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GameNow(旧称:ジークラウド)
  • Ubitus
  • 発売日:2013/04/30
  • 価格:無料(各作品を遊ぶには有料のプレイ権が必要)
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[CEDEC 2012]クラウドゲームが当たり前になる日は来るのか? Ubitusの春日伸弥氏が全体像を解説
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印刷2012/08/27 15:47

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[CEDEC 2012]クラウドゲームが当たり前になる日は来るのか? Ubitusの春日伸弥氏が全体像を解説

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 「クライアント端末からの操作を受け,インターネット上にあるゲームサーバーでレンダリングを行い,リアルタイムでビデオストリームへと変換して,それをクライアント端末へ送出する」という処理方法でゲームプレイを提供するクラウドゲームサービス(クラウドゲーミング)は,ゲーム業界で近年とくに大きな注目を集めている分野の一つである。

 海外ではGaikaiやOnLiveといった企業がサービスを提供し,日本でも2011年10月にジークラウドがサービスを開始。そして2012年7月にはソニー・コンピュータエンタテインメントがGaikaiを買収したことで,クラウド化への動きが一気に加速するかと思われた。
 ところがその後,OnLiveが清算手続きに入る(サービスは新会社に移行)など,なかなか動きが読めない。「実際のところクラウドってどうなの?」と考えている人もいるのではないだろうか。

 CEDEC 2012の最終日(2012年8月22日)に行なわれたセッション「クラウドゲーミングを始めよう」では,ジークラウドへ技術提供を行っているUbitus(ユビタス)の春日伸弥氏が,クラウドゲームの概要やメリット/デメリット,サービス事例や今後の課題などといった全体像を語った。クラウドに興味を持つ開発者へ向けられた情報もあり,入門編としてよくまとめられたセッションであったので,その模様をレポートしよう。



ネットワーク越しにゲームを遊ぶ“クラウドゲーミング”

高速回線さえあれば幅広いマシンに対応可能


Ubitus ビジネス・デベロップメント ディレクター 春日伸弥氏
画像集#030のサムネイル/[CEDEC 2012]クラウドゲームが当たり前になる日は来るのか? Ubitusの春日伸弥氏が全体像を解説
 春日氏は,クラウドゲーミングを説明するにあたり,「これは一言でいうと,超高速のシンクライアントです」と語った。クライアント側では必要最小限の処理しか行わず,プログラムの大半をサーバで行わせるシンクライアントをゲームに応用させたものが,このクラウドゲーミングである。

 シンクライアントの概念自体はかなり前からあり,これまでは主に企業の情報システムなどで利用されてきた。それがマシンスペックや通信インフラの向上により,ゲームまでもが実現可能となりつつあるのだ。

 そんなクラウドゲーミングにおける最大の特徴は,ゲームプログラムの本体がサーバー側で動いているということ。クライアント側が処理しているのは,サーバーから送られてくるストリーミング動画の再生と,プレイヤーが行った操作情報の送信だ。厳密にいうと,動画のデコードが行なえる端末であれば,ロースペックのPCやスマートフォンやタブレット,そしてテレビなど,ハードウェアを選ばずに遊べてしまう。

 だが,ハードウェアには依存しない一方で,高品質のネットワーク回線が求められる。帯域の太さよりも遅延の少なさが重要で,それらを含めた環境に応じたタイトルを選べば,意外なほど幅広いジャンルで快適に遊べるということだ。

 回線種別による違いを見ていくと,たとえば固定ブロードバンドやLTEといった安定した高速回線なら,FPSに代表される,瞬間的判断や操作が必要とされるジャンルを除けば,ほぼプレイ可能。3G回線の場合は,RPGやカードゲームなどといった“メニュー選択”が操作の大部分を占めるジャンルなら,基本的に問題はないという。

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クラウドゲーミングの仕組みを示した図。クライアントにゲームがインストールされていないというのは,初めて知る人にとっては驚きだろう
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クライアント側では動画のデコード及び再生しか行なっていない。数年前の旧型機で,最新世代の3Dゲームをプレイするといったことも可能だ

Windows上で画面を表示できるものなら何でも対応可能で,ゲーム以外のアプリケーションも含まれる。またコンソールゲームのエミュレートも技術的には可能だが,プラットフォーマーの許諾の関係上,実現は難しいだろう
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プログラムが手元になく,コピー対策には抜群の効果

高品質ネットワークや運用コストなどの課題も


 続いて春日氏は,クラウドゲーミングにおける大きなメリットを3つ紹介した。

 まずは,端末の機種を選ばない“クロスデバイス”対応であること。クライアント側では動画のストリーミング再生しか行なっていない(ゲームプログラム本体は動いていない)ため,各端末にあわせてプログラムを移植する必要がないのだ。ただし対応端末によっては,タッチパネルに表示させるUIなどを設定する必要がある。

 続いてのメリットは,ゲームプログラムの本体がユーザーの手元に置かれていないため,コピーが事実上不可能ということ。海賊版対策としては極めて有効で,著作権対策が甘い国などでは,このメリットに着目しての引き合いが多いそうだ。
 そして最後に,プレイ画面を複数のプレイヤーに同時配信できるメリットが挙げられた。現在も一部のユーザーが行なっているゲームプレイのリアルタイム配信を,違ったアプローチで実現できるものとして,春日氏は個人的に注目しているそうだ。


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クラウドゲーミングを実用的な品質でサービス提供するには,「応答速度,運用コスト,端末互換性」の3つにまつわる問題が常につきまとう。各サービス会社はこの部分の改善に,日夜取り組んでいるというわけだ
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常時ネットワークを使用するクラウドゲーミングでは,通信インフラ周りの改善が永遠の課題ともいえる。応答速度と画質をいかに高いバランスで両立させるかが,各クラウドゲーミング会社にとって腕の見せどころ

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サービスに要するコストは,実は通信コストよりも電力コストの方が断然大きいとのこと
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地域によっては,動画のデコードすら満足にできない低スペックな端末でのニーズもあるそうだ。また,タッチパネル端末では仮想ボタンをオーバーレイで表示させることも必要となるなど,互換性を確保するため,ある程度の作業は必要となる

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Ubitusのサービスは2011年10月に日本(ジークラウド),2012年7月に韓国で開始。また,10月に中国で開始予定となっているほか,米国,香港,台湾,東南アジアなど,世界各国で交渉が進められているという
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中国においてコンソールタイトルは基本的に展開できない中,Ubitusのクラウドサービスが進出できたことは画期的だと春日氏は語った。中国政府当局から認可を受けた決め手となったのは,海賊版対策がしっかりしていることと,有事の際にコンテンツの流通を抑えられることだという


9月から開発会社向けのβテストが開始


 現在,世界中で多くの企業がこのクラウドゲーミングに興味を寄せているが,春日氏はセッションの最後に,Ubitusが用意しているさまざまな環境を紹介した。

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 クラウド化にあたり,ソースコードの改変は基本的に不要で,同時起動ブロックやプロテクト用ツールの解除だけでいいとのこと。また,バイナリをクラウド用に設定するためのツール群「Game Developer Kit」(GDK)も用意されている。

 GDKの主な機能は「クラウドサーバー上にプログラムを展開するためのパッケージを生成」,「専用のWebポータルを通じて動作確認」,「タッチパネル端末向けに仮想ボタンのレイアウトを編集」という3つで,だいたい1タイトルあたり,一連の作業を約1時間で済ませられるとのことだ。

「パッケージ・アシスタント」
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「GDKポータル」
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「ダイナミックUIエディタ」
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 なお,これらのGDKは,2012年9月より企業向けのβ版を配布予定とのことである(無償)。クラウドゲーミングを新たに検討する開発会社にとっては,丁度良い機会といえるだろう。これによって,日本におけるクラウドゲーム化へ向けた動きも本格化するかもしれない。
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