インタビュー
注目作「TERA」のCBTを振り返り,来るべきOBTに向けての意気込みなどを,日本総合プロデューサーに聞いてみた
今回は,日本におけるTERAのキーマンである,日本総合プロデューサーの潮田太一氏にインタビューを敢行。CBTを終えてみての手ごたえや,すでに導入されている韓国最新版アップデートなど,いくつかの質問をぶつけてみた。
「TERA The Exiled Realm of Arborea」公式サイト
まさに大盛況だった4日間のクローズドβテスト
4Gamer:
本日はお忙しい中,ありがとうございます。
こうやって真面目にインタビューするのは久しぶりですが,最近の潮田さんは主にどういった作業を行っているんでしょうか。
こちらこそ,よろしくお願いします。
大きく三つの作業に分けられます。まずは,開発会社と弊社QA(品質管理)チームのやりとりを総括し,TERAのプログラムやローカライズを改善すること。次に運営体制で,プログラムが安定し,お客様が安心して楽しめる環境を作り上げること。最後はプロモーションで,一人でも多くのお客様をTERAに集めるために,何をするべきかを考えています。
4Gamer:
7月1日から4日にかけてのTERAのクローズドβテストを振り返ってみて,率直な感想はいかがですか?
潮田氏:
一言でいうと,“自信”がつきましたね。
これまでプロデューサーとしてTERAに携わってきて,きっと大勢のお客様に楽しんでもらえるタイトルだろうな,ということは予感していました。しかし,どんなに強くそう思っていても,自分一人の都合のいい解釈でしたから。
しかしCBTの反響を実際に見て,これまで予感にすぎなかったことが確信へと変わり,そしてそれが大きな自信へと結びつきました。
4Gamer:
潮田さんにはCBTの初日に軽く話を伺いましたが,そのときは同時接続者数が“1万をはるかに上回る”とのことでした。CBTの4日間を通じて,そのあたりはいかがでしたか。
潮田氏:
最も盛り上がったのはむろん初日ですが,4日間ともに同時接続者数がそれぞれ1万を超えていました。オンラインゲームのCBTだと,最初に触れてみてパッと離れてしまう人も多いのですが,TERAの場合はそれが非常に少なかったのが印象的です。
4Gamer:
CBTの最終日が平日(月曜日)だったのを踏まえると,離脱者が少なかったのはすごいですよね。具体的に,どのあたりが参加者にとって魅力的だったと認識していますか?
何度も繰り返していますが,グラフィックスをはじめとした世界観と,フリーターゲティングによるバトルの新鮮さ。この二つですね。
4Gamer:
グラフィックスに関しては一目瞭然だとは思います。もう一つのフリーターゲティングの手ごたえ――具体的に言うと,プレイヤーにとって抵抗感が本当になかったのかどうか,という部分が,個人的に気になっています。
潮田氏:
そこに関しては,ソロプレイとパーティプレイのバランスに細心の注意を払っていたので,多くの人にすんなりと理解していただけたと思っています。CBT終了後に行った,お客様からのアンケート結果でも,非常に高い満足度が出ていました。
4Gamer:
それでは,CBTにおけるソロプレイとパーティプレイの比率について,あらためて確認させてください。
潮田氏:
マイキャラを作成して最初に降り立つ“黎明の島”では,ソロプレイのみでも十分にプレイ可能です。島のラスボス敵な位置付けの“カラスチャ”とのバトルも,NPCがバックアップしてくれるので,頑張ればソロプレイでも倒せたりします。
その後は首都“ヴェリカ”の近郊エリアで冒険を行いますが,この段階でもまだソロプレイで大丈夫です。そしてレベル10代の中盤から,パーティプレイの選択肢が少しずつ加わる形になります。そしてレベル20あたりで,パーティプレイを重視したゲームバランスに移行します。
4Gamer:
パーティ募集に関するチャットを眺めていましたが,中型モンスター“バシリスク”の討伐(レベル18前後)と,インスタンスダンジョンの“秘密基地”(レベル22)の募集がとくに多かったですね。
潮田氏:
バシリスクの討伐パーティに参加したときに,TERAのゲームプレイが良い意味で大きく変わった,という感想を多く目にしました。フリーターゲティングでのパーティプレイって,今までのソロプレイとはまったく違った遊び方ですからね。このあたりの反響には満足しています。
秘密基地に関しては,この段階で本格的なパーティプレイが開花するので,繰り返し挑戦される方が大勢いました。CBTではレベルキャップを“22”に設定していましたが,その理由の一つは,このインスタンスをプレイしてほしかったからなんですよ。
4Gamer:
思惑どおり,といったところですか。
今後パーティプレイが必須に近くなってなると,プレイヤーの中には難しいと感じる人も出てくると思いますが,その点についてはどのように考えてますか?
潮田氏:
ここは誤解しないでほしいのですが,TERAはレベルが20以降になっても,ソロプレイでもキャラ育成が行えます。効率は次第に落ちていきますけどね。パーティを組まないと絶対に先に進まないゲームではありませんが,我々としてはパーティプレイの面白さを積極的に伝えていきたいと考えています。
なにしろ,フリーターゲティングでのパーティプレイは,従来のMMORPGとは大きく違います。MMORPGの歴史にはない,戦略性や楽しみがあるんです。先ほど話題に出たように,CBTにおいてバシリスクや秘密基地でのパーティプレイが盛り上がっていたのも,それを証明しているといえるでしょう。
4Gamer:
近年のMMORPGは,どちらかというとソロプレイ中心で遊べるようになっており,TERAは時代に逆行とまではいかなくても,向いている方向が少し違うようにも感じるのですが。
確かに業界の流れとしてはそうですが,TERAのゲーム内容なら,パーティプレイが広く浸透すると信じています。大切なのは,ライトな人やパーティプレイを敬遠している人に向けて,どうすれば参加してもらえるのか。そのための適切なアプローチを提示していくこと,楽しさを伝えてあげることだと思っています。
4Gamer:
例えば,MMOのパーティプレイで,頑なにリーダーをしたがらない人って割と珍しくないのですが,それは最初の一歩を踏み出すための知識がないからなのかな,と感じることがあります。
潮田氏:
CBTでは,序盤で行う「ベカス」の討伐クエストがそうでしたが,パーティ募集の告知を出すと,わっと人が集まります。集めたあとで「あまりよく分からないんだけど」と言えば,じゃあ皆で考えようかって流れにもなるんです。日本人ってシャイな方が多いのかもしれませんけど,最初はみんな知らなくて当たり前なんですよね。
他国のプレイヤーの動向と見比べてみても,日本人は他人のサポートを積極的にしてくれる人が多いのです。ですので,ほかのプレイヤーと接するのが嫌いというわけじゃないですし,我々としてはどういった手ほどきをしてあげるといいのかな,ということを考えています。
4Gamer:
ハードルという意味では,PvP(対人戦)に関しても近いことが言えるのかな,と。それでもCBTの終盤では,異様なくらいに盛り上がっていましたよ。
潮田氏:
どのサーバーも,ヴェリカの中にある円形広場が,自然とPvP会場と化していましたね(笑)。運営側からはとくに誘導をしていなかったのですが,プレイヤー側から自然に,ああいった流れが起こるのは見ていて嬉しかったです。
TERAのパーティプレイやPvPは,実際に触れれば多くの方に楽しんでいただけるはずです。初心者でも直感的に操作できると思いますし。パーティプレイでもお話しましたが,フリーターゲティングであることで,PvPも今までの概念を打ち破っています。例えば,エレメンタリストはテレポートで回避可能なことなどが,良い例かもしれません。運営側としては,PvPへ多くの人が到達してくれるための導線や,環境作りを行っていきたいですね。
想像以上に幅広い年齢層が参加したCBT
CBTのときに気になったことですが,オープンチャット用として,「パーティ検索」用のチャンネルが広く用いられていましたね。
潮田氏:
ああいう使われ方をするのは予想外でした。本来オープンチャットという目的では,同じ領内のプレイヤーに届く「領チャット」が妥当です。現在はまだ“領”(ある一定のエリアの呼び名)という考え方が定着していないので,気付かない人が多かったのかもしれません。
4Gamer:
オープンチャットの会話内容も,サーバーによってはだいぶフランクでした。ああいったチャットが楽しいと感じる人がいる一方,うるさいと感じる人もそれなりの数がいそうですが,マナーに関する呼びかけなどを運営側から行うことはありそうですか?
潮田氏:
OBT以降の動向を見ながら慎重に判断しますが,例えばゲーム内の「お知らせ」機能でやんわりと伝えるとか,公式サイトに掲載予定のゲームガイドで,マナーに関して触れることはあるかもしれません。チャンネルの本来の用途である“パーティ募集”に支障が出てしまったりすると問題ですしね。
4Gamer:
私は「ハンゲームの年齢層って凄いなぁ……」と思いながら眺めていたのですが,単に心配しすぎなだけでしょうか?
潮田氏:
クローズドβテストでは,ユーザーの動向を調査するのも目的の一つでした。もちろん,オープンチャットで何が起こっていたかは一通り把握しています。例えば,チャットを荒らそうとする人がいたとしても,CBTではガチガチには取り締まっていませんでした。当然,最低限のラインでは取り締まりを行っていましたが,お客様によっては,野放し状態のように見受けられたかもしれません。
ですが,OBT以降では規約が変わり,若干厳しくなります。また正式サービスを迎えて課金が始まると,そういったゲーム内の雰囲気も少しずつ変わっていくと見ていますし,多くのお客様が快適に楽しめるようにする予定です。
それを聞いてちょっと安心しました。
潮田氏:
規約が厳しくなるとはいっても,普通に遊ぶ大多数の方は,なんら気にする必要はありません。度がすぎたプレイヤーに対する取り締まりは,むしろそれ以外の方々が,普通に楽しんでいただくために必要なことですので。
4Gamer:
ハンゲームという一大プラットフォームが総力を挙げてプッシュしてるタイトルなのですから,年齢層的には親と子くらい離れていてもおかしくないわけです。それだけの幅広い年齢層が一堂に会する娯楽って,それほど多くないですよね。
潮田氏:
そうかもしれません。
4Gamer:
例えば,欧米のMMOでは,プレイヤーのニーズごとにサーバーを分けています。代表的なのはPKの可能/不可能や,ロールプレイ目的とか。個人的には思わず「大人向けサーバー」が必要と感じてしまいました。
潮田氏:
今の時点でTERAのサーバーを細分化しすぎるのは,別の意味で問題が出てきそうですね。ただ,お客様が気の合う仲間を見つけやすくして,コミュニティ形成をサポートするための企画はいくつか用意しています。現在最終調整中ですので,近日中になんらかの発表ができると思いますよ。
※7月27日,日本ではPK可能サーバーとPK不可能サーバーに分けてサービスされることが,正式に発表されている(関連記事)
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TERA :The Exiled Realm of Arborea
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