プレイレポート
可愛らしい2Dグラフィックスと意欲的なシステムが取り入れられた「Tree of Savior」がついにお披露目。大盛況のクローズドβテストをレポート
ToSは,黎明期の人気MMORPGを手がけたことで知られるキム・ハッキュ氏率いるIMC Gamesが開発しているタイトルで,2011年の初公開時から高い注目を集めてきたが,今回ついに一般プレイヤーが遊べる機会が国内で設けられたのだ。そこで確認できた本作の魅力の数々を紹介していこう。
2D+3Dのこだわりによって実現した“究極の可愛さ”
そんな中,プレイヤーキャラクターは突然,夢の中で啓示を受ける。そして失踪していたとされる女神の一人の“ライマ”に救済者として見出され,世界を救うべく旅立つのだ。
ゲームをスタートして,最初に多くの人の目を引くことになるのは,やはり可愛らしい2Dキャラクターであろう。過去の取材記事でも紹介しているが,ToSのキャラクターは,“究極の可愛さ”を目指して,いったん3Dでモデリングされたデータを2Dのドット絵に落とし込むというプロセスを経て,一枚一枚丁寧に作られている。この手法により,緻密さと暖かさを兼ね添えたキャラクターを実現しているのだ。
躍動感溢れるモーションやコロコロと変わる表情,ジャンプからの着地時にふわりとなびく髪の毛や服の裾など,2Dながら非常に細かく描き込まれており,筆者はメインシナリオの進行やレベル上げそっちのけで,キャラクターの一挙一動に目が釘付けになってしまった。
ゲーム画面は見下ろし視点で固定となっており,2Dのグラフィックスと合わさって懐かしさを感じるテイストだ。ただ,マップやオブジェクトは一見2Dだが,実際は3Dで処理されており,段差のある地形を駆け下りてショートカットを行ったり,ちょっとした障害物をジャンプで飛び越したりできる。見下ろし視点のMMORPGとしては新鮮に感じられる部分だ。
操作はキーボードのみで行う「カーソルモード」と遠距離職向きの「マウスモード」
操作方法は,「カーソルモード」と「マウスモード」,そして「ジョイパッドモード」の3種類が用意されている。カーソルモードは,ゲーム中の操作のほぼすべてをキーボードで行うモードで,キャラクターの移動もカーソルキーで行う。このモードは,クラシカルなアクションRPGを表現するために,「8方向の移動入力」ができるよう採用しているそうで,実際,細かな移動はしやすい。
ただ,このモードで遠距離攻撃をしようとすると,基本的に近くにいる相手をターゲットしてしまうので,狙いたい敵を攻撃するのに向いていないのが難点だ。
一方マウスモードは,移動やターゲット操作をマウスで行うというもの。こちらはマウスカーソルを敵に重ねるだけでターゲットが指定でき,密集した敵や離れている敵でも直感的に狙えるので,遠距離攻撃を行うキャラクターとの相性がすこぶる良い。ウィザードで範囲攻撃を行ったり,アーチャーで“引き撃ち”するのも簡単だ。
しかし,ソードマンの場合は,カーソルモードなら移動キーを2回連続で押すことでダッシュが行えるのだが,マウスモードだとマウス操作だけではダッシュできない。この辺りの操作周りは,今後まだまだ調整が入りそうだが,基本的に近接クラスならカーソルモード,遠距離クラスならマウスモードが向いているかと思う。
開発者が「アクションRPGを作りたかった」と話しているだけあって,全体的に操作のレスポンスは良好だ。見た目が2Dということもあって,アクションに関していえば「聖剣伝説」や「イース」シリーズをオンラインRPGとして正当進化させたらこうなるのかな,などと考えてしまった。
独特なプレイフィールを持った4つの基本クラス
ToSではキャラクター作成時に,ソードマン,アーチャー,クレリック,ウィザードの4つから基本クラスを選ぶ。プレイヤーキャラクターには「キャラクターレベル」と「クラスレベル」が別々に用意されており,冒険を通じてそれぞれがレベルアップしていく。
キャラクターレベルが上がるとステータスポイントを,そしてクラスレベルが上がるとスキルポイントを獲得し,プレイヤーは任意に割り振れる。これらはMMORPGの定番システムなので,とくに戸惑うことはないだろう。
各基本クラスのプレイフィールはそれぞれ大きく異なる。実際のプレイ時は,それぞれ軽く触ってみてからメインを決めることをオススメしたい。それぞれのプレイムービーも「こちら」に掲載しているので,併せてチェックしてみてほしい。
“クラス”と“サークル”の取捨選択が悩ましい育成システム
育成を経てクラスレベルが15に達すると,キャラクターは次の“ランク”に到達し,ここでクラスが再び選択可能となる。ソードマンを例に上げると,2ランクの到達時は両手剣のアタッカー系クラス「ハイランダー」と,片手剣&盾のタンク系クラス「ペルタスト」を選択可能になる。
これだけでは“上位クラスへの転職”をイメージするかもしれないが,ToSの面白いところは,ソードマンをもう一度選ぶという選択肢も用意されていること。この場合ソードマンは“2サークル”という扱いになり,アクティブスキルのレベルキャップが引き上げられるほか,新たなスキルも習得可能となり,さらに強くなれるのだ。ひとつのクラスは,最終的に3サークルまで上げられる。
クローズドβテストの時点では6ランクまで用意されており,それぞれで新しいクラス(2種類)が追加で選べる。思わずいろいろなクラスを試してみたくなるが,サークル上昇に伴う恩恵は大きい。また,ショートカットを登録するスロット数には限りがあるので,やたらと多くのクラスを選ぶことはベストと言い難い。いずれにせよ,新たなランク到達時におけるクラスとサークルの選択は,育成時に頭を悩ませることになりそうだ。
自由度が高い装備アイテム
装備アイテムの自由度が高いのもToSの特徴のひとつ。たとえば防具はクロース,レザー,プレートという3種別が用意されているが,クラスによる装備制限はなく,ウィザードがプレートの防具を装備することも可能だ。種別によって装備時の上昇パラメータが異なるので,ある程度の“お約束”は生まれそうだが,たとえばクレリックの場合は育成によって物理攻撃か魔法攻撃かに分かれるので,どの種別もイケると思われる。
武器に関しても,斬,突,打,魔の4属性に分けられており,攻撃対象によってダメージ量が変化する。例えば片手剣は斬属性で,クロースに対してはダメージ量が+50%上乗せされる一方,プレートに対しては−50%などといった具合だ。また,装備するために特性を習得する必要がある場合はあるが,多くの種別がクラスに関係なく装備できる。
今回のCBTでは実感できない部分だったが,状況に応じて“お約束”とは異なる装備が許容できるようになると,プレイスタイルの幅広さへとつながりそうなシステムだ。ToSにはPvPコンテンツも用意されているので,たとえばウィザードがソードマンを相手に戦うときは“斬”対策でプレートに着替える,などといったことが有効だと,装備にも悩まされそうである。
最後はボスモンスターが大挙して襲来。大混乱の中幕を閉じたCBT
救済者としてメインシナリオを進めつつ,サブクエストをこなすとキャラクターが成長。それに伴い活動範囲が広がるという,MMORPGとしては定番のゲーム展開となる |
チュートリアルを終えた辺りで,拠点エリアのクラペダに到着。ここには各種ショップやクラス別のトレーナー達が集まっており,CBTでは常に多くのキャラクターで賑わっていた |
キャラクターレベルが15前後で,最初のダンジョンに挑戦。ボスは手強く,ここでパーティプレイを初体験する人は多かったはず |
中ボスとのイベント戦は頻繁に発生するが,このときは随時インスタンス戦闘に切り替わる。マップの地形はそのままで,フィールドからイベント戦へと自然に移行してくれる |
メインシナリオやクエストは,現地での目的を終えたら[Backspace]キーを押すだけで完了報告のNPCがいる場所へワープできる。テンポ良く進められ,しかも過度なサポートではないのが好印象 |
新たなエリアに到達したら女神像への祈りを捧げることを忘れずに。以降はウェイポイントとして,マップ間のショートカット移動が行える |
インベントリ内の収納は,アイテム取得時に種別ごとに自動で分けられる。ものぐさな筆者には大助かりのシステムだった |
パーティの作成時,クエストなどの目的や参加可能レベルなどといった条件を細かく設定できる。条件を満たすキャラクターが画面内に入ると,その場で参加要請が行える |
このまま最後まで妥協せずに作り込んでくれることを期待
ToSは,ぱっと見では懐かしさすら感じさせるグラフィックスが目を引くが,じっくり見ていくと意欲的なシステムが数多く取り入れられている。それでいてゲームの手触りは遊びやすく整えられており,古さと新しさが共存したMMORPGだと思えた。
そして何より,2Dで描かれたキャラクターは非常に魅力的だ。今後,2次CBTが行われるのかオープンβテストが実施されるのかは分からないが,少しでも本作が気になっている人は,次の機会にぜひ遊んでもらいたい。
また今回のCBTでは,ゲーム内のテキスト翻訳に不備はほとんど見られず,日本語ボイスも収録されており,2016年の正式サービスに向けて,着々と準備が進んでいるようにも感じられた。続報が楽しみである。
「Tree of Savior」公式サイト
- 関連タイトル:
Tree of Savior Japan
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