プレイレポート
「バトルフィールド ハードライン」の体験会開催。初公開されたシングルプレイのインプレッションをお届け
さらに,開発を担当するのがDICEではなく,「Dead Space」シリーズのVisceral Gamesである点も(Free-to-Play版やDLCなどを除いて)初めてのことになる。DICEは監修という形で関わっており,ゲームエンジンの「Frostbite 3」の技術提供を行っているが,開発の主導はVisceralがとっている。
「バトルフィールド ハードライン」公式サイト
FPSファンはとっくにご存じだと思うが,「バトルフィールド」シリーズはオンラインマルチプレイをメインとするFPSであり,それらの中でも,装甲車や戦車,戦闘ヘリコプター,戦闘機,さらには二足歩行ロボットや空母など,大型兵器に自由に乗り込み,陸海空入り乱れた戦いを繰り広げる部分が大きな特徴となる。
そのため,ハードラインの制作発表当時,警察vs.犯罪者というテーマがうまくシリーズにフィットするのかという心配が個人的にあった。M1A2に乗り込んだ銀行強盗が120mm砲で金庫を吹き飛ばし,それを阻止しようとする警察がMi-24ハインドで地上を攻撃をするなどといった構図は考えにくかったからだ。
とはいえ,E3 2014やgamescom2014などでマルチプレイを試遊した限り,その心配が無用だったことが分かった。戦車こそ登場しないものの,警察は「犯人の逮捕」などというまだるっこしいことはせず,問答無用で発砲し,犯罪者側も,銀行を10件ぐらい襲わないと予算的に揃えられないような重装備で反撃してくるのだ。さらに,車泥棒とのカーチェイスが楽しめる「ホットワイア」や,人質救出作戦の「レスキュー」など,警察vs.犯罪者というテーマならではのモードも用意されている。お祭りゲー,というシリーズの遺伝子は,間違いなく受け継がれている。
というわけで,現段階での興味の中心は本作のシングルプレイはどうなのか? というあたりになるだろう。そういうことにしてもらえると,こちらも話が進めやすくて助かるので,よろしくお願いします。
2014年8月15日に掲載したE3 2014レポートでもお伝えしたように,シングルプレイは,まるでテレビの刑事ドラマのように進んでいくという。プレイヤーはマイアミ市警の一匹狼の刑事,ニック・メンドーサとなり,事件を追ってさまざまな土地へ赴くことになるのだが,ピンチに陥ったところで「次のエピソードに続く!」と表示されたり,途中で驚きの真実が明らかになったりするわけだ。
説明はこれくらいにして,体験会について。製品版には,1つのプロローグと10のエピソードが収録される予定になっているが,今回の体験会ではそのうち,エピソード1と9がプレイできた。使用されたのは英語版のPlayStation 4版だったが,専用に作られたもので,エピソードのすべてがプレイできたわけではない。また,お約束の文言だが,体験会に使われたのはあくまでも開発途中のバージョンであり,製品版では修正される可能性があるので,その点はご了承願いたい。また,開発途中ということで,画面の撮影は禁じられていた。
さてオープニング,ニックと同僚のアジア系女性捜査官カイがいるのはマイアミの中でもとくに治安の悪い地域だ。2人は,現在彼らが追っている事件に関係あると思われる男を探して車で移動中なのだが,最初のエピソードということで,ここでは,シングルプレイで何ができるかが分かる仕掛けになっている。ちなみにエピソードのタイトルは「Cop Fantasy」とのこと。
「Frostbite 3」の描き出すグラフィックスはさすがに見事で,夜の街並みや,雨に濡れた道路や車などが美しく再現されているが,とくに秀逸なのは人物表現で,カットシーンなどでは表情がはっきりと確認でき,まるで実在の役者が演じているよう,ってのはちょっと大げさかもしれないが,テレビドラマっぽさに力が入っていることが分かる。
ニック・メンドーサ |
カイ・ミン・ダオ |
ターゲットを見つけたニックは,そいつに近づいて警察バッチをグッと突き出すと,相手が両手を挙げて降参する。……と,これが,シングルプレイのフィーチャーの1つ。このときのニックは,ワイシャツにネクタイ,その上に防弾ベストという,見間違いようもなく警官という格好だったのだが,バッチの威力は絶大だ。もっともこれ,タイミングがシビアなようで,モタモタしていたら反撃を受けて,ニックが撃ち倒されてしまったりもした。
また,投降した相手を殴り倒して手錠をはめることも可能だったが,これは相手が誰でもできるわけではなく,手錠を使えるのはストーリー的に重要な,特定の対象に限られているようだった。
複数の敵がいる場合,コインを投げるのも有効だろう。チャリン! という音がするので,何かと思って背中を向けた敵の背後からこっそり接近して殴り倒すというおなじみのパターンだ。ふふふ,愚かなヤツめ。ただ,コインの落下地点が遠すぎるか近すぎるかすると,なんの反応も示さないので,このへんはまあ,警察バッチのタイミングと同様,慣れの問題だろう。またAIには日夜,修正/改善が加えられているとのことだ。
特徴的なのは,所定のボタンを押すことで発動する「スキャナー」だ。これを使うことで,敵をマーキングできるほか,警察のデータベースにあれば,相手が何者かを判別することも可能だったりする。また,証拠品があるところでスキャナーを発動させれば,それを分析したり記録したりできるなど,いろんなシーンで超便利に使えるお役立ちアイテムといえそうだ。ただし,スキャナーを発動中に攻撃することはできず,筆者は2回ぐらい,スキャナーを解除し忘れて死んでいるので注意してほしい。
捜査を進めるニックとカイは,やがて怪しい廃屋に潜入するが,そこには武器を収めた箱だのロッカーだのが置いてあった。ここで,手持ちの武器を交換したりカスタマイズしたりが可能であり,こういうものがあるということは,近々銃撃戦が発生しますよというフラグでもあるので,できれば強力な武器に持ち替えたりしたいところ。
続くエピソード9「Independence Day」では,本作のシングルプレイにおける戦闘場面を体験することになった。本シリーズは,ともかく撃って撃って撃ちまくるというトリガーハッピーなイメージが強いが,本作のシングルプレイでは,さまざまなアプローチが採用可能だ。非致死性武器や背後からの殴り倒しなどを多用して,警察らしく誰も殺さずに進めることもできるし,反対に銃弾にものをいわせたり,あるいは誰にも気づかれない完全ステルスでもいけるとのことだった。
エピソードは多数の警備員に守られたビルに侵入するという内容で,こういった敵の拠点に侵入するという感じのミッションは「フォートレススタイル」と呼ばれて,ゲーム中に数多く用意されているという。
最初はスキャナーを使って警備員をマーキングし,合わせてビル全体をスキャンしよう。すると,いくつかの警報装置が設置されていることが分かるはずだ。
ライフルを抱えて突入してもいいが,ひとたび警報装置を鳴らされると,敵の増援が次々に湧いてくるので,かなりやっかいだ。弾数にも限りがあるし。というわけで,筆者はかれこれ20回ぐらい死んだところで,ステルス作戦に切り替えることにした。
しかし(体験会のビルドについて言えば),敵の認知能力はきわめて良好で,そのため被発見率もお高め。相手がこちらをどの程度認識しているのかは画面に表示されるので,それを頼りにこっそり作戦を進めていくことになる。
しかし,敵が仲間の死体(あるいは気絶した身体)を発見すると,増援こそ呼ばないものの自動的に警戒レベルを上げるので,慎重なうえにも慎重な行動が要求される。もうね,このへん「バトルフィールド」シリーズとは思えない雰囲気だ。倒した敵の体を目立たないところへ隠すことができればいいと思ったが,残念ながらそれはできない。
少なくともこのエピソードでは,ステルス寄りのバランスになっていると思われたが,だとすればもう少し,いろいろなガジェットがほしいところだ。もっとも,筆者が使えなかった,あるいは気づかなかったガジェットも多くあるような雰囲気なので,このあたりはもう少しやり込まなければ分からない。
ビルの内部を行ったり来たりしつつ,電撃を与えるテーザーガンやコイン投げ,背後からのテイクダウンを使って,なんとか目的のエレベーターにたどり着くことができた。実際はこの先,さらに「ええ,そうくるのか!」という展開が待っているのだが,長くなりすぎた気がするので,ひとまずこのへんで。
ここで簡単に質疑応答の模様をまとめてみたい。
まず「ハードライン」のシングルプレイだが,Papoutsis氏によれば,テレビや映画など,ゲーム以外の分野で活躍する複数の著名なライターやプロデューサーなどに協力を仰ぎ,マルチプレイでは提供できない何かを求めたとのこと。ストーリーは過去作のような政治的なものではなく,よりパーソナルな物語になっている。
そのため,上記のようなテレビドラマのスタイルを踏襲して,キャラクターの個性を強く打ち出しているのだ。
また,戦車や戦闘機など,「バトルフィールド」シリーズを特徴付けるような大型兵器は登場しないが,その代わりマルチプレイでは重装甲の現金輸送車やヘリコプター,オートバイやSUVなど,さまざまな乗り物が登場し,それらはシリーズの伝統に則って,「アレには強いがコレには負ける」的な三すくみのゲームバランスが取られている。
シングルプレイではさらに,さまざまなビークルに乗って戦うようなシーンも登場するとのことで,今回見られたストイックな戦いばかりでなく,スカッと爽やかな場面もあるようだ。
犯罪者側クラス「メカニック」 |
犯罪者側クラス「エンフォーサー」 |
警察側クラス「オペレーター」 |
警察側クラス「プロフェッショナル」 |
一度,開発期間が延長されているが,その経緯についてPapoutsis氏は,最初に開発をアナウンスしたとき,コミュニティから多数の要望が寄せられ,それらをどうするか検討した結果,なるべくファンの希望を受け入れ,より良い作品を作りたいということで,延期が決定されたと述べた。
ファンの希望としては,最初は警察側も犯罪者側も同じ武器を使っていたが,それでは面白くないというものがったという。現在は,ロケットランチャーなど破壊力がある武器の一択になりやすいバランスだったので,そうならないよう武器の組み合わせ含めて,さまざまな戦法を取れるように改良中であるともPapoutsis氏は述べた。
FPS全般について,欧米のゲームメディアでは最近「シングルプレイはつまらないし,いらないのではないか」という論調が見られるようになってきた。実際,FPSを購入してマルチプレイだけ楽しんでいるというプレイヤーも少なくないし,「バトルフィールド」シリーズではその傾向が強そうだ。しかし,Visceralはシングルプレイのみの「Dead Space」でブレイクしたデベロッパ。「Dead Space」で学んだストーリーの大切さや,見せ方などを今回の「ハードライン」で活かしつつ,マルチプレイの伝統的を受け継いだ,面白く,かつ楽しめるゲームを作るとPapoutsis氏はアピールして,質疑応答を締めくくった。シングルプレイとマルチプレイについて,「ハードライン」の最終形がどういうものになるのか,続報を期待したい。
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(C)2014 Electronic Arts Inc. Battlefield, Battlefield Hardline, Frostbite and the DICE logo are trademarks of EA Digital Illusions CE AB. EA, the EA logo, Visceral Games and the Visceral logo are trademarks of Electronic Arts Inc.
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