インタビュー
「TERA」の正式サービスから約1か月。現在の状況や今後のアップデートについて,潮田プロデューサーに聞いてみた
また,本インタビューの内容の最終確認中,必要があって開発元Bluehole studioに原稿を見せたところ,日本ライブチーム責任者(日本担当責任者)が日本のプレイヤーの皆さんにコメントを届けたいとのことで,それをいただくこともできた。こちらを合わせて記事末に掲載するが,クラスバランスと今後の予定について,開発会社自身の言葉が聞ける,必読のコメントだ。
正式サービス開始から3週間の時点で
多くのプレイヤーで賑わっている
4Gamer:
呼ばれて素直に来てみました。今日はよろしくお願いします。
はい,本日はありがとうございます。よろしくお願いします。
本日は,正式サービスから約1か月を迎えつつあるTERAにおいて,その1か月を振り返りつつ,現在における周辺の状況などをお話できればと思っております。
4Gamer:
プレイヤーとして気になっていることも色々ありますが,まずは,現在のTERAの状況を教えてください。
潮田氏:
OBTの初日に同時接続者数が4万8500人を記録しましたが,それ以降も好評で,正式サービス後も多くのお客様にプレイしてもらっています。
4Gamer:
人数の話で思い出したんですが,そういえば同時接続者数に関して,ハンゲームの公式ページの中で,TERAだけ表示されなくなっていますよね。
潮田氏:
ええ。現場としては非常にもどかしい部分でもありますが,表示できない理由があるのです。
4Gamer:
……なぜですか?
潮田氏:
定額課金タイトルは,同時接続数が分かると,大体の売り上げが想像できますよね。親会社のIR(Investor Relations:投資家に向けて,会社の経営状況や財務状況などの情報を公開する活動)との兼ね合いで,個別の売り上げが分かる状態でいるわけにはいかないからなんです。
4Gamer:
確かに,タイトルごとの同時接続者数を表示していること自体が業界内では希(まれ)ですし,おっしゃることは分かります。ただ,TERAだけ数字を公開していないと,言い方は悪いのですが「人数減ってるから見せたくないんじゃないの?」と勘ぐられても仕方がないと思うのです。
潮田氏:
そう思われることはある程度覚悟のうえです。今現在の同時接続数は多くのお客様が納得できる数字になっていますし,多くのお客様がプレイしていますので,どうかそこはご安心ください。
勘ぐられるのは非常にもったいない話しなのですが,会社としても余計な情報は表示できない,ということなのです。
4Gamer:
ビジネスモデルの詳細が発表される前に,事前パッケージを購入した人に対する情報も「余計な情報」だったんでしょうか。
潮田氏:
……プレミアムパッケージ購入者への印象と対応,についてですよね。おっしゃりたいことはよく分かります。今後はさらに,可能な限り情報を公開していきたい,という気持ちは変わっていません。
話題作にはつきものの“不正行為プレイヤー”の現状と対策
4Gamer:
ともあれ注目作であるTERAは,一般プレイヤーだけでなく,RMTやBOTなど不正行為プレイヤーからもありがたくない注目を集めているかと思います。そのあたりの現状と対策についてお聞かせ下さい。
潮田氏:
不正行為を行うプレイヤーが「いる,いない」という基準で見ると,現在も間違いなくいます。
我々はその現状に対して,弊社のみならず他社さんも含めて,現在国内で展開しているオンラインゲームの中では最大規模の人員を投入して,対策を行っています。
4Gamer:
この問題の難しいところは,仮にアカウント処分を受けたところで,業者は別のアカウントで再び試みるわけで,“いない”状態にするのは実質的に不可能に近いという部分ですよね。
はい。そのあたりは,オンラインゲームのサービスを続けていくうえで終わりなき戦いだという覚悟を決めています。
まず結果として,お客様の目に,まだまだ不正行為キャラクターが公然と見えている状況に関しては,大変申し訳ないと思っております。ここに関しては,今後さらなる対応強化をお約束いたします。
ただ,お客様の声を拝見すると,お客様の視点には,もしかすると我々が行っている対策行為が伝わっていないのでは……という不安もあります。それどころか「運営はまったく動いてないのでは」と思われてしまっている可能性すらあるわけで,もしそうであれば,可能な限りこの場をお借りして伝えていきたいと思っています。
4Gamer:
確かに“顔の見える運営”として,適宜情報を公開していきたい部分ではありますよね。
潮田氏:
はい。しかしここで悩ましいのが,お客様にとって安心感を与えられる情報というのは,同時に,業者にとって今後の対策を立てるための材料にもなるわけです。
4Gamer:
なるほど,確かに。
潮田氏:
運営側として一番歯がゆいところは,不正対策の内容は,1ミリたりとも業者に情報を与えるわけにはいかないことで,ゆえに,対応内容がお客様に伝わりづらくなってしまうことですね。
なので,可能な限りの情報を……といっても微妙なニュアンスになるかと思いますが,精一杯伝えさせてください。
4Gamer:
もちろんです。よろしくお願いします。
ではまず,発表されている情報から整理させてください。公式サイトでは,制裁措置の報告が何度か行われていますね。
潮田氏:
はい。正式サービス開始から1週間後の時点で……ええと,3363件のアカウント停止処分を行っています。その後も2000件単位の処分を,2回発表しています。
4Gamer:
一般的なタイトルの基準で考えると多いほうかと思われますが,サーバー数が現在10基あるタイトルであるということを踏まえて,この数値をどう思われますか。
潮田氏:
週ペースでこれだけの数を処分できれば,一つの成果と受け止めてよいかと考えています。しかし先ほど述べたように,結果的にはお客様の目には,まだ不正者の姿が目撃され,一部ゲームクエスト進行などに影響を与えているわけですから,今後も気を抜くことはありませんし,こういったアカウント退会処分の報告を,これからも定期的に行っていきたいですね。
4Gamer:
運営チームは実際の現場にて,具体的にどういった流れで不正行為プレイヤーを認識し,対応を行っているのでしょうか。お話できる範囲で構わないので,教えてください。
潮田氏:
すべてをお話しすることはできないという前提で,一部のみ報告させてください。
たとえばRMT業者がオープンチャットで告知を行いますよね。この場合は運営チームが発言などの状況を確認してから,即座にそのキャラクターを停止対応しています。
4Gamer:
確認作業はどのように行っているんでしょうか。
潮田氏:
RMT関連発言に関しては目視での作業になります。
ちなみに,あまり詳しくは申し上げられないのですが,チャット関連の制裁には,社内でガイドラインを用意しており,不正行為の度合いによって,措置がいくつかに分けられています。軽いものでは「60分間チャット禁止」といったものもありますし,深刻な内容であれば一発でゲームIDの停止処分も有り得ます。
4Gamer:
例えば4Gamerに送られてくる読者からの問い合わせでは「RMTの告知が異様に多い」といった報告がちらほら見受けられるんです。いまのお話のとおりのことがつつがなく行われているのなら,こちらに報告が飛んでくるほど多くないと思うのですが。
潮田氏:
一見,同じようなRMTの告知テキストに見えても,実は業者キャラクターが次から次へと新規アカウントを作っている,というケースが多いです。TERAは新規アカウントの作成後,無料期間が24時間あり(9月13日現在),それが宣伝チャットの温床の一つとなっています。
4Gamer:
作りたてのキャラクターがそういった悪事を繰り返しているのなら,次に行うべき対応も見えてきた感じでしょうか。
潮田氏:
ええ。9月14日に行うゲーム内アップデートにおいて,レベルが7以下のキャラクターは,サーバー全体へ発言できるチャットでの発言が行えなくなります。でも領内チャットは普通に使えるので,たとえば黎明の島でのコミュニケーションに困ることはありません。
こういった機能制限はほかのMMOタイトルでは珍しくないですし,TERAの規模を考えるとあって当たり前のシステムでした。ですので,実装が遅くなってすみませんでした,という気持ちです。
そのアクションでそれなりの効果が出ることに期待して,ではもう一方の,お金を稼ぐファーマー,すなわちBOTキャラクターに関しては,現状どういった感じでしょうか。
潮田氏:
運営スタッフが発見次第,即対応を心がけています。ですがここに関しては,業者側に対策されるという意味で,手口を詳しく申し上げることができません。
4Gamer:
実際のところ,怪しい名前のキャラクターが急にワープするのを,多くのプレイヤーが――むろん私も――目撃していますよね。なにせサーバーの数も数だし,プレイヤーの数も数ですから,ある程度は仕方がない部分があることは理解していますが,その頻度が高くなると,「対応が遅いじゃないか」と思うのも無理のないことだと思うのです。
潮田氏:
BOTキャラクターを判別する方法は,大きく分けて2通りがあります。一つは,とある方法で一括制裁するパターンで,これに関するノウハウは,どうしても申し上げられません。ごめんなさい。
ただ,その方法だけでもすべてのBOTを発見することはできないため,GMがゲーム内を巡回しています。姿は透明なので一般のお客様からは見えませんけれど,この部分には人員を惜しみなく注ぎ込んでいます。また,BOTと思われるキャラクターに対して声かけ対応も強化し始めたところです。
4Gamer:
ではその不正行為対策に対して,何か目標は掲げられていますか。反応速度であったり数であったり。
潮田氏:
究極は,BOT撲滅。その前の目標の一つとしては,お客様への100%対応でしょうか。GMコールでの問い合わせに対して,運営としてもまだ満足がいっていない部分がありますので,そのすべてに対し迅速に対応を行うことは,現在申し上げられる目標の一つとなります。
4Gamer:
ところであの問い合わせフォームって,メニューの階層が深かったり,使いにくいといった声はありませんか?
潮田氏:
その点はご不便をおかけしています。メニューはすぐには改善できないのですが,スタッフは必ず目を通して調査しておりますので,お手数ですが報告をお願いしたいです。報告ツールの改善などは,開発会社との相談にも出している内容となります。
4Gamer:
制裁されるBOTに関して,キャラクターレベルの分布はどのようになっていますか。
潮田氏:
9月2日の制裁報告から,分布を円グラフで公開していますが,そのときはレベル50以上のキャラクターが最も多かったですね。下からどんどん新しく生まれてくるのはさておき,せめてハイレベルに到達して本格的に稼ぎ始める前には,なんとか処分せねばなりません。
4Gamer:
モグラ叩きですね。現状,新たなモグラが生まれるスピードと,モグラを叩くスピードの,どちらが勝ってる感じでしょうか。
潮田氏:
返答が難しい質問ですね。今は五分五分……いや,若干,叩くスピードが勝っているはずですが,お客様がそう感じることができなければ意味がないですよね。一応,一括制裁を行った直後は,GMコールでの報告件数が減るというデータはあります。
正直うんざりしてくる程の数なのですが,我々としては白旗をあげる気はありません。お客様が感じる対応としては,まだまだ満足いくものではないとも思っていますし,引き続き,結果が見える形で厳しく対応していこうと思っています。
9月14日に待望のアップデートが実施
ウォーリアーとソーサラーに上方修正が
4Gamer:
先ほどちらりとおっしゃっていた9月14日のアップデートですが,ほかにも何かいま聞けることはありますか。
潮田氏:
大きく分けて四つのアップデート項目があります。
コンテンツの目玉としては,ボスモンスターの“ケルサイク”が登場します。これまでも“ケルサイクの巣”というインスタンスがあったのですが,入口が閉ざされていました。この内部が追加されることになります。
4Gamer:
PVの最後に一瞬出てきた,アレですよね。攻略難度はどれくらいでしょうか。
潮田氏:
難度はぜひ体験して感じていただければ。現在のTERAにおける正真正銘のエンドコンテンツです。レベル58のフルパーティで,ガッツリ挑戦してほしいですね。
4Gamer:
そのほかのアップデート内容はどうでしょう。
職業間のバランス調整に関して,ウォーリアーとソーサラーの上方修正を行います。具体的に申し上げると,ウォーリアーはタンク系の職業ですが,操作難度が高いです。そこで,ひとまずはアタッカーとしての能力を伸ばしていきます。
ソーサラーは,パーティプレイ中にMPが枯渇しやすいので,紋章スキルでそこを補う方向で調整しています。
4Gamer:
ウォーリアーの能力をアタッカー方面に伸ばすんですか……? “避ける”タイプのタンク職というコンセプトでしたが,近接タイプのアタッカー系職業との住み分けは大丈夫なんでしょうか。
潮田氏:
まずは,ウォーリアーの使い勝手を向上させることを早期対応としています。これは韓国版の修正を引き継ぐ形で導入されますが,職業間のバランスは,今後も引き続きBluehole studioに対して提案を行っていくつもりです。
4Gamer:
分かりました。では,三つ目のアップデートは?
潮田氏:
一部のアイテムに“獲得帰属”の属性が盛り込まれます。この属性がついたアイテムは,入手した瞬間に,他人へのトレードが不可となります。9月のアップデートの段階では,3種類のインスタンスにおけるボスから,レアでドロップするごく一部の高性能な装備品のみに,このシステムが適用されます。
これには二つの意味がありまして,一つはそのコンテンツ(インスタンスダンジョン)をクリアしない限り手に入らないということ。これにより,多くのお客様にコンテンツ自体の楽しさを味わっていただくことになります。お金で入手することもMMORPGの醍醐味なので否定しませんが,やはり,やりごたえのあるコンテンツに挑むという楽しみを味わっていただきたいですね。
もう一つが,はっきり言えばRMT対策です。RMTの横行がBOTの横行を生むわけですから,少しだけではありますが,RMTの機会を減らす対策になります。
人によっては抵抗感があるかもしれませんが,すべての貴重な武器防具が獲得帰属になるわけではありません。長期的に見て,TERAの世界が安定するであろうと判断し,導入を決定いたしました。
4Gamer:
その機能自体は太古の昔からあるものですし,ここ数年のタイトルでも割とメジャーですよね。総てのアイテムが金銭で解決するのも味気ないですし。
潮田氏:
そうですね。最後は,先ほども申し上げた,低レベルキャラクターの全体チャットに対する機能制限です。また,そのほかにも細かいバグ修正などもいくつか行います。
10月以降のアップデート構想についても聞いてみた
10対10のPvPが魅力?
4Gamer:
せっかくなので,9月のアップデート以降について,現在話せる範囲でお願いしてもよいでしょうか。もうハイレベルキャラクターもそれなりの数いるようですし,このあとのコンテンツ追加は,皆が気になるところだと思うのです。
潮田氏:
今後のアップデート内容は私もテストサーバーで確かめている最中で,状況が変わるかもしれませんが,その点はご了承ください。
現時点では「戦場」システムと「政治」システムが,10月のアップデートにおける目玉になりそうです。
4Gamer:
順番に伺っていきます。まず戦場システムとは?
潮田氏:
大都市にいるNPCを通じてPvPに特化したエリアへ移動し,バトルを繰り広げるというものです。人数規模は“5対5”と“10対10”の2種類が用意されており,参加するためのレベル条件は現在調整中です。
4Gamer:
従来のPvPと比べて,どのあたりが魅力となるのでしょうか。
5対5に関しては,制限時間内に敵PCを多く倒したほうが勝利といったシンプルな内容です。ですが10対10のほうは,相手を倒すだけのバトルではありません。陣取り要素や,リーダー専用の特殊スキルなど,戦術的なバトルになりますね。
また特別な報酬システムも用意されており,勝利時に武功勲章というアイテムを入手することで,PvPの際に性能がプラスαされる装備品など,さまざまなアイテムと交換できます。
4Gamer:
では「政治」システムについてもお願いします。
潮田氏:
現在アルボレアの中には,“領”と呼ばれる小規模のエリアが,数十か所用意されています。それらの領に対して,有力ギルドのマスターが“領主”となり,治められるというシステムです。
4Gamer:
どういったプロセスを経て領主になれるんでしょうか。
潮田氏:
プレイヤーによって投票を行う方法と,バトルで決める方法の2通りがあります。バトルの方は,先ほど申し上げた戦場システムも関わってきますね。
一度領主になると任期が定められ,それを終えると再び選抜が行われます。ただ,現在調整中の部分もあり,今後の開発作業を経て修正される可能性もある点はご了承ください。
4Gamer:
領主になると,どのようなメリットが?
潮田氏:
一番大きいのは,領内に“税率”を設定し,一般プレイヤーがショップで売買を行うと,治めているギルドに税金が支払われます。
また,自分が治める領に対し,PKが可能か否か,という設定ができます。でもこの要素は,PK可能サーバーのみです。PK不可サーバーは,領主が設定するまでもなく一律で不可ですので。
そのほかにも,領を治めているギルドのメンバーだけが利用できるショップとか,ギルドメンバー専用のゴージャスな馬など,色々なメリットがありますよ。
4Gamer:
税金に関してですが,領によってショップやNPCの数や規模が違いますよね。たとえばヴェリカとかの大都市も治められるんでしょうか。
潮田氏:
残念ながら,大都市直轄となる領は,現状領主となることができません。大都市以外の領になりますが,ぜひ領主の座を争っていただきたいと思います。
4Gamer:
これまでなかった遊び方になりそうですね。先に実装されている,韓国での反響はいかがですか?
潮田氏:
システムの仕様の穴を突いた談合など,まだまだ調整不足が見受けられ,近日中に改善パッチが当てられる予定です。日本版では,そういった調整が反映された状態で導入されるので,ご安心ください。
アカウント盗用を避けるため,ワンタイムパスワードはぜひ使ってほしい
4Gamer:
本日はあまり時間がないとのことで,そのほか,細かいところをいくつか五月雨(さみだれ)式にお伺いさせてください。
正式サービス後の,Bluehole studioとの関係は良好でしょうか。
潮田氏:
はい,非常に良好といえます。
元々,いろいろと話ができる開発会社で好印象でしたが,βテストから正式サービスにかけて日本で結果を出したことで,Bluehole studioにとっての日本市場の優先順位は上がったと思います。MMORPG市場規模そのものでは韓国のほうが上ですが,現在の日本の状況を踏まえると,OBTで同接数4万8500人を記録したという事実と,その後の正式サービスでの結果は大きなものです。
そのため,弊社からの改善要望なども,もちろん無条件というわけではないですが,以前以上に積極的に聞いてくれる体制になりつつあります。
4Gamer:
潮田さんの立場として,日本のTERAを今後こうしたい,というビジョンは,具体的に何かありますか?
ここは,あくまで私個人の意見として聞いてください。
僕がTERAで一番プッシュしていきたいのは,パーティプレイで遊ぶPvEなんです。実際,インスタンスに関するお客様の満足度は非常に高いです。ここのクオリティに関しては,確かな手ごたえを感じており,今後はもっと面白くしていきたいです。PvPも非常に面白いコンテンツですが,私個人としては,TERAでのPvEの素晴らしさはまだまだ発展できるだろうと思っています。
たとえば,PvE系のエンドコンテンツや,クラスバランスの改善もそうですね。フリーターゲティングという武器を最大限に生かして,日本人の特性にマッチしている「みんなと協力して強力なシンボルを倒す」という爽快感を盛り上げたいという思いが強いです。
4Gamer:
先ほど話の出たウォーリアーにしても,“避ける”タンクとしての調整を希望したいですよね。せっかくランサーと2クラスあるわけですし。
潮田氏:
個人的には私も同じ意見を持っています。
パーティ全体のやりやすさでいうと,一般的にランサーの方が安定感があったりと,タンカーに関する課題はまだあると思っています。こちらも慎重に開発会社と相談を重ねていくところなので,お待ちいただければと思います。
4Gamer:
ほかのクラスバランスはどのように把握されてますか。たとえばヒーラー役を行うにあたり,プリーストとエレメンタリストの能力の差異とか。
潮田氏:
プリーストじゃないとダメだ,という声が挙がらないか心配していたのですが,フタを開けてみると思ったほど悪くはなかったですね。エレメンタリストは魔力回復や各種バフなどを使って,戦術的なヒーラーとしてのポジションを確立しています。
全体のクラスバランスに関しては,細かいところで色々とありますが,お客様の声を確認しながら,しっかりとしたバランス調整への提案も随時行っていきます。
4Gamer:
TERAって割とレベルが上がりやすいMMOですが,今後,エンドコンテンツが足りなくなる心配はありませんか。韓国のキャップもレベル58ですし,日本へのローカライズ期間を鑑みると,数か月後に深刻になりそうな気もします。
潮田氏:
その点に関してまったく不安がないといえば嘘になります。今回はまだ全貌をお話できませんが,Bluehole studioでは,急ピッチでその方面の検討・開発を行っています。また我々としても,日本からもしっかり提案していくべきタイミングだと認識していますので,サービス後のお客様の声を反映した提案を行います。
先ほど10月のアップデートの話をしたように,素早く定期的なアップデートを開発会社としっかり協議していますので,楽しみに待っていてほしいと思います。
4Gamer:
続いては生産システムについてです。材料費が割高で,そのうえ性能がいまいちパッとしないというのが正直な感想です。これは,開発元が想定した健全な状態なんでしょうか。
潮田氏:
生産に関しても,韓国でアップデート計画が予定されています。現時点では詳細は申し上げられないのですが,方向性としては種類を増やし,間口を広げるといったアップデートになります。
4Gamer:
サーバーによって,接続人数に結構なばらつきがあるようにも思えます。その状況についてどのように認識されており,もし対策があるのであれば,今後どういった対応をされていくのでしょうか。
潮田氏:
まず全体のプレイ人数については,何度か述べているように,多くのお客様に遊んでいただいており,そこは満足しております。ただし各サーバーの人数については,サーバーによってバラツキがあるのは事実です。
4Gamer:
では何か策が……?
ここは複雑な話なので,しっかりと説明させていただきたいと思います。
定額課金サービスの宿命として,無料期間のOBTから正式移行時に,どうしてもプレイ人数は減ってしまいますね。そこは予期できる部分ですので,事前対策もしっかりと実施いたしました。
この点に関して,まずはOBT時のサーバー増設から説明させてください。
まず我々は,この状況を予測し,むやみやたらにサーバーの増設を行いませんでした。結果として5サーバーが10サーバーになっていることから,そういう部分を実感できないお客様も多いかと思いますが,これは結果的に,それだけのお客様がTERAのOBTに集まっていただいた,という結果の表れでしかないのです。
4Gamer:
なるほど。確かにそうですね。
潮田氏:
思い出していただきたいのは,OBT時に我々は,サーバーの人数調整を可能な限りさせていただきました。一つのサーバーに可能な限りお客様を受け入れることをしておりまして,サーバーを増設するにしても,一つ一つのサーバーにしっかりとお客様を受け入れた後で,どうしても新規のお客様に対応できないと判断された場合のみ,新サーバー開放という手順を踏んでおりました。
この点に関しては,なかなかお客様に伝わりづらい部分かと思いますので,改めて説明させていただきましたが,結果として,大部分のサーバーでは,こちらが想定する同時接続やプレイ人数を維持しております。
4Gamer:
しかしその手法をとると,すなわち「新しいサーバーは人が少ない」状態になるわけですよね。
潮田氏:
はい。やはり新しく増設したサーバーの一部では,ほかのサーバーと比べて人数が少ないことがあることは否めません。ここに関しては次のプランを検討しておりますので,別途報告できるタイミングをお待ちいただければと思います。
4Gamer:
TERAはパーティプレイを重視しており,ID攻略などでレベル差があると,取得経験値やアイテムドロップが急激に落ちます。プレイ人数が減ってくると,そのあたりシビアな状況になりそうで,ちょっと心配です。
潮田氏:
はい。そういったお客様の声もしっかりと聞いております。
こちらに関しても開発会社への提案は終わっているので,「別途対応中」とだけお答えさせてください。実装時期や詳細など,まだお話できる段階ではありませんので,大変申し訳ありませんが,次の報告タイミングをお待ちいただければと思います。
4Gamer:
NGワードの条件が厳しくて,チャットが不便になっていませんか? 場合によっては,ひらがな2文字でもアウトになったり。
潮田氏:
ハンゲームとしての一般的な制限よりは和らげていますが,クエストの名称などまでNGワード対象になっているのは事実で,使いづらいのは体感としても理解しています。
現在,こちらに関しても再検討しておりますが,不便を感じる部分については,お問い合わせフォームを通じて報告いただければと思います。
4Gamer:
アカウント盗用されているという噂も耳にするのですが,実際のところはどうなんでしょうか。
潮田氏:
一部で被害が確認されています。
傾向としては,ワンタイムパスワードを導入していない人に,被害が集中していますね。言い換えると,これを導入している人の被害報告は,事実上ほぼありません。
4Gamer:
たとえ自分はしっかり管理していても,まったく別の会社や別のタイトルでID情報が流出して,そこから推測されたりすることもありますし,場合によっては同じものだったりしますしね。
まったくその通りです。
現状,ワンタイムパスワードの導入率は,我々の希望値に達しておりません。絶大な効果があり,しかもスマートフォン版などお手軽に行えますので,この場をお借りしてあらためてアピールさせて下さい。ご自身のIT資産は,運営会社とお客様両方の努力で守るものであると思っています。
導入が難しい方には,せめて,パスワードの定期的な変更をお願いしたいところです。実際には後者のほうが面倒かもしれません。ワンタイムパスワードで,セキュリティは格段に上がりますので,ぜひ導入をよろしくお願いします。
また,ワンタイムパスワードなどといった,お客様に委ねるものだけではなく,今後もセキュリティ面の向上を計画していますので,その面に関してもお待ちいただければと思います。とはいえ,セキュリティ面に関しても,BOT同様,業者に情報を渡せないため,秘密裏に構築することも多いとは思いますが。
4Gamer:
……といったところでお時間となってしまいました。本日はありがとうございました。
次回アップデートのころに,またお話を聞かせてください。
――2011年9月5日収録
TERA開発元Bluehole studioの日本ライブチーム責任者
キム・ナキョン氏から日本のTERAプレイヤーへのコメント
・日本正式サービスに対しての手ごたえ
多くの日本のユーザーが,OBT以降もTERAを愛してくださって,本当にありがとうございます。特に,可愛いエリーンをたくさん愛してくださる姿に胸を打たれました(笑)。
実は,一般のユーザーさんと一緒に,日本サーバーでたびたびゲームをしているのですが,我々の想定通りに遊んでいらっしゃる方のほか,こちらではまったく予想できなかったプレイスタイルの方もいらして,本当に驚いています。これが文化の違いなんだと実感しますし,そういった点をより理解できるようにしなくてはいけないと感じています。もちろんエリーンに対する愛のように,文化を乗り越えた共通点もありますが(笑)。
とくに,Twitterやその他インターネットサービスを通じてTERAに対するユーザーの皆さんのご意見に耳を傾けています。良い評価もたくさん頂いていますが,現在不足しているいくつかの点に対する鋭い指摘も多く,大変申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
不足している部分は,これからアップデートを通じて改善努力をしていきますので,楽しみにお待ちください。
・職バランスについて
ウォーリアーとソーサラーはバランス上の問題で,これまでたくさんの指摘を受けてきたクラスです。ウォーリアーの場合は,回避タンクというクラスのアイデンティティがユーザーに受け入れられにくかったというのが一番の問題でした。
双剣を持っているため,ユーザーの期待するイメージは華麗なダメージディーラーとしての役目なのに,実際はそうではなくてタンクに近かったと理解されることが問題でした。それで,よりダメージディーラーのようなプレイスタイルを実現する新機能を追加しました。
ソーサラーは,むろん強い攻撃機能を期待されましたが,防御力が弱いといった元々の機能の性能が期待に応えられなかったと判断して,既存機能を向上させ,新機能を追加しました。
職業別バランス調整については,大きな方向性は,ユーザーの意見を重視しながら行っていく予定です。実際,私たちに一定の意図があるにもかかわらず,ユーザーがその意図をあまり感じることができなければ無駄だからです。ただ,クラス間のバランスは大勢のプレイヤーに影響が出る,本当にクリティカルな問題であるので,頻繁に変更するわけではなく慎重に実施していきます。
・TERAは今後どのように進化していくのか
まず,現在最も重要視している部分は,カンストレベル(現在はLV58)のコンテンツです。レベルアップが早いゲームであるだけに,カンストレベルになってからも楽しむことができるコンテンツが多くなければならないと思います。
しかし,まだTERAのカンストレベルのコンテンツに対して満足されているユーザーはあまり多くないと感じています。今は多くの内容を申し上げにくいのですが,政治と戦場以外にも,カンストレベルインスタントダンジョンの追加,PvE侵攻戦,デイリークエスト,クラス別究極のスキルなど,皆様に喜んでいただけるであろうコンテンツを準備しています。多くの皆様のご期待に応えられるように努力していきます。
・日本のプレイヤーのみなさんの声
ホームページアンケートを通じて,日本のお客様の真摯な意見を多数見せていただきました。その中で,ゲームに対するコメントでは,お客様がゲームプレイをしながら不足していると感じていらっしゃる部分に対するご意見をたくさん頂きました。
友達とパーティプレイをするのにレベルペナルティがあまりにひどいとか,座るエモーションがなくて物足りないとか,生産があまり使い物にならないなどなど……。
いただいたご意見の中には,すぐにでも対応できるものもありますし,反対に,開発に多くの時間を要するものもあります。みなさんの一人一人がお寄せくださるご意見のうち,複数の声があがっている部分はすべてチェックしていますので,時間がかかっても一つずつ解決しいきます。
今は言葉で約束をするより,実行してこそ意味があると理解していますので,これからのTERAアップデートを通じてお見せするように努力いたします。
お読みいただき,ありがとうございました。
「TERA The Exiled Realm of Arborea」公式サイト
- 関連タイトル:
TERA :The Exiled Realm of Arborea
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