Windows 7でオンラインゲームは動くのか。正式サービス中199タイトルの対応状況を一斉点検

　2009年10月22日，ついにWindows 7の一般PCユーザー向け販売が始まった。PC系メディアのなかには，「最高だし，もはやXPとか使っているのはどうかしている」とでも言わんばかりの勢いでプッシュしているところもあるが，連日連夜の報道が続いていることで，4Gamer読者もそろそろ気になってきたところではなかろうか。

Windows 7のデスクトップ（※カスタマイズ済みなので，タスクバーが画面上にある）。Vistaをパスして，Windows 2000/XPから移行すると，最初はカルチャーギャップに戸惑うと思うが，たいていの作業は，すぐ慣れるだろう。「クイック起動」という概念が発展的になくなって，タスクバーに統合されたところは，個人的には気に入っているものの，抵抗をおぼえる人はいると思う

　いきなり結論めいたことを述べるならば，Windows 7は，Windows Vista（以下，Vista）をベースに，さまざま問題点を潰し，パフォーマンスを引き上げてきたOSである。筆者がテストしてきた限り，ストレージ周りやネットワーク周り，デスクトップ周りは，Vistaにあった違和感が劇的に少なくなっている。悪名高きUAC（User Account Control，ユーザーアカウント制御）も，だいぶ礼儀正しくなった印象だ。
　安定度まで考慮に入れると，まだデバイスドライバが揃いきっていないのが不安材料で，そのため，発売日に飛びつく必要まではないとも思うが，少なくとも悪いOSではないというのが，現時点での感想である。

　ただ，Vistaをベースにしているということは，Windows XP以前のOSを想定して開発された，古い世代のゲームエンジンやアンチチートツールとは，相性問題の発生する可能性が残っているということでもある。
　基本的に，Vista以降のOSへ最適化された最新世代の3Dゲームタイトルしかプレイしないという人が，これからOSを選ぶのであればWindows 7しかない――というか，Vistaを選ぶ理由はない――が，一方で，Windows XP時代からサービスが続いているような，息の長いオンラインゲームだと，Windows 7で動作してくれる保証はないわけで，ここは大きな懸念材料となる。

　とくに，これら「Windows XP以前をターゲットに開発されたオンラインゲーム」は，Vistaへの対応が相当遅かった，あるいは今をもってなお対応していないという歴史と現実がある。それなのに，PC業界全体を包む“Windows 7祭り”の流れに乗ってしまっていいものかどうか，不安に思う人は少なくないだろう。

　そこで今回，4Gamerでは，日本国内のプレイヤーに向けてサービスが行われているオンラインゲーム，50社計199タイトルについて，「Windows 7に対応してますか？」というアンケートを実施した。その結果を基に，オンラインゲームを中心にプレイしている人は，Windows 7をどう捉えるべきか考えてみよう，というのが，本稿の主題である。

※お詫びと訂正
初出時，198タイトルとしていましたが，編集部の集計ミスで，実際には199タイトルありました。タイトルともども，お詫びして修正いたします。

アンケートは6択で実施

各社の公式コメントもピックアップ

　さて，各社に提示した選択肢は以下のとおりになる。

• A：対応済み
• B：10月22日時点では非対応だが，2009年内に対応予定
• C：10月22日時点では非対応。対応予定だが，スケジュールは未定，もしくは2010年以降予定
• D：非対応。対応予定はない
• E：未定。対応/非対応の公表スケジュールは決まっていない
• F：ノーコメント

　基本的には，「正式サービス中で，サービス終了のアナウンスが行われていないオンラインゲーム」という条件で，タイトルごとに，32bit版と64bit版の両方について，回答を依頼した。調査期間は2009年10月2〜14日としたが，その後，いくつか修正や追加の連絡を受けつけている。

　その結果は，回答のあった順に，本稿の最後で表としてまとめた。表の前には，メーカー単位で検索できるよう，五十音順で検索用のリンクアンカーを用意してある。また，いくつか注意事項があるので，以下，まとめてお伝えしたい。

1. 「公式サイトを見るように」と英語で回答のあったごく一部（というか1社）を除いて，メーカー担当者によるメールでの回答をもって，正式回答とした。そのため，各ゲームの公式Webサイトにある言及とは，表現に微妙な差異のある可能性がある
2. SNS的なサービスは対象外としたほか，ブラウザゲームも基本的には対象外。ただし，後者については，回答のあったものは有効としている。また，クローズドβテスト中のタイトルについてもいくつか回答が得られたが，今回これらはカットした
3. 一部のメーカーから，「非公式な動作確認結果」をいただくことができた。それはそれで大変重要な情報であるため，今回は回答に「’」をつけて区別することにしている。「’」のついているものは，「少なくとも10月22日時点において，公式には動作がサポートされないが，動作する可能性は少なからずある」ものだと認識しておくのがいいだろう
4. クライアントの起動に当たって注意すべきこと，具体的なスケジュールなども，一部のメーカーからはコメントとして寄せられた。これらは編集したうえで「コメント」欄に追記している
5. 一部，コメントの内容と正式回答のアルファベットが異なるものがあった。これらはコメントに即した形で書き換えている
6. 21日20：00までに回答が得られなかったタイトルについては，《F》（ノーコメント）として処理した
7. 今回のアンケートは，あくまでも「10月22日時点における状況と今後の予定」について聞いたものである。さまざまな事情により，対応スケジュールは変更になる可能性があるので，実際の対応状況は，ゲームタイトルごとの公式サイトをチェックするようにしてほしい。4Gamerでは，明らかな誤りの修正を除き，下に示した表を更新することはしない

全199タイトルの対応状況を確認

32bit版は年内に全体の43％，64bit版は32％が対応へ

　アンケート結果をざっとまとめてみると，まず，32bit版と64bit版それぞれで，対応状況は以下のとおりとなる。32bitと64bitの違いが分からない場合は，ざっくり，「より一般的だが，利用できるメインメモリ容量が3GB強に留まるのが前者で，3GB強より多くのメインメモリを利用できるが，アプリケーションやデバイスドライバのサポートに若干の不安を抱えるのが後者」と認識しておけば，大体において間違いはないだろう。

●32bit版Windows 7

• A：63タイトル（31.7％）
• B：23タイトル（11.6％）
• C：53タイトル（26.6％）
• D：9タイトル（4.5％）
• E：46タイトル（23.1％）
• F：5タイトル（2.5％）

●64bit版Windows 7

• A：39タイトル（19.6％）
• B：24タイトル（12.1％）
• C：52タイトル（26.1％）
• D：17タイトル（8.5％）
• E：56タイトル（28.1％）
• F：11タイトル（5.5％）

　《A》（対応済み）のタイトルは，32bit版Windows 7が3本に1本，64bit版Windows 7が5本に1本というイメージだ。《B》（10月22日時点では非対応だが，2009年内に対応予定）も加えると，32bit版は86タイトル（全体の43.2％），64bit版は63タイトル（同31.7％）となる。
　また，「公式には非対応だが，動作確認済み」というのを，《A》（対応済み）扱いすると，22日時点の対応タイトルは32bit版が79タイトル（同39.7％），64bit版が58タイトル（同29.1％）と，それぞれ10ポイント程度上がる。何かあったとき，メーカーのサポート外になるのを覚悟できるなら，全体の3〜4割程度が，22日時点で動作する見込みだということだ。

　さらに《C》（対応予定だが，スケジュールは未定，もしくは2010年以降予定）も入れると，32bit版は全体の70％，64bit版でも60％弱が，Windows 7をサポートすることになる。

　一方，ネガティブな視点から見てみると，《D》（対応予定なし）と《E》（未定。対応/非対応の公表スケジュールは決まっていない）の合計は，32bitだと全体の27.6％，64bit版は36.7％。いずれも低くないパーセンテージだ。
　《E》や《F》（ノーコメント）が最終的にどう転ぶか分からないとはいえ，現在《E》となっているタイトルの場合，「検証の結果，やっぱりサポートしないことになりました」という結論に至る可能性がゼロではないわけで，さすがに懸念は残ると言わざるを得まい。

　ともあれ，オンラインゲーマーにとって重要なことは，いま自分のプレイしているタイトルが対応しているかどうかだ。
　対応していて，かつ，そろそろPCの買い換えどきだと感じていたり，あるいは，PCの調子があまりよくなくなってきて，OSをインストールし直したいと思っている人なら，このタイミングでOSをWindoiws 7へ刷新してみても，失敗したと思うことはないはずである。ゲームが対応さえしているなら，積極的に64bit版を選んだほうが，とくにメモリ周りで，Windows XPとの違いを体感できるだろう。
　ちなみに，少々余談気味に続けると，筆者が個人的に，「ボリュームライセンス」という契約のもと入手した64bit版Windows 7 Ultimate製品版で，新旧30ほどのパッケージ/Steamのタイトルを試してみた限り，（一部，起動オプションの変更が必要はものはあったが）すべて問題なく動作した。もちろん，あまりにも古いものだと動作しない可能性は大いにあるだろうし，ハードウェアやデバイスドライバの組み合わせにもよるので，これをもって「大丈夫ですよ」と保証したりはしない（というか，できない）ものの，オンラインゲームの互換性にさえ気をつけておけば，64bit版を選んでも，ゲームプレイのうえで，さほど大きな問題にならないような印象は受ける。

　一方，いまプレイしているタイトルがWindows 7に非対応というなら，迷うことはないので，プレイできる環境に留まるべきだ。
　こう述べては角が立つかもしれないが，OSなんかのために，自分のゲーム生活を犠牲にする必要はない。ゲームタイトルの公式サイトをチェックしながら，自分なりの，PCの買い換えタイミングを探っていったほうが，いらぬ苦労をせずに済むはずである。


　……最後に。Windows 7の一般PCユーザー向け発売直前で，自らの検証作業が忙しいなか，ていねいに回答をいただいたメーカー各社に，4Gamer編集部として，心より御礼を申し上げます。

メーカー名検索（五十音順）

●あ行

• Aeria Games
• アクワイア
• アラリオ
• アルティ
• SFO
• エキサイト
• NHN Japan
• エヌ・シー・ジャパン
• エヌドアーズエンターテインメント
• エムゲームジャパン
• エレクトロニック・アーツ

●か行

• カプコン
• ガマニアデジタルエンターテインメント
• ガーラジャパン
• ガンホー・オンライン・エンターテイメント
• キューエンタテインメント
• ケイブ
• ゲームオン
• ゲームズアリーナ
• ゲームポット
• ゲームヤロウ
• コーエー
• KONAMI
• ゴンゾロッソ

●さ行

• サイバーステップ
• シーアンドシーメディア
• GMO Games
• ジークレスト
• CJインターネットジャパン
• SeedC
• GPコアエッジ
• JC Global
• スクウェア・エニックス
• セガ
• Sony Online Entertainment
• ソリッドネットワークス

●な，は，ら，や，わ行

• ネクソン
• NETTS
• NETBANCO（旧称：ハイファイブ・エンターテインメント）
• バンダイナムコオンライン
• ハンビットユビキタスエンターテインメント
• ファイブスターオンライン・エンターテイメント
• フェイス
• ブシロード
• Blizzard Entertainment
• ベクター
• USERJOY JAPAN
• ロックワークス
• YNK JAPAN

※凡例（テキストエディタにコピー＆ペーストするなりしておくと便利です）

• A：対応済み
• B：10月22日時点では非対応だが，2009年内に対応予定
• C：10月22日時点では非対応。対応予定だが，スケジュールは未定，もしくは2010年以降予定
• D：非対応。対応予定はない
• E：未定。対応/非対応の公表スケジュールは決まっていない
• F：ノーコメント

表　オンラインゲームのWindows 7対応状況

（※2009年10月22日現在）

※　本文でも指摘したとおり，メーカーからの回答をいくつか書き換えている部分があります。具体的には，セガの「ファンタシースター」3タイトル（A→B）。また，ベクター，KONAMIの各タイトルについては，文書による回答を基に，編集部でアルファベットを書き入れました。