インタビュー
人生変えちゃう夏かもしれん。満点彼氏なら要チェックの「ラブプラス+」の破壊力を内田プロデューサーに聞いた
それから1年も経たない,来る6月24日(木)に,新作「ラブプラス+」が数々の追加要素を加えて発売されることになった。
前作以上のインパクトを我々に与えてくれること間違いなしの本作。果たしてどのような仕上がりになっているのか? 我らが“お義父さん”こと,内田明理プロデューサーにジックリと話を聞いてきた。
彼女との新たな生活に想いを馳せる全国の彼氏諸君は,是非とも目を通してほしい。
「ラブプラス+」公式サイト
前作でやり残した部分を補完して,少しでも早く届けたい
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
ラブプラスはいつの間にか,ゲームと関係ないメディアでも取り上げられるようになるなど,発売前と比べると劇的な環境の変化がありましたね。
いやー,不思議ですよね。
ラブプラスを発売してから,不動産屋に行っても「テレビに出てましたよね?」みたいなことを言われたり,熱海のホテルに行ったときも「あぁ! 雑誌の記事を読みました!」と言われたり。
普段ゲームに接することがあまりない30〜40代の方々が,ラブプラスを認知してくださっているのが,凄く嬉しいです。
4Gamer:
ここ最近のゲームでは,圧倒的な知名度ですよね。
内田氏:
おかげさまで(笑)。
先日,Amazon.co.jpのベストセラーを見たら,村上春樹さんの「1Q84」BOOK 3と「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のBlu-rayがあって,その隣に「ラブプラス+」が並んでいたんですよ。
村上,庵野,ラブプラスみたいな感じで,「キター!」と思いましたね(笑)。
4Gamer:
もう完全に日本を代表するポップカルチャーの一つですね。
さて,ラブプラス発売から1年も経たたずに,次回作「ラブプラス+」が発売されることになりました。
まずは,次回作に取り組むことになった理由から教えてください。
内田氏:
ラブプラスって,新しい試みばかりの作品だったので,正直なところ,完成形が見えないままに作っていた部分があって。なので,発売後にも色々と“やり残した感”があったんですよ。
4Gamer:
発売直後から,「あれがやりたかった」「これがやりたかった」みたいなことをおっしゃってましたよね。
内田氏:
はい。そこからさらに,実際に多くのプレイヤーさんに遊んでいただいて,僕らが「こうだろう」と思っていたところが違っていたり,逆に「ここはスルーされるかな」と思っていたところにプレイヤーさんが熱く食いついてきたり……。そういうところをちゃんと補完したいという気持ちがありました。
4Gamer:
想像以上の反響があったと。
内田氏:
それにラブプラスって,ゲームというよりは“生活支援ツール”みたいな色合いもある作品なので,なるべく早くバージョンアップしたいという気持ちもありました。
4Gamer:
ありがとうございます!
内田氏:
いえいえ(笑)。
実際,「少なくとも1年分以上のイベントが入ってるんだから,1年待てば良いのに」というご意見も社内外からいただくんですが,プレイヤーさんの反応を見ていると,「あぁ〜,分かってるんだけど,それはちょっと間に合わなかったんだよ……!」みたいに,ジリジリすることが多いんです。
だからこそ,「これならどうだ!」と早く言いたいな,と。
4Gamer:
プレイヤーの反応を見て,足りなかった部分を補完したという感じなんですね。
内田氏:
ただまあ,それでもラブプラス+で100%やり切れたかというと,そこも難しいところなんですけどね。
4Gamer:
まだまだ足りないと?
内田氏:
やりたいことが100あったとしても,色々な原因で全部は作れないんですよね,どうしても……。プレイヤーさんが求めるものを入れたい,そして我々が面白いと信じるものも入れたいと思うと……歯がゆいんですよね。
でも,今できることは全部やっています。それだけは,自信を持って言えます。
「ラブプラス+」は続編でなく“第2シーズン”的な作品
4Gamer:
それもまた,熱いプレイヤーに支えられているラブプラスだからこその悩みでしょうか。
そうですね。プレイヤーさんが反応してくれるのが,何よりも嬉しいというか,制作者冥利に尽きるというか。
当然お叱りもあるんですが,決して叱責するだけじゃなく,温く「期待してるので,頑張ってください」みたいな言葉がいつも最後にくっついているんですよ。
不具合の報告をしてくださる方まで応援してくれて,本当に稀なタイトルだと思います。
4Gamer:
不具合を見つけて不満を持つというより,きっと彼女の病気を心配するような心境なんでしょうね。
内田氏:
そうですね(笑)。だから続編でなく“次回作”という言い方をしていますが,作り方としては完全に新作です。
ここが何て言えばいいのか……難しいところなんですよね。バージョンアップ版となると,ちょっと新要素が追加されるみたいなイメージがありますが,そういうレベルじゃないんです。
なんせ今回は,4GbitのROMを採用しているんですが,そのほぼ全ての容量が,現段階ですでに埋まっているんです。容量だけでいえば,前作のほぼ2倍ですから。
4Gamer:
容量だけでいうなら「ラブプラス×2」みたいな。
本来であれば,“続編”と高らかに銘打ってもおかしくないレベルですね。
内田氏:
でも続編と聞くと,世界観やキャラクターが変わるようなイメージもありますよね。なので,「第2シーズン」とか,そんな感じでとらえていただけると嬉しいです。ラブプラスから何の違和感もなく,続けて遊べると思いますし。
「あっ,この会話初めて聞くな」とか,スムーズに日常が繋がって行くような感覚を楽しんでもらえると思いますよ。だから,「メニュー周りとか,ありとあらゆるところを変えました」とか,そういう余計なことはしていません。
4Gamer:
会話の内容は,ラブプラスでもかなりのボリュームがありましたが,そのデータはラブプラス+には流用していないんですか?
内田氏:
いえ,前作の内容は,まるっと乗っかっていますよ。その上に,新録が沢山追加されています。ゼロから遊んでいただく方のことも想定していますので。
4Gamer:
じゃあ,ラブプラス+にも友達パートが存在するんですね。
内田氏:
もちろんあります。ただし,友達パートも,ほんのちょっとだけ新しくなっています。細かい部分ですが,イベントの発生条件に調整が入っていたり,出てくるイラストが綺麗になっていたりしますね。
イラストは描き直したものもありますし,画像処理のプログラムをちょっと直したことで,より綺麗に表示されるものもあります。
でも,普通に考えて今の彼女と別れて,もう1回出会うところから始められますか?(笑)
4Gamer:
おそらくムリでしょうね。いや,どう考えても絶対にムリです。そんなのイヤだ。
内田氏:
ですよね。
なので,ラブプラスと同じ部分に関しては,基本的には新しく遊んでくださる方にとって,より遊びやすくなるような細かい部分の調整をしているという感じです。
ラブプラスでも遊んでくれた方なら,ギャラリーなどでイラストを見直したときに,「あれ? 絵が可愛くなってる!」とか,そういう部分は体験してもらえると思いますけどね。
4Gamer:
あ,データを引き継ぐことによって,そういう驚きもあるわけですね。
内田氏:
ええ。なので,友達パート自体はラブプラス+から初めても全然問題ありませんが,まだ発売まで時間がありますので,今からラブプラスを始めればより楽しいよと。それは声を大にして言いたいですね。
引き継ぎ特典もありますから,やらないと損ですよ。
4Gamer:
しかし,今からプレイして親密度最高ランクの「とわのふたり」に間に合うんですかね?(ドヤ顔)
内田氏:
ちょっと難しいかもしれないですねぇ。
初めての旅行,初めてのお見舞い
“旅行”が本作においてかなり重要なファクターだと思うんですけれども,気になることが一つあります。行き先は熱海だけなんですか?
内田氏:
はい。とりあえず熱海です。
熱海を堪能していただきたいんですよ。
4Gamer:
なぜ,熱海なんでしょうか?
内田氏:
熱海って,ロジカルにいうと日本の真ん中あたりにあるので,東からも西からもアクセスしやすいんですよ。それに,とくに関東の人から見ると凄く近いじゃないですか。東京からなら,特急に乗れば1時間20分で着きますからね。ちなみに新幹線だと,品川から40分です。
僕の家からなら,会社に行くよりも近いんですよ(笑)。
4Gamer:
そうなんですか(笑)。
内田氏:
それに熱海は“ザ・観光地”という感じなんですよね。箱庭的で。温泉はもちろん,海もあるし,お魚が美味しいし,船にも乗れるし,島もあるし……小さな町なんですが,観光地の良いところを凝縮したようなところなんです。
ただ,実際に泊まったことのある人って,わりと少ないんですよね。実は僕もそうだったので,取材旅行と称して開発チームを引き連れてドンチャン騒ぎをしに行ったんです。そしたら,本当に楽しくて(笑)。
4Gamer:
羨ましいです(笑)。
内田氏:
お魚食べて,温泉入って,カラオケ……。彼女と行く初めての泊まり旅行が熱海だったら,最高だろうと思いましたね。
4Gamer:
でも,高校生で熱海って渋いですよね(笑)。
内田氏:
渋いですね。でも,実際にけっこう若いカップルもいましたよ。熱海城とか見ていて。
4Gamer:
そうか,近いと交通費もそんなにかからないし,東京あたりからなら高校生でも行けそうですね。
内田氏:
日帰りでも行けちゃう距離ですからね。しかも夏なら海水浴も花火もありますし。
4Gamer:
熱海はそのまま実在の地名が出ているんですよね?
内田氏:
はい。
4Gamer:
とわの市からは近いんですか?
内田氏:
それは謎です(笑)。
一応,特急に乗って小一時間で着いちゃう計算なんですが,もしかすると時速700キロぐらいで走っているんじゃないですかね(笑)。
4Gamer:
とわの市,謎が多い場所ですね……。
プレイヤーにとっては,ラブプラス+のおかげで,初めて女の子と旅行できる人もいるでしょうね。
内田氏:
もちろん,そういう方もいらっしゃると思うんですけど,彼女と旅行に行ったことがある人なら楽しめるような,“あるあるネタ”みたいなものもありますよ。
「仲居さんから,『旦那さま』とか呼ばれちゃってさぁ」みたいな(笑)。
4Gamer:
リア充爆発しろ……。しかし,夢が広がりますねぇ。
内田氏:
「布団が並べて敷いてあった」とか「電気消すタイミングが」とか,そういう話ができると思います。
4Gamer:
お義父さんからそう言われると,へへ。あ,ところで旅行イベントのほかにも看病イベントやお見舞いイベントが追加されているとのことですが,これはどういう条件で発生するんでしょう?
詳しいことは明かせませんが,突然朝に電話がかかってきて,「心配しないで」とか言われたりして。
発生条件はまだ内緒なんですけど,お見舞いに行けば行くほど彼女が元気になって行くというのが体感していただける仕様になっています。
4Gamer:
でも彼女にはあまり体調を崩してほしくないですけどね……。
内田氏:
とにかく,彼女が風邪をひいたときにはいつも以上にコミュニケーションをとって,会いに行ってあげてください。元気付けてあげてください。
4Gamer:
お見舞いに行かなかったら,機嫌が悪くなったりとかするんですか? そんなダメ彼氏はいないとは思いますが。
内田氏:
その辺はそれほどネガティブじゃありませんね。お見舞いに行かなくてもいずれは治りますけど,寂しいですよね。彼女が風邪をひいているのに放置するなんて,彼氏にあるまじき行為だと思います。
初めての喧嘩で見えてくる彼女の新たな一面
今回は喧嘩イベントもあるそうですね。ちょっとドキドキなんですが,最悪別れに発展したりしないですよね? 不安で吐血しそうです。
内田氏:
ご安心下さい。コンセプトが“永遠”なので,別れるということはないです。ただ,ちょっと生々しく,男からすると「なんでそんな理不尽な……」みたいな感じの怒り方をしますね(笑)。
4Gamer:
なんと……。
内田氏:
でも,確かによ〜く考えてみれば怒らせるようなことをしているんですよ,男ってものは。
女性に対しての気遣いとか,思いやりが行き届いてなかった結果なんですけどね。
4Gamer:
そ,そうなんですか?
内田氏:
ええ。だいたい,あとから考えれば気付くという程度で,悪気はないんですけどね。
ラブプラス+の場合も,怒りの理由はシビアに,現実感のある仕様にしています。「ずっと起動していなかったから,喧嘩しちゃった」とか,そういうのではありません。
毎日プレイしていても,思いやりが足りなかったりした結果,喧嘩に発展することもあるという感じですね。
4Gamer:
ちょっと怖いですね……。
でも,凛子に怒ってもらえるなら,それはそれで!
内田氏:
まあ,最初は理不尽に感じても,そのうち「あっ,そういえば!」と気付くんじゃないかなと(笑)。
全国の彼氏にとっては,初めての喧嘩になるわけですから,「怒るとこんな風になるんだ……」っていうのは,けっこう面白いと思いますよ。びっくりしていただけると思います。
4Gamer:
例えば,プレイスタイルによっては喧嘩にならない人もいるんでしょうか?
内田氏:
もちろんです。怒り方は彼女の性格によっても違いますし,あと,怒ると一言で言ってもバリエーションがあって,毎回同じ怒り方ではないです。
4Gamer:
な,なるほど。
喧嘩したあとの仲直りイベントは,連続で繋がっているんでしょうか? それとも,普通に日常を挟むんですか?
内田氏:
喧嘩状態で日常が過ぎて行きます。だから,つらいと思いますよ。話を聞いてくれないとか,日常の中にあるわけですから。
4Gamer:
電話しても応えてくれなかったりとか?
内田氏:
はい。「そう,まだ分かってないんだ」みたいな嫌味を言われたり。こちらが反省して冷静に接しても,「分かってない!」みたいな反応をされたり。
4Gamer:
それはモヤモヤしますねぇ。俺は分かってるのに!
内田氏:
でも,分からない人は本当に分からないじゃないですか。彼女がなんで怒っているのかなんて。
「俺,なんか悪いことした? 悪かったら教えて」という一言が,女性からすればまたムカツクみたいな。まあ,自分自身もいまだに分かんないですけどね。女性は永遠の謎です。
4Gamer:
大人の男の意見ですねぇ。
ちなみに,喧嘩中に文化祭などのイベントが挟まれた場合,彼女の反応はどうなるんでしょう?
内田氏:
基本的には彼女も彼氏のことが好きですから。
だから,1年に1度しかない大事な機会を,彼氏と喧嘩したまま過ごすなんてしたくないでしょうね。
4Gamer:
良かった……。
彼女も本心では早く仲直りしたいと思ってるけど,それでも何かモヤっとしたものがあるという状態なんです。誕生日とか,二人にとって大事な日が近いときは,彼女だって楽しみたいと思っていますから,喧嘩は起きません。
でも,やっぱりね,喧嘩ってこちらも精神的に嫌じゃないですか。だから,あんまりこじらせないように気を付けてくださいね(笑)。
4Gamer:
肝に銘じます。
内田氏:
でも色々と深く,彼女がこれまで見せなかった一面が出るので。喧嘩すればより深く相手のことを知れると思いますよ。
4Gamer:
怒った彼女というのは,前作ではなかなか見れなかった部分ですからね。
内田氏:
実は,前回もこっそりとストレスシステムみたいなのは入れていたんですよ。ただ,それはムードが上がりにくくなるとか,そういう程度だったので,なかなか気付いてもらえなかったんですよね(笑)。
そのせいでバグだと誤解を受けたりしたこともありましたが,それはストレス値がたまっているせいなんだよと。なので,今回はもうちょっときちんとコミュニケーションに繋がる仕様にしたんです。
4Gamer:
それは知りませんでした……そういえば,エンドレスキスをバグだと思い込んで,慌てて電源を切った知り合いがいました(笑)。
内田氏:
ラブプラスは視認できるゲージを極力廃しているので,そういうことも起きちゃうんですよね。やはり何でもかんでも数値が見えたら変ですから。(次のページへ続く)
キーワード
(c)2010 Konami Digital Entertainment
(C) 2010 Konami Digital Entertainment
(C)2010 Konami Digital Entertainment
(C) 2010 Konami Digital Entertainment
(C)2009 Konami Digital Entertainment