インタビュー
[G-Star 2014]「Tree of Savior」開発インタビュー。80種のクラスを揃えた期待の新作MMORPGはあまりにもユニークな内容だった
関連記事:
「Tree of Savior」の最新プロモーションムービーを入手。ドットグラフィックスで描かれる期待のアクションMMORPGは現在こうなっている
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まず,お二人はTree of Saviorではどういう役割分担になっているのでしょうか。
最初は技術的な部分を見ていたのですが,最近ではアドバイスするくらいですね。基本的に,プロデューサーとディレクターの部分は彼(キム・セヨン氏)に任せています。
4Gamer:
どうして,このゲームを作ろうと思ったのでしょうか。
キム・セヨン氏:
最近は画面を見てもどのゲームか分からないものが多かったので,画面を見ただけで「あのゲームだ」と分かるような作品を作りたいと思いました。ハイエンドなゲームが増えてきて,グラフィックスそのものは綺麗になりましたけど,ゲームの内容自体は大差ないものが多いという気持ちもありました。
4Gamer:
なるほど。
ゲーム自体はクラシックに,サーバーなどはハイエンドにという方向で作ったのが本作になります。実は本作では,プレイヤーの行動のほとんどがデータベースに記録されているんですよ。
4Gamer:
つまり,プレイヤーのとった行動がいろいろな意味を持ってくる可能性があるわけですね。しかし,「ゲーム部分はクラシックに」とのことですが,アクション要素はどうなんでしょう。
キム・セヨン氏:
アクション性は少しありますが,あまり大きなものではありません。アクション中心のゲームではなくて,ある程度の緊張感を維持するためにアクション性を盛り込んでいる感じです。
4Gamer:
日本では本作を「新しい世代のラグナロクオンライン」だと捉えている人が多いのですが,ラグナロクオンラインを作った当事者から見て,どうですか?
ラグナロクオンラインをずっとやっていた人達だと,もうすることがあまりないでしょうから,そういう人達にこのゲームをプレイしてほしいと思っています。
キム・セヨン氏:
個人的にはラグナロクよりも,以前に作った「アクロス」というゲームに近いと思っています。キャラクターが跳ぶとか,方向キーで移動するといったシステムの部分とか,実際に博物館にあるようなアイテムを使うとか,世界観などが近いんです。
キム・ハッキュ氏:
アクロスはあまりプレイヤーがいなかったので,知られていないかもしれませんが,確かにストーリーなどもアクロスに似ていますね。
4Gamer:
本作のストーリーはどうなっているんでしょうか。背景的な部分を教えてください。
キム・ハッキュ氏:
モンスターやマップを見ると分かるように,植物が非常に多いんです。女神が消えて植物に覆われてしまった世界での冒険を描いています。
4Gamer:
それがタイトルである,Tree of Saviorにつながっているのですね。
キム・セヨン氏:
はい。ゲーム内にすごく大きな樹があり,その秘密を探していく物語になっています。
4Gamer:
女神が消えたということなのですが,ムービーに出てくる羽根の生えた人は女神ではないのですか?
キム・セヨン氏:
それは運命の女神ですね。ゲーム内で予言をしてプレイヤーに試練を与える存在です。リトアニアの神話に由来するものですが,ゲーム内にはいろいろな女神が出てきます。
4Gamer:
消えたのは女神のうちの一人ということですね。では,改めて本作の特徴を教えてもらえますか。
キム・セヨン氏:
Tree of Saviorは3つの特徴を持っています。まず,ほかのゲームとは違った見ばえになっていること,選択肢や楽しめる要素が多いこと,そしてプレイヤーがなんでもできるくらいに自由度が高いことです。
簡単に説明するのは難しいのですが,MMORPGの基本を作りたかったのです。ゲームの中でいろんな人達がいろんな役割を果たせるようにしたかったというのもありますね。クラスが80種類あるのも,いろいろな役割を作りたかったからです。
4Gamer:
その80種類のクラスというのは,本作の大きな特徴だと思うのですが,大きな分類はありますか? どういう構成になっているのでしょうか。
クラスには,ナイト,ウィザード,アーチャー,ヒーラーといった基本の4種類があります。それぞれに20種類のクラスがあって,合計で80種類になっています。
4Gamer:
なるほど。その中で,ほかのゲームにはまずないだろうというようなクラスはありますか。
キム・セヨン氏:
本当に聞いたことのないようなものがたくさんあると思いますよ。例えば,「パイドパイパー」ですね。これは「ハーメルンの笛吹き」のように,笛を吹いてモンスターを操るクラスです。
4Gamer:
ムービーにも出ていましたね。笛を吹いてモンスターをたくさん連れていたのは印象的でした。
キム・セヨン氏:
このクラスは笛を吹くだけで,攻撃などはとくにできません。
4Gamer:
ちなみに,このクラスはさっきの4分類ではどれにあたるのでしょうか。ヒーラー系ですか。
実は弓の系列です。笛を使ってモンスターを引き連れて移動できますが,それだけではなくて,モンスターに攻撃させたりなどの操作ができます。
4Gamer:
ほかには何かありますか。
キム・セヨン氏:
「コルセア」はどうでしょうか。このキャラクターは海賊のリーダーで,このクラスがパーティを作ると,パーティ全員が海賊になります。
4Gamer:
面白いですね。ほかはどうですか。
キム・セヨン氏:
そうですね。例えば「パラディン」は,戦えるヒーラーです。スキルを使って丸い光を作り出すと,その中に敵が入ってこれないのですが,内側からは攻撃できるため,非常に便利です。
また「リンカー」は敵同士をつなぐことができるクラスです。リンクしたモンスターは,一匹を攻撃すると全体にダメージを与えることができます。また,味方同士をつなぐと,パーティでHPやバフを共有できるようになります。
そのほか,「シノビ」は分身の術を使った攻撃をしたり,「ソーマタージ」は身体の一部を変化させたりできます。
4Gamer:
身体をどのように変化させるのですか。
キム・セヨン氏:
例えば,手を大きくすると攻撃力が上がったり,頭を大きくすると知能が上がったりするわけです。敵を小さくして弱くすることもできますので,狩りでは非常に役に立つクラスです。
4Gamer:
大きくしたり小さくしたりするクラスですか。敵を大きくすることもできるのでしょうか。
はい。どんどん大きくしていくと最後には破裂してしまいます。
4Gamer:
なるほど。モンスターを大きくしてパイドパイパーで操作するなんてのもできそうですね。ボスモンスターも小さくできたりするのでしょうか。
キム・セヨン氏:
現在はボスも小さくできますが,今後なんらかの制限を入れる予定です。
4Gamer:
ほかになにか特徴的なクラスがあったら,教えてください。
キム・セヨン氏:
「マーミロ」は,魚人という設定で,魚の頭をかぶるとステータスが上がるクラスです。近距離の戦士なのですが,離れたところから飛び込んで攻撃を行うこともできます。その分リスクもありますが。
「センチュリオン」は,パーティメンバーを操ることができるクラスです。フォーメーションを組んで移動や攻撃を行えます。いろいろなフォーメーションがあり,数字の書かれたマス目を2つクリックすると,メンバーの場所を入れ替えることができます。
4Gamer:
操られている間,ほかのプレイヤーはなにもできないのですか?
キム・セヨン氏:
プレイヤーが操作すれば,フォーメーションから抜けますので,独自に攻撃することもできますよ。現在,実際に使われていた陣形を再現できるようにしようとしているところです。
ほかにも「ドルイド」は植物を操るほか,モンスターに変身することができますよ。「ティルトルビー」というクラスは,リトアニアに実際に存在する職業で,木で像を作ります。ゲーム内では神の像を使ってワープができるのですが,手元にないときにはこのクラスが像を作ってワープできます。
「オラクル」は,予知できるクラスです。モンスターが攻撃をする場所が事前に分かったり,そのモンスターを倒すとどんなアイテムが出るかが表示されたりします。そのモンスターが気に入らなかったら,別のモンスターに変更することもできます。
そのほか,幽体離脱をするようなクラスもありますよ(笑)。開発者ブログにいろいろ掲載されていますので参考にしてください。
「Tree of Savior」開発者ブログ(英語)
4Gamer:
本当にたくさんのクラスがありますね。
キム・セヨン氏:
攻撃方法が違うだけでなく,いろんな役割を果たせるように考えてありますので,楽しんでいただけると思っています。
先ほどコルセアがいるとパーティ全員が海賊になると紹介しましたが,同じ海賊でも,宝物を埋めるとか,海賊旗を使うとか,それぞれの役割をこなすようになります。
4Gamer:
そういうのも楽しそうですね。
キム・セヨン氏:
ボス戦も「この組み合わせでないと倒せない」といったことはありません。いろいろな組み合わせで倒せます。
4Gamer:
しかし,こういったさまざまなクラスはどうやって思いつくんですか。みんなで考えて,持ち寄ったとか。
キム・セヨン氏:
基本的に私一人で考えたものです。どうやったら面白くなるかと,いつも考えています。
4Gamer:
バランスを取るのは難しくありませんか。
キム・セヨン氏:
バランスの問題は,例えば10個のクラスが同じ役割をしているときに出るものであり,本作では最初から役割が違いますので,一般的なバランスの論議は成り立たないのではないかと思います。
キム・ハッキュ氏:
どれも同じ攻撃をするのであれば,みんな最も強いクラスを選ぶでしょうが,本当にさまざまな役割がありますので,バランスの問題は出てこないと思います。
4Gamer:
なるほど。
いろいろなクラスがあり,現在はそれらのクラスを組み合わせて,どうやってさまざまな状況を解決していくかを考えているところです。開発者の想定を超えるような,スーパープレイが出てくることに期待しています。ユーザーがどうやってプレイしてくれるのか,本当に楽しみなんですよ。
4Gamer:
ゲームの進行は,MMOフィールドで行われるのでしょうか。それともインスタンスが中心なのでしょうか。
キム・ハッキュ氏:
基本的に,ほとんどがMMOフィールドで行われます。クエストのボスについてはインスタンス扱いですが,フィールドのボスはMMOエリアにいますので,大勢で戦うこともできます。
4Gamer:
戦闘以外の要素について教えていただけますか。
キム・セヨン氏:
クローズドβテストの段階では,戦闘に特化して実装しています。いろんなことを考えていますが,基本的なところを整えてからほかの部分を加えていく予定です。
4Gamer:
分かりました。現在の完成度はどれくらいでしょうか。
キム・ハッキュ氏:
CBTに向けたものはすでに完成していますので,あとはその反響を見て調整していきます。
4Gamer:
今後さらにクラスが増えたりするのでしょうか。
当面はクラスを増やすことよりも,現在ある80クラスがそれぞれの役割を十分発揮できるようにすることに注力したいと思っています。
4Gamer:
ところで,本作の韓国内でのサービスはNexon Koreaが担当すると発表されましたが,日本サービスについてはどうなのでしょう。
キム・ハッキュ氏:
まだ決定していませんが,韓国と同様にネクソンになる可能性が高そうです。
4Gamer:
なるほど。では,最後に本作に期待している4Gamer読者に向けてなにかコメントをいただけますか。
キム・セヨン氏:
日本の方々に大きな期待を受けているので,そういった人達に楽しんでもらえるようなゲームにしていきたいです。
キム・ハッキュ氏:
多くの方に期待されていて光栄に思っています。日本でも多くの方に楽しんでもらえるように頑張ります。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
- 関連タイトル:
Tree of Savior Japan
- この記事のURL:
キーワード
COPYRIGHT IMC GAMES CO.,LTD ALL RIGHTS RESERVED.