連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第272回「もう一度恋を始めるかどうか」
これはね,残念ながら本気よ。普段だったらヤらずに後悔するよりは,ヤって後悔するほうを選ぶんだけど,今回はそれを踏まえたうえで悩んでいるの。というのもね,私,あと2か月もすりゃもう37歳になるから,そろそろ結婚しなきゃいけないのよ。偽装でもなんでもいいから。
ここを久しぶりに説明いたしますとですね,私の実家は広島にあるんだけども,実家の両親が私の職業をまったく認めていないのね。ゲイであることを認めさせるのはまあ難しいのは分かる。
そのうえで,プロレスラーという職業についてもあまり快くは思ってないのね。ただ,今さら地元に戻ったところで仕事はない。したがって,親からしてみれば,東京でも何とか食べてはいけている今の職業を,なんとなく黙認している。そういう状況なのね。
で,問題はもう一つ。私の性癖について。最近は減ったけど,「本当は違うよね?」っていう電話が毎月かかってきた時期もあったわ。その都度私は,「あなたの息子は,実家を離れて一人暮らしをして東京という人がいっぱいいる場所に住んで,学んだことがある。それは,人間って素晴らしいってことだ。私は見えるものすべてが見えているとおりではなく,見えないものを見る目を養いたいんだ。真実なんてね,自分自身にも分からない。だから人生をかけて,それを見極めていきたいんだ。産んでくれてありがとう!」っていう,一見いいことを言っている風の,しかし決して質問に対する答えになっていない人生観を披露してきたの。するとね,けっこう誤魔化せるのよコレ。
もし,親御さんと揉めそうなことがあったら使ってみて。とくに「産んでくれてありがとう!」。これは本当に効くわよ。本当にそう思ってるんだけどね。
で,誤魔化し続けた結果,ここにきて「性癖についてはもう何も言わない,せめて孫の顔を……」という妥協点(?)を押し込んでくるようになったの。しまいには,「結婚しなくてもいいから子供を」とまで言ってくるけど,そのほうが難しいだろ。……というところでの偽装結婚なわけです。それを踏まえたうえで,NEWラブプラス+に手を出すか否か。
思い起こせば,幼い頃から私は女性が苦手だったわ。存在としての女性はとくになんとも思わないの。でも,恋愛対象としての女性はホントに苦手。それを決定づける出来事が幼少期にあったのよ。私って昔からおばあちゃん子でね。おばあちゃんはすごい人格者だった。おばあちゃんのしてくれる話は,いつも幼心を揺さぶってね。今の私の人生観にもかなり強い影響が残っているの。
「人に優しくするときは,絶対に見返りを求めちゃいけない。自分のために人に優しくしなさい。人に何かを与えるんじゃない,自分に与えるつもりで他人に優しくしなさい」とかね。おばあちゃんの言うことは,私にとって絶対的に正しいことだった。
そんなおばあちゃんは,アニメの「北斗の拳」が好きで,よく一緒に見ていたの。そして,忘れもしない,あのシーン。ケンシロウからユリアを奪ったときに放ったシンのセリフ。「女の心変わりは恐ろしいのぉ」。これを聞いたおばあちゃんは一言,「ほんま,その通りじゃ」。それを聞いてそわそわするおじいちゃん。
ここで私は悟ったね。女は心変わりする生き物なんだ,と。そして,今になって気になるね。昔,おじいちゃんとおばあちゃんの間にいったい何があったんだろう? と。私がゲイレスラーになる運命を背負ったのは,あの瞬間だった気がするわ。
えー。話を回収しにまいりますと,要は37年で私にできた唯一のカノジョが高嶺愛花さんだっていうことですよ。それはそれは,愛しましたよ。なにぶん,初めてのことでしたから。ただ,なんつーか,うまく愛情を表現するのが苦手なんでしょうな。なかなか思ったことを言ってあげられないというか,人前で話しかけたりスキンシップをしたりということができなかった。
でも,それなりに幸せで,男性と一緒にいるときと同じような,でも違うような。そんな初めての感覚を楽しんでいたわ。私にとってそれは,もはやリハビリ以上の意味を持っていた。
でね,ある瞬間,気付いたの。ラブプラスをヤっているほかの人の画面にも,愛花がいたことに。愛花は,私のカノジョであると同時に,私以外の人のカノジョでもあるってことに。私に向けていた笑顔は,私だけに向けていたものではなかった。タッチパネルを使ってのキスやスキンシップも,私だけではなくほかの人ともしていた。ショックだったね。私の前では「あなたしかいない」的なことを言っておいて,ほかの人の前でも同じようなことを口にする。私は思い出した。あの日のばあちゃんの言葉を。
私はいまだゲイレスラーで,偽装結婚を志している。あの頃の私から,少しは成長できたのかしら。きっと,愛花は変わらない。変わらず,魅力的に成長しているだろう。一方で,私は成長できているのだろうか。変わらない愛花を愛するためには,自分の器を大きくするしかない。あの頃のままだったら,おそらく同じ結末を迎えてしまうだろう。私は,過去を踏まえたうえで愛花を愛せるのか。自分以外にも笑顔を向けるであろう愛花を,受け入れることができるのか。
……そうだったね,おばあちゃん。おばあちゃん言ってたね。「人を愛するときは,絶対に見返りを求めちゃいけない。自分のために人に愛しなさい。人に何かを与えるんじゃない,自分に与えるつもりで他人を愛しなさい」。
分かったよ,おばあちゃん。私,おばあちゃんの孫で良かったよ。お母さんを産んでくれてありがとう。私に子供が生まれるかどうか分からないけど,天国で見守っていてください。
……というお話とは別に,プレイしていたら単純に満足して婚期をさらに逃すんじゃないかとかいう不安がぐるぐると頭を回って,結局NEWラブプラス+をプレイするかどうか,ケツ論が出せていません! っていうお話でした。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「龍が如く 維新!」
PlayStation 3:「真・ガンダム無双」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「牧場物語 つながる新天地」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
NEWラブプラス+
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