「FINAL FANTASY XV」のサウンドトラック発売記念イベントをレポート。下村陽子氏が楽曲のエピソードを披露

　人気RPG「FINAL FANTASY XV」（PS4 / Xbox One。以下，FFXV）の楽曲を収めた「FINAL FANTASY XV Original Soundtrack」の発売記念イベントが，2016年12月18日にタワーレコード渋谷店の「CUTUP STUDIO」で開催された。

　このイベントには，FFXVで作曲を担当した下村陽子氏と，ピアニストのピアニート公爵さんが出演し，トークやミニライブ，ポスターお渡し会などが行われた。本稿では当日の模様に加えて，同店で12月25日まで開催されている「FINAL FANTASY XV × TOWER RECORDS展」の模様もお伝えしよう。

下村陽子氏（中央）とピアニート公爵さん（右）。左はイベントでMCを務めた声優の利根健太朗さん

　なお，サウンドトラックや「FINAL FANTASY XV × TOWER RECORDS展」の詳細は以下の記事で確認してほしい。

関連記事：「FINAL FANTASY XV」のオリジナルサウンドトラックBlu-ray/CDが12月21日に発売

関連記事：「FINAL FANTASY XV」×「TOWER RECORDS展」，12月10日からタワレコ渋谷店8階に期間限定オープン

　イベント会場には，タワーレコード渋谷店でFFXVサントラを予約した約90人のファンが来場した。
　まず下村氏がFFXVのバトルBGMに乗って登場。「ラスボス曲じゃなくてよかった」と会場を笑わせながら挨拶した。イベントの前半では，FFXVで使用された全96曲の中から4曲が会場内に流され，その曲にまつわるエピソードが披露された。


　最初に流れたのは，タイトル画面のBGMになっている「Somnus (Instrumental Version)」。こちらは下村氏がFFXVで最初に手がけた楽曲とのこと。当初は「FINAL FANTASY Versus XIII」用として制作され，ボーカルバージョンは同タイトル発表時のPVに使用された。
　一方，インストバージョンはFFXVの体験版で初公開され，下村氏にとって「長年たって，ようやく日の目を見た思い出深い曲」だという。


　続いての曲は「Valse di Fantastica」。開発スタッフの間では旅のテーマとして捉えられており，移動中をはじめとして，アレンジを変えてさまざまなシーンで使用されている。
　この曲についてのトークは少々脱線して，ゲーム中に下村氏“らしき”女性キャラクターが登場しているという話に。下村氏は以前，FFXVのディレクターである田畑 端氏に得意料理を聞かれて親子丼と答えたところ，その写真とレシピの提出を求められたという。そしてゲームには，下村氏らしきキャラクターが親子丼を食べているのを見たイグニスが，料理のレシピを思いつく場面があるとのこと。

　本作については，料理のグラフィックスに力が入っていることも話題となっているが，下村氏は「開発チームに，ゲームに登場するメニューを考えて，それを表現することに命を懸けている“食事班”があるという噂を聞きました」と語った。

　ちなみに筆者はこのキャラクターに遭遇済み。序盤に登場する街で出会えるので，まだ見つけていない人は探してみてほしい。

　3番めの楽曲は「APOCALYPSIS NOCTIS」。ゲーム中では，巨大なモンスターとの戦闘シーンで使用されており，逼迫したイメージの曲に仕上がっている。下村氏は「作る曲に合わせて，自分のメンタルをコントロールしています」とのこと。また，この曲は仕事が大変な時期に，仕事場に缶詰になって作ったそうだ。

　最後に流れたのが，開発中は「悲しい曲」と呼ばれた「Melancholia」だ。下村氏は「今回は私以外の作曲家さんにもご参加いただき，アレンジもたくさんの方に手がけていただきました。96曲という数字以上に，曲の幅やボリューム感があると思っています」と語った。

　イベント後半では，FFXVサントラ初回生産限定特装盤のボーナスCD「Piano Arrangement」の収録にも参加したピアニート公爵さんが登場。下村氏は「8年ほど前に動画投稿サイトでピアニート公爵さんの演奏を見て，ずっとピアノの演奏をお願いしたかった」という。しかし，コンタクトを取れないままになっていたところ，「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」の楽曲収録にあたって「良いピアニストがいる」と偶然紹介されたのがピアニート公爵さんだったとのこと。


　ピアニート公爵さんはFFXVサントラの初回生産限定特典となるピアノアレンジ集で「晦の夜の夢-Somnus -」「月華の円舞曲-Valse di Fantastica -」「心に降りつもる雪-Melancholia -」の3曲を演奏。「心に降りつもる雪-Melancholia -」では編曲も手がけた。

　ピアニート公爵さんは「こんなビッグタイトルに参加できて，とても嬉しいです。実は子供の頃に家庭用ゲームを持っていなかったのでFFシリーズの思い出はないのですが，これを機にFFの世界にどんどん入ってみようと思い，PS4を買いました」と明かした。
　続いて，自身が関わったピアノアレンジの3曲を，世界初となる生演奏で披露。情感あふれる演奏で，来場者を魅了した。


　イベントの最後で，下村氏が新情報を発表。ピアノアレンジ集が発売前から大きな反響を呼んだため，さらに多くの曲を収録した単体のピアノアレンジCDを作ろうと動いているとのことだ。

　イベント終了後は，下村氏から来場者にタワーレコード渋谷店限定の非売品ポスターが手渡された。下村氏は「サントラの発売記念でこのようなイベントは初めてでしたが，皆さんから熱いメッセージをいただいて，本当に嬉しかったです」とコメント。ファンと直接交流して，下村氏にとっても良い刺激になったようだ。


　さて，冒頭で少し触れたが，このイベントが開催されたタワーレコード渋谷店の8階では「FINAL FANTASY XV × TOWER RECORDS展」が開催中だ。主要キャラクターの各種パネルやメッセージボードなどが展示されているほか，FFXVサントラの試聴や，FFXV関連商品の購入も可能になっているので，FFXVサントラの購入がてら，こちらを訪れるのもいいだろう。


　なお，下村氏が出演する「発売記念トーク＆サインお渡し会」が，12月21日のタワーレコード新宿店を皮切りに，全国3都市4会場で開催される。
　各イベントとも，FFXVサントラ購入者に先着で配布されるイベント参加券が必要になる。下村氏に直接会いたい人は，会場となる店舗で早い時期に購入しておこう。

「発売記念トーク＆サインお渡し会」開催日程

●2016年12月21日20:30〜：東京・タワーレコード新宿店
●2016年12月23日14:00〜：大阪・タワーレコード難波店
●2016年12月23日18:00〜：大阪・ディスクピア日本橋店
●2016年12月24日14:00〜：北海道・HMV 札幌ステラプレイス店