インタビュー
「ドラネス」の開発元が手がける「ダンジョンストライカー」がDMMゲームズの運営で今夏サービス予定。運営プロデューサーへのインタビューを掲載
本作はいったいどういうゲームなのか。また,どういったポリシーで運営を行っていくのか。そのあたりの気になるところを,運営プロデューサーであるDMM.com Laboの岩下雅臣氏にインタビューしてみた。現在,事前登録が行われており,2015年5月12日からクローズドβテスターに応募できる事前登録も開始された。募集記事や公式サイトも合わせてチェックしつつ本稿を読んでみてもらいたい。
「ダンジョンストライカー」CBT募集開始(仮)
ダンジョンストライカービギナーサイト(事前登録はこちらから)
既存のジャンルイメージにとらわれない新しいハックアンドスラッシュRPG
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回話をお聞きするダンジョンストライカーは,もともと2012年にNHN PlayArt(旧NHN Japan)が運営を行うとアナウンスしていましたよね。今回DMMゲームズさんがサービスをすると聞いて驚いてます。どういった経緯があったのでしょうか。
DMM.com Labo エグゼクティブプロデューサー 岩下雅臣氏(以下,岩下氏):
4Gamer:
ダンジョンストライカーは,日本でも人気のある「ドラゴンネスト」のデベロッパが手掛けるタイトルということもあって,注目しているプレイヤーは多いと思います。さっそくですが,本作の概要を教えてください。
岩下氏:
2.5頭身の可愛らしいキャラクターと,アクション性にこだわって制作されたタイトルで,ジャンルでいうと“ハックアンドスラッシュ”タイプのオンラインRPGとなっています。爽快感重視のストレスフリーなゲームで,育成の幅が広いジョブチェンジのシステムと多彩なコンテンツがウリとなります。
4Gamer:
内部でテストプレイはされていると思うのですが,プレイ感というか手触りはいかがですか。
岩下氏:
完成度の高いゲームだなと感じました。最初にプレイしたのが韓国語のバージョンでしたので,言葉の意味も分からず進めていましたが,ユーザーインタフェースが直感的に分かりやすく,初プレイ時のバトルへの導線もしっかりしていたので,ゲームの世界にすぐ馴染むことができました。操作感としては,少ないキー操作で動かすことができるので,アクションゲームに慣れていない人でも十分に楽しめると思います。
4Gamer:
実績のある開発だけに,プレイヤーが求める要素については熟知していそうですよね。
岩下氏:
ええ。アクションゲームとして手堅い作りのなかに,先ほどお話しした幅広い育成要素が加わって,自然とプレイ意欲が高まるようになってます。一つのジョブを極めていくのではなく,複数のジョブを試して,ジョブの特性やスキルを集めてビルドを組むシステムは,独特で面白いところです。
4Gamer:
ハックアンドスラッシュというと,キャラクターのビルドを組むのも楽しい要素となりますが,その点は期待が持てそうですね。
岩下氏:
キャラクターの育成では,ダンジョンに挑戦してボスを倒して経験値を稼ぐだけでなく,タワーディフェンスやタイムアタックといった要素もあるので,長くプレイしても飽きのこない作りになっています。ほかにも,プレイヤーと行動を共にするパートナー,能力を高めてくれるペット,見た目を変えられるアバターアイテムといったサブコンテンツも多く,あれこれ楽しんでいると,いつの間にか時間が過ぎてキャラクターのレベルも上がっていると思いますよ。
4Gamer:
ただ敵を倒してキャラクターを育成するだけの一本道なゲームではなく,箱庭のなかで自由に遊ぶようなゲームサイクルになっているわけですね。ハックアンドスラッシュということで,コアなゲーマー層が好むジャンルという印象ですが,話を聞くとアクションゲームに慣れていない人でも楽しめそうです。
岩下氏:
ハックアンドスラッシュと聞くと,真っ先に「Diablo」に代表されるダークでハードなゲームを思い浮かべる方もいるかと思いますが,ダンジョンストライカーは可愛らしいキャラクターと,ファンタジーな世界観を持っています。ハックアンドスラッシュというジャンルに興味はあるけどビジュアル的に敬遠していたという人には,とくにプレイしてほしいと考えています。サブコンテンツも豊富ですので,もちろんコアなゲーマーの方にも刺さる要素があるはずです。
4Gamer:
敵からドロップする武具にランダムでオプションが付いていて,より強い武具を探してダンジョンを周回するというのが,ハックアンドスラッシュの面白さの一つとして挙げられますが,ダンジョンストライカーでもそうしたトレジャーハンティング的な要素はありますか。
岩下氏:
はい。能力だけでなく見た目もユニークな武具が用意されていますので,思う存分トレジャーハンティングを楽しんでいただけます。セット装備を全部集めるのは,やはり大変ですが(笑)。ダンジョンには難度が設定されていて,難度が高いほど等級の高い良質な武具を入手できますので,キャラクターの育成と並行して,武具も揃えていってください。
4Gamer:
プレイヤーの楽しみとしては,自分のキャラクターを育成することと,強力な武具を見つけて強化していくことになりそうですね。
岩下氏:
どうちらかといいますと,キャラクターの育成やアイテムの収集は結果であり,ダンジョンでの戦闘の過程こそを楽しんでいただきたいと考えています。コンボを決めたり,難所を切り抜けたりといった“瞬間”が気持ち良かったりしますので。
ちなみに,ジョブのレベルは50が最大ですが,そこで終わりではありません。ジョブの特性を伸ばす拡張レベルのようなものがあります。それが300とかありますので……育て甲斐は十分かと思います(笑)。
4Gamer:
この手のゲームですと,いろいろなスキルビルドを試すために複数のキャラクターを育てたりすることもありますが,ダンジョンストライカーは一人のキャラクターに集中するのがよさそうですね。
岩下氏:
最初は人間族しかいないのですが,年末あたりには別の種族を入れる予定もあり,種族によってスキルの使い勝手が違ってきたりします。
4Gamer:
種族は変えられないでしょうから,そのときばかりは,また一からキャラクターを育成しなければなりませんね(笑)。
基本プレイ無料のタイトルとして,事前登録を経て9月頃にサービス開始予定
4Gamer:
岩下氏:
当時は,プレイヤーの皆さんのコンテンツ消費に開発が追いつかず,コンテンツが不足気味になっていました。そのタイミングで運営移管が行われることになったため,やむなく一度サービスを停止したようです。
4Gamer:
同じ開発会社のドラゴンネストでも,サービスイン直後に同じようにコンテンツ不足で長い期間,アップデートがないこともありましたよね。
岩下氏:
EYEDENTITY GAMESとしては,開発の効率化を図り画面を見下ろし型にしてキャラクターを簡略化したり,ダンジョンなどの追加をしやすくしたりする方策を立てたうえで本作を作っていたはずなのですが,運営移管のタイミングがちょっと悪かったようです。韓国ではそのあたりを整えて「New ダンジョンストライカー」として再始動しています。中国進出に向けて入念に準備を行ったこともあって,現在ではコンテンツ不足という問題は多少なりとも解消され,また更新の頻度も高くなっています。
4Gamer:
当然,日本では“New” ダンジョンストライカー仕様のバージョンでサービスを行うのでしょうが,ゲーム内のバランスなどは各国共通なのでしょうか。
岩下氏:
人数の多い中国向けですと,キャラクターの育成は旧バージョンよりも厳しくなっていると聞いています。我々としては,プレイヤーの皆さんにキャラクター育成の楽しさを感じていただきたいですので,日本向けにバランス調整をして,育成しやすくしてほしいと要望を出しているところです。
4Gamer:
分かりました。課金の形態などもお聞きしてよろしいでしょうか。
岩下氏:
基本プレイ無料のタイトルです。ダンジョンに進入するためには“疲労度”を消費する必要があります。課金要素としては,回復薬や復活コイン,あとはアバターのような見た目をカスタマイズするものが中心になるかと思います。
4Gamer:
なるほど。サービスインに向けたスケジュールをお聞きしてもよろしいでしょうか。
岩下氏:
まずは,5月12日より事前登録が始まります。その後,8月頃に人数を限定したテストを行い,そこで大きな問題がなければ9月頃にサービスインする予定です。
4Gamer:
そのスケジュールだと,今まさにローカライズ作業の真っ最中ですね。日本独自仕様も入れるということでしたが,開発元との関係はいかがですか。
岩下氏:
4Gamer:
DMMゲームズのラインナップのなかでは,クライアント型ということもあって,異質なタイトルになりそうですが,いちゲーマーとしてはぜひ成功してもらいたいですね。
岩下氏:
クライアント型だと,インストールが始まる時点で止めてしまう方もいらっしゃいますので,ハードルが高いのは事実です。以前は,RMT業者対策で携帯電話での認証なども行っていましたが,ダンジョンストライカーでは,そうした認証を行いませんので,気軽にプレイをしてもらいたいです。
4Gamer:
ではRMT対策はどうするのでしょうか。
岩下氏:
RMT業者対策は,ゲーム内での取引を制限する方式にいたします。お金などのやり取りはできませんので,RMT自体が発生しにくいと考えています。
4Gamer:
そうですね。ハックアンドスラッシュでしたら,トレード機能などはむしろゲームを楽しめなくするだけのような気もしますし,なにもないほうがBOTなども出なくていいかもしれません。
日本独自仕様を含め多彩なゲームモードでプレイヤーを楽しませる
4Gamer:
コンテンツが豊富だという話でしたが,ゲームの流れはどんな感じなのでしょうか。
岩下氏:
武具を集めながら,フロアを踏破していくダンジョンがメインモードとなっていて,しっかりと作られた世界観のもと,随所にストーリーに関わるクエストが挿入されます。拠点で冒険の準備を行いつつクエストを受けてダンジョンに挑戦し,また拠点に戻ってくるというのが基本のゲームサイクルです。
4Gamer:
サブコンテンツについても教えてください。
岩下氏:
そうですね。ひたすら塔を上りつづけていくダンジョンですとか,ボス級の敵ばかりが出現するダンジョン,さらに最短距離を探しながら駆け抜けるタイムアタックなどバラエティに富んだコンテンツを揃えています。また,日本の独自仕様なのですが,一部のダンジョンでランダムで強さが違うボスが出現したりします。
4Gamer:
そうしたさまざまなコンテンツを,ジョブを変えつつチャレンジしていくんですね。ちなみに,ジョブにはどんな種類がありますか?
岩下氏:
初期ジョブとして,ウォリアー/メイジ/レンジャー/クレリックという4種のジョブがあり,条件を満たすと上位のジョブがアンロックされていきます。ダンジョン内は無理ですが,基本的に一度取得したジョブなら何度でも切り替えることが可能です。
4Gamer:
メインジョブを決めて,サブジョブを自由に入れ替える感じでしょうか?
岩下氏:
いえ。メインやサブという概念はなくて,完全にジョブそのものを変更できます。「ファイナルファンタジーV」のジョブチェンジのシステムを想像してもらえると分かりやすいかと思いますが,選択したジョブ固有のスキルを継承したまま,別のジョブに変えられるんですね。
また,違うジョブのスキルを組み合わせることで,違った効果を生み出すことができるのも特徴です。例えば,レンジャーの遠距離スキルとウォリアーの周囲の敵をなぎ倒すスキルを立て続けに使うと,自分の周囲に大量の矢を放って画面全体の敵を攻撃できるといった具合です。
4Gamer:
スキルをミックスすることもできるんですね。キャラクターのカスタマイズ性はかなり高そうですし,プレイヤーとしてはいろんなジョブを育てる楽しみがあるわけですね。
岩下氏:
組み合わせによる新しいスキル効果を探すのも面白いでしょう。そうしたスキルは演出もかなり派手になってますので,爽快なバトルが楽しめると思います。実は,大勢のプレイヤーが協力してボスを倒す,いわゆるレイド戦のようなバトルも企画したのですが,スキルの演出が派手すぎて,一画面に表示できるのは最大8名程度ですと言われてしまいました(笑)。
4Gamer:
レイド戦は面白そうだったんですが,残念です(笑)。実際のバトルについては,スキルを中心に火力で押していく感じでしょうか?
岩下氏:
キャラクターの育成の幅が広いので,じっくり育てればそうした火力に頼るプレイスタイルでもダンジョンをクリアできます。ただ,ダッシュやジャンプといった能動的なアクションを活用すると,敵の攻撃を回避することもできますので,スタイリッシュな立ち回りで華麗に戦うのも面白いと思います。
4Gamer:
韓国産のゲームということで,基本操作はキーボードになると思いますが,日本向けにコントローラの対応などは考えていますか?
岩下氏:
はい。ライト層にもアピールしたいと考えていますので,コントローラでプレイできるよう,すでに開発元にオーダーを出しています。
4Gamer:
コントローラの対応は日本独自の仕様になるかと思いますが,ほかに独自仕様はあるのでしょうか?
岩下氏:
先に紹介したボスモンスターがランダムで出現するダンジョンと,コントローラ対応というのが現状の日本独自仕様です。ローカライズが必要なコンテンツ量がとにかく多いので,まずはこの基本コンテンツをしっかり整えて,それから少しずつ日本向けのオリジナルコンテンツを企画していく予定です。あと,アバターアイテムやサポートキャラクターといったところも,外見を含め日本向けにバリエーションを増やしていきます。
4Gamer:
企画段階でいいので,独自仕様として入れたいコンテンツを教えていただけますか。
岩下氏:
企画はいくつも出しているのですが……そのなかでは,PvPvEを早い段階で導入したいですね。
4Gamer:
PvPvEですか。それはどういったものになるのでしょうか?
岩下氏:
基本的にはギルド間の戦いになりますが,PvPとPvEを同時に楽しめるような,それほど育成が進んでいないキャラクターでもギルドのために貢献できるようなコンテンツを考案中です。
4Gamer:
岩下氏:
対戦要素はエンドコンテンツの一つではありますが,そこを最終的な目標として設定しているわけではありません。あくまでもギルドの枠を飛び越えて,コミュニティの輪が広がることを期待して導入を検討しています。
韓国や中国のゲームは,プレイヤーの最終的な目標というのは設定されているのですが,短〜中期的な目標を疎かにする傾向があるんですね。我々運営サイドとしては,プレイヤーの皆さんに短〜中期的な目標を持ってもらえるよう,日本独自仕様であったり,期間限定のイベントを開催するなどして補完していくことをテーマにしています。
4Gamer:
いきなりレベルのカンストや最強武器の入手を目標にしても,モチベーションは続かないですからね。運営の手腕に期待します。では最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
岩下氏:
ダンジョンストライカーは,可愛らしいビジュアルながらも遊び応えのあるハックアンドスラッシュRPGになってます。スピード感のある操作性や派手なスキル演出,ゲームボリュームもありクライアント型ならではの本格的なゲームとなっていますので,じっくりと腰を据えてお楽しみください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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