インタビュー
「ブレイブリーデフォルトPB」は今後も続きます──ネット上に飛び交う噂を払拭する山中プロデューサーインタビューを掲載
今回のインタビューはもともと,プレイングブレージュのプロデューサー山中譲児氏と,プレイングブレージュの開発に携わり,またアーカイブのプロデューサーでもある石井諒太郎氏に“今後の展開を聞く”というインタビューだったのだが,まずは噂の真偽から確認することにした。プレイヤーはぜひ読み進めてほしい。
「ブレイブリーデフォルト プレイングブレージュ」公式サイト
「BRAVELY ARCHIVE D's report」公式サイト
「ブレイブリーセカンド エンドレイヤー」公式サイト
プレイングブレージュ終了の噂はもちろん「デマ」。現在は夏〜秋の実装に向けて「バージョン3.0」の開発が進行中
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。前回のインタビューからほぼ1年が経ち,これまでの状況と,これからを教えていただこうと思っていたのですが,いまネット上で「プレイングブレージュが終了するのでは」という噂が流れていますよね……?
ええ。その件については皆さんにきちんとお伝えしておきたいと思っていたんですよ。
4Gamer:
当然,そんな事実はありませんよね?
山中氏:
もちろんです。プレイングブレージュが終了することはありません。すでに大型アップデートとなる「バージョン3.0」の開発に取り掛かっていますし,終了の噂は全くの「デマ」であることは分かっていただけると思います。
4Gamer:
はっきり「終わらない」と言ってもらえたことで,安心できるプレイヤーもいるでしょう。そもそも,もしアーカイブがプレイングブレージュの移植作品だったとしても,先に始まっていたものを終わらせる必要はありませんよね。しかもアーカイブは完全新作ですし。
山中氏:
そうですね。加えて言えば,プレイングブレージュは業績的にも好調ですし,現状終わらせる要素は見当たらないですね。むしろ既存のユーザーさんを盛り上げるためにも,もっと多くの人たちに遊んでいただくためにも,現在はチャネリング先を増やすことを検討しています。確定したわけではありませんので,詳しくはまだお話できないのですが。
4Gamer:
ますます終わる理由がないですね。ところで,先ほど「バージョン3.0」とおっしゃっていましたが,それはいつ頃の実装になるのでしょうか?
山中氏:
夏から秋に掛けて……3周年を迎える前にはといったところでしょうか。とくに2015年の前半はアーカイブがリリースされましたし,4月23日には「ブレイブリーセカンド エンドレイヤー」(以下,セカンド)が発売されますから,ブレイブリーシリーズ全体が盛り上がると思います。ですから,プレイングブレージュもその波に乗りたいですね。
4Gamer:
内容については教えていただけそうでしょうか。
山中氏:
言いたくてウズウズしていますが,中途半端に情報を出してしまうと開発メンバーに怒られてしまうので,まだお話しできません(笑)。時期が来ましたら,皆さんに向けて発表しますので,ご期待ください。
4Gamer:
続報に期待しています。ところで,アーカイブにはプレイングブレージュオリジナルのキャラクターが登場しますよね。今後,たとえばセカンドで登場する新キャラクターやアーカイブのオリジナルキャラクターが,プレイングブレージュに登場する可能性はありますか。
山中氏:
どのタイミングになるかは未定ですが,セカンドのキャラクターを,プレイングブレージュに登場させる準備はしていますし,もちろんアーカイブオリジナルの新キャラクターも登場します。セカンドには新しいジョブもあるので,これも追加したいところではありますが,バランス調整次第ですね。たとえば,すでに発表されている「ねこ使い」が,もしもプレイングブレージュに登場したらどういったジョブになるのか? とか,気になりますよね?
4Gamer:
なんとなくヴァンパイアと役割が被りそうな気がしますけど(笑)。とはいえ楽しみですね。逆に,プレイングブレージュの新たなオリジナルジョブは登場しないのでしょうか。
山中氏:
実は,プレイングブレージュオリジナルのジョブもいくつか検討はしているんです。ですが,セカンドのリリースが決まったので,それなら先にセカンドのジョブを出したほうが,ファンの皆さんに喜ばれるだろうなあとは思っています。これもバランス調整次第ですね。
新ジョブや新システムの追加で“変化”を生み出したアップデート
4Gamer:
流れから,先に今後のお話を聞いてしまいましたが,改めて,これまでのことも伺わせてください。
前回のインタビューから1年が経ちました。当時のプレイングブレージュについては,土台が整ってきたというお話でしたが,それからプレイヤーの皆さんの動向はいかがだったのでしょうか。
トッププレイヤーの方々を中心にシステムに馴染んでいる人が多く,安定して遊ばれていると感じています。一方で停滞してしまっている部分があるのも事実ですが,新しいものも追加していますので,実プレイにおいては,変化も感じてもらえているのではないでしょうか。
4Gamer:
変化というと,新ジョブとして「召喚士」と「呪術師」が追加されましたね。
山中氏:
召喚士については,重要なジョブになったと思います。グランプリバトルでは,攻防どちらにも使いやすく,ターンの最初に発動可能なアビリティを持っているので,多くの方が活用されているようです。一方の呪術師は,クセが強いジョブとなっていることもあって,使っている方は少ないのですが,愛着を持って使っていただけています。
4Gamer:
呪術師は状態異常に特化したジョブですから,グランプリバトルで活躍しそうに思うのですが。
山中氏:
そうですね。実際に,シーフのハート泥棒や魔人のドレインを中心に戦う手堅いパーティに対して,呪術師を効果的に使っている方がいらっしゃいました。
4Gamer:
昨年末に登場したばかりのジョブですから,もう少し時間が経つと,また新しい戦術が生まれそうですね。ちなみに,こうした新ジョブを追加するときは,当然全体のバランスも考えて投入するのだと思いますが,そのバランスの方向性は,どのようなものを考えているのでしょうか。
山中氏:
戦術が定着しすぎて,固定のパーティだけで戦い続けるようにはしたくありません。皆さんがパーティ編成を楽しめるように,新しい選択肢の一つになるようなジョブにすることを意識しています。
4Gamer:
その一環だと思うのですが,既存のジョブについても調整が加えられていますよね。
山中氏:
はい。これまで脚光を浴びていないジョブに新しいアビリティを加えたり,装備すると新しいアビリティが使える「アビリティリング」を追加することで,先ほどの話と同様に,パーティ編成の選択肢になるように考えていますね。
4Gamer:
とくに既存ジョブでは,初期から魔法剣士が使いづらいジョブの代名詞になっていましたが,現状はどのような感じなのでしょうか。
山中氏:
魔法剣士は,レイド戦で使いやすいジョブの一つになったと思います。ターンごとに属性が切り替わるレイドボスに対して,さまざまな属性を付与して戦える魔法剣士は少ないリスクで,安定してダメージを与えられますから。
4Gamer:
なるほど。活躍できる場面が用意されたわけですね。
山中氏:
はい。シチュエーションは限定されますが,魔法剣士を使う機会が見直されたとは思います。魔法剣士もそうですが,下位のジョブを戦場,対人,レイドのすべてで活躍させるのはなかなか難しいですね。ですが,このように限定的な場面ででも,なんとか活躍できるような調整は今後も行っていきたいと考えています。
4Gamer:
とはいえ,上位のジョブ,たとえばヴァンパイアなどの強力なジョブをメインに使いたくなるところです。
山中氏:
そうですね。ただ以前,同じアスタリスクを規定数しか使用できないイベントを行ったのですが,レアなアスタリスクに頼らない,ある意味で変化のある戦いができたという声をいただいています。
4Gamer:
たしかに戦力が制限された状況で,どうやりくりするかをいろいろ考えるのは楽しそうですね。では,今後は,編成するキャラクターのジョブバランスが重要な方向に調整していくのでしょうか。
山中氏:
せっかく手に入れた,レアなアスタリスクの価値を下げるようなことはしたくありません。しばらくはイベントなどで様子を見ながら,いろいろな方向性を考えていきたいと考えています。
4Gamer:
分かりました。そのヴァンパイアのアスタリスクですが,クエストで一つ入手できるようになりました。キャラクターの育成面を考えても,多くのプレイヤーさん,とくにプレイを始めて間もない人にとっては嬉しかったのでは。
山中氏:
ええ,多くの方から好評をいただきました。また,プレイヤーランクを上げず中級戦場に止まっていた方も多かったのですが,ヴァンパイアが入手できるということでランクを上げる人が多く,結果として上級戦場での戦いが活発になりました。
4Gamer:
システム面に目を向けると,新しく「強敵襲来」が追加されましたが,こちらはどういった意図で導入したのでしょうか。
強敵襲来は一人でじっくりとプレイするようなコンテンツとなっています。自分のパーティがどれだけ強いのかを客観的に確認できようにもしたつもりですが……難度によっては,突破が難しいパターンがありまして,初見では,最高難度の煉獄級を誰も突破できないのではという雰囲気になってしまいました。
4Gamer:
煉獄級は,強化を極めたキャラクターを揃えて,なおかつうまく戦術がハマって初めて勝てるというイメージですよね。一方で,突破できれば一種のステータスにもなりますし,プレイヤーとして挑戦のしがいもありますから,難度は下げないほうがモチベーションにつながるのではとも思います。
石井氏:
そうですね。いまのところ難度を下げる予定はありません。ただし,固定のパーティで常に攻略できるものにはしたくないので,癖のある敵が増えていくかもしれません。皆さんには,パーティのバリエーションを増やして,次の開催をお待ちいただければと思います。
4Gamer:
どれくらいのプレイヤーが突破できるのか楽しみです(笑)。ところで定期的に行われるイベントですが,基本的に,大戦/レイド戦/収集系のサイクルで開催されています。それぞれルールは異なりますが,この繰り返しでマンネリ感が出ているようにも思うのですが。
石井氏:
それは我々も感じていて,新しいイベントは追加しなければとは考えています。
4Gamer:
どのようなものを考えているか,教えていただけますか?
石井氏:
2周年のタイミングで「サンタゴブリンを探せ!」というイベントを行いましたが,これは特殊なボスがクエストマップにランダムで出てくるというイベントでした。これが皆さんに好評でしたので,近い形のイベントは続けられればとは考えています。
4Gamer:
サンタゴブリンのような,一人でも気軽に楽しめるイベントは嬉しいですね。
石井氏:
ええ,多くの方が気軽に楽しめるようなものを用意したいと思っています。また,対人コンテンツ系のイベントも,遊びやすくなるような方向で調整を行っていきます。
4Gamer:
対人コンテンツで言うと,イベントでは盛り上がるのですが,通常の大戦に対してもやはりマンネリ感があります。こちらには,何か調整の予定はあるでしょうか。
石井氏:
サービスイン当初から入っていたコンテンツですので,大きく手を加えるのは少し難しいというのが本音ですね。なので,たとえば報酬も含めて,大戦に“参加する意味”を見直していきたいと考えています。
4Gamer:
最近は,気軽に勢力を移動できるようになったので,仕える巫女のために戦場に向かうという目的意識がうすくなりましたよね。
石井氏:
いえ,もともと勢力の移動は活発にしたいと考えていたんですよ。
4Gamer:
あれ,そうだったんですか。
石井氏:
というのも,ゲーム全体をリードしている方々に,いろいろな戦力に加担してもらい,戦況が常に変化するようにしたかったからなんです。勢力の固定,戦場で一緒に戦うメンバーの固定もマンネリを招いてしまいますし。
4Gamer:
たしかに,いずれかの勢力の縄張りのような状態になっている戦場もありますし,勢力の移動ができないと変化がなくなってしまいそうです。ただ,報酬がもらえるから勢力移動します,というのでは少し寂しい気もしますね。たとえば,一人の巫女に仕え続けることで,報酬がもらえてもいいのではないでしょうか?
石井氏:
そういった意見もたしかにいただいています。ただ,我々としては,まず戦場を活性化させることを優先していきたいと考えています。実際に勢力移動がやりやすくなってから活発になった部分もあるので,しばらくは現状のままで行く予定です。もしあるとすれば,勢力に関係なくランダムに振り分けられて開催される戦場なんていうのも,あっていいかもしれませんね。
4Gamer:
分かりました。もう一つ気になるのが,トッププレイヤーと一般プレイヤーの差です。こちらの対策などはいかがでしょうか。
石井氏:
ランク開放で,レベルキャップが上がるアップデートが多かったこともあり,トップ層と一般プレイヤー層とで差ができていると認識しています。現在意識しているのは,上を開放する速度に対して,新しく始める人の成長速度をより速めるような調整です。当然,差を完全になくすことは難しいんですが,より多くの方が一緒に遊べるよう,少しでもそれを縮められるように調整を行っていますので,もうしばらくお待ちください。
三つのプラットフォームで広がるブレイブリーシリーズ。それぞれが異なったゲーム性を持ったタイトルとして今後も成長し続ける
4Gamer:
さて,ここ最近気になっていたことがあったのですが……ゲーム中のアイドルユニット「プリティ・ケイクス」が,かなり活躍していますよね?(笑)
そうですね(笑)。プリティ・ケイクスたちは人気がありますから,いろいろと働いてもらっています。実はサンタバージョンも作る予定はなかったのですが,非公式に行ったアンケートがありまして,そこでプリティ・ケイクスのサンタを実装してほしいという要望が強かったんですよ。
4Gamer:
え,じゃあプレイヤーの反応を見てから決めたんですか?
石井氏:
はい,アンケートを拝見してから,頑張って制作しました(笑)。
4Gamer:
そんな経緯があったとは……ちなみに,昨年末に行われたキャラクター人気投票では,プリティ・ケイクスのプリンが1位を取るのではと思っていましたが,意外というか票が分かれましたね。
石井氏:
ええ。キャラクターのバージョンごとに投票してもらう形でしたので,結果的にプリティ・ケイクスたちは1位になれませんでした。SR部門では,2位に通常バージョン,3位に晴れ着バージョン,5位に水着バージョンと,プリンが上位を占めてはいたのですが(笑)。
山中氏:
あと,1位になったキャラクターは,専用モーションや専用チップが描き起こされる特典があるのですが……本当にニコル専用のキャラチップを実装してよかったのかちょっと不安でしたが……。
一同:(笑)
石井氏:
ニコルは,N部門で2位に大差をつけての1位でしたからね。あと,R+部門の1位が,キャサリンではなくモニカだったのも予想外でした。
ニコル:初期キャラクターとして最初からパーティにいるのだが,黒魔道士としてとくに魔法が得意というわけではない。というか,素早さのほうが高いし。そんなチグハグさや“出会いやすさ”もあってか,なぜか愛されキャラとして勢力チャットを賑わすことになる |
モニカ:彼女も初期キャラクターだが,こちらは使い勝手の良い魔法系のキャラクター。お世話になったプレイヤーも多いことだろう |
4Gamer:
でも,まあ……ニコルは,サービスイン当初から不思議な人気がありましたから(笑)。モニカも初期にもらえるキャラクターなので,プレイヤーさんの思い入れが強いのかもしれませんね。
さて,プレイングブレージュについて,噂の払拭も含めていろいろ教えていただきましたが,アーカイブに関しても伺っていいでしょうか。まずは,上々のスタートを切れたようですね。
石井氏:
おかげさまでストアの評判も良く,皆さん毎日継続してプレイしてくださっています。すべてのキャラクターにキャラチップ(バトル中に動くちびキャラ)とボイスを用意できたことは,プレイングブレージュにはない要素なので,両方を遊んで比べてみてほしいですね。
4Gamer:
プレイングブレージュのボイスは,巫女が気まぐれにしゃべるだけですからね。キャラごとのボイスを,アーカイブから持ってきたりして追加するなんてことはありますか?
(プレイングブレージュの)皆さんの意見を聞く限り,ボイスはそれほど必要性を感じていないようです。ですから,今のところ入れる予定はありません。今後,ボイスの実装を求む声が大きくなるようなら,そのときに検討します。
4Gamer:
分かりました。では今後,アーカイブをどのように発展させていくのかも教えてほしいのですが。
石井氏:
まだスタートして間もないタイトルですから,お話できることは少ないのですが,まずはキャラクターやダンジョンを増やしていこうと考えています。
4Gamer:
あとユーザインタフェースの一つが,ComingSoonとなっていますよね。ここにはどんなコンテンツが入るのでしょうか?
石井氏:
マルチプレイのダンジョンを予定しています。実はですね,ストアページで公開されているスクリーンショットでは,そのComingSoonになっているところが開いてしまっているんですよ(笑)。なので,そこに気が付いた一部の方には,なんとなく予想ができていたと思います。
4Gamer:
そうだったんですね(笑)。実装を楽しみにしています。では,最後に4Gamerの読者に向けてメッセージをお願いします。
石井氏:
アーカイブがリリースされたことで,プレイングブレージュが終わってしまうのではと思われた方もいらっしゃいました。そんなことはありませんので,どうかご安心ください。ネガティブな噂を笑って払拭できるくらい,今後はさらに開発に注力してまいりますので,ご期待ください。
アーカイブに関しては,プレイングブレージュのキャラクターたちもたくさん登場し,プレイングブレージュで語られなかった物語も体験できます。キャラクターの背景などは,プレイングブレージュとアーカイブどちらにも散りばめられていますので,ぜひ両方のタイトルを遊んでいただいて,ブレイブリーシリーズの雰囲気を満喫してください。
山中氏:
コンシューマ,PCブラウザ,スマートフォン,各プラットフォームで,それぞれの持ち味を活かしたブレイブリーシリーズタイトルをリリースすることができました。一つの分岐点とはなりますが,むしろ,プレイングブレージュを含めて,それぞれが新しいスタートを切ったというイメージです。
プレイングブレージュは,3周年に向けて,そして3.0の実装に向けてより一層開発に力を入れていきますので,今後ともよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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