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セガ,新コミュニケーションサービス「インターネットアドベンチャー〔iA〕」を発表。クローズドβテストは3月13日にスタート
SNSとUGCの要素を融合させた新しいブラウザ
iAは,Webサイトをブラウジングしているユーザーを視覚化し,お互いが容易に交流できる3D空間を提供するものだ。クローズドβテストが3月13日に開始され,サービスインは2008年初夏が予定されている。なお,ビジネスモデルは基本無料のアイテム課金制だ。
画面写真を見ると,最近増えてきた「メタバース」「仮想空間」といった言葉を連想すると思うが,それらとは少々ベクトルが異なる。これはインターネットブラウザに,MMORPGのようなキャラクターとチャット機能,そして各種コミュニケーションツールを付加したものと捉えると,理解しやすいかもしれない。
なお対応するインターネットブラウザは,現在のところWindows版のInternet Explorer 6/7(以下,IE)のみで,IE起動時にデスクトップ上に画面が表示される。要求PCスペックは確定していないが,5年ほど前のPCでiAとIEを起動し,さらに別のアプリケーションで作業をしても十分動作するレベルを目指し調整しているいう。また,使用しているPCの環境を変更することなくiAの解像度だけを落とすことも可能だ。
キャラクターの顔は,形を選べるだけでなく角度も調整できる。また衣装に関しては重ね着なども可能になっており,長袖の上から半袖Tシャツを着るといったお洒落も楽しめる |
ユーザーは,自分の分身となるキャラクターを設定しアイランドに降り立つ。キャラクターは,顔パーツの変更やアバターアイテムによる着せ替えができる。また,一般的なMMORPG同様,手軽に使えるチャットやフレンド登録といった機能があり,ほかのユーザーとのコミュニケーションを図るのに役立つ。
中でも面白いのは,ワープポータルを設置して,複数のキャラクターが同時に同じアイランドに移動できる機能だろう。一人が別のアイランド(サイト)へ移動すると,そこには光の渦ができ,その中に飛び込むと,最初の人が行ったアイランドへ付いて行ける。従来のブラウジングやネットサーフィンは,一人で楽しむのが基本だったが,iAでは複数のユーザーがリアルタイムでチャットしながら,同時にネットサーフィンも楽しめるわけだ。
iAはIEと連動しており,常にバックグラウンドに表示される。設定によって,ウィンドウのない部分に自分のキャラクターが自動的に現われるようにできる |
ワープポータルを利用すれば,複数のユーザーが同じアイランド(サイト)に移動できる。多人数で同時に行うネットサーフィンとはいったいどんな気分なのだろうか |
ユーザーは任意のアイランドにある空き地にハウスを設置できる。ハウスが一定数を超えるとアイランドは自動的に拡張されていく |
ハウスはSNS的な機能も持っており,メールや伝言機能を利用できるほか,フレンドなどの各種情報を確認/整理できる。もちろん日記などの記事を執筆/公開することも可能で,さらにそれを任意のアイランドに「ミーム」という形式で配信できる。つまり,記事の主題要素に関連するWebサイトのアイランドに配信することで,より多くのユーザーの興味関心を惹けるわけだ。
ミームは,記事を投稿したときのキャラクターをコピーしたNPCとして画面上に表示され,ほかのユーザーがクリックすると,記事の内容を読め,コメントを残せる。ブログであれば,あくまでも自分のブログ内に記事が表示されるのだが,iAではNPCが各アイランドに留まり,そこに訪れた人がそのアイランドに関連した記事を読めるのだ。
またサイトの管理者は,そのサイトのアイランドに複数の階層を持つオフィスビルのような,かなり大がかりなものも建設できる。管理者は,階層ごとにユーザー間の親密度に応じた6段階の入場制限を設定できる。例えば1階は誰でも入れるが,2階以上は友人でなければ入れないといった具合だ。ちなみに,セガのアイランドには本社ビルを模した巨大な建物があり,エントランスなどの再現度はかなり高い。
バラエティーショップ。詳細は不明だが,さまざまなアイテムの存在が確認できる。これは年末年始用だろうか? |
セガのアイランドにある本社ビルのエントランス。再現度が結構高く,ちょっとビックリさせられた |
執筆した記事はミームとして任意のアイランドに配信可能。アイランド上ではキャラクターの分身として表示される |
このほかキャラクターにはレベルやHP/MPといったパラメータが存在し,実際にMMORPGのように遊べるという。モンスターが棲息するダンジョンやフィールドが設置され,剣や盾などを装備して,ボスモンスター討伐を目指すといったような要素も検討されているのだ。これはユーザーに何かしらの目的意識を持たせ,iAを継続して利用してもらうという狙いがあるとのこと。また通常のアイランド上にもモンスターが配置されるのだが,こちらは戦いというほどのものではなく,エアキャップをプチプチ潰すような,叩くと気持ちがいい,といったような感覚のものになるそうだ。
なおテーマパークをコンセプトにしたiAの公式アイランド「iA-World jp」には,セガのIPを使用したミニゲームなどの実装も検討されている。実現すれば往年のセガファンも楽しめる場所になるかもしれない。
iAの公式アイランドとなるiA-World jp。コンセプトはテーマパークで,かなり広いマップになっている |
モンスターが登場するアイランドも存在する。将来的にはダンジョンなども実装したいとのことである |
筆者は最初にiAの資料を読んだとき,コミュニケーションツール研究の一環みたいだと感じたのだが,それは当たらずとも遠からず。実はiAの原案/企画/監修は,立命館大学の准教授でゲーム制作/技術を専門とする渡辺修司氏が行っているのだ。
そもそものアイデアでは,Webブラウザとブログの機能を融合させた「MMOブラウザ」という提案だったそうだ。ゲームという枠にこだわらず,より多くのユーザーを取り込むことを当初から考えていき,現在はここで紹介した形のようになっていったという。
iAのサービスポリシーは,クローズドβテストを通して決められ,サイト上の画像を自由にテクスチャとして取り込める機能などを,どのように運用するのかが決定していく。ポリシー次第でサービス内容の性格は大きく異なってくるので,どのような決定がくだされるのかにも注目すべきだろう。
まだ発表されたばかりで発展途上のiAではあるが,今後どのように成長していき,どういった人達に受け入れられ,どのように使用されるのか,非常に興味深い。
SNSの機能を持つハウス。ユーザーの好みに合わせて外観/内装ともカスタマイズが可能 |
ハウスにアイテムを配置する。基本的なアイテムはiAに用意されており,拡大縮小やテクスチャの変更ができる |
「インターネットアドベンチャー〔iA〕」公式サイト
- 関連タイトル:
インターネットアドベンチャー〔iA〕
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(C)SEGA 原案・企画監修/渡辺修司