連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー:其の四拾六「ヒロシマに生まれて」
人間,それなりの期間を生きていると,ふとしたきっかけで幼かった日々のことを思い出し,当時の経験が現在の自分自身の人格形成に影響を与えていることに気付いたりするもの。広島に生まれ育った男色ディーノ選手が,「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」をきっかけに思い出したこととは……?
それがどうかしたのか? 待て待てはやるなグリーンボーイ。広島といえば戦争中に原爆が落ちた都市として有名なのは言うまでもないんだけど,それはすなわち反戦教育が盛んであるということを意味しているの。
どの学校の図書館にも「はだしのゲン」(中沢啓治著)が置いてあるし,今でもやってるのか分かんないけど,夏休みのまっただ中の8月6日には全校生徒が登校して,原爆が投下された8:15AMに1分間の黙祷を捧げて下校するという行事が行われていたのね。この行事が広島県だけのものだったということを知った19歳の夏,大阪に出てきたばかりの若者がどれだけショックを受けたか,想像できるかしら。
……それで? 待て待て慌てるなヤングガイ。要するに,私のような広島県出身者は反戦教育を受けており,戦争に対して憎しみを抱いている,ということを言いたいのよ。どう? つながったでしょ? 「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」(以下,MGS4)に。
話を戻すわ。ともかく,暴力的なアクションゲイムが好きじゃない私なんだけど,最近はだいぶ克服できていたのね。近いところでは「龍が如く 見参!」なんかも大丈夫だったし。でも,MGS4はちょっとダメだわ。いや誤解ないように言っておくけど,面白いのは確かなのよ。とある友人も,「メタルギアシリーズ史上最高の作品だ」と手放しで褒めているほど。この場合,悪いのは私。
怖いのよね。銃火器が。「バイオハザード」とか「デビル メイ クライ」はあくまでゲイムの世界だって割り切れるの。もう大人だから。でも,MGS4は……,戦争そのものに見えてしまうのよ。銃火器を使って指先に力をこめると,自分の拳を痛めることもなく,相手の命を奪えてしまう。そのことが心底怖い。そして,銃火器を上手く扱えないと戦場では死んでしまう。たぶん,戦場ってそういう場所なのよね。
MGS4には戦場があるわ。まだちょっとしかヤってないし,難度設定では「LIQUID EASY:本当にアクションゲイムが苦手の方向けに」を平気でチョイスしてしまった私が言うのもなんだけど,ゲイムとしては最高に面白い作品だと思う。だからこそ,恐怖が私を襲ったのね。まさか20年前の教育が,ゲイムをプレイするときの心理に影響を与えようとは。これほど広島県出身ってことを意識した瞬間はないわ。
まあ,ほかの広島県出身の人が私と同じように「MGS4は怖い!」と思っているかは分かんないけど。でも,逆に言うと戦争から何を感じるか,という意味では広島県以外の人に広くプレイしてもらうことをオススメしたいわね。
そして,勢いが余れば広島県民のバイブル,はだしのゲンを読んでみてほしいわ。そうすればきっと,はだしのゲンが戦争マンガとしてではなく,マンガとして普通に面白いことに気付いていただけるはず。
どうでもいいけど,はだしのゲンがジャンプコミックスであることは意外と知られてはいない(民明書房―わが青春のジャンプコミックス―より抜粋)。
なんか今週はホント,とくにオチもひねりもないんだけども,MGS4を遊んでいたら久しぶりに広島を思い出し,実家に帰ってみようかな,という気にさせられた……というお話でした。
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METAL GEAR SOLID 4
GUNS OF THE PATRIOTS
対応機種:PLAYSTATION 3メーカー:KONAMI
発売日:2008年6月12日
価格:8080円(税込)
CEROレーティング:D
公式サイト:http://www.konami.jp/mgs4/
- 関連タイトル:
METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS
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