大会を含むOCA(アジアオリンピック評議会)が主催する各競技大会のマーケティングライセンスを取得しております」とも発言し,「電通としてまだ正式に決まったわけではないですが,今後,前向きに活動していければ考えております」と,電通がE-Sports事業に乗り出す可能性を示唆。正式発表はできないとしながらも,竹田氏本人は,E-Sports事業に対する意欲を明らかにした。
さてどちらかというと,犬飼氏によるE-Sportsの全般的な説明に終始した今回の講演。筆者としては,アジア室内競技大会に関するなんらかの発表を期待していただけに,それがなかったのはやや残念なところ。ただ最後の質疑応答における「E-Sportsが日本で認知されるためには何が必要だと思いますか?」との質問に対し,犬飼氏と竹田氏の両名ともに「まずはアジア室内競技大会で金メダルを獲ること!」と威勢良く答えているなど,大会に向けて,彼らが並々ならぬ意欲を燃やしていることは間違いない。今後の情報に期待したい。(TAITAI)
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