インタビュー
2013年当時の「TERA」を完全再現した「クラシックサーバー」。その内容と7周年を迎えるTERAの今後についてプロデューサーに話を聞いた
「TERA :The Exiled Realm of Arborea」公式サイト
2013年5月当時を完全再現したクラシックサーバーを開設
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,ティザーサイトに書かれたメッセージについて教えてください。メッセージが表示される前は過去に向けて時間が戻るというカウントダウンでした。いずれにしても,サービス7周年を記念する何かではないか,と思っているのですが。
廣田瞬一氏(以下,廣田氏):
おっしゃるとおり,「TERA」運営7周年を記念する施策になります。それで何のカウントダウンだったかというと,クラシックサーバーを開設するというものなんです。
4Gamer:
ああ,だから時間が戻るという表現だったんですね。先日,「ArcheAge」でも過去の仕様を再現した「Re:フレッシュサーバー BlueSolt」がオープンしましたが(関連記事),TERAのクラシックサーバーも同様に過去の仕様を再現したものに?
廣田氏:
そうなります。具体的には,メッセージにある“2013年5月15日時点”のTERAを完全再現した特別なサーバーになるんです。
4Gamer:
その日付にはどんな意味があるのでしょう。
廣田氏:
TERAは2013年2月に月額課金制から基本プレイ無料になり,それに合わせたメジャーアップデートもスタートしました。その後も小規模なアップデートが続き,一段落したタイミングが5月15日なんです。
4Gamer:
なるほど。
廣田氏:
今回のクラシックサーバーは,システム,コンテンツ,操作性,UIなどすべてが当時のままで,コンテンツやフィールドもそのまま再現しています。ですので,文字通り“昔のTERAをもう一度体験できるサーバー”なんですよ。
4Gamer:
ArcheAgeの「Re:フレッシュサーバー BlueSolt」は現在のシステムで過去を体験できるものでした。TERAのクラシックサーバーはシステムからコンテンツまで,丸ごと過去のものなんですね。
廣田氏:
コンテンツを制限して,実際のシステム回りは現在と同じというのはよくあると思いますが,TERAのクラシックサーバーは,レベルキャップ(当時はレベル60)も成長のバランスも完全再現しています。
4Gamer:
このクラシックサーバーは,韓国など海外でも設置されるんですか?
廣田氏:
いえ,日本独自の施策となります。
4Gamer:
なぜこのタイミングで,日本でのクラシックサーバー実装を決めたのでしょう。
廣田氏:
7周年記念ということもありますが,TERAは約半年から1年くらいのスパンでゲーム内の仕様が激しく変化するタイトルです。例えば,昨年は「再誕」アップデートでシステム回りが大きく変わったり,フィールドやダンジョンを閉鎖したり,再実装したりもしています。
4Gamer:
一般的なMMORPGだと,アップデートでフィールドやダンジョンが拡張されることはあっても,閉鎖されることはあまりないですよね。
廣田氏:
ええ。ただ,そうしたMMORPGでも昔のシステムで遊びたいとか,昔の状態のダンジョンに行きたいという要望はあると思います。
4Gamer:
確かに,バランス調整前のものだったり,地形が変わる前のフィールドだったりが懐かしくなることがあります。
それはTERAでも同じで,常にプレイヤーさんからそういった意見が出ていました。そこで7周年を記念した何かをやろうとなったときに,昔のTERAを遊べるようにすれば,TERAを離れてしまった人や今のコンテンツに飽きてしまった人も新鮮な,それでいて懐かしい気持ちで楽しんでもらえるのではないかと考えたんです。
4Gamer:
「以前」を知らないプレイヤーにとっても興味深いですよね。
廣田氏:
そうなんですよ。なお,クラシックサーバーで遊ぶには,既存のTERAとは別にクラシックサーバー用のクライアントが必要になりますので。
4Gamer:
ということは,どの立場のプレイヤーであっても,新たにクライアントをダウンロードする必要があるわけですか。
廣田氏:
そうなります。サイズは現状のTERAよりも少ないですが,それでもHDD容量約30GB弱が必要です。これは当時のTERAを完全再現する上で仕方のないサイズですので,ご了承いただければと思います。
4Gamer:
クラシックサーバー用のクライアントは,いつから落とせるようになるのでしょう。
廣田氏:
8月1日の情報公開と同時にダウンロードできるようになる予定です。その1週間後にオープンするというイメージですね。
4Gamer:
オープン以降はどのように運用していくのでしょうか。
廣田氏:
クラシックサーバーは7周年記念の限定サーバーなのですが,新サーバーとしての側面も持っています。期間は9月27日までで約2か月を予定していて,その後はキャラクターデータを保持したまま5年分のアップデートを一気に実装。通常の新サーバーとして運用していきます。
4Gamer:
現在のTERAはエリーヌサーバーだけですが,2サーバー運用体制になるわけですね。
廣田氏:
はい。新サーバー名はまだ未定ですが,クラシックサーバーで遊ばれていた方は,パッチの適用後にそのままプレイを続けられます。
4Gamer:
つまり,既存のものと同じクライアントになるわけですよね。既存のクライアントをインストールしている場合,期間終了後はどちらかのクライアントをアンインストールしても問題はありませんか。
廣田氏:
キャラクターデータは,クライアントではなく,サーバーで保持しているので,アンインストールしていただいても問題ありません。
4Gamer:
有料アイテムで他のサーバーに移行できますが,クラシックサーバー終了時に移行はできるのでしょうか。
廣田氏:
一定期間は(移行は)なしにしようと思っています。新サーバー(クラシックサーバー)は誰もがゼロからの環境でスタートしているので,そこにエリーヌサーバーの資産を持ち込めるのは,少し問題があるかなと。ですから,しばらくは制限させてもらいます。
4Gamer:
分かりました。それにしても純粋に新サーバーが増えるは,ものすごく久しぶりな気がしますね。
廣田氏:
ええ,5年ぶりです。ちょうど無料化した2013年の2月にユリアンというサーバーがオープンしましたが,それ以来になります。
美しかった頃の黎明の島にもう一度会える!
4Gamer:
クラシックサーバーですが,エリーヌサーバーとの違いについて詳しく教えてください。
廣田氏:
大まかな仕様の比較がこちらになります。
廣田氏:
レベルキャップが60で,選べるクラスは基本8クラスです。
4Gamer:
ソウルリーパーやヘビーガンナーは使えないんですね。
はい。また,TERAのフィールドはアルンの南北,シャラの南北とおおまかに4つの大陸がありますが,クラシックサーバーではアルン南とシャラ南北大陸だけとなります。また装備の強化システムも,名品化してオプション化するという以前の内容になっています。
そのほか,戦場は「闘志の戦場」と「名誉の戦場」「精鋭名誉の戦場」の3つだけに,チュートリアルは黎明の島からになります。これはクラシックサーバーの一番の見どころで,TERAのコンセプトアートやイメージイラストなどになっているところです。
4Gamer:
黎明の島というと,大きな木があって,そこが攻められて……という感じで消えてしまったフィールドですよね。
廣田氏:
はい。現在のTERAでは燃えて木が折れてしまい,レベル65帯のフィールドコンテンツのエリアになっています。2015年の10月からはティアラニアからゲームがスタートしますが,それ以前はチュートリアルで最初に黎明の島に行けたので,それを体験できます。
4Gamer:
当時のままの風景が見られるのは嬉しいですね。
廣田氏:
いまでも公式サイトの掲示板に昔のスクリーンショットが投稿されることがあるくらい,すごく人気があります。運営チームとしても,ハンゲームさんから移管した当時はここからのスタートだったので,思い入れがあるんです。
TERAの代名詞と言ってもいい風景で,昔からプレイしている人がイメージする綺麗なフィールドと言えば“ここ”だと思います。個人的にも,クラシックサーバーにテストで入った瞬間は感動しました。「昔はこうだったんだ。こんな綺麗なフィールドがあったんだな」と感じてもらえると嬉しいですね。
4Gamer:
黎明の島のスクリーンショットが撮れるのは,今回が最後の機会になりそうですか。
廣田氏:
そうですね。今後,復活でもしない限りは,この2か月弱の期間が最後の機会になると思います。
4Gamer:
そう言われると,一度は入っておきたいですね。
廣田氏:
ぜひ,入ってみてください(笑)。
あと,クラシックサーバーで入れるダンジョンについては,成長区間の多くはエリーヌサーバーと同じものになります。ただ,上位のダンジョンはこのような感じになります。
廣田氏:
最高難度の5人用ダンジョン「シャンドラ・マナイア(上級)」は,当時,非常に高い難度を誇るダンジョンでした。
4Gamer:
それも当時のバランスのままに?
廣田氏:
当時のままです。
レイドダンジョンは,2013年4月の時点で実装されていた20人用の「苛虐のケルサイクの聖域(上級)」と,10人用の「猛悪のケルサイクの聖域(下級)」の2つとなります。
4Gamer:
当時の仕様になることを考えれば,まさに最新コンテンツですね。
廣田氏:
そうなりますね。通常ダンジョンもレイドダンジョンも,綺麗さっぱりなくなったものばかりで,当時TERAをプレイしていなかったプレイヤーさんにとっては,知らないダンジョンを体験できる機会となります。もちろん,報酬も当時のままです。
4Gamer:
報酬が当時のままとなると,かなり渋い設定なのでは……?
廣田氏:
いまと比べると渋いですね。ですが,クラシックサーバーは期間も限られてますし,レベルを上げづらいところもあるので,経験値が増えるアイテムの配布など,イベントでフォローしていきたいと考えています。
4Gamer:
レベルを上げきれなくて,クラシックサーバーが堪能できる前に通常サーバーに移行してしまうともったいないですよね。ところで,2か月ほどの期間でレベル60になれそうなバランスなのでしょうか。
廣田氏:
アイテムでブーストをかけなくてもレベル60にはなれます。ただ,時間はかかりますし,期間中にレベリングだけで終わってしまうのも面白くはないです。ですから,そこをケアします。当時の仕様とは違ってしまいますが,イベントやキャンペーンの一環と思っていただければ。
4Gamer:
ほかにクラシックサーバーのみで楽しめるコンテンツはどんなものがありますか。
廣田氏:
クラシック限定のコンテンツとなると,「暗黒の領域」や「暗黒次元の亜空間」があります。これはフィールド上に何か所かモンスターが襲撃してくるエリアがあり,そこでディフェンス型のイベントバトルを行うと暗黒次元の亜空間という特殊ダンジョンに行けるというもので,レベル65キャップが開放された時になくなってしまったんです。あとは政治システムで,プレイヤーの中から選ばれた領主が税率を決められるというコンテンツですね。
4Gamer:
当時のMMORPGの流行が垣間見られるコンテンツが,そこかしこに見られます。
廣田氏:
そうですね。MMORPGの歴史ではないですが,そういった雰囲気も感じてもらいたいです。このほかにクラシックで体験できる内容は,こちらとなります。たき火を使って最大HP回復などができるコンディションシステムや,装備のデザイン抽出システムなどがあります。
4Gamer:
コンディションシステムは体験したことがないですね。キャンプみたいで面白そうです。
廣田氏:
装備に関しては,最上級装備が熔嘩凱帝装備となります。この素材を上位ダンジョンで集めていただくことになります。ほかの装備は,過去に遊んでいたプレイヤーさんには懐かしい名前が並んでますよ。
なお,名品化や強化に使う一部アイテムは期間終了時に消えてしまいますが,期間中は多めに入手できるようにしようと考えています。
4Gamer:
レベルと同じで,できるだけ早く強化したいですし,それは嬉しいです。
廣田氏:
UIも過去の仕様のままで,今はFキーだけでNPCとの会話が進められますが,当時はそれができませんでした。そういった不便さも,良い意味で体験していただければと思います(笑)。
4Gamer:
期間終了時に,便利になる瞬間も体験できそうですね(笑)。
廣田氏:
消えているスキルもあるので,当時のバランスも楽しんでほしいです。
一方,プレイがきつすぎると楽しめませんし,かといって手を入れすぎると今のバージョンと同じになってしまうので,ほどほどにサポートはしていきたいと考えています。その1つが,ルーキーサーバーのようにレベルアップすると報酬がもらえるシステムになります。
9月には7周年記念オフラインイベントも開催
4Gamer:
クラシックサーバーは7周年記念施策の1つとのことですが,このほかにどのようなイベントやキャンペーンを予定しているのでしょうか。
7周年記念のイベントは,基本的にエリーヌサーバーで行うイベントになります。クラシックサーバーでは,専用のイベントが行われるといった感じで,それぞれのサーバーで個別に動く予定です。
4Gamer:
仕様が違いますからね。専用のキャンペーンなどもあるんですか?
廣田氏:
ええ,いろいろと用意しています。イベントも多数用意しているので楽しみにしてください。今年はクラシックサーバーを皮切りに,8月18日に7周年のお祝いをしつつエリーヌサーバーも一緒に盛り上げていこうと思っています。
あと,8月18日前後にエリーヌサーバーで小規模なアップデートも実施して,7周年記念のイベントキャンペーンも行う予定です。
4Gamer:
夏イベントとは違う,一般的なアップデートということですか。
廣田氏:
エリーヌサーバーに新ダンジョンが追加されます。ほかにも豪華な報酬がもらえるイベントなどを行い,エリーヌサーバーはエリーヌサーバーで盛り上がっていければ,と。
もちろん,エリーヌサーバーのプレイヤーさんが,クラシックサーバーで遊んで条件を満たせば報酬がもらえるというイベントも予定しています。
4Gamer:
エリーヌサーバーとクラシックサーバーの連動企画みたいな。
廣田氏:
そうですね。
4Gamer:
その場合は,どちらのサーバーで報酬がもらえるんですか。
廣田氏:
もらえる報酬を,どちらのサーバーで使うか選択できます。このほかにエリーヌサーバーでは,いつもより豪華な報酬がもらえるイベントや,イラストやSSコンテンストの開催,今回新たに制作していただいた新しいアバターが獲得できるイベントなどを予定しています。SSコンテストは,クラシックサーバーからの参加も可能にする予定です。
4Gamer:
クラシックサーバーも参加できるSSコンテストは,なかなか面白くなりそうです。
廣田氏:
9月にはオフラインイベントも考えているので,TERAの7周年を盛り上げていきたいですね。
4Gamer:
クラシックサーバーでの有料アイテムは,どのような扱いになるのでしょうか。
有料アイテムは,少しだけ用意する予定です。そもそも,エリーヌサーバーとはアイテムが全然違うので,今のアイテムモールのアイテムは基本的に使えませんし。
4Gamer:
ということは,有料アイテムも当時のものですか。
廣田氏:
そうですね。当時のアバターや成長用のバフアイテム,ポーションなどを予定しています。
4Gamer:
完全に別のアイテムショップという感じですか。
廣田氏:
購入できる場所は共通ですが,クラシックのカテゴリがあり,そこで買えるアイテムはクラシックサーバーでのみ使えるという形になると思います。
4Gamer:
エリーヌサーバーで使えるアイテムが,クラシックサーバーで使えたりしたら大変ですね。
廣田氏:
現在のアバターについては,そもそもデータが入ってませんから。あとは飛行する乗り物もなく,地上のものしかないんです。乗り物はイベントで配る予定はあります。
4Gamer:
空を飛べないと移動にすごく手間が掛かりそうです。あれに慣れていると,地面を移動するだけというのは,ちょっとしたストレスかもしれません。
廣田氏:
いま現在エリーヌサーバーで遊んでいるプレイヤーさんは,そうした細かなところで不便さを感じるかもしれません。
4Gamer:
7周年とは少し関係のない話になりますが,4月に「覚醒」の第1弾が導入されました。第2弾はいつごろになりますか。
廣田氏:
韓国で7月に実装されましたが,日本では未定です。なるべく早く実装できればと考えています。
4Gamer:
韓国で実装されたばかりということは,日本ですぐというのは難しそうですね。そのあたりは,オフラインイベントで話が聞けることに期待します。
廣田氏:
7周年記念のオフラインイベントは,生配信を行わない予定なので,ぜひ現地にきてほしいです。
4Gamer:
では,最後にプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
廣田氏:
クラシックサーバーは,「昔のTERAは良かった」と思われるプレイヤーさんにプレイしてもらいたいのはもちろんですが,仕様が変わってしまったことでTERAから離れたプレイヤーさんも,クラシックサーバーの実施期間だけでいいのでTERAに戻って遊んでみてください。黎明の島が目に入った瞬間に感動できると,運営チームは自信を持っております。そして,この機会にTERAの魅力を再確認していただければと思います。
また,皆がゼロからスタートできる機会にもなりますので,初めてTERAに触る方にもプレイしてもらいたいです。
4Gamer:
仕様が違うだけで,実質新規サーバーのオープンになるわけですからね。
廣田氏:
はい。我々も,そうした新たにTERAを始めるプレイヤーさんを,できる限りケアしたいと思っています。クラシックサーバーを含めた7周年記念イベントや,そのあとに実施するアップデートも含めて,これからもどんどん成長していくTERAにご期待ください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「TERA :The Exiled Realm of Arborea」公式サイト
- 関連タイトル:
TERA :The Exiled Realm of Arborea
- この記事のURL:
Copyright (C) KRAFTON Inc. All rights reserved.
Copyright (C) GameOn Co., Ltd. All rights reserved.