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Lenovo,ゲーマー向けPCブランド「Erazer」を日本市場へ投入。第1弾はタワー型PC「Erazer X700」
Erazer X700 |
Lenovoといえば「ThinkPad」でよく知られたメーカーで,価格対スペック比を追求した「IdeaPad」も最近では知名度が上がってきているが,いずれにせよ,ゲームPCとは縁遠い存在だと思っていた人が多いのではなかろうか。それだけに,そんなLenovoがなぜ突然ゲーマー向けPCを? と思うかもしれないが,Lenovoは2011年にドイツの家電メーカー「Medion」(メディオン)を買収している。そしてErazerというのは,このMedionが手がけていたブランドなのだ。
MedionはもともとErazerを欧州市場で展開していたが,Lenovoによる買収後は中国市場でも展開するようになり,今回,3つめの市場として,日本が選ばれたのだという。Lenovoは現在,「守りつつ攻める」というスタンスで事業を展開しており,日本では,ThinkPadやIdeaPadなどの事業をしっかりと守りつつ,Erazerで攻勢に打って出るというスタンスになるそうだ。
LEDの配置を示すスライド |
“鉄仮面”の隙間から覗く目線風に,ミラー加工された本体前面上部カバー部の下側から青色LEDの光が漏れ,また,本体前面最下部に複数の「点」として用意される青色LEDもアクセントになっているのが,外観上のポイントといえるだろう。なお,LEDの色は青で固定であり,別の色に変えたり,光り方を変えたりといった機能はない。
鉄仮面のようなフロントパネルを開けると,メモリカードリーダーやDVDスーパーマルチドライブが並ぶ。フロントベイの数は多く,拡張に適する |
本体上部にある「オーバークロックボタン」と電源ボタン。写真はオーバークロックがオフの状態で,オンになると文字が赤く光る |
本体上部,電源ボタンの上には「オーバークロックボタン」と呼ばれるボタンがある。これはErazer X700の特徴である,「ワンキーオーバークロッキング」の始動ボタンとなっている。
CPUが定格で動作中にこのボタンを押すと,クロックアップ動作が「解禁」される。その状態で,クロックアップ設定を行う「Erazerコントロールセンター」というユーティリティを使い,CPUのクロック倍率を選ぶと,PCの再起動を促すメッセージが表示される。そこで再起動すると,ようやく選択した倍率でのクロックアップ動作が可能になる。クロックアップをオフにする場合も同様で,再起動が必要になる。
「ワンキーオーバークロッキング」の説明スライド。クロック倍率を幅広く変えられるが,ベースクロックは変更できない。 |
本体上部前方側には,上下に稼動するパネルがあり,パネルを下に動かすと周辺機器を装着するベイが現れる。ベイの前側には,キャップに覆われたUSB 3.0のタイプBコネクタが用意されており,周辺機器との接続に使われる。欧州ではここに装着する専用周辺機器が販売されているとのことだが,残念ながら日本では,現状で発売の予定はない。
本体の右側面パネルには,大きなメッシュの開口部がある。ここは排気口として機能するほか,内部に設けられた青色LEDの光が漏れて,ケース内を外からでもぼんやりと光らせる仕掛けになっている。
本体上部には稼動するパネルとUSB 3.0のタイプBコネクタがある。欧州ではここに装着する周辺機器が販売されているとのことだが,日本ではまだ製品化されていない |
本体右側面パネルにはメッシュの開口部があり,内部に搭載されたLEDの光が漏れる仕組み |
側面パネルは,後端で手回し式のネジ2本を使って固定されているだけなので,内部へのアクセスは容易だ。本体内部では,前面側に外からアクセスできる5インチベイと,3.5インチHDD用の内部ベイが4基並んでいる。HDDベイはドライバーを使わずにHDDを交換できるツールフリー構造を採用。HDDの付け外しが簡単にできる。
本体背面。I/Oインタフェース類が下にある配置。拡張スロットの空きは多いように見えるが,マザーボード側のスロットが少ないので上から4スロット分は使えない |
本体内部。写真左側が前面側。ドライブベイの数はかなり多いのが特徴 |
液冷システムの「レノボリキッドクーリングシステム」。冷やす対象はCPUのみ |
少々残念な点は,Core i7-3820は4チャネルのメモリチャンネルをサポートするのに対して,Erazer X700に装着されているメモリモジュールは2枚(4GB×2)だけである点だ。CPU性能を最大限に発揮するには,4スロットすべてにメモリを装着する必要があるので,できれば4GB×4の16GBを搭載してほしかった。
気になるグラフィックスカードは,小売市場向けとは異なる仕様のOEM向け「GeForce GTX 660」を搭載したモデルとなっている。組み合わされるグラフィックスメモリの容量は1.5GBである。
なお,Erazer X700は販売時のパーツ構成が固定されており,BTOによる注文時のパーツ変更には対応していない。一方,メーカー製PCとしては珍しい特徴として,Erazer X700にはキーボードやマウスが付属しない。ゲーマー向けPCを求める消費者は,自分の気に入ったキーボード・マウスがすでにあるものだ,という考えによるものという。
独特のルックスを持つボディと液冷システムという特徴はあるものの,スペック面から見ると,17万円前後という想定売価はいささか高く思える。レノボ・ジャパンでコンシューマーデスクトップ製品を担当する藤井宏明氏は,Erazer X700のターゲットとなる客層について,「レノボのPCユーザーが第1のターゲット」と述べる。ゲーマー向けPCを買い慣れた,あるいは自作し慣れた消費者ではなく,レノボ製品のユーザーが,ハイスペックなデスクトップPCを選ぶときの選択肢として位置付けているとのことだ。
レノボのコンシューマー向け製品ラインナップと,Erazer X700の位置付け既存製品のユーザーが,より高性能なPCを求める際に提示できる製品とされる |
Erazer X700の主な仕様
- CPU:Core i7-3820(3.6GHz)
- チップセット:Intel X79 Express
- メインメモリ:PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2
- グラフィックス:NVIDIA GeForce GTX 660(グラフィックスメモリ容量1.5GB)
- HDD:1TB(SATA 6Gbps,7200rpm)
- 光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ
- LAN:1000BASE-T
- OS:Windows 8 64bit版
- 本体サイズ:210(W)×475(D)×455(H)mm
- 重量:約18.5kg
「バイオハザード6」の推奨PCにも認定
PCの高性能を生かした表示やゲームモードも追加
Erazer X700はPC版「バイオハザード6」や「シムシティ」の推奨PCにも選ばれている。製品発表に先立って行われたレノボ・ジャパンによる事前説明会では,PC版バイオハザード6のプロデューサーである平林良章氏が講演を行い,PC版ならではの特徴について解説した。
平林氏によれば,PC版は最大の画面解像度が2560×1600ドットの高解像度まで対応するほか,アンチエイリアシングの有無や影品質,テクスチャ品質を調整する画面調整メニューを用意。PCのパワー次第で,ゲーム機版よりも優れた品質の映像を実現できるという。
また,多くの敵を表示してもパフォーマンスが落ちない利点を生かして,ゲーム機版のゲームモード「ザ・マーセナリーズ」よりも大量の敵が襲いかかってくるPC版専用モード「ザ・マーセナリーズ アンリミテッド」を追加。そのほかにも,ゲーム機版では有料DLCとして提供されていた7ステージのエクストラコンテンツをすべて収録するなど,PC版ならではのメリットを多数用意しているとのことだ。
レノボではErazer X700の発売を記念して,購入者先着100名に,PC版バイオハザード6と容量1TBのポータブルHDDがもらえるキャンペーンを実施するという。キャンペーン期間は3月15日から,商品がなくなるまでの予定である。
先着100名にバイオハザード6と1TB HDDがプレゼントされる発売記念キャンペーンも開催 |
スペックに対して想定売価が高めな点は気になるものの,大手PCメーカーからゲーマー向けPCの新ブランドが登場すること自体が珍しいだけに,Erazerのラインナップ拡充に期待したい。
レノボ・ジャパン 公式Webサイト
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