iOS版「アイドルマスター シャイニーフェスタ」をレビュー。手軽なリズムゲームで，「いろんな私たち」を魅せてもらっちゃおう

　それ！　右右左，左右左……うわー，いきなりついていけない！　で個人的におなじみの「アイドルマスター シャイニーフェスタ」がiOSアプリとなって2013年4月22日にリリースされた。昨年（2012年）10月25日，PSP向けに発売された同名タイトルのiOS版であり，PSP版と同様に「アイドルマスター シャイニーフェスタ　ハニー サウンド」「アイドルマスター シャイニーフェスタ　ファンキー ノート」，そして「アイドルマスター シャイニーフェスタ　グルーヴィー チューン」の3バージョンが用意されている。

アイドルマスター シャイニーフェスタ　ハニー サウンド

■担当アイドルユニット
・天海春香 CV：中村繪里子
・如月千早 CV：今井麻美
・三浦あずさ CV：たかはし智秋
・秋月律子 CV：若林直美

「Music in the world」	「Vault That Borderline!」
オリジナルアニメ	オリジナル曲

アイドルマスター シャイニーフェスタ　ファンキー ノート

■担当アイドルユニット
・高槻やよい CV：仁後真耶子
・水瀬伊織 CV：釘宮理恵
・我那覇 響 CV：沼倉愛美
・双海亜美・真美 CV：下田麻美

「Music is a friend」	「ビジョナリー」
オリジナルアニメ	オリジナル曲

アイドルマスター シャイニーフェスタ グルーヴィー チューン

■担当アイドルユニット
・星井美希 CV：長谷川明子
・萩原雪歩 CV：浅倉杏美
・菊地 真 CV：平田宏美
・四条貴音 CV：原 由実

「Music of love」	「edeN」
オリジナルアニメ	オリジナル曲

「アイドルマスター シャイニーフェスタ」公式サイト

　これといった予告なしに，いきなり発売されたため，心の準備ができていなかった私は大変ビックリしたが，さっそく入手して試したので，ここで簡単なレビューをお届けしたい。もっとも，冒頭からお察しのことと思うが，私は「難度REGULARのS評価は都市伝説」というレベルのリズムゲームプレイヤーなので，攻略法などを期待されても笑ってごまかすしかないという点については，あらかじめご了承願いたい。iOS版が出たのでちょっとやってみようかなと思っている人に向け，まず普通のレビューっぽくゲームの概要から説明してみよう。


　ゲームを開始すると，アニメが始まる。これは，2011年にTBS系その他で放映されたテレビアニメ「アイドルマスター」を制作したA-1 Picturesが，このシャイニーフェスタのために新たに制作した完全オリジナル作品だ。「ほほう，物語の発端をアニメで軽く説明しようという趣向ですな」などと，のんきに構えているとたぶん驚くはずで，見ても見ても終わらないというか，思わず見入ってしまう作品になっちゃっているのだ。3バージョンそれぞれに，異なるアニメがまるまる1話分（23分）収録されているというのだから，もう見たとか言わずにぜひ驚いてほしい。


　うろ覚えながら，このシャイニーフェスタは，アニメによって新たにアイドルマスターシリーズのファンになってくれた人に向けて手軽に楽しめる作品を作ろうということで企画されたという。そのため，普段ゲームをあまりプレイしない人でもとっつきやすいよう，ハードルは低めに設定されており，さらにアニメがフィーチャーされることになったわけだ。とはいえ，もともとは数分のオープニングアニメが制作されるはずだったのに，監督を始めとするアニメスタッフが，やはりそれでは物足りないということになり，気がつけばアニメ1話ぶんになっていたという話だ（関連していなくもない記事）。アイドルマスターは登場キャラクターが多いので，それぞれに見せ場を作ろうとすれば，数分のアニメではまず足りないとは思います。


　もちろん。アニメの詳しい内容についてはネタバレになるので，天海春香のビキニ姿が見られるたりするよ，うふふのふ，ぐらいしか書けないが，テレビアニメと同様，ささやかな出来事にまつわるアイドル達のちょっとした心の機微が巧みに描かれて胸を打つものがあり，それをゲームの冒頭にいきなりもってくる構成もユニークだ。


　ともあれ，このアニメで紹介されるのは，南国リゾート「バケーションアイランド」で開催される「バケーションアイランド国際音楽祭」（つまり，フェスタ）に765プロのアイドル達が参加することになったという流れ。ただし，13人全員が島に行けるわけではなく，フェスタに参加できるのは，早い話，それぞれのバージョンのアイドル達だったという感じだ。なるほど。

「STAGE」で楽曲を選んでリズムゲームに挑戦

うまくいくと，アイドルに誉めてもらえる。にひひ

　ゲームは，この「バケーションアイランド国際音楽祭」を背景にしているような感じで進んでいくのだが，プレイヤーはまず，「STAGE」モードで楽曲を選び，リズムゲームに挑戦することになる。
　リズムゲームそのものは，左右から流れてくるアイコンがターゲットに重なったときにタイミングよく画面をタッチし，スコアを稼いでいくというリズムアクションで，PSP版では，画面左右に配置されたボタンのうち，押しやすいものならどれでもいい（例えば，右側なら○/△/□/×/Rボタンのうち，なんでもオッケー）というシンプルな操作方法だったが，今回のiOS版はさらに簡単になっており，画面の右半分と左半分のどこでもタッチすればよろしい。

　タッチしたタイミングによって，「PERFECT」「GOOD」「NORMAL」，そして「BAD」の4段階に評価され，それに応じたスコアがもらえ，また，BAD以外ならコンボがつながる。ただし画面タッチには，左右同時タッチや，長めにタッチし続けるものもあり，右が長めで，左は普通にリズムを刻むなんてことになると，わけが分からなくなるので要注意だ。主にオレ。

左長押し，というか長タッチで，右はリズムを刻む……らめら！

　そんな感じで調子よくリズムを刻んでいくと，画面左上の「キラメキメーター」が溜まり，いっぱいになると星マークのアイコン「シューティングスター」が出現。このシューティングスターがターゲットに重なったときタイミングよくタッチすると，「シャイニングバースト」が発生して，獲得できるスコアがアップするというダンドリ……。とまあ，リズムゲームを文章で説明するのはなかなか難儀だが，試しに一曲やってみれば，一瞬で分かるはずだ。ゲーム中の「INFORMATION」にもプレイ方法の説明があるので，分からないことがあったら確認してほしい。少なくとも，マニュアルをめったに読まないことで知られる私でも問題なく（本当はちょっとあったけど後述）プレイできたような気がしないでもないということは付記しておきたい。

　ゲームの難度には「DEBUT」「REGULAR」「PRO」，そして「MASTER」の4種類があり，よいスコアを挙げると，より上の難度がアンロックされるというアンバイだ。詳しくはこれまた後述するが，それぞれの楽曲には魅力的なミュージッククリップ（MC）が2種類ずつ用意されているのに，最初は「NORMAL MC」しか見られない。だが，どの難度でも2種類めのMCをプレイし終わると，「SPECIAL MC」がアンロックされるという仕組みだ。なるほど。
　まあ，この私でも全楽曲の「SPECIAL MC」を解放できたほど難度「DEBUT」は易しいので，「せっかくゲームを買ったのに，SPECIAL MCが見られない」といったことはまず起きないだろう。

「DLC STORE」で追加楽曲を無料でダウンロードできる。すべてダウンロードすると，PSP版と同じ楽曲数になるですぅ

ファン数が増えると，ランクが上がっていき，「SHOP」で購入できるアイテムの幅が広がったりする。なんか懐かしいデザイン

ステージの合間に，ちょっとした会話が挟まることもある

　とはいえ，プレイそのものは最初ちょっと戸惑った。いわゆる，「タッチジェネレーション」のナウいヤングには問題ないかもしれないが，押すボタンのないゲームは初体験に近い。いやまあ「アイドルマスター シンデレラガールズ」だってボタンは押さないけど，シャイニーフェスタはアクションですからね。また，せっかくのMCが指がジャマでよく見えないという状況にも陥った。「春香さんが見えないだろ，指どかせよ！」と思っても，よく考えると自分の指なのだ。さらに，プレイに力が入るあまり，タッチする位置がどんどんずれ，しまいには縁の黒いところを一生懸命叩いていたということも経験した。そのほか，どうにもタイミングが合わずに苦労していたら，「耳からイヤフォンが落ちている」と指摘されたこともあった。大丈夫かオレ様。

ショップでは，このようなものが買える。スクリーンショットを見れば一目瞭然だが，私，お助けアイテム使いまくりだ

「STAGE」を重ねて思い出がたまると，「STAR OF FESTA」で「思い出ブースト」が使えるようになる

がんばれ雪歩

　このように，最初こそなかなか困ったものの，現在はそのすべてを克服し，要するに慣れの問題だろうね。連打を要求される部分などでは，前よりうまくなったような気がするほどだが，たぶん気のせいだろう。現在は，片面で複数の指を使う連打法の修練にいそしんでいるが，ホールドがどうしても甘くなるため，うっかり力が入り過ぎるとiPhoneがどこかへ飛んでいってしまうという新たな問題に直面している。

　ともあれ，プレイそのものは非常に気持がいいし，難しいパートをビシッとクリアしたときなど，本人は五十過ぎてもまだ現場という現実をよそに，なんだか偉くなったような気がするほどだ。楽曲とリズムゲームのマッチングもよく，サビの部分では「タンバリン係」として演奏に参加しているような雰囲気を味わえる。最初は難しく思えるかもしれないが，そういうときは「考えるんじゃない。感じるんだ」という言葉を思い出せばなんとかなるだろう。


　さて，ゲームが進んでアイドルランクが上がると，そのうち音無小鳥が「STAR OF FESTA」（SOF）に挑戦できる「SOF PASS」をくれるので，これはもう挑戦するしかないだろう。ありがとう小鳥さん。心おきなく新刊本を買いにいってください。さてSOFとは（たぶん）音楽祭のメインイベントの一つで，3曲連続のステージを5日間行い，人気投票の結果が10万票に達すると大勝利というものだ。なかなかハードなスケジュールだが，ゲーム的には連続でSOFに挑戦する必要はなく，SOFをやって，普通の「STAGE」をやって，そんでまたSOFという感じでもいい。

タイミングが合わなくて，なかなかうまく撮影できないので，ついにあきらめたのだが，ともかく，ラインに見えているハートのマークが「思い出マーク」だ。分かりにくくて恐縮です

　プレイヤーは，各ステージの楽曲3曲を設定してライブを行うわけだが，ここで重要になるのが「思い出ブースト」だ。「STAGE」をこなしたり「THEATER」でムービーを見たりすると，担当アイドルとの思い出が溜まっていくことが確認できるはず。一杯になったハートマークを見て「ふふふ，キミ達，ボクに惚れてるね」と自己満足に浸ってもいいんだけど，溜まった思い出を消費することで「思い出ブースト」が発動できることがゲームとしてはより重要になる。具体的には，シャイニングバースト発動後，ラインに流れてくるハート型の思い出マークをタイミング良くタッチすることで，さらに多くの票が獲得できるというもので，どのアイドルがどれだけ思い出を使うのかなどは，ステージの楽曲設定のときに行う。

「STAR OF FESTA」の選曲画面で，「思い出ブースト」の設定を行う

「STAR OF FESTA」の3曲目では，ライバルとのバトルも可能。しぶりん！

　また，ステージの3曲目では「ライバルとのバトル」も可能だ。設定は3曲目の直前に行うのだが，タイムテーブルに出てくる何人かのライバルから一人を選び，スコアを競うというもので，勝てば多くの票を獲得できるが，負けるとそれまで手に入れた票をライバルに奪われてしまうというハイリスク/ハイリターンな感じになっている。ただし，ライバルとバトルしないという選択もあるので，自信がないときは回避してもいい。とはいえ，勝つとそのライバルから名刺がもらえ，名刺には，観客にいい影響を与えて得票数が増えたりするものなんかもあるっぽいよ，兄ちゃん。

白熱のバトルの結果，華麗に勝利を収めると，ライバルのお名刺がいただける

　ライバルとしては，自分が担当していない765プロアイドルや876プロのアイドル，961プロの男性ユニット「ジュピター」，そして「アイドルマスター シンデレラガールズ」のアイドルなどが登場するので，全員の名刺を集めてニヤニヤするのがプレイヤーの重要な役目といえるだろう。また，自分の担当アイドルの名刺は「ある条件」を満たせば手にはいるので，ぜひ安心しよう。そ，それは知らなかった！
　以上のようにして，うまいことSOFを終えるとエンドロールが流れ，ゲームは一区切りとなるわけだが，もちろんこの先，いくら続けても構わない。アイドルランクが上がってマニーが貯まれば，ショップでいろいろなアイテムなどが買えるようになるし，ショップで購入したお助けアイテムを使うことで，さらに上を狙っていけるはずだ。
　……と，自分でもだんだん疲れてくるほどいろいろ説明したが，これもまた，実際にプレイしてみれば，ちょちょいのちょいで分かってしまうはずなので，うろ覚え程度に頭にとどめてもらっても大丈夫だ。

アニメミュージッククリップ「edeN」

アニメミュージッククリップ「Vault That Borderline!」

アニメミュージッククリップ「ビジョナリー」

　さて，ゲーム冒頭のアニメに次いでシャイニーフェスタの大きな魅力だと言わざるを得ないのが，リズムゲームの際に画面に流れるMCだ。これらは，ざっくり分けて「アニメ」「ライブ」「お芝居」，そして「バンド」がある。

　まず，アニメだが，これは基本的にテレビシリーズの素材を編集したもので，見た人なら懐かしいと思うだろう。それにしてもアニメって，もう2年も前の話なのか。うーん……早いなあ。個人的には「約束」のMCは何度見ても泣けてくるので，プレイしづらいったらありゃしないが，もちろん，各バージョンのオリジナル曲，つまり「Vault That Borderline!」（ハニー サウンド），「ビジョナリー」（ファンキーノート），「edeN」（グルーヴィー チューン），そして共通楽曲の「MUSIC♪」でも，冒頭のムービーに登場した専用MCが流れるので，これまたいい感じじゃないか。「MUSIC♪」の春香と如月千早，萩原雪歩が一緒に歌う場面では，ついそっちに目がいってミスを繰り返している。

アニメミュージッククリップ「MUSIC♪」

　ライブは，チラ見すると「アイドルマスター2」のステージシーンのような感じだが，目を凝らしてよく見るとだいぶ違うので驚く。ちなみにシャイニーフェスタのライブMCは，据え置き機のようなリアルタイムレンダリングではなくムービーなので，カメラ位置の変更などはできないものの，そのぶんハイレベルなグラフィックスに関わらず処理落ちもなく，レンズフレアやエフェクト，被写界深度やユレモノなど，かなり凝ったことをやってくれちゃっていて憎い。
　余談だが私，こんなことになってしまう前は海外ゲーム，それもFPSをメインにプレイしており，つまりグラフィックスオタクのハシクレだ。「アイドルマスター2」のステージシーンをキャプチャして，連続再生して「春香はかわいいなあ」とかなんとか言いながら寝オチするという行為を50歳をとっくに過ぎた今でも繰り返しているので，ライブシーンを見るのはかなり好きなの。夜の山手線で食い入るようにiPhoneの画面を見ているオジサンがいたら，それは私かもしれないので，ぜひそっとしておいてほしい。

ライブミュージッククリップ「MUSIC♪」

ライブ「edeN」。貴音，カッコよすぎ

お芝居「ラ♥ブ♥リ♥」

　話がそれたが，ライブMCの圧巻はどう考えても「MUSIC♪」であり，ここでは765プロのアイドル13名が全員集合してステージパフォーマンスを見せるという，ファンなら誰でも一度は夢見たはずの場面が地上に顕現しているので，血糖値とか尿酸値とかアドレナリン値とかが一気に上昇してしまうのは間違いない。今年も再検査か。
　さらに，アイドル達が手にマイクを持っていたり，カメラが彼女らの背後に回り，色とりどりのケミカルライトが揺れる会場を映し出したりなど，何度見ても飽きないので，あっ，また見たくなってきちゃったって，これだけでもぜひ見てほしい。

　お芝居とバンドも3Dモデルを使ったもので，例えばまたしても「約束」だが，聖堂のようなステージを千早が歩いて進み，彼女の周囲をCGの羽根が舞うという，ゲームではとても見られないような印象的な映像に仕上がっている。菊地 真が土手道を自転車で全力疾走したり，水瀬伊織と高槻やよいが夜の墓地でお芝居をしたりなど，背景といいカメラワークといい，それぞれ凝った作りになっている。さらに，言うまでもなくバンドはアイドル達が楽器を演奏するもので，アイドルマスター的には初の試みとなるようだ。確かに非常に新鮮で，三浦あずさのドラムや双海真美のベース，星井美希のギターなど，誰が何を担当しているのかを見るのも楽しいし，楽器のディテールも細かい。何より演奏している彼女達はとてもカッコよくて，いやあ，ガールズバンドはいいなあ。

お芝居「約束」

バンド「ALRIGHT*」

バンド「Vault That Borderline!」

　というわけで，私のiPhoneは今や，「アイドルマスター シャイニーフェスタ」3バージョンのほか，「アイドルマスターモバイルi」「アイドルマスター シンデレラガールズ」，そして「アイドルマスター ミリオンライブ！」までプレイできる，すごいデバイスになってしまった。ついでに――こちらはまだうまく使いこなせないが――メールのチェックとか電話をかけたりもできるのだから，iPhoneってすげえな。まあ，諸般の事情によりiPhoneメインでレビューしたが，この「アイドルマスター シャイニーフェスタ」はユニバーサルアプリなので，もちろんiPadでもプレイ可能であり，その場合，さらに大画面でアイドル達の姿を楽しめる。大きな声では言えないが，iPad買う気まんまんだぞ，自分。

　リズムゲームとしてのハードルも低めの設定で（私が言っても説得力は低いかもしれないが），手軽にアイドルマスターの世界に触れられるシャイニーフェスタ，一本だけでもボリュームは十分なので，興味のある人はぜひどうぞ。あ，それ！　右右左，左右左……ぎゃー！

「アイドルマスター シャイニーフェスタ」公式サイト

「アイドルマスター シャイニーフェスタ　ハニー サウンド」
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「アイドルマスター シャイニーフェスタ　グルーヴィー チューン」
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