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Windows XPのサポートが4月9日で終了。どうしても残したい場合の対策はあるのか?
同日,Microsoftの日本法人である日本マイクロソフトは,Windows XPサポート終了に関する記者説明会を開催し,同社最高技術責任者の加治佐俊一氏により,サポート終了の経緯と今後の対応が説明された。
Windows XPサポート終了については,4Gamerでも2014年2月の記事で報じているが,改めて今後のWindows XPに発生しうるリスクやその対策について説明したい。
Windows XPサポート終了について説明した,日本マイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏(左)。一般のニュースでも話題になっているだけに,参加した報道関係者も多かった(右) |
Windows XPのセキュリティリスクはWindows 8の21倍!?
ゲーマーがWindows XPを使い続ける理由として考えられるのは,新PCを導入する必要性を感じない,導入の予算がない,Windows Vista以降では動作しないPCゲームがある※といったところだろう。とくに動作しないゲームについては,ゲームメーカーとMicrosoftのどちらも対応してくれない,あるいは対応できない場合もあるだろうから,「リスクは分かっちゃいるけど,このゲームのためにはWindows XPを残しておきたい」という,もどかしい思いを抱えている人もいるだろう。
※ 多少古いゲームでも,Windows側のアップデートによって,動作するようになるケースはある。
ではサポートの切れたWindows XPを使い続けることには,どんなリスクがあるのだろう。加治佐氏はまず,現代の攻撃者が金銭を得ることを目的としたり,いわゆるサイバー戦争の道具(いわゆるゾンビPC)にすることを狙ったりといった具合に,攻撃の目的を明確に変えていることを指摘した。
たとえば,警察庁の調査によると,2013年に日本国内で発生した不正送金による被害金額は,14億円に達していたという。2014年はさらに悪化しており,1〜2月の2か月間だけですでに6億円もの被害が発生しているそうだ。
PCとOSの進化にともなって,OSは新しいものほどセキュリティ面で強固となるのが通例である。加治佐氏はWindows 8とWindows XPを比較した場合,マルウェア(悪意を持って使われるプログラム)の「感染率には21倍もの差がある」として,いかにセキュリティ面での差が大きいかを述べた。Windows XPを使い続ける限り,この差はさらに広がっていくのだ。
「オンラインバンキングなんか使ってないから大丈夫だろ」と考える人もいるだろう。だが,オンラインゲームのユーザーを狙い撃ちして,ユーザーIDやパスワードを盗み出すマルウェア(悪意を持って使われるプログラム)も存在するので,けっして他人事ではない。同じユーザーIDとパスワードをほかのゲームやサービスでも使い回していたら,それらのアカウントまで乗っ取られる可能性もあるのだ。
また,2012年に発生した不正アクセス事件では,PCにマルウェアを埋め込まれて不正アクセスに利用されていたいわば被害者が警察によって4人も誤認逮捕されるという事件が起こり,世を騒がせたことがあった。Windows XPを使い続けると,そうした事件に巻き込まれるリスクも高まるといっても過言ではないだろう。
もちろん,マルウェアの脅威はWindows XPに限ったものではない。Windows 7やWindows 8.1でも危険はある。だが,Windows XPは,この先セキュリティ面での問題(セキュリティホール)が見つかっても,それを穴埋めするセキュリティ更新プログラムが提供されなくなるのだ。攻撃者からすれば「Windows XPは楽に落とせる隙だらけの獲物」となるわけで,積極的に狙った攻撃が今後増えていく可能性は高いだろう。
それでも,どうしてもWindows XP搭載PCを使い続けたいという場合はどうすればいいのだろう。加治佐氏は「万全な対策ではない」と断りながら,リスクを軽減する4つの対策を挙げた。
- 既存のセキュリティ更新プログラムをすべて適用する
- セキュリティソフトも最新の状態にアップデートする(セキュリティソフト自体が古くて更新されなくなっている場合もあるので注意)
- 上記を済ませたらインターネットから切断し,今後はアクセスしない
- USBストレージなどを使ったデータ交換も禁止する
しかし,「昔のPCゲームをまだプレイしたい」というだけの理由でWindows XP搭載PCを残すのであれば,これでなんとか対応できるケースは少なくないのではなかろうか。
Windows 7のサポート期限は東京オリンピック前に来る!
アプリケーションも含めて移行できるソフトも市販されているので,それらを使うのもいいだろう。
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さて,Windows XPのサポートは4月9日で終わったわけだが,ほかのWindowsも同様に,いずれサポートが終了する日は来る。加治佐氏は,Windows 8.x/7/Vistaのサポート終了予定日を示して,注意を喚起した。
それによると,2009年に登場したWindows 7の場合,2020年1月14日にサポートを終了する予定だという。加治佐氏は,これを「東京オリンピックが開催される頃には,Windows 7のサポートは終わっている」と表現していた。まだ6年ほど先の話とはいえ,Windows XPが10年以上も使われたことを考えると,6年後にもWindows 7を使っているPCが残る可能性は低くないだろう。
Windows XP搭載PCを未だに使い続けている人には,それぞれの事情があるだろう。しかし,今後Windows XPを使い続けるリスクは増すばかりとなり,インターネットにつなげたまま安全に使い続けることは早晩できなくなる。どうしてもWindows XPを残したいというならば,上述した対策をとったうえで,慎重に扱うしかないだろう。
もし,普段使っているPCがWindows XPだというなら,安いPCでもいいので,できるだけ速やかに移行することを真剣に考えてほしい。攻撃者はWindows XPを狙っているのだから。
Windows XPサポート終了の情報ページ
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