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[E3 2012]新コントローラ「Wii U GamePad」ほかWii U最新情報が続々公開。「Nintendo Direct Pre E3 2012」詳細レポート
関連記事:[E3 2012]Wii UのコンセプトがNintendo Directで明らかに。Wii Uは「世界中のリビングをつなぐマシン」
■任天堂プレゼンテーション(6月6日1:00開始予定)
→http://www.nintendo.co.jp/n10/e3_2012/index.html
本稿では,新たなコントローラである「Wii U GamePad」の仕様や,ユーザー同士のコミュニケーション要素である「Miiverse」など,今回のプレゼンテーションで明らかになった詳しい内容についてお伝えしていこう。
■「Wii U GamePad」にはNFCリーダー・ライターやTVコントロール機能などを搭載。手元の画面では遅延なしのゲームプレイも可能
岩田氏はまず,Wii Uの開発にあたって議論を重ねてきた要素の一つとして,現代社会にみられる「Alone Together」の問題に触れた。「Alone Together」とは,アメリカの大学教授が名付けたもので,同じ部屋に一緒にいる人たちが,同じ空間にいながらも,それぞれ自分の手元にある端末に向かって別々のことをしている状態のことを指す。携帯ゲーム機,スマートフォン,あるいはタブレット端末などが生活空間に溢れた結果として,マルチモニタ化という現象が起こっているわけだが,「Alone Together」な状況というのは,現代人ならば誰もがよく目にする光景でもあるだろう。
そこに対して岩田氏は,「Alone Togetherではない,同じ部屋にいる人たちが体験を等しく分かち合えて,本当の意味で私たちを密に結びつかせる,新しい娯楽体験」についての提案を行う,と述べる。そしてWii Uのコンセプトと共に,新しいコミュニケーションのあり方,新しいゲーム機のあり方を語り始めた。
まず紹介されたのが,Wii Uの大きな特徴である,液晶画面搭載型コントローラー「Wii U GamePad」について。
Wii U GamePadは,昨年のE3 2011のカンファレンスで初披露されて以降,任天堂社内外の開発者からさまざまなフィードバックを受け,丹念に改良が加えられていったようだ。
左右のアナログ入力は,当初はニンテンドー3DS同様のスライドパッド型となっていたが,これを押し込み操作が可能なスティック型に変更。それに伴い,GamePadの裏面の形状も握りやすいように改良が加えられている。全体のボタンのレイアウトについても,長時間のプレイでも遊びやすいようにチューニングされているという。
昨今のタブレットが携帯性を重視して「薄さ」を志向する一方で,Wii U GamePadはあくまで室内で使うものである。そこを逆転の発想で「利点」と捉え,薄さや携帯性といった要素の重要度を下げることで,逆に「よりゲームプレイに適した」コントローラにしたのだという。
また,画面左側(十字キーの下)には,NFC(Near Field Communication)のリーダー・ライターも搭載されている。カードやフィギュアをここにかざすことで,さまざまなデータを読み込んだり書き出したりすることが可能だとのことで,これがどういった新しい遊びにつながるのか,なかなか興味深いところだろう。
さらに,画面右下には「TVコントロール」ボタンが付いており,Wii U本体が起動していない状態でも,テレビの赤外線リモコンとしてWii U GamePadを活用できるという。従来のWiiでゲームを遊ぶには,いちいちテレビ用のリモコンを手にとってテレビの電源入力や画面切り替えを行う必要があった。しかし,Wii U GamePadではテレビの操作からWii U本体の起動までを,すべて単体で行えるのだ。
岩田氏は「Wii U GamePadによって,ニンテンドーDSが切り拓いた“2画面の可能性”が,コンソールの世界にも広がる」と言う。しかも,Wii Uの場合は2つの画面の位置関係が固定ではなく,さらに,リビングルームにいる全員が共有するテレビの画面と,特定のプレイヤーの手元でしか見られない画面が存在することで,「ゲーム画面に“非対称性”が持ち込まれる」と語る。この“非対称性”を活かした具体例については,6月5日のカンファレンスで明らかになるそうだが,かなりいろいろな使い道がありそうなのは想像に難くない。
また,すでに明らかになっているように,Wii U GamePadにはモーションセンサーやジャイロセンサーなど,動きを検知する機能が搭載されている。動きを検知する機能が付いた液晶画面搭載型のデバイス,という意味ではニンテンドー3DSの前例があるが,岩田氏は「Wii Uでは,その豊かな処理性能と相まって,さらに進化します」と述べる。
コントローラに画面が搭載されていることのメリットをもう一つ付け加えておくと,岩田氏は「テレビのある場所に縛られることなく,リビングルーム内の自由な場所・スタイルでゲームを楽しめられる」点を挙げた。
これはつまり,ほかの人がテレビを使っている間でも,Wii Uの画面を手元のコントローラに転送させて遊べるということだ。岩田氏は「Wii Uは,Wii U本体で生成された最高のグラフィックスが,“遅延なく”手元の画面に映し出されます」と,遅延を感じずにプレイできることを強調する。
実際,現在の携帯ゲーム機も,実は自宅での利用率が一番高く,携帯できるからといって,実は外では遊んでない人のほうが多いのも実情だ。任天堂は,きっとそのあたりの事情もよく研究しているのだろう。
なお,Wii Uで多人数プレイをする場合には,Wiiリモコンやヌンチャク,バランスWiiボード,Wiiハンドルといったコントローラ類がそのまま使用できるそうだ。さらに,新たな周辺機器として,ワイヤレスの「Wii U PRO コントローラー」も発売となる。
■Wii Uをソーシャルウィンドウにする新たな試み,「Miiverse」
ビデオでは白人の青年トッドがリビングで一人,Wii U GamePadを手にゲームをプレイしている。どうやらトッドは“ゾンビ・ボス”なる敵を倒せずに苦労しているらしく,ここで彼は画面を切り替えて,「ゾンビを攻略するヒントを教えて」とほかのプレイヤーに助言を求める。
シーンは一旦切り替わり,オープンテラスのカフェでくつろいでいる若者ウォーレンの視点に。彼は「ゾンビを攻略するヒントを教えて」というトッドの書き込みをスマートフォンから見つけて,「手助けしてやるよ」とトッドに電話をかける。
しかしトッドはウォーレンの誘いを断り,Wii U GamePadを用いてフレンドとのビデオチャットを開始。フレンドから聞き出した攻略法をもとに,トッドは見事“ゾンビ・ボス”を撃破――! そして,画面には「Together Wii U」のキャッチコピーが浮かぶ。
ちなみに,このビデオの中でトッドが使用していたWii U GamePadは,これまで公開されているデザインとは異なり,黒のカラーリングとなっていた。Wiiリモコンなどと同様,Wii U GamePadも複数のカラーラインナップが用意されるのだろうか?
ビデオの最後には,Wii U GamePadの画面上に,吹き出しを浮かべた無数のMiiがわらわらと駆けて行く姿が映った。岩田氏によると,これはWii Uメニューの起動時に表示される画面で,その名も「Mii わらわら」。Miiの頭上には,いずれもそのMiiの持ち主が実際に発言したものが表示されるそうだ。
Wii Uを起動すると,Wii U GamePadの画面には,従来のハードと同様にインストール済みのゲームのアイコンが並ぶ。一方,テレビ側の画面には自分が持っていないゲームも含めて,世の中で多くの人が遊んでいるゲームのアイコンと,そのゲームを遊んでいる人たちのMiiの群れが表示される。そのため,「特別なソフトを立ち上げることなく,自然な形で,Wii Uでみんながどのようなゲームを遊んでいるかが分かる」と岩田氏は語る。そして,全世界のMiiをつなぐ場として,「Miiverse」(ミーバース)というネットワークサービスの存在を明かした。
これは「Mii Universe」を意味する造語で,Wii Uプレイヤー同士が「自分もそう思った」「ああ,あるある」といった“共感”のコミュニケーションを促進するもの。岩田氏は「これからのニンテンドーネットワークの重要な柱になる」と述べる。
Miiverseではテキストや手描きメモ,そしてMiiの表情を使ってのコミュニケーションが可能で,さらにゲーム中断時のスクリーンショットも投稿できる。なお,こうしたコミュニケーションサービスではゲーム内容のネタバレの問題もつきまとうが,ネタバレ対策もしっかりと準備されているそうだ。
MiiverseはWii Uのシステムに統合されているため,すべてのWii U用ゲームがMiiverse対応となる。さらに,専用のプログラムを組むことで,ゲーム内にMiiverseを呼び出すことも可能だ。今回の映像では具体例として,マリオがノコノコにやられてしまった際に,同じ場面でミスしてしまった人たちのコメントが表示される……という演出が紹介された。
Miiverseは,当面こそWii Uで展開されているものの,今後はニンテンドー3DSやWii Uだけではなく,将来の任天堂プラットフォームで,ハードウェアを越えて利用できるように設計されているらしい。将来的には,ニンテンドー3DS/スマートフォン/PCなどのブラウザからアクセス可能なウェブサービスとしてもMiiverseを提供していくそうで,かなり大がかりな仕掛けとなりそうだ。
■「Alone Together」に対する理想的な答え
岩田氏は,講演の中でWiiのコンセプトを振り返り,
1.家族とゲーム機の関係を変える
2.テレビとゲーム機の関係を変える
3.インターネットとテレビの関係を変える
という3のテーマを,そのうえで新たな挑戦として
1.コンソールがテレビから自由になる
2.2画面で新しいエンターテインメントを提案する
3.毎日電源を入れてもらうきっかけをつくる
4.複数のリビングルームをつなぐソーシャルウィンドウになる
という4項目を掲げた。
また,Wii Uのブラウザ機能も2画面を活かした機能をもっており,文字入力や細かい文章を読む際には手元の画面で,みんなで映像や写真を共有する場合にはテレビ画面で,といった使い分けも可能だ。さらには,テレビ側に映るブラウザの画面を一旦カーテンで隠し,手元の画面で見つけてきたサイトをテレビ画面に「ジャンジャジャーン!」と表示する――といった,遊び心あふれる仕掛けもあるあたりは,いかにも任天堂らしい。
岩田氏は,宮本茂氏の「複数の問題を一度に解決できるのが真のアイディアと呼べるものだ」という言葉を引用したうえで,Wii U GamePadについて,「Wiiのコンセプトをさらに推し進めるため,どうしても解決したかったいくつもの問題を同時に解決する,まさに“真のアイディア”」だと強調した。
岩田氏は最後に,「Wii Uは,私たちにも責任の一端がある,Alone Togetherへの理想的な答えになると信じている」と述べ,さらにMiiverseを通して「たとえ同じ部屋に一緒に遊ぶ人がいないとしても,もうビデオゲームは1人だけで楽しむものではありません。Wii Uは,あなたと,友だちと,家族と,そして同じゲームを楽しんでいる世界中の見知らぬ人たちみんなが楽しめる世界,Wii Universeを作ろうとしています」とWii Uの目指すコンセプトを語った。
6月5日のカンファレンスでは,Wii Uで具体的にどういったゲームが遊べるかの紹介が行われる予定だ。なお,今回のカンファレンスではWii Uのプレゼンテーションに集中するため,ニンテンドー3DSについてはまた「別の機会」で発表が行われるそうだ。このように1つのハードに集中して発表が行われるというのは,任天堂のE3カンファレンスでは異例のことである。Wii Uについては,E3 2012の期間中にまだまだたくさんの話題が待ち受けていることだろう。
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