プレイレポート
西川善司,iOS版「ソーサリアン」をプレイする。名曲の調べとともに蘇る1980年代の最高峰RPG
ソーサリアンとPC-8801FHとX1turboとワタシ
無思考に何でも「そうさ!」と同意してしまう人のことをソーサリアンと呼ぶことがあるのかどうかについて筆者はそれほど詳しくはないが,一般にソーサリアンというと日本ファルコムが1987年から1988年くらいに和製パソコン向けに広くリリースした名作アクションRPGを指す。
ソーサリアンは,「イース」「ロマンシア」「ザナドゥ」などと並んで「ファルコム黄金期」を支えた名作として人々に記憶されていると思うが,この歴史的作品がついにiOSへ移植されることになったのだ。
筆者は,8ビットパソコン時代に5.25インチフロッピーディスクを入れ替え差し替え,夢中になって遊んだ世代の人間だ。個人的な事情で恐縮だが,軽くソーサリアンの思い出エピソードを語らせてもらおう。
1987年,ソーサリアンは,まずNECの8ビットパソコンPC-8801シリーズ専用タイトルとしてリリースされたのだが,当時,筆者はシャープの8ビットパソコンであるX1turboユーザーだったので,ソーサリアンをプレイできなかったのである。悔しかった。その頃高校生だった自分は,ソーサリアンのために春休みにアルバイトをしてPC-8801FHを購入するのであった。めでたく,PC8801FHを手にしてソーサリアンをプレイしている最中,X1turbo版への移植のニュースを知り,唇を出血するほど噛み締めたのであった。
ソーサリアンってどんなゲーム?
ソーサリアンは,「1本の太い物語があって,最後にボスを倒して世界が平和になりました」といった内容ではなく,プレイ時間が数時間(慣れれば数十分)程度の1話完結型のショートシナリオを複数内蔵した,いうなれば短編集スタイルのRPGだ。
イメージ的には,架空の旅人達の町「ペンタウァの町」に居合わせた冒険者達がパーティを作って,世界各地へ事件解決や冒険に出かける……という感じだ。キャラクターはFIGHTER(戦士),WIZARD(魔法使い),DWARF(ドワーフ),ELF(エルフ)の4タイプから選んで自由な名前を付け,ある程度の範囲でパラメータエディットを行って作ることになる。
なお,各種族には男女の設定もあって見た目が異なる。ちなみに,プレイヤーキャラクターにグラフィックスのバリエーションがあるというのは,当時としては画期的なことだったのだ。
また,ゲーム上ではショートシナリオであっても,ゲームの世界観としては「冒険に出かける=1年が経過する」という設定も独特だ。各キャラクターには年齢という概念があって,冒険に出かける(シナリオをプレイする)たびに1歳,年を取る。初期設定は16歳。戦士と魔法使いは人間なので,60歳以上になると老衰で死ぬこともある(老衰で死ぬと子供を作ることが可能:世代交代システム)。ドワーフは人間の約2倍,エルフは約3倍長寿命で,その分,老化スピードも遅い。ちゃんと年を取ると老齢のグラフィックスになるあたりも凝っている。
また,別のシナリオでは,NPCがパーティに加わったりすることがあるため,より少ない人数編成にしなければならない場合もある。
移植開発元のアエリアでiOS版ソーサリアンを体験してきたゾ!
まず,起動すると「♪レソラシ・ソラシドシラシ〜」のオープニング曲がかかり,懐かしさ一杯の気分に包まれる。
ベースとなっているのは2000年に発売されたWindows用「ソーサリアン・オリジナル」とのことで,これをiOSへ最適化をする形で移植しているという。
iOS版ということで,操作系は当然タッチ仕様。最近のゲームに慣れていると,文字ばっかりのメニュー画面に驚くかもしれないが,オリジナル版は本当にこんな感じのデザインだったのだ。当時は画面解像度が640×200ドット)程度だったので,情報量の多いゲームは文字ばかりになりがちだったのである。
当時のレトロな雰囲気がそのまま甦っているという感じだが,華やかな画面に慣れ親しんだ最近のゲームファンにはちょっと寂しく映るかもしれない。
移動先や攻撃対象を直接するようなタッチ操作には対応しておらず,このバーチャルゲームパッドを使用してプレイしなければならない。アエリアの担当者によればいろいろと検討した結果,こうした仕様が最適解だと判断したとのこと。なお,バーチャルゲームパッドの表示位置などをカスタマイズすることは可能だ。
肝心の操作感は,筆者がiOS機器(iPad,iPhone)に慣れていない部分も大きかったのと,当時のキーボード/ジョイパッドでのプレイイメージが強すぎたため,筆者個人の感想としては操作が少々難しいという印象を受けた。とはいえ,慣れさえすればちゃんとプレイできるようになるとも感じた。まあ,これを買うような人はタッチパネルを使い慣れていると思うので,もっと違和感は少ないのかもしれない。
また,携帯電話での使用を前提としているためか,セーブはリアルタイムのオートセーブになっており,ちょっと手を止めてゲームを終了しても,次回は続きからプレイ可能になっている。ただ,これは,ある意味ではゲームを難しくしているといえるかもしれない。もともとが「リセット上等」なゲームだっただけに,辛い局面も出てきそうだ。ただ,多くのプレイヤーが目指すであろう「不老不死」などについては,別途救済策が用意されるとのことである。
シナリオは5本単位の追加パックで提供
なお,今回リリースされるiOS版はダウンロードサイズと単価を引き下げるべく,1ダウンロード当たり,5本単位のシナリオがプレイできるパッケージ構成になっているとのこと。ゲーム本体となる部分のリリースは2012年初頭の予定。これには5本のシナリオが入っている。発売後の反響やリクエストによっては拡張シナリオのリリースやシナリオコンテストなども検討したいとのことだ。
筆者は今,当時のPC-8801FHのときのように,iPadを買おうかと検討中だ(笑)。
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ソーサリアン for iOS
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