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「SHIELD Tablet」へのAndroid 5.0配信開始は11月中で決定。「HL2:EP1」の移植とゲームのオンラインストリーミングサービス開始も発表される
最大のトピックは,かねてより予告されていたAndroid 5.0(Lollipop)のOTA配信が11月中に決まった,というものだ。「11月のいつ」かまでは明らかになっていないが,向こう半月以内には,Android 5.0が“降ってくる”わけである。
アップデートにはそのほかにも気になる内容があったので,今回は,報道関係者を対象に実施された電話会議の内容をまとめてみたいと思う。
Android 5.0 OTAに加え,SHIELD Hub更新が予告
「HL2:EP1」移植,GRIDサービス開始も発表される
電話会議では,NVIDIAでプロダクトマーケティングマネージャーを務めるMithun Chandrasekhar(ミッスン・チャンダーシカー)氏が,SHIELD Tabletに関するアップデートを解説した。
Android 5.0は,日本だと「Nexus 9」に採用されて出荷が始まっており,日本時間11月13日にはGoogleから既存のNexusデバイスに向けても配信が始まったが(関連記事),Chandrasekhar氏によれば,SHIELD Tabletは「サードパーティとしてAndroid 5.0に対応する初めてのタブレットになる」そうだ。
ゲーマーにとって重要なのは,Android 5.0の導入により,ゲームの体験や性能がどう変わるか,だが,それらもAndroid 5.0でさらに磨きがかかるとのことだ。Chandrasekhar氏はAppleの「iPad mini 3」とSamsung Electronicsの「GALAXY Tab S 8.4」を引き合いに出しながら,「これら競合製品に対して2倍以上のグラフィックス性能を実現している」とアピールしていた。
またNVIDIAは,やはり11月中に「SHIELD Hub」のアップデートも行うと予告している。
「Tegra Zone」の後継としてSHIELD Tabletにプリインストールされ,“Steam的”に利用できるアプリであるSHIELD Hubだが,次回のアップデートでは,Android 5.0でサポートされる新しいユーザーインタフェース記述言語「Material Design Language」ベースに変わり,見た目も一新されるとのことだ。要は,Android 5.0と親和性が高く,またGoogleの提唱するMaterial Designベースのユーザーインタフェースが採用されるという理解でいいだろう。
もう1つは,PC用FPS「Half-Life 2: Episode One」が,SHIELD独占で移植・配信されるという話題だ。
SHIELD Tabletおよび国内未発売のポータブルゲーム機型Android端末「SHIELD Portable」(旧称:SHIELD)向けに,Valveの名作タイトル「Half-Life 2」が移植されているのは,すでに知っている読者も多いだろうが,その続編であり,エピソード形式のリリースが選択されながら,途中までしか発売になっていないシリーズが,このタイミングでまさかの移植というわけである。これをプレイしても,発売されないままかれこれ7年が経過しようとしている新エピソードにはつながらないわけで,いやはや,思い切ったというかなんというか……。
ちなみに,Half-Life 2: Episode OneはSHIELD Tablet独占タイトルであり,ほかのタブレットへ提供される計画はないとのこと。SHIELD Portableに提供されるかどうかも未定だという。
Chandrasekhar氏によると,現時点でTegra K1に最適化されたゲームは18タイトルあるとのこと。「PlayStation 4やPlayStation Vitaのゲームタイトルも登場する」(同氏)そうだ。ゲームプラットフォームとして着実な歩みを続けているということなのだろう。
ゲームプラットフォームとしてのSHIELDに関して続けると,北米では11月中,欧州西部では12月,アジアでは2015年に,PCゲームのオンラインストリーミングサービス「GRID Game Streaming」を開始する予定であることも予告された。
詳細は明らかになっていないが,「Batman: Arkham City」「Borderlands 2」「Psychonauts」など,20タイトルが開始時点で用意され,毎週,新しいタイトルが追加される予定とのこと。SHIELD Tablet(とSHIELD Portable)のユーザーは,サービス開始後,2015年6月30日まで,ストリーミングサービスを無料で楽しめるという。
ただし,今回の予告に日本は含まれていない。日本国内におけるGRID Game Streamingサービスの開始は,現在のところ未定である。
「Dabbler 2.0」はレイヤー機能に対応
ゲームとはあまり関係ないのだが,Android 5.0対応に伴い,SHIELD Tabletプリインストールのお絵かきツール「Dabbler」がバージョン2.0へ引き上げられることも,電話会議で明らかになった。Chandrasekhar氏いわく「ユーザーからの要望が最も多かった,レイヤー構造をサポートする」とのことで,レイヤー単位での編集が行えるようになるようだ。
ユーザーインタフェースは,SHIELD Hubと同じく,Material Designで一新されるという。
というわけで,予告されていたAndroid 5.0は,無事,しかもNexusを除く他社のタブレット製品よりは少し早めに公開されることになった。ゲーム周りにもう少しインパクトが欲しかった気はしないでもないが,コンテンツの拡充に力を入れていることは十分に分かったので,続報に乞うご期待といったところだろう。
当面の間,GRID Game Streamingが対象外なのは残念だが,ともあれ,SHIELD Tabletのユーザーは,あと少しの辛抱だ。
NVIDIAのSHIELD Tablet製品情報ページ
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