連載
【ヒャダイン】「RADIO 4Gamer Tap(仮)」Special Concertに行ってきたよ!
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第69回「『RADIO 4Gamer Tap(仮)』Special Concertに行ってきたよ!」
ども。先日,4Gamerさん主催のイベント「Music 4Gamer Presents『RADIO 4Gamer Tap(仮)』Special Concert」にお邪魔してきました! 場所はなんと渋谷のBunkamura オーチャードホール! 音が良くて最高のコンサートホールです。しかもここで東京交響楽団の皆さんの演奏によるさまざまなゲーム音楽のオーケストラアレンジバージョンが聴けるとなったら,気持ちが高ぶらないわけがない!
厳かなコンサートホールで,オーケストラのチューニングが終わると岡本信彦さんとマフィア梶田さんがMCとして登場。梶田さん足長いなー。お二人の丁々発止なやり取りで緊張した雰囲気もほぐれつつ,オーケストラにバトンタッチ。
で。このオーケストラの何がすごいって,正真正銘のフルオケなんですよ! めっちゃ人数いるし。チューブラーベルもハープもあるよ。超豪華。ワクワクが止まりません。
そして一曲目は「聖剣伝説」より「Rising Sun」。鳥肌がゾゾゾです。正直,聖剣伝説はやってこなかったんですが,さすがに知っているよイトケンさんのこの曲は。情感豊かに演奏される音の粒に魂が浄化されていく感じ。
その後,「ワンダと巨像」のメドレーに,「文豪とアルケミスト」のメインテーマ,そしてまさかの「アイカツ!」から「アイドル活動!」の演奏。終始テンションはぶち上げです。やはり生で聴くオーケストラは迫力が違う。もちろん音源でも聴くことはできますよ。だけどコンサートホールの空気と“鳴り”。ステージで奏でられる音楽を会場中に響かせるべく,計算され,設計された環境の中で聴くのは,音のダイナミズムが圧倒的に違います。体で音楽を聴く感じ。
その後,岡本さんと梶田さんが再登場。花江夏樹さんを迎えてゲーム音楽の思い出などを語るコーナーへ。この緩急がまたいいですね! とくに「ポケットモンスター」について岡本さんが熱く語るところには,飛び入り参加したい勢いでした。
ポケモンの自転車についての話題で,梶田さんが「今や自転車は卵をふ化させるための道具になっていますからね」とおっしゃったとき,場の雰囲気に流されず「いや,今はケンタロスなんですよ」と指摘してくれた岡本さんには好感しかないです。次作の「ポケットモンスター ソード・シールド」ではどんなシステムになっているのか,非常に楽しみですね。
そんな楽しいお話もつかの間。休憩をはさんで第三部へ。「STEINS:GATE」から始まり「クロノ・トリガー」と「クロノ・クロス」のメドレーへ。クロノ・トリガーは思い入れが強いぶん,鳥肌が止まらなかったです。嗚呼。また久しぶりにやりたいな。スマホに移植されているから,そっちでやろうっと。スタメンはクロノ,カエル,マールが多かった気がします。ルッカもロボも使ってたな。
そんな懐かしさに浸っていると,きたきたきたきた。ポケモンのターン! 「〜オープニング〜」から始まり「マサラタウン」〜「トキワへの道-マサラより」〜「戦い(VSジムリーダー)」〜「自転車」〜「チャンピオンロード」〜「ラストバトル(VSライバル)」〜「〜エンディング〜」と,まさに怒涛のメドレーです。鳥肌と動悸がやばかった! モノラルパルス波2ch+波形メモリ音源1ch+ノイズ1chという合計4chで聴いていたあの曲が,芳醇なフルオケで全身にシャワーのように降り掛かってきます。
タケシ戦を思い出したなあ。ヒトカゲを選んだからマジで苦労したなあ。自転車,楽しかったなあ。自転車で段差をひょいってする感じ,いまだに好きだなあ。チャンピオンロードはほんと鬼畜だったなあ。PPギリギリで突破したっけなあ。そんな思い出が走馬灯のように駆け巡るほどの多幸感でした。
そんな具合に浸っていると,岡本さんと梶田さんのMC。自分と同じく多幸感にしびれている岡本さんのMCに共感しつつ,公演もラストスパート。
アニメでもよく使われているクラシック曲.「楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲」「カノン」,そして「SF交響ファンタジー 第1番」。
とくに最後のSF交響ファンタジー 第1番が強烈だったんですよ!! 伊福部 昭が作曲した昔の特撮映画のBGMをマッシュアップして一つの楽曲にしているんですが,まあアガるアガる。だってのっけから「ゴジラ」ですよ!? あのゴジラのテーマ,生で聴くとほんとにおぞましい。ゴジラの一作目の根底にある恐怖みたいなものが描かれていてゾッとしました。その後も「キングギドラ対ゴジラ」「宇宙大戦争」「フランケンシュタイン対地底怪獣」「三代怪獣 地球最大の決戦」「怪獣総進撃」などなど,めくるめく緊張感と恐怖の応酬に正直圧倒ですよ。オーチャードホールが禍々しいものに包まれたような。そんな衝撃の中,コンサートは終了。本当に素晴らしい内容でした。
で,今回感じたのは,このプロジェクトが本当に素晴らしいものだな,ってことです。ゲームの楽しみ方は昨今変わってきていますし,携帯ゲーム機は昔からですが,スマホなんかだと常にミュートでプレイしている人も少なくないはず。
だけど音楽はゲームにおいてめちゃくちゃ大きなファクターであって,ゲーム内容はもちろん当時の自分の状況,時代なんかもクリアに思い出させてくれます。しかもそれをフルオケで音楽的に芳醇な状態で再摂取できるとか,まさに人生のご褒美です。今まで頑張って生きてきてよかったな,と思える瞬間でもあります。昔慣れ親しんだ音楽と,こういうリッチなサウンドで再会できるなんて。
4Gamerさんはこれからも音楽企画を考えているだろうし,ゲーム音楽とリアルイベントの融合で,もっと新しいこともできるんだろうなあという予感をビシバシ感じました。
なんか面白そうな企画あったらぜひ誘ってほしいなあ,なんてことも思いましたよ! そんなこんなのコンサートレポでございました!
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ フィロソフィーのダンスの「ライク・ア・ゾンビ」のリミックス「ライク・ア・ゾンビ 〜ヒャダインのリリリリ☆リミックス〜」を担当したヒャダイン氏。「好き放題やっていい」というオーダーだったため,メロディラインすら変えるという暴挙に出たそう。各種サブスクリプション型サービスでも配信中なので,ぜひチェックを。 |
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