［TGS 2009］アクワイアの“和モノ”MMORPG「ZIPANG」は現在鋭意開発中！

　昨年の東京ゲームショウ2008で電撃発表された，アクワイアのPC用MMORPG「ジパング -ZIPANG-」。昨年はイメージムービーのみの出展であったが，今年はブース内に2台の試遊台が並べられていたほか，計3回にわたってステージイベントが行われていた。本稿では，試遊台でプレイして分かった情報を紹介していこう。

　ZIPANGの舞台となるのは，西暦1600年前後の日本戦国時代をモチーフとした，架空の島国。この島国には，強大な敵を有する一つの国と，それに対抗する三つの国の，計4か国が存在する。プレイヤーキャラは3国の内いずれかに所属して，共通の敵国を打ち破ることが最大の目標となる。
　三つの国は平常時は同盟関係にあり，「1国vs.3国」の構図が出来上がっている。ただし，場合によっては同盟関係が解消され，“合戦”という形でPvPが発生することも。また同じ国の中でも，“謀反”が発生することもあるようだ。

　キャラクター作成時に選べる職業は「侍」「忍者」「僧兵」の3種類。侍は刀，薙刀，太刀，野太刀などの武器による攻撃/防御に特化した，いわゆるタンク系の職業だ。
　忍者は忍者刀と手裏剣を使った，近接/遠隔攻撃を得意とするアタッカータイプ。僧兵は槍と大槌が使え，回復のみならず攻撃もそこそこイケるヒーラータイプだ。


　今回のプレイアブルバージョンでは，選択可能な国の中から“安芸”，職業は“侍”の組み合わせでプレイできた。
　ゲームを開始すると，まずは安芸の城下町へと降り立つ。町を歩いていると時折NPCが見え，それに近づくとカットシーンで会話が発生する。最近は辻斬りが横行しているなど，世界観が少しずつ見えてくる。ゲーム展開は完全に一本道で，例えば家の間のわき道を入っていったり，ステータスやインベントリの画面を開いたりといった作業はほとんどできない。また，画面内に表示されるUIなどの情報が少なく，MMORPGというよりは，どちらかというと最近のシングル用RPGに近い雰囲気だ。

　いろいろなNPCと話をしていると，忍者を倒してほしいというクエストが受けられる。さらに奥まで移動すると，神社らしき場所へとたどり着き，忍者がわらわらと現れて戦闘開始だ。
　攻撃はターゲットを指定せずに行うタイプで，抜刀してから敵に近づき，マウスをクリックすれば大体当たる。抜刀中の移動では，左右の足が別々にじりじり動いたりと，キャラクターのモーションは全体的に好印象。このあたりは，和モノのアクションに手馴れたアクワイアらしさを感じた。

　ファンクションキーでアクティブスキルが発動でき，今回のプレイではF1キーが回転斬り，F2キーが連続斬り（のようなスキル）に対応していた。スキルは戦闘開始後すぐに使えたが，クールダウンのシステムが設けられておらず，1度きりの使用となる。そのため全体的には，マウスクリックをしまくる戦闘スタイルに終始していた。
　数体の忍者達を倒すとクエストはクリアで，そこで試遊台でのプレイは終了。このバージョンに通信機能などはなく，全体的にMMORPGというより，シングルプレイRPGの導入部分を見ているような感じであった。

　プロデューサーの薬師寺氏によると，今回の出展バージョンは“叩き台”で，来場客の反応を見ながらバランス調整を行っていくとのこと。ゲームショウの会期中は毎日アクワイアブースに足を運んでいたが，いつ見てもスタッフがプレイを終えた人に感想を熱心に聞いていたのが印象的であった。おそらく，今後の開発を経て何から何までガラリと変わっていくことだろう。


　ちなみに，今回の試遊台は画面撮影が全面禁止で，またプレスキットにも画面写真は一切含まれていない。このあたりも，本作のイメージを今の段階では限定したくなかったのかな，という考えがあったのかもしれない。プレイ後に物足りなさを感じた来場客もいたかもしれないが，今はまだゲームとしての良し悪しを判断する段階ではない，というのが個人的な感想だ。

　昨年の東京ゲームショウ2008でその存在が明らかになった本作だが，とりあえず，開発がちゃんと進んでいると確認できたのは大きな収穫であった。本作のリリース時期は2010年秋を予定しており，来年の東京ゲームショウではMMORPGとしての全貌が分かるようになることを期待したい。