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[TGS2023] 5G SAなら混雑したイベント会場でもストリーミングプレイが快適に。ソニーとKDDIがXperiaブースで体験デモを公開
まずは,簡単に5G SAについておさらいしよう。5G SAは,5G用の基地局とコア設備を組み合わせて通信を行う方式で,4G用のコア設備を使う「5G NSA」と比べて,さまざまな状況に対応しやすくなる。KDDIでは,2023年4月から一般消費者向けにサービスを提供している。
5G SAでとくに重要な技術が「ネットワークスライシング」で,通信を行うユーザーそれぞれに対して,仮想的に独立したネットワーク(ネットワークスライス)を構築できるというものだ。たとえば,遅延はあるけど帯域幅が広く,大容量通信ができるネットワークスライススライス,容量は少ないが低遅延で通信できるネットワークスライスなど用途に合わせて設計できる。
ソニーとKDDIは,これまでもたびたび5G SAを使った実証実験の成果を披露しており,4Gamer.netでも紹介している(関連記事)。今回の実験は,イベント会場から自宅のPS5に接続してリモートでゲームをプレイするという想定で,混雑した環境でも安定して通信できたというのが見どころだ。ただ,実験は混雑した状況に近い負荷をかけて行っており,実際のイベント会場で行ったものではないそうだ。
そこで,実際に混雑するイベントであるTGS 2023での動作デモを実施しているわけだ。もちろん,実験の成果を体験してもらいたいという狙いはあるだろうが,それ以上に実際のイベント会場での検証は得るものが多いのだろう。
Xperiaブースでは,虎ノ門に設置したPS5でゲームを配信しており,TGS 2023会場にある「Xperia 1 V」でリモートプレイできる。なお,中継する基地局は,イベント専用に設けられたものではなく,既設のものを使用しているのもポイントだ。
ストリーミングではないPS5でのゲームプレイと比べると,とても微妙なレベルで遅延を感じる。プレイしたのが「ストリートファイター6」だったので,気が付きやすかったこともあるが,言葉で説明すると「低遅延を謳うキャプチャデバイスからの映像をOBSで見ながらプレイするときに感じる遅延の70%くらい」の遅延があった。とくにシビアな操作が求められる格闘ゲームやFPS以外のジャンルであれば,問題なくプレイできそうな印象だ。
また,今回の実験では,「ゲーム体感レベル」という快適さの指標を設け,通信の混雑傾向の相関関係を確かめながら検証を進めたという。ゲーム体感レベルは,5段階の評価になっており,具体的な値ではなく,文字通り体感的なものでレベルを決めているようだ。プレイするゲームのジャンルや,プレイする環境でも感覚が異なるので,体感ベースでの評価は妥当だろう。
今後もゲーム体感レベルを評価軸に据えるとのことだ。
KDDIによると,2023年9月に検証を完了して,2024年度以降にネットワークスライス段階的な提供を予定するという。ソニーは,PlayStation Plusでクラウドストリーミングを提供しているが,これにKDDIがゲーム用のネットワークスライスを用意するといったことも考えられる。ただ,ゲーマーからすれば遅延があるのかないのか,快適にゲームできるのかが大事であって,ネットワークスライスについては「そんなものもあるのだな」くらいの認識でいい。やや専門的な要素を含む解説動画もあるので興味をもったらチェックしてみるといいだろう。
ソニー公式Webサイト
KDDI公式Webサイト
4Gamer「東京ゲームショウ2023」掲載記事一覧
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