連載
【新連載】ミュージック フロム ゲームワールド:Track 1
今回から始まった新連載「ミュージック フロム ゲームワールド」。この連載では,毎週オススメの新作ゲームミュージックアルバムを2枚ずつ紹介していこうと思います。今回は1回めということで,自己紹介も兼ねて私,風のイオナが初めて購入したゲームミュージックのアルバムの話から。
そのタイトルとはGMOレーベルから1987年にリリースされた「NAMCO GAME MUSIC Vol.1」でした。当時,アーケード版「イシターの復活」に憧れていたものの,中学生だった自分にはハードルが高く,自分がいつでもプレイできる移植版を心待ちにしていました。そんな時に登場したのがMSX2版「イシターの復活」。発売日に買って毎日のようにプレイを続けるうちに,アーケード版のゴージャスなサウンドを自宅で聴きたくてたまらなくなってきたから,もう大変。
当時購読していたBeep誌に掲載されていたアルバムの広告ページを片手に地元のレコード店に駆け込み,注文して取り寄せてもらい,念願のサウンドを手に入れることができたのでした。あの時の感動は……言葉にできないものがありましたね。いまだに思い出深い1枚となっています。さあ,それではこれからゲームミュージックファンのみんなが素敵な楽曲と出会えることを願って,音楽の世界へご招待!
“優しい旋律という生き物”見つけてみてください
「レジェンド オブ レガシー オリジナルサウンドトラック」
タイトル | レジェンド オブ レガシー オリジナルサウンドトラック | |
発売日 | 2015年3月18日 | |
価格 | 2778円(税抜) | |
発売元 | MONOMUSIK. | |
コピーライト | (C)FURYU CORPORATION 2015 All Rights Reserved |
記念すべき連載第1回の最初に紹介するのは,浜渦正志ファン待望の新作ゲームミュージック「レジェンド オブ レガシー オリジナルサウンドトラック」。 浜渦さんが本格的なRPGの楽曲を全編手がけたのは「FINAL FANTASY XIII」以来,なんと5年振り。5年も経ったのか……という思いで到着を待った1枚ですが,1曲めの「メインテーマ〜遺産〜」のピアノのイントロを聴いてすぐに,待っていてよかった……という思いが込み上げてきました。
悲壮感と勇敢さが交じり合うメロディ展開に,体調を崩すほど追い込まれたという浜渦さんの作曲中の心情なんかも重なり,その壮絶さが音からも伝わってくるかのようです。
浜渦さんは今作で生み出した楽曲に対して「優しい旋律という生き物がそこに鎮座しており,その周辺をたくさんの音の要素が煌いている」と表現しています。この“優しい旋律という生き物”はサントラ内で多数確認できます。
1曲1曲集中して聴いて,たくさんの“優しい旋律という生き物”を見つけていくのも,このサントラの楽しみ方の一つ。ちなみに,私はちょっと落ち込んだ時に大きな優しさで自分を包んでくれる「知られざる真実」や,寂しい時にふと側にいてくれる温かさを持つ「精霊使い」で見つけた“生き物”がとくに好き。そして「エンディングテーマ〜旅人のうた〜」の美しさと優しさは絶品!
最高の1枚を届けてくれたことで,これ1枚あれば次の新作まで何年だって待つことができそう。いや,何年でも浜渦さんの新作を待ち続けてやるさ! このサントラが数々の伝説=レジェンドを作ってきた浜渦さん最後の遺産=レガシーになるなんてことは誰一人望んでないハズだから。
さらに追記しておきたいのが同日に発売された「ピアノシュラハト ライブ」というアルバム。「FINAL FANTASY XIII」や「SaGa Frontier 2」等,浜渦さんの人気曲を収録した渾身の1枚です。ぜひ本作とセットで現在の浜渦ワールドを堪能してください。
「レジェンド オブ レガシー オリジナルサウンドトラック」公式サイト
ファミコンサウンドで少年時代にタイムスリップ
「マイティガンヴォルト オリジナルサウンドトラック」
タイトル | マイティガンヴォルト オリジナルサウンドトラック | |
発売日 | 2015年3月10日 | |
価格 | 2000円(税抜) | |
発売元 | インティ・クリエイツ | |
コピーライト | (C)INTI CREATES CO., LTD. 2014 ALL RIGHTS RESERVED. |
2枚めは「マイティガンヴォルト」の全楽曲に,8bitアレンジを施した「蒼き雷霆 ガンヴォルト」の楽曲5曲を追加収録した「マイティガンヴォルト オリジナルサウンドトラック」を紹介。チップチューン歴の長いアーティストのhally氏が全楽曲のアレンジを担当しており,オリジナル楽曲がどう料理されているかも聴く前の楽しみでしたが,ファミコンサウンド愛に満ち溢れた楽曲たちに思わずニンマリ。
「蒼翼は夜に舞う」のバッキングのピコピコ感,「ドキドキ学園生活」のメインメロディが奏でるキラキラ感などなど,どこから聴いても楽しめるファミコンサウンドに,気分は少年時代にタイムスリップ。「駆け抜ける雷光」の動きまくるベースラインも格好いい! 「あぁ,あの頃は良かった……」なんて後ろ向きな気分に浸るのはあまり好きじゃないけれど,このサントラを聴いているあいだだけは遠慮なくファミコン少年だった頃の自分に戻ってもいいよね。
そしてこのアルバム,サウンドは単なるレトロテイストではなく,とことんファミコンサウンドにこだわっています。それが,効果音の鳴らし方。
hally氏の解説に「効果音を鳴らすタイミングだけ,一部の音にお休みしてもらって,発音数に空きを作るんですね。これと同じことをやらないと,たとえファミコン本体から録音した純然たるファミコン・サウンドであってもニセモノぽく聴こえてしまうんです」とあるのですが,あえて効果音も含めたファミコンサウンドを再現するために,効果音を鳴らすタイミングでBGMの音を削るといったギミックを再現しているのです。
そうだよな,ファミコンってそうだったもんな……と思わず納得。これはサントラだけでは伝わらない部分なので,ぜひゲームのほうもプレイして実感してみてください。
それにしても,こんなステキなファミコンサウンドを再現してしまうhally氏ですが,意外にも一つの作品で全楽曲を手がけたのはこれが初めてとのこと。チップチューン歴10年以上をかけて辿りついた新たなスタート地点から,今後もそれを次世代に受け継いでいくべく,ステキなファミコンサウンドを生み出していってほしいと心から思います!
インティ・ダイレクト「マイティガンヴォルト オリジナルサウンドトラック」
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- 関連タイトル:
レジェンド オブ レガシー
- 関連タイトル:
マイティガンヴォルト
- 関連タイトル:
蒼き雷霆 ガンヴォルト
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(C)INTI CREATES CO., LTD. 2014 ALL RIGHTS RESERVED.
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