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写真とインタビューで紐解くDellの新型ノートPC「ALIENWARE m15 R2」。第1世代から大きく変わったデザインを採用した理由とは?
なお,ALIENWARE m15 R2とALIENWARE m17 R2の特徴やスペックについては,5月28日掲載のニュース記事に詳しくあるので,本稿では割愛している。未見の人,あるいはもう一度確認しておきたいという人は,そちらも見てほしい。
Legendデザイン採用で見違えるほど格好良くなったALI EN WA RE m15 R2
ALIENWARE m15 R2の外観は,2019年1月に発表となった「ALIENWARE Area-51m」(以下,Area-51m)が採用した「Legend」デザインを踏襲したものだ。
Legendデザインは,筐体の背面側に黒い冷却機構が突き出して,背面を楕円状に縁取るような形でカラーLEDを配置。天板には製品名の数字をあしらうと言った要素が特徴となっている。とても個性的な一方で,悪目立ちはしない落ち着きも感じられる。
カラーバリエーションは,白基調の「Lunar Light」と黒基調の「Dark
第1世代のALIENWARE m15が登場してから,1年も経たないうちにデザインを変更した理由についてOlmsted氏は,Legendデザインを生み出すに当たっては,数年前からリサーチを重ねていたと述べた。リサーチの結果として生まれたデザインは,対象となる製品群のなかでデザイン変更を行う準備ができたものから導入することになっており,最初の製品となったのがArea-51mだったとOlmsted氏は述べる。
つまり,Area-51mに続いてデザイン変更の準備ができたのが,ALIENWARE
さらにOlmsted氏は,Legendデザインをどんな製品に広げていくのかという質問に対して,「すべてのプロダクトにおけるデザインを変更していく」と答えている。遠くない将来に,ALIENWAREブランドのマウスやディスプレイにも,Legendデザインを採用するものが登場してくるのではないだろうか。
デザインと並んで,ALIENWARE m15 R2における大きな変更点となったのが,キーボードのNキーロールオーバー対応だ。4Gamerでも,第1世代のALIENWARE m15における唯一の問題点は,同時押し対応への配慮が欠けている点であると指摘していた。
第2世代モデルでNキーロールオーバー対応を実現した理由についてOlmsted氏は,率直に「(世界中の)顧客の声を聞いた結果である」と述べている。同時押し対応数が最小で2キーしかないというのは,ゲーマー向けノートPCではありえないと言ってもいい仕様であり,それだけ多くの批判や要望がDellに寄せられたということなのだろう。
第1世代モデルでは採用していた10キーを,ALIENWARE m15 R2で廃止した理由をたずねたところ,Olmsted氏は「過去12年間,15インチ級のゲーマー向けノートPCには10キーがなかったからね」と,ユーザーが10キーのない環境に慣れ親しんでいたことを理由として挙げた。第1世代モデルで10キーを採用してみたものの,やはり反応はかんばしくなかったので,第2世代では省略したということだった。
視線追跡技術は未来の機能を先取りするもの
ALIENWARE m15 R2では,ディスプレイの選択肢として1920×1080ドットで垂直リフレッシュレート240Hz表示対応の液晶パネルと,3840×2160ドットのDisplayHDR 400対応の有機ELパネルを用意している。Dellは,これらの液晶ディスプレイが,どのようなゲーマーに適すると考えているのかをOlmsted氏に聞いてみた。
氏によると,240Hz対応液晶パネルは,やはりFPSのゲーマー――たとえば「Counter-Strike: Global Offensive」――が好むという予想どおりの答えが返ってきた。一方,有機ELパネルはゲーマーだけでなく,コンテンツクリエイターのニーズを考慮したものであるとのこと。また,RTSやシティビルダー――たとえば「Cities: Skylines」やトロピコシリーズなど――タイプのゲームを好むゲーマーは,高解像度のディスプレイを好むという点から有機ELパネルのほうを求めると考えているそうだ。
これは認識精度の問題ではなく――実際,認識精度はかなり高い――認識した視線の動きをゲームにおいてどう利用するのが妥当なのかという,UI設計に関わる問題だからではないだろうか。
可能性は感じるものの,実際の使い勝手において難のある視線追跡デバイスを,なぜAlienwareは採用し続けるのだろうか。Olmsted氏にこの質問をぶつけてみたところ,氏は,2018年にスタートしたオンラインのゲームトレーニングサービス「Alienware Academy」で,視線追跡デバイストレーニングツールとして使っているという実用例を挙げた。つまり,「すでに実用的に利用しているよ」というわけだ。
ただ,Olmsted氏は視線追跡技術をゲームのトレーニング用とだけ見ているわけではないと言う。
仮想現実の世界で話題となる技術に,ユーザーの視線を認識して,注視している部分は詳細にレンダリングし,そこから離れるほど解像度を低くしてレンダリングするという技法「Foveated Rendering」(フォビエイテッドレンダリング)がある。Olmsted氏は,半年から1年以内にフォビエイテッドレンダリングがゲームの世界に入ってくる。そのときに視線追跡デバイスは必要とされるだろうという考えを示した。氏が,期間を区切って予想を述べたということは,フォビエイテッドレンダリングをゲームにおいて実用化するための取り組みが,実際に動いているということなのだろう。
Olmsted氏は,「(視線追跡デバイスは)プレミアムPCにおける未来の機能である」とも述べている。他社が積極的に取り組みはじめる前から未来の機能を取り込んで差を付ける。そのための先行投資という意味合いが,ALIENWAREのPCにおける視線追跡デバイスの活用にはあるようだ。
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