4人対1人の非対称型オンラインアクション，「Evolve」が本日発売。狩りに備えて，これまでの情報を軽くまとめてみた

　本日（2015年3月5日）発売された「Evolve」（PC/PlayStation 4/Xbox One）は，非対称型の戦闘が特徴となる対戦アクションだ。1人のプレイヤーが操作する強力なモンスターに対し，4人のプレイヤーが操作するハンターがチームを組み，それぞれの個性を発揮しつつ戦うという点が「非対称型」ということであり，モンスター側とハンターチーム，お互いの能力だけでなく，取るべき戦略やプレイヤー数などが大きく異なっているのだ。

「Evolve」公式サイト

　開発は，「Left 4 Dead」シリーズを開発したカリフォルニアのTurtle Rock Studiosで，一時期，Valveの傘下に入っていたが，2009年に再独立しており，本作は新生Turtle Rock Studios初のタイトルになる。
　制作のアナウンスは2014年1月のことで，その段階で開発はかなり進んでいたらしく，翌2月にはさっそくメディア向けの試遊会が実施された。さらに，6月にロサンゼルスで開催されたE3 2014でもプレイアブル展示が行われ，「Game Critics Awards」を始めとした50以上の賞に輝くなど，個性的なゲームとして高い評価を受けた。
　しかし当初，2014年の10月になるとされていた発売日について，8月に大幅な延期が発表されており，やはり新たなシステムの開発には相応の難しさがあったようだ。その後は，クローズドβテスト，オープンβテストと順調に進み，本日の発売を迎えている。
　というわけで，以下にこれまで発表されたことをまとめてみよう。

個性的なハンターと，さらに個性的なモンスター

　ゲームの舞台となるのは，遠い惑星シーアで，すでに少なからぬ人類が入植しているが，突如として巨大なモンスターがコロニーに対して攻撃を開始した。そのモンスターを仕留めるために雇われたのが，4人のハンターというわけだ。


　ハンターには，高い攻撃力を誇る「アサルト」，さまざまな罠を仕掛けることができる「トラッパー」，味方の回復，蘇生を行う「メディック」，そして防御能力の高い「サポート」の4つのクラスが用意されている。さらに，例えばアサルトなら，ハイド，マルコフ，パーネルといった風に，各クラスに3人のキャラクターが用意されており，プレイヤーはゲーム開始前にクラスとキャラクターを選ぶことになる。それぞれ，同じクラスでも武器やスキルなどが異なり，かなり個性的だ。
　ちなみにハンターチームは，各クラス1人ずついることが必須で，「4人ともメディック」といった編成はできない。それぞれのクラス，キャラクターについては，以下の記事を参照してほしいが，たぶん覚えきれないと思うので，最初はいろいろと試して，自分のプレイスタイルに合ったハンターを見つければいいだろう。

アサルト

「Evolve」，ダメージディーラーとタンク役を兼ねる戦闘特化のクラス
“アサルト”の情報が公開

トラッパー

「Evolve」モンスターの検知と追跡，捕獲によってチームを助けるクラス
「トラッパー」の情報が公開

メディック	サポート

チームを支えるメディックと状況対応能力の高いサポートの詳細情報が公開

　対するモンスターには，「ゴライアス」「クラーケン」，そして「レイス」の3種類がいる。ゴライアスは最初に公開されたモンスターで，いかにも「怪獣」といった風情だが，大きくジャンプして上から攻撃したり，ダッシュでハンターに急速接近したりなど，見かけと異なり敏捷だ。口から強烈な炎を吐くこともできる。
　「クラーケン」は飛行型のモンスターで，強力な雷撃「ライトニング・ストライク」や，エネルギー波でハンター達を吹き飛ばす「ヴォーテックス」など，遠距離攻撃が得意だ。接近するハンターを検知して爆発する，「バンシー・マイン」も強力だ。ちなみにクラーケンは飛行生物だが，「足跡」はなぜかちゃんと残るので，ハンターの皆さんも安心。
　サイズも小さく体力も低めの「レイス」は，忍者のようにハンターに忍び寄り，一撃必殺の技を繰り出す。自分は姿を消して分身を出現させる「囮」や，遠く離れた場所にいるハンターを一瞬でさらってくる「神隠し」など，トリッキーなスキルを誇っており，上級者向けモンスターといえるかもしれない。それぞれの詳細については，以下の記事を参照してほしい。

ゴライアス

「Evolve」，最初にプレイ可能となるモンスター「ゴライアス」（Goliath）の詳細が公開

クラーケン

触手によって浮遊し，強烈な雷撃でハンターを一網打尽にする「クラーケン」の詳細が公開

レイス

「Evolve」のモンスター情報第3弾は，高いステルス性が武器の「レイス」
姿を隠して相手に迫り，死角から奇襲を仕掛ける

状況が刻々と変化する，スピーディなゲーム展開

　ゲームには，2014年12月4日に掲載した記事でもお伝えしたように，ハンターとモンスターが狩るか狩られるかの戦いを繰り広げる「狩猟」，マップに点在するモンスターの卵を破壊しようとするハンターと，それを阻止しようとするモンスターが戦う「巣窟」，モンスターに襲われてちりぢりになった入植者を見つけ，救出地点まで連れ帰る「救出」，そしてゴライアスの群れから拠点を守る「防衛」の，5つのモードがある。さらに特殊なモードとして，ゲームに出てくるすべてのマップを使って，さまざまなモードの5つのマッチをこなす「脱出」が用意されているが，それぞれに1人でプレイできるソロモードが用意されているので，慣れるまでソロで戦うのもアリだろう。


　本作の基本的なモードといえる「狩猟」では，ハンターチームがドロップシップから降下する場面からスタートする。とはいえ，実はモンスターはそれよりわずかに早くゲームが始まっており，ハンターが下りてくる前に有利な場所に移動したり，戦いの準備をしたりできる。
　地上に降り立ったハンターは，モンスターの残した足跡や，トラッパーのマギーのペット，“Daisy”の嗅覚，あるいはサポートのバケット（ロボット）が飛ばした自分の頭などを使って，モンスターを追っていく。モンスターが近づくと，鳥の群れが怯えて飛び去るので，それも目印になるはずだ。マップは複雑で起伏に富んでいるが，ハンターはジェットパック的なものを背負っているので，ちょっとした崖ぐらいなら簡単に登れる。

「巣窟」モード

「救出」モード

「防衛」モード

　この段階のモンスターは，あまり強くない。モンスターは2段階の進化（Evolve）が可能で，進化するたびに強力になり，得られたポイントでスキルを強化できる。したがって，基本の戦略は，最初はマップを逃げつつ進化を繰り返し，最強の第3段階でハンターと雌雄を決するという流れになるだろう。所定のボタン/キーを押すことで，移動速度は遅くなるものの足跡を残さずに移動できるので，それを使いこなすのも重要だ。反対にハンター側は，モンスターが進化する前に捕捉し，いち早く倒すことを目指す。

　モンスターは，惑星シーアに住む野生生物を倒して補食することで進化する。強い野生生物を捕食するほど早く進化できるのだが，それだけ危険でもあり，返り討ちに遭ってしまうこともマレではない。
　野生生物はハンターにとっても同様に危険であり，うかつに攻撃すると反対に倒されてしまう可能性もある。また，罠を張っている肉食の植物もおり，うっかり足を踏み入れてパクッとやられてしまうと割と恥ずかしいので，気をつけたい。


　最終段階に進化したモンスターは，ハンターと戦って彼らを殲滅する以外に，「Power Relay」を破壊することでも勝利を得られる。しかし，モンスターの進化が完了したことはハンター側にも伝えられるので，ハンターも「Power Relay」の周辺に集合する。
　ハンターは，トラッパーの「モバイルアリーナ」が生み出すエネルギードームの中にモンスターを閉じ込め，全員で袋だたきにしようとするが，最終進化状態のモンスターも，簡単には倒されない。マッチの最後には，こうした白熱した戦闘が発生する場合が多い。

　先行発売された欧米のデータによれば，1マッチの平均的なプレイ時間は9分46秒とのことで，その間，状況は目まぐるしく変化するため，密度の濃い戦いが楽しめるはずだ。
　以上，簡単にゲームの概要をまとめてみたが，書ききれなかった要素もたくさんある。このへんは，ぜひ自分の目で確認してほしい。


　Turtle Rock Studios，そして“非対称型の戦い”と聞いて，「Left 4 Dead 2」のスカベンジモードを思い出す人もいるはずだ。スカベンジモードは，通常のCo-opではなく，生存者側とゾンビ（感染者）側に分かれたプレイヤーが戦うもので，両者には少なからず力の差があるため，お互いの勝利目標の異なる非対称型の戦いになっていた。
　Co-opメインの「Left 4 Dead」シリーズでは異色のモードであり，短時間でスピーディな戦いが楽しめるので，好きな人は非常に好きだが，トータルのプレイヤー数はそれほど多くなかった。これはやはり，ゾンビ側が難しかったからで，それぞれが適所で適切な行動をとらなければ，なかなか勝てなかったからかもしれない。


　このスカベンジモードを練り直して拡張したのが，本作ではないかという気がする。モンスター側のプレイヤーを1人にすることでチームワークを不要にし，最初からあまりにも力の差がつきすぎないように，「進化」という概念を導入したという印象だ。それだけに，スカベンジモードファンにはぜひ試してほしい。非対称型であるからこそ，新たな戦略も生まれる。

　同じクラスでも能力の異なる12人のハンターや，彼らのさまざまなガジェット，成長要素，そして個性的なモンスターと，ゲームの要素は比較的複雑で，欧米のサイトなどを見ると，面白さを感じる前にお手上げになってしまう人もいるようだ。しかし，それを乗り越えたプレイヤーの評価は良好。4Gamerでも，追って詳しいレビューを掲載する予定なので，楽しみにしていてほしい。

「Evolve」公式サイト