連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第256回「9年前のクリスマス」
そんな私の目下の夢は,幸せな偽装結婚です。めちゃくちゃ金持ちで,同性愛に寛大で,「ワールドサッカー ウイニングイレブン」シリーズが私と同じぐらいの腕前で,「モンスターハンター」シリーズは私よりうまいうえに運搬クエストをお願いしてもイヤな顔一つせず,たとえ私が2落ちしても「ドンマイ」って励ますより「仏の顔も三度まで」って微妙な叱咤激励とプレッシャーを与えてくれて,かといって太刀使いが尻尾を切断できなくても「あれあれ?」みたいな空気を作らなくて,クーラードリンクを忘れたときに2個ではなく3個譲ってくれるようなメンタリティの持ち主で,普段の生活で体調が悪いときには「くっ! ガッツがたりない!!」,私が死んだら「へんじがないただのしかばねのようだ」って言ってくれるような人は,どこかにいませんかね?
閑話休題。9年前の話ですよ。私の所属するプロレス団体DDTは,今でこそ両国国技館や日本武道館といった1万人規模の会場で興行を行うようになってはいるけれども,当時はまだ2000人規模の後楽園ホールを埋めるのにいっぱいいっぱいだったわ。
したがって,当時の私には今よりももっとお金がなく,最先端のゲイム機を発売日に買うことなんてとうてい無理な話だったの。ゲイムソフトを買うにしたって,熟考に熟考を重ねたうえでお店まで行き,それでも何も買わず(買えず)に帰宅することすらあったわ。
ゲイムライフだけに関して言えば,ゲイムショップでアルバイトをしていた学生時代のほうが,社員割引を駆使して自由にゲイムを購入できていたぐらいよ。なので27歳の私は,ニンテンドーDSを買うことを,経済的に諦めていたの。
でも。
忘れもしない,その年の12月24日。私が山へ芝刈りに出かけたときのこと。DDTの事務所にクリスマスプレゼントとして,ファンの方から荷物がドンブラコッコ,ドンブラコッコと届きました。開けてみると。なんとまあそれはそれは可愛らしいニンテンドーDS本体ではありませんか。嬉しかったね。そりゃあもう嬉しかった。
プレゼントをしてくれたの女性ファンだったんだけど,もしその場にいたら必殺技をかけてたよね,嬉しすぎて。男性なら抱いてたよね。悪即斬だよね。
ともかく,思いもよらない形でニンテンドーDSが手に入って,クリスマスイブからクリスマス当日にかけて,朝までプレイしたわ。後楽園ホールでの試合を控えていたのに。
ちなみに,その日の試合は当時ライバルだった猪熊裕介との最終決着戦だったんだけど,素敵なプレゼントを贈ってくれたファンのためにもその試合ばかりは負けられなかったわね。結果,ボクシングルールでお互い精根尽き果てるまで殴り合い,私がからくもKO勝利を収めたわ。試合のキーワードを並べると「民名書房」,アリスの名曲「チャンピオン」,「ロケ地・水道橋」。このあたりから試合を想像してもらえると幸いなんだけど,その死闘の前日にこんなドラマがあったなんて,誰も知らなかったでしょうね。
今初めて明かされる,9年越しの物語。人生はタイミングだからね。心が弱っているときに聞く何気ない言葉に救われることがあるように。あの時の私の心に,あのニンテンドーDSは染み入ったわ。だから私はいつだって全力でケツを出し,対戦対手を掘る。私のいつもどおりの戦いが,ひょっとしたら誰かの心の痛みを和らげることだってあるかもしれないから。36歳のおっさんのケツを見て,世の中の不平等さなんてどうでもよくなる人もいるかもしれないから。
プレゼントのエピソードは,今回,初めて公にしてみた事実なんだけど,これを機にあらためて言わせて頂戴。ありがとう,と。ニンテンドーDSのこともそうなんだけど,一生懸命ケツを出すべきだということに気付かせてくれてありがとう。その人,最近はたぶん見に来てないけど。そもそもこの連載を読んでないだろうけど。
それまで音ゲイはさほど好きではなかったんだけど,ニンテンドーDSを手に入れた嬉しさも手伝ってか,面白いったらありゃしなかったわ。何が衝撃的だったって,同じ曲でも演奏する楽器を選べるって点。それによって同じ曲で違う遊び方ができるうえに,ほかのプレイヤーとのセッションだってできるってこと。
これは,ニンテンドーDSの特徴の一つである「ほかのプレイヤーとの無線通信プレイ」をうまく表現していたのよ。携帯ゲイム機におけるプレイヤー同士の対戦や協力プレイっていう面白さは,ニンテンドーDSで成熟したと私は思っているの。そして,成熟のきっかけがバンブラで,セッションという方法でゲイマーに向けて通信プレイの面白さプレゼンしていたのではないか,と勝手に思っているわ。
音に合わせてボタンを押す楽しさだけでなく,他人と音楽を演奏するという楽しさ。これはニンテンドーDSだからこそ味わえるんですよ,というメッセージを送ってきたわけね。本体発売に合わせてこのタイトルを持ってきた意味は,そこにあったんじゃないかと思うわけ。
今のニンテンドー3DSで実現可能な音楽ゲイムの最先端が,このバンブラPなんじゃないかしら。ネットにつないでたくさんの曲の中からダウンロードできるし,曲数に関して飽きるってことはないはずよ。
……と,こう書いておきながら,私的に一番凄いなと思ったのが,ボーカロイド云々などではなく,単純に音に触れることが楽しいっていう点。これって音ゲイで一番大切なことだと思うんだけど,そこもちゃんと突き詰めてるのが素晴らしい。音楽にさほど興味のない私が,音を出すことを楽しいと思えるんだからね。だから,音楽好きにもそうでもない人にもオススメしたい一本ね。
2013年の,もうすぐ12月になるわ。9年。いろいろあったね。私だけでなく,みんな。ゲイムは進んでいる。私達も進んでいる。ゲイムは止まらない。私たちも止まらないように,楽しもうじゃない。ゲイムでもそれ以外でも。繰り返すけども,だから私はケツを出す。掘る。ゲイムをプレイする。原稿を書く。〆切をぶっちぎる。サボる。手を抜く。どれもこれも,全力で。9年後も,来週も。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「大合奏!バンドブラザーズP」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
大合奏!バンドブラザーズP
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