連載
【ミートたけし】ハードルの高さは果たしてマイナスなのか?
ミートたけし / 川村 竜 / ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー
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ミートたけしの「世界の平和が俺を守る!」ミートたけしYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@meatalk |
第29回:ハードルの高さは果たしてマイナスなのか?
1か月が経った今でも私の「マジック:ザ・ギャザリング」(以下,MTG)熱は冷めやらない。冷めないどころか,もはや完全に沼ったといってもいいだろう。
というわけで今回もMTGのお話をさせていただく。
1か月のあいだ,どっぷりとMTGの世界につかってみて,自分なりに見えてきたものがある。
音楽,格ゲー,コーヒーと,私の人生のターニングポイントとなってくれた文化やコミュニティ。そして今回新たに私の人生に道を作ってくれたMTGには,明確な共通点を感じている。
共通点,というよりも共通の課題といったほうが正しいか。それは新規層の取り込み,獲得にほかならない。格ゲー,とりわけ「ストリートファイター6」に関して言えば,eスポーツ界隈に明るい方なら重々承知かもしれないが,「モダンシステム」という初心者に向けたゲームシステムの採用や,プロシーンの見せ方や設計が昨今の爆発的なブームに結びついた。
音楽(特にJAZZ)やコーヒーはどうかというと,愛好家達のマウントが弊害になっていると言っていい。この連載やYouTubeでもこのあたりの問題は常々指摘をして警鐘を鳴らしている。もちろん,この厄介なマウントは愛情の裏返しなのだ,というフォローも入れさせていただいている。
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つまり課題とは「ハードルの高さ」だ。これをクリアするためには,さまざまな角度からの解決方法が必要とされる。ここで皆さんもこの「ハードルの高さ」を払拭する方法には,どんなものがあるのか一緒に考えてみてほしい。
一緒に楽しむ友達を増やすことだろうか?
懇切丁寧に説明や解説をしてあげることだろうか?
さまざまな方法が思い浮かんだことだろう。
私が一つ提唱したいのは“大きく二つに分ける”ということだ。一体何を二つに分けるか。
それは,「ハードルの高さ」に向き合わせるか,「ハードルの高さ」をごまかすか,の二つだ。
1か月,尋常ならざる濃度でMTGに取り組んでみて,私がこのカードゲームに抱いた印象は「とにかく複雑で難しい!」というものだった。
新規ファン層を獲得したいMTGフリークや関係者は,こぞって私に「慣れたら簡単だから!」などという戯言をほざいてきたが,そんなのは全部うそだ。
今一度,声を大にして言わせてもらう。
「MTGはとても複雑で難しいカードゲームだ!」
だが果たして,この「ハードルの高さ」はマイナスなのだろうか?
ハードルを低くすることだけがプラスなのだろうか?
ハードルの高さを保ったまま人を引きつける方法があるのではないか?
今回はそういったお話をさせていただきたい。どうぞ最後までお付き合いください。
遅かれ早かれ離れていく層は諦めろ!?
私が初めてMTGをプレイしたのは,初心者体験会と言われるウェルカムデッキを使った講習だった。ウェルカムデッキというのは,既に構築済み(プレイできる状況)の30枚のカードセットで,ゲーム内で起こり得るさまざまな状況をチュートリアル的に作り上げながら,実際にプレイの中でルールを覚えていく,というものだ。
これが非常に面白かった!
ルール自体も分かりやすくてシンプルだったし,何より大好きな「スパイダーマン」のウェルカムデッキというのもあり,これだったら好きになりそう! ハマりそう! というのが,初めてのMTGで私が抱いた感想だった。
が!
このウェルカムデッキでのプレイングは,大げさに言わせてもらえば一生に一回しか行われない。なぜなら世の中のMTGプレイヤーは誰もウェルカムデッキでのプレイをやっていないからだ。
多くプレイされるのは,60枚のカードで構築するスタンダードやモダン,100枚のカードで構築する統率者戦(EDH)。ほかには,その場でパックを購入し,その場でデッキを作成して対戦するリミテッドも好まれている。
つまりウェルカムデッキを楽しめるのは,初心者講習の一回こっきりなのだ!!(まぁ何度も初心者講習を受けて延々とウェルカムデッキでやり続けるという方法もなくはないだろうが……)
それからもう一つ,忘れてはならない問題点がある。それはぶっちゃけ,お金がかかるんじゃないの? ということだ。これに関しても私にMTGを勧めてきた奴らは口をそろえてこう言った。
「別にお金かけなくても十分楽しめるよ!」
このうそつきどもめが! みんな閻魔様に舌を引っこ抜かれろ! ここまで言っておきながらフォローするわけでもないが,正確に言えば「お金をかけなくてもプレイはできる」という言い方だったら誇張もなく,ギリギリうそではない。
だが断言する。「お金をかけた分だけ愛着が湧く」ということを。
そろそろまとめていこう。
ここまでで,私自身に新規を取り込む気はあるのか? と疑問を抱く読者もいるかもしれない。しかし答えはイエスだ。取り込む気は満々だ。
「複雑で非常に難しいゲームシステム」と「お金をかけるほど楽しくなる」という二つのハードルは,決してマイナス効果だけではないのだ。
個人的にはまず「お金をかけるほど楽しくなる」の部分をフォローアップしたい。私が自分の意思で最初に購入したカードは「エディ・ブロック/ヴェノム」というカードだった。実はヴェノムが大好きな私。英語版,Foil仕様(ピカピカ光ってる!)ということもあって,晴れる屋さんでの販売価格は1万5000円というなかなかの高額カード! 大事にクリアケースに入れて眺めているだけでも幸せだった。それだけで幸せだったはずなのに……。
このヴェノムをリーダー,つまり統率者に選んで残りの99枚,合計100枚のカードを集めて対戦するのが先にも述べた,統率者戦(EDH)と呼ばれるゲームルールだ。実際,この99枚もやろうと思えば500円くらいでも組めてしまう。だがしかし,そのデッキではなかなか勝つことは難しいだろう。
そんなときにふと,先ほどリーダーにしたヴェノムカードが,こうささやいてくるような錯覚に陥った。
「僕,勝ちたいよぉ……。悔しいよぉ……」
そうか,そうだったかヴェノム!! すまなかった! 父さんが悪かった! 許してくれ!!
その日からほぼ毎日晴れる屋に通い詰め,あのカードを足し,このカードを抜き,どのカードを入れるか,そんなことばかり考えている毎日を過ごしてきた。
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そしてかなり乱暴な言い方をすれば,「魂の一枚」を見つけることができない新規プレイヤーは,遅かれ早かれMTGをやめてしまうと思う。そして実際,やめるという決断も個人の自由なわけだ。
来る者拒まず以上に,やはり去る者追わず,の精神がカギだ。去る者を追ってる暇があるならどんどん次の来る者に対して「魂の一枚」を見つけてあげることが最優先事項と言えよう。
この一枚さえ見つけることができたなら,もう一つの「複雑で非常に難しいゲームシステム」なんて,はっきり言ってどうでもよくなってしまう。
そして「魂の一枚」を勝たせたいという思いは,恥という概念も消し去り,きっとさまざまな有識者にアドバイスを求めることになると思う。するとどうだろう。周りを見渡してみてほしい。あなたの周りはMTG友達であふれかえっているはずだ。
我々が新たなる友人にできること
今回,私が皆さんに伝えたいこと。新規層拡大のために我々ができること。それは決して「ハードルの高さ」を無理に低くしたり,低く見せようとしたり,ということではなく,一緒に一段目を登る手助けをしよう,ということ。
手を差し伸べるのもいいだろう。下から持ち上げてあげるのもいいだろう。そばで声をかけ続けてあげたっていい。これが私がこの1か月でMTGから学んだことだ。
これはいろんなものに当てはまるだろう。みんな知っている曲を演奏することが正解なのだろうか? コーヒーの値段を下げることが正解なのだろうか? 自分が好きなものに置き換えて考えてみてほしい。
今日も私は幸せだ。
なぜならたくさんのMTGプレイヤーに囲まれて毎日を過ごしているから。つまり世界の平和が俺を守ってるってワケ!
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2回続けてMTGの記事になってしまいましたが,皆さんも興味を持ったらぜひ声をかけてくださいね。マジで「魂の一枚」を探したいなら,付き合います。
演奏して,配信して,コーヒー売って,MTGして。
あーもうたーいへん! たーのしーー!!
| ■■ミートたけし / 川村 竜(ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー)■■ ベーシストとして国内外各所でライブやコンサートで演奏活動をしつつ,配信活動も活発に行っているミートたけしこと川村 竜さん。現在は主にYouTubeチャンネル「ミートたけし-MEAT TAKESHI-」とTwitchチャンネル「ミートたけしの『太くてニューゲーム』」で,雑談配信をしたりゲーム配信をしたりと大忙しの様子です。 |
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