プレイレポート
タッチペンで“巨獣”を突き崩す達成感や,やり込みがいのあるキャラクター育成が魅力。NDS用マルチプレイRPG「ブラッド オブ バハムート」インプレッション
スクウェア・エニックス製のNDS用マルチプレイ対応RPGというと,7月11日に発売されたばかりの「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」をまだプレイ中だという人も多そうだが,本作は,ドラクエIXとはひと味もふた味も違った,アクション性の高いゲームプレイが楽しめる。わずかな空き時間を利用して一人で楽しんでもいいし,友人達とたっぷり盛り上がってもいい。ゲームの質も遊び方もことなるタイトルなので,熱心なスクエニファンも安心して(?)並行プレイできるはずだ。
本稿では,ブラッド オブ バハムートの概要を紹介しつつ,実際に遊んでみての印象や魅力を紹介していこう。「具体的にどんなゲームなんだろう?」と気になっていた人は,ぜひともご一読を。
タッチペンを用いた独特のアクション性がクセになる
弱点の発見や部位破壊など,興味深い要素も満載
しかし,あるとき突然巨獣達が目覚め,争いはじめてしまう。当然住人達は故郷を追われることになり,世界は絶望に包まれようとしていた。
そんなときに立ち上がったのが,同じく巨獣の覚醒により故郷を追われた,7人の戦士達だ。プレイヤーは彼らを操作し,巨獣を鎮めるべく,戦いを繰り広げていく。
メニュー画面で操作キャラクターを選び,装備やスキルを設定してミッションに出撃し,巨獣との戦いを通じてキャラクターを成長させつつ,次なるミッションに挑む……というのが,ブラッド オブ バハムートの基本的なゲーム展開だ。
プレイアブルキャラクターの6人には,それぞれ得意な武器や習得可能なアビリティなどが設定されており,レベルや装備,スキルなどは個別に成長させていくスタイルとなっている。ミッション内容は「巨獣のコアを破壊する」「巨獣の攻撃を一定時間しのぎきる」「巨獣を倒す」などさまざまで,一度クリアしたミッションにも再チャレンジ可能。好きなキャラクターを,じっくりと育てていくことができる。
ちなみに攻撃は,対象との距離に応じて近接攻撃/遠距離攻撃が自動的に切り替わり,基本的に対象との距離が近いほど与ダメージも大きくなる。
以上の説明で,何となくゲームの雰囲気が想像できる人もいるだろう。本作は,コマンド選択式のターン制バトルや,一般的なアクションゲームとも違う,“タッチペンを用いたアクションシューティング”ともいえるゲームなのだ。
なお巨獣は,圧倒的な攻撃力と耐久力を誇っており,その呼称が示しているように,あまりにも巨大だ。とても真正面から闘える相手ではない。そこで有効になるのが,弱点への攻撃,および部位破壊である。
本作には人型や獣型など,さまざまなタイプの巨獣が登場するが,どこかに必ずコア(弱点)が存在している。巨獣をよく観察してコアを見つけ出し,ときには遠距離から堅実に,ときには巨獣の体を駆け上りつつアグレッシブに,集中攻撃を加えていくのが基本戦術だ。
ちなみにコアは,装甲で覆われて守られている場合もある。そんなときは装甲に集中攻撃し,コアを露出させる必要がある。また,特定の部位に攻撃を加え続けると,その部位そのものを破壊することも可能。巨獣の体をタッチペンで突きながら(つまり攻撃しながら),反応や与ダメージの数値などを確認しつつ弱点を見つけ出すバトルは,本作の特徴的かつ魅力的な要素の一つである。巨獣を倒したときの達成感/征服感は,実際にプレイしてぜひとも味わってほしいものだ。
素材収集や“合成”などのやり込み要素も充実
好きな人にはたまらないキャラクター強化システム
キャラクターが装備できるアイテムは,武器,防具,アクセサリ,秘薬の4種類あり,それらは基本的に,ゲーム中に集めた各種マテリアルをもとに,“合成”を通じて作り出さなければ入手できない。
マテリアルは,ミッションをクリアしたときに,装甲やコアの破壊具合に応じた種類/個数が入手できる。このマテリアルをショップで合成することで,より強力な武器や防具,秘薬などを作っていくのだ。
合成で作ったアイテムは,単に数値的な効果が高いだけでなく,特殊な効果や属性が付与されていることもある。巨獣に応じた装備で闘うことは,効率よくマテリアルを集めることにもつながるので,新しいマテリアルを入手したら,忘れないうちにショップでレシピを確認しておこう。
6人のキャラクターは,それぞれ10種類のアビリティを習得でき,その中から三つのアビリティを選び,ミッションに挑むことができる。アビリティの効果はさまざまだが,通常攻撃よりも強力な技や,パラメータを上昇させる補助魔法のようなもの,トラップをしかけるような特殊なものまでバラエティに富んでいるので,巨獣やプレイスタイルに応じたアビリティを選びたいところ。
これらアビリティの習得/強化には,先述したアビリティピースが必要となる。習得/強化に必要なアビリティピースの種類/個数は,アビリティによって異なるため,どのアビリティを,どの段階まで強化するのかというところも,プレイヤーの考え方次第なのだ。“合成”の奥深さとも相まって,本作のキャラクター育成は実にやりがいのある内容に仕上がっている。
挑戦しがいのあるソロプレイと
盛り上がること必至のマルチプレイ
……とはいえ,ミッションを進めていくと,巨獣以外の敵(いわゆる雑魚モンスター)の攻撃が激化し,対巨獣戦に集中しづらくなってくる。ソロプレイに関しては,そこが厳しいといえば厳しかったのは事実だ(筆者がぬるいだけかもしれないのだが)。
そこで,本作を楽しくプレイするためにも,効率よく攻略するためにも積極的に活用したいのが,ワイヤレス通信によるマルチプレイだ。冒頭でもお伝えしたように,本作では最大4人での協力プレイが可能。仲間が共に闘ってくれるならば,雑魚モンスターの処理もラクになるし,巨獣に対する与ダメージも圧倒的に高くなる。回復効果やステータスアップ効果のあるアビリティを活用するなどすれば,一人では撃破が難しい巨獣を相手にしても,十分渡り合うことが可能なのだ。
ただし,マルチプレイ時は,ミッションに参加しているキャラクターが一人でも戦闘不能になったら,そこで作戦失敗となる。仲間がいるからといってはしゃいでいると,仲間に迷惑をかけてしまうかもしれないので,その点はご注意を。
ともあれ,マルチプレイによる巨獣討伐では,ストイックなソロプレイとはひと味もふた味も違った魅力が味わえる。役割分担による装備/アビリティの使い分けや,マップに設置された砲台を用いた立ち回りなど,マルチプレイならではの戦術性の高さと面白さは,一度知ったらやみつきになること請け合いである。
巨獣戦時の,狙うべきポイントの見つけにくさ(突きにくさ)や,若干変化に乏しいフィールド,巨獣戦と比べてちょっと物足りない小獣戦など,プレイしていて気になる部分はいくつかあったが,とくにマルチプレイでは,それが気にならないほどの白熱した戦闘が楽しめる。合成/キャラクター育成を考えると,非常にボリュームのあるRPGながら,一つのミッションが,数分〜数十分という短時間でクリアできる点も,個人的には非常に嬉しいところだった。
ここまで読んでみて,巨獣討伐に興味がわいたという人は,(可能ならば)身近にいるゲーム仲間などと相談しつつ,ブラッド オブ バハムートの購入を検討してみてはどうだろうか。
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