レビュー
「南蛮技術」「諸勢力」「譜代家臣」で革新が革新的(?)に生まれ変わる
信長の野望・革新 パワーアップキット
» 「信長の野望・革新」から2年。ついにというか,ようやくというか,9月14日に「信長の野望・革新 パワーアップキット」が発売される。内容やボリューム的には「いつもどおり」といったパワーアップキットで,2年という年月を埋められるだろうか?
2年越しでついに登場した「革新」の拡張パック
コーエーの「信長の野望」「三國志」「Winning Post」といった作品には,「パワーアップキット」と呼ばれる拡張パックが発売されることが,近年では定例になっている。しかし「革新」のように,本体の発売からPUK発売まで,丸2年以上空くというのはかなり異例だ。もう「革新」のPUKは出ないんじゃないだろうかと不安になっていたプレイヤーも,これでひと安心といったところだろう。
さて,今回PUKで追加される重要な要素は,(1)南蛮技術,(2)諸勢力,(3)譜代家臣,(4)新しいシナリオ/イベント/武将,(5)各種エディタ機能といったところだ。順を追ってこれらを解説していこう。
「特産品」を使って「南蛮技術」を獲得しよう
「南蛮技術」とは,既存の11系統の技術とはまったく別の,新しい技術のことだ。これらはポルトガルやイスパニアといった諸外国と貿易を行い,友好度を高めていくことで入手できる。
大筒の攻撃力を大幅に増す「カノン砲」,出陣した部隊の兵糧の消費を抑える「携行食」,建築・改築・修復の期間を短縮する「西洋建築」など,南蛮技術は総じて強力だ。覇業を有利に進めるためには,既存の技術と並行して,南蛮技術もしっかり手に入れていく必要がある。
長所を伸ばすか,弱点を補うか。従来の技術と南蛮技術をどう組み合わせていくかが重要なポイントとなる |
貿易を続けていると,相手との友好度が上がっていく。友好度が一定に達すると,その国が持つ南蛮技術を教えてもらえるのだ |
既存の技術の場合,配下の武将の持つ適性の傾向によって,獲得できる技術の傾向も変化した。これに対して南蛮技術は,武将の能力とは関係なく,どの国と貿易するかで得られる種類が変わる。貿易国となるのは,ポルトガル,イスパニア,オランダ,イギリス,明の5か国。それぞれ四つずつの南蛮技術を保有しており,重複はない。具体的には下の一覧の通りとなる。こちらが欲しい南蛮技術をどこが持っているのか,しっかり確認したうえで貿易を行おう。
・ポルトガル
カノン砲 大筒の攻撃力+20
製図法 製造で作成される兵器や艦船が倍増
板金鎧 全部隊の守備力+8
拡散砲弾 攻撃目標の周辺にも被害を与える
・イスパニア
鋼輪式銃 鉄砲隊の攻撃速度+5
鉄柵 鉄砲隊への騎馬戦法の威力半減
火打式銃 鉄砲隊の攻撃力+8,守備力+4
西国方陣 鉄砲戦法の威力+50%
・オランダ
携行食 出陣部隊の兵糧消費減少
蘭方医 傷兵,傷病武将の回復速度上昇
馬車 輸送隊,築城部隊の兵糧消費減少
西洋建築 建設,改築,修復の期間短縮
・イギリス
大弩弓 弓隊の攻撃力+8,戦法の威力+100%
シールド 弓隊への足軽/騎馬戦法の威力半減
長弓 弓隊の射程+3
活版印刷 技術開発の期間短縮
・明
苗刀 足軽隊の攻撃力+12,守備力+4
環鎖鎧 騎馬隊への鉄砲戦法威力半減
鎖子甲 足軽隊の機動力+6
汗血馬 騎馬隊の攻撃力+12,守備力+5
なお,諸外国との貿易で使うのは,PUKから加わった新要素「特産品」だ。特産品には,漆器,焼物,各種織物,日本刀などなど,全部で20種類が存在し,当然ながら土地ごとに生産できるものが決まっている。貿易を始めるとき,つまり契約を行うときには,諸外国が望む「特産品」を一定量支払う必要がある。このとき,相手が欲しがっている特産品を持っていないなら,どうにかしてそれを手に入れなくてはならないのだ。具体的には,生産できる土地を勝ち取るか,「諸勢力」(後述)の商人衆と取引をすることになる。
まずは貿易相手国を選び,契約を結ぶ。ここでは,相手が指定する特産品を三つの中から一つ選んで支払わなければならない |
いったん契約を結べば,その後はどの特産品を貿易に使ってもいい。ただし,相手によって高く買い取ってくれる特産品は違っている |
特産品は,初期状態でも毎月勝手に生産されていくが,領内に「奉行所」を建設したり,武将を「奉行」に任命したりすることで,より生産量を上げられる。ちなみに特産品は貿易以外にも,特定の場面で金銭の代わりとして使える。あって損はないものなので,最序盤が過ぎ,経済と人材に多少余裕が出てきたら,奉行所と奉行は作っておいたほうがいいだろう。
港を持っていないと,貿易は行えず,したがって南蛮技術を手に入れられない。内陸の勢力でプレイする場合は不利ということになる |
生産できる特産品の種類は,土地ごとに決まっている。奉行所を建設したり,奉行を任命したりすると,特産品の生産力は上がる |
特産品は,他勢力や諸勢力との交渉時に,金銭の代わりとして支払いに利用することも可能。溜めておいて損することはない |
全国各地に根を下ろす「諸勢力」を利用せよ
「協定」コマンドを使うと,平和裏に諸勢力と手を組むことが可能。ただし,何らかの見返りを要求されることが多い |
諸勢力は基本的に独自に活動しているが,彼らと協定を結んだり,軍事的に屈服させたりすることによって,さまざまなメリットが得られる。諸勢力は全国に散らばっているが,大別すると5種類になる。協定を結んだときのメリットをまとめておこう。
・忍者衆
・計略の成功率上昇
・陸上移動中の敵輸送隊を襲撃し,物資を奪える
・敵退却武将の捕縛確率上昇
・国人衆
・陸上での敵部隊への攻撃が可能
・一揆の発生を抑える
・支城の建設速度が速くなる
・寺社衆
・技術の研究期間の短縮
・浪人登用の成功率上昇
・櫓/鉄砲櫓の攻撃力上昇
・畑/水田からの収穫量上昇
・商人衆
・特産品の取引が可能
・市/商館からの収入量上昇
・水軍衆
・海上での敵部隊への攻撃が可能
・海上移動中の敵輸送隊を襲撃し,物資を奪える
・戦法「水雷」の威力上昇
・魚戸からの収穫量上昇
マップ上に点在する諸勢力。天下統一を目指すにあたって直接競合する存在ではないが,あなどれない実力を持っている |
諸勢力の中にはお互いに反目しているところも多く,それらと同時に手を組むことはできない。状況に応じて相手を選ぼう |
逆に,敵対している大名が諸勢力と手を組んだ場合,これらのメリットは即デメリットとなって我が身に降りかかってくる。自領付近の諸勢力がいま,誰と協力体制にあるかには,常に注意しておく必要がある。可能なら,近隣の諸勢力と片っ端から協定を結んでいきたいところだが,残念ながらそういうわけにはいかない。というのも,諸勢力同士には相性の悪い組み合わせがあり,一方を味方につけると他方は無条件に離反してしまうのだ。
基本的に,国人衆は忍者衆や寺社衆と不仲,寺社衆は国人衆や水軍衆と反目している……という具合に,ある程度種類によって相性が決まっている。ただ,中には伊賀忍者衆と甲賀忍者衆のように同じ種類でいがみ合っている諸勢力もあるので,ニンともカンとも注意が必要だ。協定を結ぶときは十分に気をつけたい。
諸勢力との協力体制には,同盟と同じく期限がある。交渉で味方にした場合は3年,武力で服従させた場合は5年となる。諸勢力とは,一つところとずっと手を結ぶのではなく,大局を見ながら付いたり離れたりを繰り返し,状況に応じて相手を変えていくといいだろう。諸勢力は,「革新」にさらなる戦略的な深みを与える存在なのだ。
自勢力の結束を固める「譜代家臣」
配下武将を譜代家臣に取り立てると,さまざまな利点がある。有能な武将は積極的に取り立てていくといいだろう |
譜代家臣となった武将は,他勢力へ寝返ることがなくなり,俸禄も不要になる。「一門」の武将に近い扱いになるわけだ。また,指揮兵力も増え,年数に応じて能力値も上昇していく。
さらに,当該武将の統率/武勇/知略/政治いずれかのパラメータが80以上だった場合には,与えた支城にボーナスが付加される。ボーナスの具体的な内容は以下のとおりだ。
・統率が80以上の場合
同じ国の本城での募兵時に,同時に支城の兵も補充される
・武勇が80以上の場合
支城の守備力が上がり,戦法「石落し」が使えるようになる
・知略が80以上の場合
支城がある国か,隣接した国にある部隊や拠点に対する敵の計略成功率が低下する
・政治が80以上の場合
支城がある国か,隣接した国にある本城の民忠回復量が上昇する
80を超えたパラメータが複数ある場合,それらのボーナスが同時に付加される。例えば統率と政治が80オーバーの武将を譜代家臣にしたら,兵はどんどん増えるわ,民忠は減ってもすぐに回復するわで,非常に募兵を行いやすい環境が作れるわけだ。譜代家臣になっても,とくに行動の制限があるわけでもないので,有能な敵武将を捕らえたら,いきなり譜代家臣にしてしまうのも手だろう。
もっとも,譜代家臣を解任したり,与えた支城を敵勢力に奪われてしまったりすると,武将の忠誠度が一気に下がってしまう。もちろん上記のボーナスも消滅するので,譜代家臣と支城の取り扱いは慎重に行う必要がある。
譜代家臣にした武将は,年数を重ねるにつれて,どんどん能力が上がっていく。早めに任命するほど効果的というわけだ |
いったん譜代家臣にした武将を解任すると,忠誠度が大きくダウンする。無意味な解任はしないように |
新シナリオや各種エディタ機能も追加
PUK追加要素のチュートリアルは,一条兼定と土居宗珊が担当。ユーモラスなやり取りを楽しみながら新要素について学べる |
また,武将や勢力のデータの編集,新家宝の登録などを行える各種エディタ機能も追加された。このあたりの詳しい内容については,「こちら」の記事を参照してほしい。
これまでに挙げてきた大きな追加点以外にも,一部の技術の開発条件の変更や,戦法の威力,難易度調節設定メニューの追加などなど,細かい改良や強化が随所に施された。もとからなかなか評価の高かった「革新」だけに,プレイ感覚を劇的に変化させるということはないようだが,完成度はじっくり高められている。
しかし正直なところ,2年以上も待たせたPUKなら,内容的にもボリューム的にも,もうひと工夫欲しかったという感は否めない。とりあえず,追加シナリオが3本だけというのは,さびしく感じられた。「革新」はもともとインターネット経由でシナリオをダウンロードできるとはいえ,もう少しあってもよかったのでは。できれば配信済みのシナリオやチャレンジモードも,PUKに収録してほしかったところではあるのだが……。
ただ,本体「革新」の発売からこれだけの時間が経っているのに,ゲームとして色あせていないという点は素晴らしい。「革新」を未プレイの人,あるいは「信長の野望」シリーズ未プレイの人にこそオススメしたいのが,今回のPUKだといえる。この記事,あるいは過去の紹介記事を見て興味を持ったなら,この機会に「革新」本体とPUKがセットになったパックを入手してみてはいかがだろうか。
新しいシナリオ,イベント,武将などを導入すれば「革新」本体のシナリオでも新しいイベントが発生するようになる |
他勢力との同盟期限が切れる前に,同盟の延長を申し込めるようになった。細かい部分だが,地味に嬉しい改良点だ |
難易度調節メニューも追加された。個人的には,さんざん悩まされた台風を「なし」にできるのが一番喜ばしい |
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