インタビュー
10月27日に正式サービス開始の「ラグナロクオンライン ギルドマスターズ」。ブラウザゲームにした理由や今後の展開をガンホースタッフに聞いてみた
本作は,10月19日〜24日にプレオープンサービスが実施されており,そちらをプレイしたROファンも多いだろう。そのプレオープン初日は,サーバーが重くてなかなかゲームが進まないなどのトラブルもあったのだが,ROとの連動アイテムが存在するなど,ROプレイヤーからは当然注目されていたタイトルだけに,やはり多くの同時接続があったのではないだろうか。
その翌日となる10月20日,ROならびにROGMを運営するガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下,ガンホー)のオンライン本部本部長の飯野 平氏と,ROGMの開発を担当している廣瀬高志氏に,ROGMについて,なぜ本作をブラウザゲームとして展開することにしたのか,今後の展開はどうなるのかといった話を聞いてきた。
「ラグナロクオンライン ギルドマスターズ」公式サイト
サービス開始から10年を向かえるRO
時代のニーズに合わせて生まれたギルドマスターズ
今年の12月に9th Anniversary,そして2012年には10周年という区切りの年を迎えるRO。PC本編を中心にDS用ソフト「ラグナロクオンラインDS」や10月27日発売のPSP用ソフト「ラグナロク 〜光と闇の皇女〜」,PlayStation Vita用ソフト「ラグナロク オデッセイ」,そして各種モバイル版など,より活発に幅広い展開が行われている。
しかしその一方で,10年というのはプレイヤー個々の生活環境に影響を与えるには十分な年月であり,さまざまな理由でROから離れてしまった人も少なくないだろう。
廣瀬氏は,そうしたROから離れているプレイヤーに,もう一度ROの世界に触れてほしいという思いで,インストールが不要かつ,誰でも簡単にプレイできるブラウザゲームの制作を進めてきたのだという。もちろん,ROを遊んでいるプレイヤーには空き時間にプレイできるもう一つのROとして,遊んだことがない人にも,手軽に遊べるブラウザゲームからROの世界に触れてほしいという狙いもある。
そしてもう一つの狙いとして,ギルドを運営するギルドマスターという役割を,多くのプレイヤーに体験してもらいたいのだという。
なお,本作はブラウザゲームということもあり,PCに限らずスマートフォンなどでのプレイも視野に入れている。ただプレイするだけであれば,現在でも可能なのだが,インタフェースの関係で実用はまだ厳しいとのこと。そこで,メニューの配置などを,iPhone/Androidといったスマートフォンに最適化したアプリの開発を進めているという。詳細や時期はまだ未定だが,続報に期待したい。
誰もがギルドマスターになって国家間の戦いに参加できるROGM
ROGMの序盤〜中盤は内政が中心となっているが,廣瀬氏は今後,ROのクエストやストーリーに連動した,ROGM専用のクエストなども実装していきたいと語った。
なお,異世界のラストダンジョンについてはまだ開発中で,詳細は未定となっている。実装について廣瀬氏は,正式スタート後の各国陣営の進捗状態や国家間のバランスを見ながら考えていくと話していた。またラストダンジョン攻略までのスパンは,大体3〜4か月ほどを見込んでいるが,プレイヤーがどの程度ゲームを進めているのかを見て,最終的なバランスを決定していくつもりだという。
「基本的には前線にいるプレイヤーさんに異世界に進行してもらって,ラストダンジョンに挑戦してほしいんです。しかし,そうすると中衛や後衛で遊んでいるプレイヤー(※)から,蚊帳の外とまでは言いませんが『俺達は内政しているから前衛の人頑張ってね!』といったように,攻略に対する温度差が出てしまうと思います。
そこで,中衛/後衛のプレイヤー用に攻略対象となるダンジョンを新たに設置し,そこを攻略した国から異世界のラストダンジョンに挑戦できるようにします。そうすることで,中衛や後衛のプレイヤーも前線から『頑張ってそっちの攻略よろしく』みたいに,国を挙げて異世界を制覇するという流れを作りたいと考えています」(廣瀬氏)
※新規プレイヤー登録時にギルドの本拠地を前衛/中衛/後衛から選択する。前衛はモンスターからの襲撃を受けやすいが,異世界やモンスターを攻撃するのに適しているといった要素も考えているとのこと
なお,ラストダンジョン攻略後の,次のシーズンへの引き継ぎについては,詳細は決められていないが,ギルドメンバーなどニーズの高いものはできるかぎり引き継げるようにしたいとのことだ。
ちなみにROとの連動については,10月15日に行われた「RWC2011パブリックビューイング&RAG-FES26 in Akihabara」で,11月16日からROで入手可能な3つのアイテムが登場することが発表されている(関連記事)。
このアイテムを手に入れるためには,ROGMで「魔石」というアイテムを入手しなくてならない。「魔石」はデイリークエストや,ダンジョン攻略に成功することで入手が可能だ。ダンジョンレベルに応じて入手できる個数が増えていくので,集めるついでにギルドメンバーの育成をしておくとちょうど良いだろう。
「ダンジョンはレベル1から10まであり,それぞれレベル×10階層となっています。つまりレベル10のダンジョンだと100階層までですね。ダンジョン攻略に成功して帰ってくると,そこそこの確率で魔石が手に入ります。獲得できる個数はダンジョンレベルに応じているので,高レベルのダンジョンで魔石が当たれば一気に集められます。今後のアップデートでは,消耗品なども含めてラインナップの充実を目指していき,ROGMでダンジョン攻略する見返りとしてROにアイテムを持っていけるというものも用意していこうと思っています」(廣瀬氏)
イラストで描かれた魅力あふれるギルドメンバー達
ROとの連動や各種クジも順次実装予定
ROGMのもう一つの特徴が,多数のイラストレーターによって描かれたギルドメンバーのイラストだ。実際にプレイしていると能力面もそうだが,イラストを見てあの職業が来てほしい,2次職よりも1次職(のイラスト)が可愛らしいから,1次職が来ないかなと思ってしまうのだ。メンバー勧誘が,ランダムなのがなんとも歯がゆい。
「ROGM発表後,多くの人がイラストに興味を持っていただけているみたいで,最初のサブマスターは誰にしたかとか,最初に勧誘して誰が来た? なんて話で盛り上がっているみたいで嬉しいです」(廣瀬氏)
「いまは2次職までしか実装されてませんが,イラストは3次職まですでに用意してあるので,順次,転職やくじの要素などで入れていければと思います。くじはショップポイントで購入していただければ,何かしら当るというものです。初回は2次職までなんですが,カラー違いも含めて約100パターンほど用意しています。くじのキャラクターは,普通に勧誘するキャラクターよりも能力値が高く設定されていて,EXカラーになるとさらに能力値が高くなります。レベルは,通常の勧誘と同様にLv0からのスタートとなります」(廣瀬氏)
正式サービス開始と同時に「キャラくじ」同様,アイテムが手に入る「アイテムくじ」,カードが手に入る「カードくじ」が実装される。これらのくじは,ショップポイントで購入できる。「キャラくじ」が5000ショップポイント(500円),「アイテムくじ」と「カードくじ」が3000ショップポイント(300円)。そのほか500〜3000ショップポイント(50〜300円)と幅のある価格帯で,メンバーにBuffをかけたり,建築や派兵のスピードを速めたり,建築や研究タスクを増やしたりする課金アイテムを用意するとのことだ。
プレオープン初日は大混雑。サーバーは大丈夫なのか
三つ巴のバランスが崩れかねない人数差の対応は?
さて,10月19日のプレオープン時は,サーバーがとにかく重いなど,多少の混乱があったようだ。正確な数字は公表できないとのことだが,想定以上に連続してROGMをプレイしている人が多かったため,サーバーに負荷がかかったという。これに対してサーバーを増やすなどの対応はあるのだろうか。
「初日の状態は,スタートダッシュのために,長時間張り付いて遊ばれているプレイヤーさんが多かったことが原因だと思います。それが一段落すれば負荷は分散してくるかなと考えています」(廣瀬氏)
飯野氏の言うキャンプ地の話は,実はプレオープンの段階で,国ごとの人口差という形で現われている。プレオープン終了直前の人口比は,ミッドガッツが約2万7000人,アルナベルツが約1万3000人,シュッツバルドが1万2000人と,ミッドガッツとそれ以外の国とでは約2倍もの開きがあるのだ。この流れで行けば,早々にミッドガッツへ入植ができなくなり,ほかの国に行かざるをえないプレイヤーが出てくる可能性もありそうだ。現在でも,とくにミッドガッツの前衛は,入植できる土地の減りが激しく,過密状態になっているそうだ。
また,それ以上に人口比が勝負に直結するタイプのブラウザゲームでは,人口の多い国にさらにプレイヤーが集まる傾向があり,国家間で戦う前に勝負が決する,もしくはどうあがいても逆転が不可能になることも少なくないだろう。そのあたりについては,どのように考えているのだろうか。
「最終的なラストダンジョンの攻略は,人口の多いところが有利になってしまいます。現状で言えばミッドガッツに行けば勝てるということになってしまい,3国で競争しているという設定の意味が薄れてしまいます。
これに対しては,まだアイデアベースではありますが,人口が多い国は運営維持を大変にする要素を導入し,逆に少ない国は運営維持を楽にするといったものや,ラストダンジョン突入の条件となる中衛や後衛のダンジョンの必要攻略数を人口によって調整したりして,人口差が勝敗の決め手になりにくくなるような施策を考えています」(廣瀬氏)
正式スタートは10月27日に決定!
今後のアップデートや公式サイトの拡充に期待
10月24日に一旦プレオープンは終了し,10月27日にROGMは正式サービスがスタートする。正式サービスに移行するにあたり,データなどのワイプはないので安心してほしいとのことだ。
仕様についてもプレオープン時にほぼすべて実装済みとのことで,実質的に追加されるのは,くじなどの課金アイテムと,それにまつわるシステムぐらいだという。数日空いているのは,そういった作業をより確実に行うためで,同時にサーバーの負荷軽減対策なども行われる。
今後のアップデート計画についてだが,年内に一度,何らかの追加要素は考えているという。どういった要素になるかは教えてもらえなかったが,先日のRWCパブリックビューイングで発表されたアップデート計画の中のどれかが行なわれるとのことなので,期待しよう。
最後にROGMの正式サービス開始に向けて,廣瀬氏と飯野氏のメッセージをお届けしよう。
「いまROを遊んでいる方はもちろん,遊ばれてない方も,あるいはまったくROを遊ばれていない方も,ROGMはインストール不要で遊べるので,PCのROとはまた違った遊び方で楽しんでもらえればと思います。また,これを機会にROに戻ってきたり,新しく始めていただければ嬉しいです。
今後,アップデート要素も含めて改修をかけたり,ラストダンジョンなどによる最終的な盛り上がりに向けていきたいと思いますので,そういったものを楽しみにしてもらいながら,ギルドのキャンプ地をマックスまで育てていただければと思います」(廣瀬氏)
「ROだけでは表現できない遊び方というのがあり,それを表現できる物を,なるべくROを遊びながらできるものとして考えたのがこのROGMです。ROもROGMも両方遊んでもらって,ROの深さや面白さを広げてもらえればと思ってます。ROで遊んでくださってる方もそうですが,休止されている方や,まだROを遊んだことがない方も,ROGMを通じてROを遊んでもらえるようになれば,より面白さが増すのではないかと思います。ぜひ,一度ROGMを遊んでみてください」(飯野氏)
10月19日に始まったROGMのプレオープンだが,初日はかなり「重い」状態だったため,満足に遊べるという状況ではなかった。取材当日には,メンテナンスが入り多少は軽くなったものの,それでもまだブラウザゲームとしては重い印象だ。また,チュートリアルや公式サイトだけでは,ゲームシステムについての説明が不足しているようにも感じた。正式サービスでは,こうしたサーバー周りの重さの改善や,情報の拡充に期待したいところだ。
さて,今回の話を聞いていて気になったのは,ROGMがまだ未完成だということだ。内政的な部分はゲームとして十分にプレイでき,キャンプを発展させていくのは楽しいのだが,本作の肝となる国家間の競争要素,異世界のラストダンジョンが実装されていないという状況で正式サービスへと進むのは,やや心配になってしまう。また現状では,(攻めるべき異世界もないので)前衛/中衛/後衛の差がはっきりせず,プレオープン中は緊張感のない状態が続いていた。
もちろん,ラストダンジョンは勝敗を分ける重要な要素だけに,バランス調整には慎重を期してもらたいのだが,同じ国のプレイヤーが共通の目標を持って戦いに参加できるように,早期の実装が望まれるところだ。
「ラグナロクオンライン ギルドマスターズ」公式サイト
- 関連タイトル:
ラグナロクオンライン ギルドマスターズ
- この記事のURL:
(C)Gravity Co., Ltd. & Lee MyoungJin(studio DTDS). All rights reserved.
(C)NEOCYON Inc. All rights reserved.
(C)GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.