プレイレポート
管理人さんとバラ色の将来を送りたい人のための「デモンゲイズ」先行プレイレポート
「デモンゲイズ」公式サイト
あわわわ,慌てるな。これは管理人さんの罠だ!
目覚めたら借金だらけの主人公の行く末やいかに
本作における冒険の拠点となるのは,今や廃墟となったグリモダール城下に1軒だけ残された宿酒場「竜姫亭」。主人公はここに運び込まれた際,意識もうろうとしているうちに,竜姫亭の若き女主人・フランが差し出した1枚の書類にサインさせられてしまう。それは,自分が運び込まれてからの治療費や宿泊費,その他もろもろの高額請求書のサインだった。管理人さんたら,可愛い顔してやること結構えげつない!
行き倒れていた主人公にそんな大金が支払えるわけがなく,それらの借金を免除してもらう条件として,主人公はフランの依頼――デモンの討伐を引き受けることになる。これって,どう見ても管理人さんの罠だよね……。ちなみに冒頭で主人公の名前をオズと紹介したが,主人公の名前や見た目は自由に変更できる。
続いて竜姫亭の女性陣をご紹介。まずは先輩冒険者のランスローナ。姉御肌で面倒見がいい |
こちらは管理人さんラブな竜姫亭のメイド係,ピーネ。趣味は怪しいキノコを集めること |
よく下着姿で竜姫亭の中をうろついている葬儀屋のプロメス。趣味はドクロ様の収集。胸キュンです |
最後はつるぺた冒険者,ルル。腕は確かなようだが,口は悪い。なお,男共の紹介は割愛する |
竜姫亭にはさまざまな住人が住んでおり,武器屋や道具屋,瀕死になった仲間を復活させるための葬儀屋など,各種施設(というか店舗?)も備わっている。また,本作で特徴的なのは,新たな仲間を増やすために,フランから新しい部屋を借りなければならないというところ。当然,無料ではないので,そのためにはお金が必要だ。
竜姫亭には5つの空き部屋があり,そのうちの1つを主人公が借りている。さらに,先輩冒険者のランスローナが主人公の仲間のためにもう1部屋借りてくれるので,最初は2人パーティで迷宮に挑むことになる。
本作では部屋の数と同じ,最大5人でパーティを組むことができ,さらに控えとして3人のメンバーを郊外に待機させておける。つまり,全部で7つある職業(主人公の職業は“デモンゲイザー”固定)にぴったりな数だけ,キャラクターを作成できるというわけだ。冒険を開始したら,まずはお金を貯めて新たな部屋を借り,仲間を増やすことを第一目標に進めていくと,冒険が楽になるだろう。
ちなみに,本作には「円卓の生徒」(PC/Xbox 360/PSP)や「迷宮クロスブラッド」(PC/Xbox 360)にあったようなサブクラス(1体のキャラクターでメインとサブの2つの職業に就くこと)の概念は存在しない。その代わり,各職業のスキルが込められた“神器”と呼ばれる特別なアイテムが用意されており,これを装備することで,例えばウィザードの魔法をファイターが使えるようになったりする。神器は後述する“トレジャーハンティングサークル”などで入手できる貴重品で,1キャラクターにつき最大5個の神器を装備可能だ。
さて,迷宮に出かける際の注意点として,竜姫亭の家賃についても触れておこう。フランは可愛い顔してお金にはかなり厳しいので,竜姫亭から一歩でも外に出ると,戻ってきた際に玄関先で待ち構えており,家賃を請求してくる。ちょっと忘れ物を取りにきただけという甘い言い訳も通用しない。そのため,一度外出したら最低限,家賃ぶんのお金やアイテムを稼ぐまでは戻らない覚悟が必要だ。
竜姫亭の家賃は,パーティの人数とレベルに応じて変化する。手持ちが足りないときは滞納してあとで支払うこともできるが,連続して家賃を納めると“模範的な住人”としてフランからご褒美をもらえるので,できるだけ滞納しないようにしたいところ。フランは何やら,隠された使命のために竜姫亭を経営しており,そのためにも資金が必要なのだという。それにしても,取り立てがちょっと厳しすぎる気がするが,フランは怒らせるとものすごく怖いらしいので,きっちり家賃を支払ったほうが身のためかもしれない。
もう自動移動なしじゃ,生きられない体に……
新機能でますます快適になったダンジョン探索
冒険の舞台となるダンジョンは,エクスペリエンスのファンにはおなじみの3D表示になっており,オートマッピングも完備されている。ミニマップや拡大マップをいつでも確認できるので,道に迷う心配はあまりないだろう。さらに本作には,一度行ったことがある場所までオートで進んでくれる“オートパイロット”機能が用意されており,これが非常に便利というか,便利すぎてやばい。拡大マップを表示し,行き先を指定するだけで,あとは目をつむっていても目的地に向かってくれるので,一度使ったら二度と手放せなくなるほどだ。
オートパイロット機能には,フロアをまたいだ移動ができない,回転床に乗った際に移動が止まるといった弱点もあるが,さすがにそれくらいは自分でやるべきことでもあり,その利便性には大いに助けられるはず。また,ダンジョン内で使用できるもう1つの新機能として“ゲイザーメモ”がある。これは“魔法のチョーク”というアイテムを使ってダンジョン内に自作のメモを残すもので,それをPS Vitaのネットワーク機能を使ってほかのプレイヤーと共有できる。
メモはあらかじめ用意されたいくつかの単語を組み合わせて短文を作る形式となっており,自由に作文できるわけではないので,使いどころはやや限られてきそうだ。筆者も試しに,その先に恐ろしいモンスターが出そうなところに「この先 管理人室」というメモを残しておいたが,これはおそらく誰の手助けにもならないだろう。ごめんなさいよ!
全体的に,非常に快適にダンジョン探索が行えるよう配慮されている本作だが,1つだけ気になるのはマップ上に自分で目印などを置けないという点。そのため,ダンジョン内にせっかくメモを残しても,あとになって,どこにそれを置いたのか自分で分からなくなってしまう。筆者の記憶力が極めて残念な点は否定できないが,ここまで便利な機能を盛り込んでいるのだから,あともう一歩踏み込んでほしかったところだ。
怒らせると怖いのは管理人さんだけじゃない!?
暴走するデモンの力を制御してダンジョンに挑め
続いて,本作の目玉となる2つの要素,“トレジャーハンティングサークル”(以下,サークル)と,“デモン”について紹介していこう。まずサークルは,ダンジョン内に点在する特殊なスポットで,ここに“ジェム”と呼ばれるアイテムを投入することで,出現するモンスターがそれぞれのジェムに対応したアイテムを持って登場するというもの。もちろん,出現したモンスターを倒すことができれば,そのアイテムを入手できる。
似たようなシステムとしては「円卓の生徒」の“トラップエンカウント”があるが,本作では単にモンスターをおびき寄せるだけでなく,入手できるアイテムの種類をある程度,自分で絞り込める点が大きく異なる。そのため,自分のパーティに必要となる装備品も集めやすく,アイテム探しにもいっそう熱が入る。逆に言うと,ジェムがなければ始まらないわけだが,ジェムは通常戦闘で比較的容易に手に入るほか,「竜姫亭」の道具屋でも購入できるので,足りなくなる心配はほぼない(ただし,店売りのジェムは在庫数が限られている)。
ある程度サークルを制圧すると,そのダンジョンを支配するデモンが現れて軽く戦闘になるが,この初戦は言わば顔見せといったところ。ここで負けるようでは,本気を出したデモンには手も足も出ないので,そのときはレベル上げやアイテム集めをしてパーティを強化し直そう。すべてのサークルを制圧すると“デモンサークル”が出現。ここに足を踏み入れると,いよいよ本性をあらわにし,暴走状態となったデモンとの戦いになる。そして暴走したデモンを倒し,その魂をとらえてフランのもとへ持ち帰ることで,“デモンの鍵”を入手できる。
デモンの鍵はデモンの力を封じ込めた特殊なアイテムで,これを付け替えることで最大3体のデモンを連れ歩き,各デモン固有のスキルを使ったり,特殊効果を得たりできる。デモンは探索型や攻撃型,防御型など,それぞれ特徴を持っているので,目的に応じて選びたいところだ。制圧済みのサークルではデモンの鍵束を変更できるほか,ゲームのセーブやロードもできるので,これを拠点にダンジョンの探索を進めていくといいだろう。
また,仲間にしたデモンを戦闘中に召喚し,戦わせることもできる。デモンは自分の判断で行動するため,直接命令を下すことはできないが,6人めのパーティメンバーとして強力な戦力になってくれること間違いなし。ただし,デモンの召喚中は毎ターン“デモンゲージ”が減少し,ゲージがなくなるとデモンが暴走するという点には注意が必要だ。暴走したデモンは体力と攻撃力が上昇し,敵味方関係なく攻撃するようになるので大変危険だが,暴走状態をうまく利用すれば強敵を倒すこともできる。主人公が“あるスキル”を習得するゲーム中盤以降は,暴走状態のデモンをいかにコントロールするかがボス戦の勝敗を左右すると言ってもいいだろう。
ラブコメ・ミーツ・ダンジョンRPG
胸躍る恋と,謎に満ちた冒険がここにある
以前掲載した,本作のプロデューサーである千頭 元氏のインタビューにもあるように,「竜姫亭」という設定は「めぞん一刻」や「ラブひな」などでおなじみの,同居生活やラブコメ的な要素をフィーチャーしたものだ。
確かに,ストーリー面に目を向ければ,そうしたラブコメ作品でお約束となっているコメディ展開やサービスシーンもあり,プレイすればするほど「管理人さん可愛いよ管理人さん……お金には厳しいけど」と思わざるを得ない。このプレイレポートにしても,最初はいかに管理人さんが魅力的であるかについて万言を尽くして語ろうと思っていたほどだ。演出面に関しても,エクスペリエンス作品の中で最も凝った作りになっていると断言できる。
しかし,そうしたラブコメ要素は確かに本作の魅力の1つではあるが,すべてではない。思わず顔がにやけてしまいそうな日常生活の裏では,大きな謎が隠されたメインストーリーがシリアスに展開し,竜姫亭から一歩外に出れば,そこには胸躍る戦いと冒険が待っている。
これまで,一貫してクオリティの高いダンジョンRPGを作り続けてきたエクスペリエンスだけに,基本部分はしっかり作り込まれており,そこにゲームをより快適に遊べる新要素を盛り込みつつ,ラブコメというトッピングをまぶしたような本作。エクスペリエンス作品やダンジョンRPGのファンだけでなく,より幅広いプレイヤーにお勧めしたい1本だ。
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