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  • カプコン
  • 発売日:2014/02/22
  • 価格:ダウンロード版:2000円(税込)
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目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
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印刷2014/02/21 12:00

インタビュー

目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇

画像集#002のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
 カプコンの新作アクションゲーム「ストライダー飛竜」の発売日(PS4/PS3版は2014年2月22日,Xbox 360版は2月26日,PC/Xbox One版は2014年発売予定)が,いよいよ目前に迫ってきた。

 自由度の高いアクション,映画的な演出,そして孤高のエージェントとして寡黙に戦い続ける主人公・飛竜の強烈なキャラクター。今なお,世界中のファンから支持される名作アクションゲーム「ストライダー飛竜」の完全新作が発表されたのは2013年7月のことだった(関連記事)。この突然の発表に驚かされた読者も多いことだろう。

画像集#003のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
「ストライダー飛竜」(1989年)
画像集#004のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
「ストライダー飛竜2」(1999年)

 今回の15年ぶりとなる復活には,どのような背景があったのだろうか。2014年版「ストライダー飛竜」のプロデューサーを務める,カプコンのアンドリュー・サマンスキー氏に話を聞いた。

画像集#005のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇 画像集#006のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
最新作「ストライダー飛竜」

「ストライダー飛竜」公式サイト

「PlayStaion 4」特設ページ



飛竜への愛から生まれた完全新作


アンドリュー・サマンスキー氏
画像集#022のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。最新作の「ストライダー飛竜」は昨年7月に行われたコミコン(Comic-Con)の会場で発表されましたが,ファンの反応はいかがでしたか。

アンドリュー氏:
 事前に一切の予告なしでの発表でしたが,真っ暗な会場にグランドマスターの笑い声が響いた途端,ファンの方がものすごく沸いたんです。
 その後,飛竜がグライダーで降下するシーンが流れると「Oh! Strider! Yeah!」と,たいへん喜んでいただきました。

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4Gamer:
 私自身,初代「ストライダー飛竜」をプレイするために,自転車で30分もかかる隣町のゲームセンターまで通っていた「飛竜」ファンなので,とても嬉しかったです。
 NES版や「Strider Returns」(※)のように海外のみで発売されている作品もありますが,アメリカでも「飛竜」の知名度は高いのでしょうか。

アンドリュー氏:
 アメリカでは,私も含めて初代「ストライダー飛竜」はメガドライブ版を遊んでいる人が多かったですね。その後も「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズをはじめ,ほかのタイトルに登場していたこともあって,知名度も人気も高いです。実際,国内外を問わず,新作を希望する声が寄せられていました。
 「Strider Returns」については……他社製品なので,正統な続編ではないですけども(苦笑)。

※「Strider Returns」……1991年発売,開発・販売はUSゴールド。硬派な「飛竜」の世界に捕らわれのお姫様が登場したり,難易度が異常に高かったりと,初代「ストライダー飛竜」とはあまりにもノリが違う。輸入ゲーム屋で購入した筆者は,いろいろな意味でびっくりさせられた。

4Gamer:
 なるほど。初代「ストライダー飛竜」のメガドライブ版は完成度が高かったですよね。アーケード版に忠実だったうえ,初期基板にあった不具合(シーンが変わっても,同じBGMが流れ続けた)も修正されていますし。
 思い出話を語っているとキリがないので,新作についてお聞きしますが,「飛竜」シリーズを15年ぶりに復活させることになった理由を教えてください。

アンドリュー氏:
 個人的に「飛竜」という作品が大好きだったこと。そして,横スクロールアクションゲームの新作を作りたかったことが理由ですね。
 カプコンの横スクロールアクションは「飛竜」を含めてアーケードゲームが多いんですが,ゲームセンターで遊んでもらうものなので,テンポが速くプレイ時間が短めです。そのため,そのまま現在の家庭用ゲーム機に持ってくることはできません。長く遊んでもらう家庭用ゲームとしては,ボリュームが足りなくなってしまうからです。
 そこで,最新作では「広大なマップの探索型アクションにする」という解決法を選んだのです。

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4Gamer:
 確かに「飛竜」と言えば,壁を登ったり坂道を駆け下りたりといった縦横無尽の移動アクションが特徴的ですね。

アンドリュー氏:
 ええ。これなら今の時代にふさわしい横スクロールアクションとして,世に出せるのではないかと考えたわけです。


リメイクではなくリビルド

ニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜を目指した


4Gamer:
 本作の開発は,アメリカのDouble Helix Gamesが担当しています。国内開発であったこれまでの作品とは,テイストが変わってしまうのではないでしょうか。

画像集#024のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
アンドリュー氏:
 その心配はありませんでした。大事なのは,どの国籍の人が作るかではなく,どれだけ「飛竜」を理解しているか。Double Helix Gamesの開発チームは,カプコンの開発チームに引けを取らないくらい「飛竜」を愛していて,熱心に研究してくれました。
 もちろん,カプコンのスタッフも多く関わっています。「ストライダー飛竜2」の敵キャラクターを手がけた酒井(奨氏)は今作でアートディレクターを担当していますし,ディレクターは「魔界村」シリーズにずっと携わってきた小田(晃嗣氏)が務めています。つまり,カプコンが持っている「飛竜」や横スクロールアクションのノウハウと,Double Helix Gamesの情熱による日米合作なんですよ。
 今回,我々が作ったゲームは間違いなく「ストライダー飛竜」です。シリーズ最新作として,ふさわしいものが完成したと思っています。

4Gamer:
 実際にプレイしましたが,「飛竜」のテイストは十分に感じられました。アーケード版とはテンポが違うものの,サイファーで敵を斬ったり,壁を登ったりする感覚は確かに「飛竜」でした。

アンドリュー氏:
 飛竜というキャラクターの触り心地には,こだわりました。開発チームが掲げていたテーマは,「2014年の作品として,我々にできるベストの飛竜」。過去作そのままの飛竜ではなく,我々が持っている飛竜へのイメージを今の時代に合った形で再現することを目指しました。
 今回,初代(アーケード版)の開発を手がけた,「飛竜」の生みの親と言える四井(浩一)さんに話をうかがったのですが,これまでの作品も「触るだけで気持ちいいアクション」を目指して作られたとのことでした。これを聞いて,我々の目指していた方向は間違いではなかったと確信しました。

画像集#010のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇 画像集#011のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇

4Gamer:
 走ったり,ジャンプしたり,スライディングしたりといった基本アクションが気持ちよかったです。

アンドリュー氏:
 歩く,走るときのスピード,ジャンプの軌道や距離など,飛竜のアクションをひたすら調整し続けていた時期もありました。例えば,同じ振り向くアクションでも,立っているときより,しゃがんでいるときの方が少しスピードは速くなっています。プレイヤーが操作したときに「気持ちいい」と感じられるように,かなり細かいところまで調整しました。納得のいくアクションが完成してから,初めてマップデザインなどの作業に進むことができたんです。

4Gamer:
 何よりもまず,飛竜のアクションが最優先だったということですか。

アンドリュー氏:
 そのとおりです。アクションの気持ちよさを実現するためには,スピード感とカッコよさ。これを両立させなくてはいけません。しかし,細かなモーションをしっかり見せようとすると,時間が長くなってゆっくりになってしまいます。レスポンスをスピーディにすると同時に,限られた時間の中でカッコよさを伝えることが必要です。
 そこで,過去作を参考にすることもありました。例えば,左右方向のジャンプはおなじみの両手を広げたモーションですが,垂直ジャンプは「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズにおける飛竜のエッセンスを取り入れています。

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4Gamer:
 システム面では,飛竜がアイテムを手に入れて成長するという要素を導入していますが,その理由を教えてください。

アンドリュー氏:
 「成長して強くなる」展開は探索型アクションゲームの醍醐味ですが,ここでも飛竜らしさを大切にしています。探索型アクションゲームのお約束とも言える「最強の状態でスタートするが,何らかの理由でアイテムやパワーを奪われて初期状態に戻されてしまう」という演出はやりたくありませんでした。なぜなら,飛竜の動きを制限してしまうからです。
 オープニングの時点で,過去作のアクションはすべて使えます。飛竜は最初から強いんです。そしてゲームを進めると,これまでの登場作品の中でも「最強の飛竜」にまで成長します。
 あらゆる作品からさまざまなエッセンスを取り入れ,そのうえで現代に合った飛竜にリビルド(再構築)しました。だから最新作のタイトルは「3」ではなく,「ストライダー飛竜」。この作品に登場するのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜でもあるのです。

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パワーアップ要素の一つ「ダウンストライク」。サイファーを構えて,床を破壊しつつ急降下する

4Gamer:
 「飛竜」ファンとしては,過去作とのストーリー上のつながりも気になります。ちなみに「ストライダー飛竜2」は,初代の2000年後,グランドマスターが作った新世界が舞台でした。

アンドリュー氏:
 あれには驚きましたね(笑)。はっきり言って,ストーリー上のつながりはありません。新しいことをするために,あえて過去作との強いつながりを持たせないようにしました。
 「飛竜」シリーズには,不滅のテーマがあります。それは「飛竜VS冥王グランドマスター」。飛竜がグランドマスター抹殺の命を受ける。それを邪魔するために手下がやってきて御託を並べる。しかし,飛竜は容赦なく斬り捨てていくのみ……。このシンプルな世界観がいいんですよ。

4Gamer:
 それでは,飛竜のキャラクター設定において苦労した点はありましたか。

アンドリュー氏:
 その部分での苦労はありませんでした。飛竜はエージェントであり,任務以外の余計なことは一切考えない。この1点を厳守するようにしました。
 例えば,ゲーム中にグランドマスターの支配に抵抗している闇商人が登場します。彼は「敵の敵は味方」ということで,飛竜を仲間として迎え入れますが,飛竜にとっては任務がすべて,レジスタンス活動はどうでもいい。哲学的に語るような飛竜では,世界観が台無しになってしまいますからね。

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4Gamer:
 確かに饒舌な飛竜は,イメージとは合わないですね。今回,キャラクターデザインも新しくなっていますが,とくに注意したポイントを教えてください。

アンドリュー氏:
 シリーズのファンが一目で認識できるキャラクターであること。それでいて,現代風の新しい試みも取り入れています。
 飛竜の場合,なびく赤いスカーフ,忍者風のマスク,サイファーなどのシルエットは絶対に変えてはいけないポイントです。したがって,画面上では従来と同じ飛竜ですが,細部のディテールは変更しています。これまでは忍び装束のような布地のコスチュームでしたが,今回はシルエットをそのままに硬質ゴム製アーマーのようなものになり,進化した飛竜を表現しました。

画像集#015のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
新たな解釈が加えられた飛竜。シルエットは変わらず,コスチュームの素材が布から硬質ゴム風になり,スカーフがプラズマの奔流に進化した

 もちろん,キャラクターによって振れ幅はあります。例えば,ソロは昔のデザインを残しつつ,マント風のディテールを加えるという思い切ったデザイン変更をしています。

画像集#016のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
大ボス,ウロボロス。これまでの作品よりも,メカニカルな側面が強調されている

画像集#017のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇
飛竜を追うバウンティ・ハンター,ソロ。背中のマントを思わせるユニットは,過去作にはなかったもの

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三姉妹のアサシン,東風,南風,北風。過去作では同じ技を使っていたが,今回はそれぞれ刀,槍,銃といった異なる武器を操る


横スクロールアクションは時代を越えて通用する文法


4Gamer:
 最新作のグラフィックスは3Dですが,ボス戦は2Dの横スクロールアクションのような感覚で懐かしさを感じました。

アンドリュー氏:
 横スクロールアクションは伝統的なジャンルです。ただ,現在の手法を使えば,まだまだ面白いものが作れるということを証明したかったんです。懐かしさだけではなく,面白さも感じてもらえたはずです。また,若い世代のプレイヤーには新鮮に映るかもしれない。
 映画だって,CG技術が発達したからといって,昔ながらの実写が否定されるわけではないし,映画の作り方自体が極端に変わるのではないでしょう。横スクロールアクションは一つの文法であり,表現方法だと思います。この表現方法を用いて,いかに面白いものを作るかという挑戦だったのです。

画像集#021のサムネイル/目指したのはニュー飛竜であり,オンリーワンの飛竜――「ストライダー飛竜」プロデューサーのアンドリュー・サマンスキー氏が語る15年ぶりの復活劇

4Gamer:
 それでは,開発時に苦労したことがあれば教えてください。

アンドリュー氏:
 開発は比較的順調に進みましたが,開発チームから多数のボスを提案されたときは悩みましたね。「これ,全部やれるの? やり過ぎなんじゃないの?」と(笑)。しかし,彼らは愛情を持ってやり切ってくれました。ボス戦の楽しさには自信がありますし,このほかにもたくさんのアイデアが生まれましたが,そのほとんどがボツにならずにちゃんと実現しています。

4Gamer:
 話題は変わりますが,PS3版に「ストライダー飛竜1&2」(ゲームアーカイブス版)のダウンロードコードを付けた理由は何でしょうか。

アンドリュー氏:
 だって,やっぱり遊びたいじゃないですか(笑)。以前から「『ストライダー飛竜1&2』を遊びたい」という要望は,たくさん寄せられていました。元々,生産数が少なかったうえ,ゲームアーカイブス版もなかったため,遊びたくても遊べない状態だったんです。
 実現には結構苦労しましたが,3月で「飛竜」が25周年を迎えることもあり,シリーズの集大成となるものにしようと思ったんです。

4Gamer:
 最後に「飛竜」シリーズのファンに向けてメッセージをお願いします。

アンドリュー氏:
 開発スタッフは全員,「飛竜」が大好きで,愛情をたっぷり注ぎ込んだ作品に仕上がりました。
 過去の作品から多くのインスピレーションを受け,オマージュも入っていますが,それに頼り切りになるのではなく,現代に合ったアクションゲームになっています。PS4版とXbox 360版は体験版が配信されますが,試してもらえれば面白さが伝わるゲームなので,ぜひよろしくお願いします。

4Gamer:
本日はありがとうございました。

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 「ストライダー飛竜」シリーズと言えば,伝説的なアクションゲームであり,特別な感情を抱いているのは筆者だけではないだろう。その続編を作ることが,いかに困難であったかは想像に難くない。

 今回のインタビューを通じて印象的だったのは,サマンスキー氏の「飛竜」への愛だ。飛竜のアクションや操作性,寡黙なキャラクターなど,作品の魅力を熱く語ってくれたが,日本のファンとしても同意できるのではないだろうか。

 リメイクではなくリビルド。最新作に登場するボスの中にはコミック版をモチーフにしたものや,過去作へのオマージュも見られるが,その一方で新たなアクション要素も豊富にあり,新しい飛竜像が誕生している。これまでの作品の予備知識は必要ないので,気になった人はぜひ機会を見つけて触れてみてはいかがだろう。

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