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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」
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印刷2014/08/14 11:00

連載

男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」

画像集#001のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」

著者近影
画像集#002のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」
 はいどうもー。私,男色ディーノと申します。その名の通り,ゲイであり魔術師です。と言いながらも,本業はプロレスラーでございます。
 これを読んでいる方はゲイマーだと思うので,プロレスには詳しくないかも知れませんがね,このページはプロレスラーでありゲイマーでもありゲイである私が,それぞれの視点から毎週プレイしたゲイムの感想を述べていこうという,そういう連載なのです。
 意外に思うかもしれませんがね,プロレスとゲイムにはいくつも共通点がございまして。まあ,お互い娯楽産業ということで似た部分も多いんでしょうけども。それでも注目すると面白い類似点があったりするわけですよ。
 例えば,ゲイムには“ヤり込み”っていう要素があるでしょ。あれ,実はプロレスにもあるの。もちろん,プロレスをヤってる私達ではなく,見る側……つまり,消費者ね。まあ,ゲイムと違ってプロレスは見るエンターテイメントだから,基本的にはソフトに対して介入できないわけ。となると,“見ること”自体を極めていくことになるわけ。
 だから“ヤり込み”っていう言葉だとしっくりこないんだけど。プロレスをより楽しむ行為を仮に“入れ込み”という名称にしておきましょうか。この“入れ込み”って,見る側がより深く楽しもうと自分の脳内で解釈を始めることでもあるのよ。そしてムキになる。見ないと気が済まない感じになってくる。ゲイムの“ヤり込み”との共通点はこの部分ね。もう,完全に自分の脳内補完のために見るわけ。自分なりのストーリーを紡いでいくわけね。
 まとめましょう。ゲイムの場合,単純にプレイして楽しむ方法もあれば,自分のルールを決めてそれに沿ってヤり込んでいく楽しみ方もある。それがプロレスだと,単純に試合を見て「面白かった」って思う見方もあれば,今までの経緯を踏まえたうえで今日の試合を見て,さらに脳内で自分なりのストーリーを描いていく,という入れ込んだ楽しみ方もある。
 より深く楽しんだほうが払った金額に対しての,元を取った感は強くなるのかもしれないけれど,どちらがいい悪いって話ではないわ。単に,ゲイムとプロレスには,そういう共通点があるってことが言いたいの。

 では,具体的な例を挙げてみましょうか。プロレスを長く見ている人の中にはなんとなく,“持っている技が少ないほうがいいプロレスラーだ”という入れ込み要素があるのね。普通に考えたら逆でしょ。どう考えても使える技は多いほうがいい。でも“入れ込み派”からしてみるとそうではない。
 要は,多彩な技で魅了するのもいいけれども,少ない技で試合を構築できるのは,上級者の証であり,それが分かる俺ってカッコいい! という。これ,まったくもって同じなのよ。重火器がいっぱい登場するゲイムなのに,ナイフだけでクリアするっていうヤり込みと。ついでに「俺カッコいい!」って思えるところまで同じ。
 勘違いしないでね。俺カッコいい! って思うことは,決して悪いことじゃない。確かにそういう要素はあるからね。ゲイムを作る人だって,そこまで遊んでくれたら嬉しいと思うのよ。プロレスをヤってる我々だって,そうやって細部まで見てくれるのは嬉しいわけだから。
 ただ,それはあくまで自分自身がより深く楽しむためのヤり込みや入れ込みであって,それによって消費者としての優劣が決まるわけではないわ。軽く楽しむ人も,骨の髄までしゃぶり倒す人も,同じ消費者。まあ,自分から深く楽しむことができる人は,同じように人生自体も楽しむ能力があるんだろうし,私個人としてはそうありたいなとは思うけどね。


画像集#004のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」
 さて,ここで今週プレイしたゲイムについてなんだけど。私,ちょっと感動しているのよ。何にって「メゾン・ド・魔王」に。これは,ニンテンドー3DSのダウンロード専用ゲイムなんだけどね。まさにプロレスで言うところの“少ない,しかも地味な技で試合を組み立てる”。そんなゲイム。
 このゲイムは魔物専用のマンションを経営して,魔物を住まわせて勇者をおびき寄せて倒すっていうシミュレーションゲイムなんだけど,何が地味って,プレイ中に画面が切り替わらないのよ。ただひたすらマンションが表示されているだけ。マンションの住人が入れ替わる様子が映し出されるだけなのね。
 その理由は簡単で,それ以上の情報が必要ないから。実に潔い。で,クエストを選べば物語が進行していくわけ。物語と言っても,要はマンションに攻めてくる勇者達を,住んでいる魔物達で撃退するという,ただそれだけ。本当に,ただそれだけのゲイム。
 こう書くと「じゃあ何が面白いの?」って疑問を持つ人もいると思うんだけど,残念ながらこれが非常に面白いのよ。シミュレーションに重要な,作業感。そして,資金のやりくりや住まわせる魔物の強さをイメージするといった,難しくない程度の計算。さらに,そこそこ勝手に生まれる魔物への愛着。これらが本当にいい配分で混ざっていて,同じことの繰り返しだと分かっていながら,ひたすら遊び続けてしまう魅力があるのよ。

画像集#005のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」 画像集#006のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」

 面白さの系統としては,かつてPlayStationやセガサターンで発売されたタイトル「AZITO」に近いかもしれないわね。最近のゲイムファンには通じないたとえだったかもしれないけど。でも,延々と続けてしまえることは確か。誰でもってわけではないけどね。
 でも,操作が難しいわけではないし,ゲイムオーバーの概念もない。ゲイム的な派手さはまるでないけれども,堅実に面白い。ここまで地味に面白いゲイムって,ほかにはそうそうないと思うわ。派手さだけが面白味ではない。さっきプロレスで例えて述べたことの,まさにゲイム版。これぞヤり込み用ゲイムね。玄人がうなる感じのゲイム。シミュレーション好きならば,金額分は楽しめると思うわよ。ぜひに。そもそもダウンロード専用ってこともあって,864円(税込)と,手を出しやすい価格だし。

画像集#007のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」 画像集#008のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」
画像集#009のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」 画像集#010のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第293回「ゲイムとプロレスの共通点」

 さて。個人的なお話になるけれども,いよいよ私の所属するDDTプロレスの両国国技館大会が,今週末に迫ってきたわ。おかげさまで前売り券は完売。すごーい! 9000人も集まることが確定している試合ですよ。
 でもまあ,凄いのはDDTプロレスというハードであって,我々が提供する大会の中身という名のソフトが凄いかどうかは,その日の興行が終わらないと分からないんだがね。簡単に言うと,一流大学や一流企業に勤めている人は周りから「すごーい!」って言われるんだろうけど,凄いのは大学や企業のブランド力であって,本人ではない。
 本当に評価されるべき点は,そこに在籍していることだけではないよっていう。結局は何を学んで,どういう仕事をしてるかってことでしょ? とはいえ,そういった個人やソフトがブランド力やハードのイメージを作り上げる面もあるんだけどね。鶏と卵の関係ね。どっちが先なのか。

 というわけで,今週日曜,ゲイマーの1人として両国でタイトルマッチを行ってまいります。勝とうが負けようがゲイマーとしての私には,何のリスクもリターンもないけどな。
 ま,今週日曜に大勝負をするゲイマーもいますよっていうことだけでも覚えていてくだされば。ではまた来週! 生きていれば,な。


今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「無双OROCHI2 Ultimate
PlayStation 3:「魔都紅色幽撃隊
PlayStation Vita:「俺の屍を越えてゆけ2
PSP:「サモンナイト5
Wii U:「The Wonderful 101
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
ニンテンドー3DS:「メゾン・ド・魔王
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
繰り返しになりますが,ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,2014年8月17日に両国国技館大会「両国ピーターパン2014〜人生変えちゃう夏かもね!〜」を開催します。本文でも触れられているとおり,チケットは完売しました。DDTプロレスが両国国技館に初進出したのが,2009年のこと。以来,毎年夏には両国大会(2012年のみ日本武道館大会)を開催してきた同団体ですが,チケットの完売は今回が初めてのこと。ディーノ選手は,「来てくれる人達を後悔させるか,させないか,二つに一つ!」と力強く語っていましたが,実のところ何も言ってないに等しいですね。
  • 関連タイトル:

    メゾン・ド・魔王

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