インタビュー
「Tree of Savior」で12月20日に大型アップデートが実施。新8次クラスの実装,そしてハクスラ要素の強化で,より遊びごたえのある内容に
今回4Gamerでは,ToSのプロジェクトマネージャーを務めるネクソンのToS運用チーム今濱隆一郎氏と細田 光氏に,このアップデートについて概要を聞いてきたので,さっそくその内容をお伝えしよう。
新8次クラスは各系列1種類ずつが追加
今回追加される新たな8次クラスは,ソードマン,ウィザード,クレリック,アーチャーの各系列に1種類ずつの計4クラス。またランクは従来の8から9に拡張される。
なお,今回のアップデートからランクシステムに変更が加えられることは公式サイトにてアナウンス済みだが,かいつまんで説明するとToSにおける最高クラスは8次クラスとなる。また変更後初のアップデートとなる今回は一挙に4クラス追加となったが,今後は定期的に1〜2クラスの実装(系列はローテーション)となり,8次だけでなく7次以下のクラスが新たに登場することもある。
その一方で,キャラクターランクはランク9以降も順次拡張される。したがって,例えば今回のアップデートであればランク8のサークル2スキル,あるいはランク7のサークル3スキルなども習得が可能となる。
まずソードマン系列の「マタドール」は,回避とクリティカル率に優れ,華麗かつ派手な攻撃スキルおよび挑発スキルを持つ。……という説明だけだと単純な近接攻撃クラスであるかのような印象を受けるが,実はかなりクセが強い。
マタドールのもっとも特徴的なスキル「ムレタ」は一定時間マントを構え,その間に敵から攻撃を受けるとカウンターで反撃し大ダメージを与えるというもの。反撃が成功するとムレタのクールタイムが発生しないため,連続で使用して大ダメージを与えられるのである。
ただしムレタを成功させるタイミングは結構シビアなので,敵のモーションを見極めなければならない。また敵の攻撃に対して回避に成功してしまうと,カウンターは発動せずムレタのクールタイムが発生してしまう。さらに敵の種族や攻撃属性によっては反撃できないため,敵の情報を熟知しておく必要もある。つまりマタドールが高い火力を出すためには,テクニックと運,そして知識が求められるのだ。
加えて,最大5体の敵を挑発するスキル「カポーテ」は,敵の命中率と回避率を下げる効果があるので,相対的にマタドールの回避成功率が上がってしまい,ムレタは使いにくくなる。
そうなるとほかのスキルに頼らざるを得なくなるのだが,マタドールは多段攻撃スキル「ファエナ」と前方の敵を打ち上げる「パソドブレ」(サークル2)の2つしか攻撃スキルを持っておらず,しかもいずれもクールタイムが長めで連発ができないと,なかなか悩ましいところだ。
「マタドールは,ボスモンスターにも効果のある挑発スキルを持ち,連続で大ダメージを与えられるカウンター攻撃スキルを持つ面白いクラスですが,一筋縄ではいきません。
また多段攻撃スキルのファエナは,補助武器を持たない状態だと攻撃力+50%という特性を持っています。つまり盾を持たないほうが攻撃力が上がりますから,防御はどうしても回避寄りになります。そうなると,ムレタの発動率が下がってしまい……と,良く言えば研究しがいのあるクラスになっています」(今濱氏)
基本となる攻撃スキル「シャドウソーン」は,単体の敵の影から棘を突き出すというシンプルな遠距離攻撃で,その威力は極めて強力。また,地上の敵に対して2連ヒットするという特性を持ち,とんでもないダメージを叩き出す。これほどまでに強力な理由は,今濱氏いわく「ウィザード系列の範囲攻撃スキルを1点集中させるとこのくらいになるはず」ということらしいが,真実は定かではない。
また前方範囲攻撃スキル「シャドウコンジュレーション」は,地上の敵に対して一定時間スリップダメージを与える。
さらに「シャドウコンデンセーション」(サークル2)は,敵の影を爆弾に変化させ,3秒後に爆発させるというスキル。ただし爆弾の位置は固定されるので,爆発前に敵が移動すると無駄になってしまう。
範囲攻撃に加え,スリップダメージも付与できる「シャドウコンジュレーション」 |
名前が似ていて分かりにくいが,こちらは「シャドウコンデンセーション」。敵の影を爆弾化する |
そこで敵を足止めするために活用したいのが,自分の影に潜って無敵移動を可能にする「シャドウプール」や,自分の影分身を作って敵のターゲットを移す「ハルシネーション」である。また「シャドウファッター」(サークル2)も,座標を指定して敵を足止めできる。これらのスキルはシャドウコンデンセーションに限らず,さまざまな攻撃スキルと組み合わせることができるだろう。
「これまで生産クラスや支援クラスをメインにしてきたキャラクターも,シャドウマンサーのシャドウソーンを習得するだけで火力攻撃クラスに匹敵するダメージを与えられます。さらに詠唱がなく,スキルが即時発動するところも使いやすいです。
また,空中の敵に対しては既存クラスであるリンカーのジョイントペナルティーで地上の敵とリンクさせると,大きなダメージを与えられます」(今濱氏)
代表的な攻撃スキルは「ファナティックイリュージョン」(サークル2)だ。これは,自分の周囲に雷を発生させるもので,移動しながら敵に接触させればダメージを与えられる。
ただファナティックイリュージョンを単体で発動させただけでは,それほど威力があるわけではない。そこで並行して発動したいのが,「ブラインドフェイス」(サークル2)である。このスキルは,自分の残りSPの半分を消費し,その消費量にスキルレベルに応じた係数をかけた属性追加ダメージを敵に与えるというもの。隣接しているだけで自動で何度もダメージが入るファナティックイリュージョンと,ブラインドフェイスの強烈な追加ダメージの組み合わせにより,継続的に敵を攻撃できるのである。
デメリットは,連続して使う場合にSP POTの大量消費が避けられないことだ。
スキル「ファナティックイリュージョン」。単体発動では,この程度の与ダメージだが…… |
スキル「ブラインドフェイス」を並行して発動すると,属性追加ダメージで大幅に火力を上げられる |
またスキル「ファナティシズム」は,15秒間さらに火力が上がる。スキルレベル10だと+55%アップというから破格の威力だが,その代わりに効果中は自分のHP回復が無効になるので,死と隣り合わせになる局面も多い。
さらにファナティックイリュージョンが発動している間に,敵にスリップダメージを与える「イモレーション」を使えば,比較的安全に追加ダメージを与えられる。しかし,このスキルは自分自身にもダメージがおよぶので,やはり使いどころを選ぶという印象だ。
「ジーロットは,リスクとリターンを管理しながら大きな火力で敵を攻撃するクラスです。個人的なオススメは,既存クラスのクリヴィスのサークル3で習得可能な『メルスティス』との組み合わせですね。ジーロットのスキルは基本的に持続系バフなので,メルスティスを使えばその持続時間を延ばせます。あとは『ブレッシング』を使えるプリーストは,精神が高くSPの最大値が増えるので相性がいいでしょう」(今濱氏)
スキルは単体攻撃や属性攻撃,広範囲攻撃,高威力連続攻撃,命中率アップと分かりやすいものが多い。モーションの派手さは,ToSの全クラスの中でもトップクラスの見栄えを誇る。
属性攻撃スキルのうち「テイズ」は,当たった敵に一定時間電流デバフを与え,攻撃がヒットするたびに雷属性の追加ダメージが発生する(回数上限あり)。そのため,スリップダメージを与える「スマッシュバレット」(サークル2)など攻撃回数の多いスキルと相性がいい。
またダブルガンスタンス専用スキルのうち,広範囲攻撃スキル「ブラッディオーバードライブ」と,4連続攻撃スキル「モザンビークドリル」(サークル2)は,跳弾特性を持っており,敵に当たった弾が一定確率で跳ね返りほかの敵に当たる。
とくにブラッディオーバードライブは,効果範囲内にできるだけ多くの敵をまとめてから発動すると,それぞれで跳弾が発生して,相乗効果で大ダメージを期待できる。
加えてモザンビークドリルはクールタイムが短いので,ブラッディオーバードライブで倒し損ねた敵を1体ずつ始末するのに向いている。
「バレットマーカーは,クロスボウなどの武器限定スキルでないかぎり,アーチャー系列のスキルをダブルガンスタンスのまま使えます。したがって,アーチャーの『スウィフトステップ』やクォレルシューターの『ランニングショット』(サークル3)を使うと,マップ上を走り抜けながら複数の敵を攻撃するという非常に爽快なプレイを楽しめます。
またアーチャーの『ニーリングショット』(サークル2)も使えますし,同じ拳銃使いであるシュヴァルツライターのスキルもほとんど使用できます」(今濱氏)
未鑑定アイテムの仕様変更と「再鑑定機能」の実装でハクスラ要素を大幅強化
今回のアップデートでは,キャラクターおよびコンパニオンのレベルキャップが従来のレベル330からレベル360まで引き上げられる。それに合わせてレベル330以上対象の新地域が15か所追加となり,関連するストーリーとクエストも一挙に追加される。
さらに推奨レベル340のフリーダンジョンも新たに実装される。
また従来はフリーダンジョンでのみ入手可能だった未鑑定アイテムが,今後は通常フィールドでも低確率で入手できるようになる。
加えて未鑑定アイテム自体の仕様も変更となり,「ランダムオプション機能」が実装。この機能により,今後は鑑定すると力,知能,精神,クリティカル発生といった直接戦闘性能を上げるオプションがランダムで付与されるようになる。ただし,1つの装備に同じ種類のオプションが重複することはない。
付与されるオプションの数は装備の種類により決まっており,片手武器は1〜4個,両手武器は3〜6個,防具は1部位につき1〜4個となっている。また,防具には未鑑定アイテムのドロップ率を上昇させるオプション「ルーティングチャンス」が付与される可能性がある。
「ルーティングチャンスは防具の各部位に付くオプションで,効果は累積します。全4部位にルーティングチャンスが付いていれば,かなり未鑑定アイテムを入手しやすくなります」(細田氏)
さらに,これらのオプションを上書き変更する「再鑑定機能」も追加される。この機能は,不要な鑑定済み装備を分解して得られるリソースアイテムを消費して利用できる。
再鑑定によって付与されるオプションの総数は,再鑑定前の状態と同じだ。加えて,各オプションは色によってグループ分けされており,変更は同一グループ内のみで行われる。例えば敏捷,精神,知能,力,体力などのステータスは緑グループであり,再鑑定すると同じ緑グループに属するいずれかに変更されるというわけだ。
新コンテンツとしては,「チャレンジモード」が実装に。このコンテンツはレベル200以上のフィールドで発生するもので,紫色の光を放つ特殊なモンスターを討伐すると専用のポータルが出現する。
ポータルは10分間開いており,その間は誰でも入場可能だ。パーティを組んでいる場合は,パーティメンバーで同じフィールドに入れる。
チャレンジモード中は,入場したフィールドと同じモンスターが登場し,これを倒すと「チャレンジレベルゲージ」が溜まっていく。チャレンジレベルゲージは5段階の目盛りが刻まれており,制限時間10分以内に目盛り1つ分のゲージを満たせないか,もしくはパーティメンバー全員が戦闘不能になると失敗となる。
チャレンジレベルゲージをMAXにすると,ボスモンスターが登場。見事討伐すると,報酬を受け取ってチャレンジモードを終了するか,ステップアップするかを選択することとなる。
ステップアップを選択した場合は次のステップに進み,チャレンジレベルが上がって敵が強くなるとともに,未鑑定アイテムのルーティングチャンスも増加する。ステップは最大5まで存在し,未鑑定アイテムの入手確率も相当に上がるとのことだ。
「チャレンジモードでは,敵がけっこう強めに設定されています。ですから,ポータルが出現したら周囲にいるプレイヤーとパーティを組んで挑んだほうがいいでしょう」(細田氏)
もう1つの新コンテンツ「ユニークレイドダンジョン」はレベル330以上が対象となる。このダンジョンは,従来のインスタンスダンジョンのような1日あたりの入場回数制限がないのだが,その代わりに「レイドポータルストーン」が必要となる。また入場回数が増えるに応じて,必要なレイドポータルストーンの数も増えていく(翌日になると,必要数はリセットされる)。
なお,レイドポータルストーンの製造書は,上記のチャレンジモードで入手することとなる。
ユニークレイドダンジョンは,内部に仕掛けられたさまざまなギミックを攻略して,最深部にいるボスモンスターの討伐を目指すという内容だ。このダンジョンでは,新たなレベル350装備のレシピと素材を入手できるが,これらの装備は現時点での最強となるだけに,入手難度も相当高くなるという。
「オプションの内容次第では,レシピから作るレベル350装備より,未鑑定装備のほうが強くなる可能性もあります。ただ,私もテスト環境で何度も再鑑定を試みたのですが,思うようなオプションの組み合わせはまったくできませんでした。運に自信のある方は,ぜひ挑戦してみてください」(細田氏)
そのほか今回のアップデートでは,インスタンスダンジョン入場地域の集約や,超越関連アイテムの取引解禁なども行われる。
さらにコンパニオンの名前変更機能追加,チームバトルリーグの環境改善,トークンの効果変更,戦闘ペナルティの変更,ソーサラー/ネクロマンサー/ボコルで召喚獣の動作を改善するスキルの追加,各種スキル調整,そして釣りの「魚拓」システム追加なども行われる予定だ。
「超越関連アイテムの取り引きについては,長らくプレイヤーの皆さんからリクエストが寄せられていましたが,今回のアップデートで制限を撤廃することにしました。解禁に至った理由は,今回のアップデートで実装されるフリーダンジョンにて,『祝福された欠片』が通常ドロップされるようになるからです。今後は狩りをすればするほど祝福のかけらを入手できる可能性が増えます。
戦闘ペナルティの変更では,ユニークレイドダンジョンでプレイヤーが倒されると,シルバーをドロップしてしまう可能性があります。倉庫などに退避しておく必要が生ずるでしょう。
召喚獣スキルに関しては,ターゲットを選択できるようになったり,必要ないときは召喚獣を引っ込めたりできるようになります」(細田氏)
今回のアップデートで追加される未鑑定アイテムの仕様変更および再鑑定機能により,ようやくハック&スラッシュタイプのMMORPGとしての側面が大きく改善されることになる。今濱氏と細田氏によると,実は約1年前から企画が始まっていたとのことで,不要な鑑定済みアイテムを活用するシステムなどの用意も含め,今回ようやく実装に至ったという。
なお,今回のアップデートをもってToSのプロジェクトマネージャーの座は,今濱氏から細田氏に移行することとなる。ただし,今濱氏は完全にToSから離れるわけではなく,今後も関連する事業に関わっていくそうだ。細田氏率いる新たな運用チーム体制の展開にも期待したい。
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