ニュース
「Android 5.0」発表。搭載製品「Nexus 9」「Nexus 6」は国内でも近日発売
またGoogleはそれに合わせ,8.9インチタブレット「Nexus 9」と6インチファブレット「Nexus 6」も発表した。いずれもGoogleにとって初のパネルサイズとなるが,Nexus 9は,史上初の64bit版Tegra K1「Denver」搭載モデルとなる可能性も高い。
Nexus 9 |
Nexus 6 |
Googleの公式blogによると,Nexus 9は日本で10月18日未明に予約受け付けが始まり,11月4日に発送が始まるとのこと。一方のNexus 9は「準備が整い次第」(Google)発売になるとのことだ。なお,価格は両製品とも公開されていない。
ゲーマー的に重要なAndroid 5.0の特徴は
新しいアプリ実行環境「ART」への切り替え
まずは,Android 5.0の特徴について簡単に解説しよう。なお,Android 5.0の詳細は,2014年6月にAndroid Lの名称で発表されたときの記事も参照してほしい。
Google,開発者向けイベントで次期OS「Android L」やテレビ向けAndroidデバイス「Android TV」などを発表
だが,ゲーマーにとってはそれらよりも,
Android 4.4(KitKat)までのAndroidが採用していたアプリケーション実行環境「Dalvik」(ダルヴィック)において,アプリケーションは,起動のたびにJavaコードからバイナリコード(=CPUが実際に処理できる形態)へ変換されていた。それがARTでは,アプリケーションのインストール時に変換されることになる。当然のことながら,一度変換してしまえば再変換の必要はないため,ARTを採用することによって,アプリケーションの起動時間短縮や,(起動に必要なCPUリソースが減るため)バッテリー駆動時間の延長を期待できるようになる。また,インストール時にバイナリコードへの変換を行う場合,より長い時間をかけて,より最適な処理を行えるようになり,結果としてアプリケーション実行効率が向上する可能性もあるという。
実際,Android 4.4をARTに切り替えてベンチマークテストを行った場合,同じハードウェアとOSであるにも関わらず,テスト結果は向上したとの結果が公開されている。ゲームでの性能向上も期待されるだろう。
さて,このART,実のところAndroid 4.4から導入されており,開発者向けオプションを利用すれば,Dalvikから切り替えることが可能だ。だから,「性能が上がるならAndroid 4.4でも切り替えてみようかな」と思うかもしれないが,それは待ったほうがいい。Dalvik前提で作られた既存のアプリケーションは,場合によってはARTで正常に動作しない可能性があるからだ。ゲーマーを含む一般ユーザーにとって,ARTは事実上,今回が初導入ということになるだろう。
それに対し,今後登場するAndroid向けゲームは,当然ながらAndroid 5.0での動作が検証されるはずだ。また,現在リリース中のゲームもARTでの動作検証や対応が順次行われていくだろう。しばらくの間,「古いゲームのなかに,ARTで動かないものがある」という事態が生じる可能性はあるものの,AndroidプラットフォームはARTの導入で性能や電力効率が大きく改善することになると思われる。
そのほかにもゲームに関係するAndroid 5.0の特徴として,OpenGL ES 3.1への対応とGPUを利用するAPIセットの改良も挙げられている。GPUが持つジオメトリシェーダやテッセレーション,コンピュートシェーダといった機能をOSがサポートするようになるので,Android向けゲームのグラフィックス品質が向上すると期待できるだろう。
Nexus 9
OSの話はこれくらいにして,タブレットとスマートフォンの新製品を見ていきたい。
Google純正タブレットがアスペクト比4:3の液晶パネルを採用したことで,同種の液晶パネルを採用する製品が増えれば,iPad用に画面レイアウトを設計したゲームのAndroidタブレット向け移植が促進されるかもしれない。
もう1つの特徴は,冒頭でも触れたようにCPUコアに64bit対応のDenverコアを採用した「Tegra K1」をSoC(System-on-a-Chip)として搭載する点にある。Android 5.0との組み合わせによって,どれくらいの性能を発揮できるのか楽しみだ。
なお,メインメモリ容量は2GBで,内蔵ストレージ容量は16GBまたは32GB。いずれもごく標準的といえるが,microSDカードスロットを持たないだけに,ストレージ容量はもう一声欲しい印象もある。
IEEE 802.11ac無線LAN対応のWi-Fiモデルと,無線LAN+LTE通信機能を内蔵したLTEモデルの2種類が用意されているところも,Nexusシリーズらしい特徴といえよう。ただ,現時点ではLTEの対応バンドに関する情報がないため,日本ではどのバンドが使えるのかは不明だ。10月18日の予約開始時点で,LTEモデルの予約も始まるのかも分からないが,LTEモデルに注目している人も少なくなさそうなので,早期の情報提供を期待したい。
●Nexus 9の主なスペック
- OS:Android 5.0(Lollipop)
- ディスプレイパネル:8.9インチIPS液晶,解像度2048×1536ドット
- プロセッサ:NVIDIA製「Tegra K1」(「Denver」×2+「GK20A」,最大CPU動作クロック未公開)
- メインメモリ容量:2GB ストレージ:内蔵(16GBもしくは32GB)
- アウトカメラ:有効画素数約800万画素(オートフォーカス対応,LEDスピードライト内蔵,解放F値2.4)
- インカメラ:有効画素数約160万画素(開放F値2.4)
- バッテリー容量:6700mAh
- バッテリー駆動時間:Wi-Fi利用時最大9.5時間,LTE接続時最大8.5時間,動画再生時最大9.5時間,Wi-Fiスリープ時最大30日
- SIMスロット:未公開
- 対応通信規格:クアッドバンドGSM・CDMA,ペンタバンドHSPA・LTE(※対応バンド数未公開)
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac(2x2 MIMO)
- Bluetooth対応:4.1(NFC対応)
- 搭載センサー:GPS,周辺光,ジャイロ,加速度,磁力
- 本体サイズ:228.25(W)×153.68(D)×7.95(H)mm
- 本体重量:約425g(Wi-Fiモデル),436g(Wi-Fi&LTEモデル)
- そのほか搭載インタフェース:USB Micro-B(USB 2.0)3.5mmミニピン,デュアルスピーカー(「HTC BoomSound」機能搭載)
Nexus 6
本体サイズは82.98(W)×159.26(D)×10.06(H)mm,重量は約184gと,さすがに大きい。これを衣服のポケットに入れて携帯するのは難しいかもしれない。
そんなNexus 6で,スペック面の大きな特徴といえそうなのが,急速充電機能の対応である。15分間の充電で最長6時間の使用が可能とのことで,バッテリー残量が不足したときでも短時間の充電で回復できるのは便利だろう。なお,内蔵バッテリー容量は3220mAhで,満充電状態からLTE接続時に連続10時間の利用が可能と謳われている。
搭載されるSoCはQualcomm製の「Snapdragon 805」で,CPU動作クロックは最大2.7GHz。メインメモリ容量はなぜか未公開だが,内蔵ストレージ容量は32GBまたは64GBとなっている。Nexus 9と同じく,microSDカードスロットは用意されない。
なお,内蔵するLTE通信機能は,北米向けモデルとそのほかの国と地域に向けたモデル(以下,グローバルモデル)で,対応するLTEバンドが異なっている。Nexus 6の国内販売を行うと発表したワイモバイル(旧イーモバイル)は,グローバルモデルを販売するとのことだ。グローバルモデルが対応するLTEバンドを見る限り,日本ではバンド1(2100MHz)とバンド3(1800MHz),バンド8(900MHz),バンド19(800MHz)が使用できるようだ。
まだ具体的な発売予定が明らかになっていないが,おそらくは国内で流通する初のAndroid 5.0スマートフォン(≒ファブレット)となるので,その点に惹かれる人は多そうだ。
●Nexus 6の主なスペック
- OS:Android 5.0(Lollipop)
- ディスプレイパネル:5.96インチ有機EL,解像度1440×2560ドット(493ppi),「Gorilla Glass 3採用」
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 805」(クアッドCPUコア「Krait 450」+「Adreno 420」,最大CPU動作クロック2.7GHz)
- メインメモリ容量:未公開 ストレージ:内蔵(32GBもしくは64GB)
- アウトカメラ:有効画素数約1300万画素(オートフォーカス対応,LEDスピードライト内蔵,開放F値2.4,4K/30Hzビデオ撮影対応)
- インカメラ:有効画素数約200万画素(開放F値2.4)
- バッテリー容量:3220mAh
- バッテリー駆動時間:待ち受け時最大250時間(※「画面を常に表示」機能有効の場合),待ち受け時最大330時間(※「画面を常に表示」機能無効の場合),Wi-Fi利用時最大9.5時間,LTE接続時最大10時間,通話時最大30時間,動画再生時最大10時間
- SIMスロット:Nano SIM
- 対応通信規格(北米モデル):GSM 850/900/1800/1900MHz,CDMA Band Class 0/1/10,WCDMA Band 1/2/4/5/8,LTE Band 2/3/4/5/7/12/13/17/25/26,LTE-A DL CA Band:B2-B13/B2-B17/B2-29/B4-B5/B4-B13/B4-B17/B4-B29
- 対応通信規格(グローバルモデル):GSM 850/900/1800/1900MHz,CDMA非対応,WCDMA Band 1/2/4/5/8/9/19,LTE Band 1/3/5/7/8/9/19/20/28/41,LTE-A DL CA Band:B3-B5,B3-B8
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac(2x2 MIMO)
- Bluetooth対応:4.1(NFC対応)
- 搭載センサー:GPS,周辺光,ジャイロ,加速度,磁力,気圧
- 本体サイズ:82.98(W)×159.26(D)×10.06(H)mm
- 本体重量:約184g
- そのほか搭載インタフェース:USB Micro-B(USB 2.0)3.5mmミニピン,デュアルスピーカー(「HTC BoomSound」機能搭載))
GoogleのNexus 9製品情報ページ
GoogleのNexus 6製品情報ページ
- 関連タイトル:
Nexus
- この記事のURL: