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「コール オブ デューティ」シリーズ最新作「Call of Duty: Black Ops III」がついに発表。このタイミングで,流れが分からなくなった人のために,まとめてみた
「Call of Duty」シリーズ公式サイト
……という,わざとらしい小芝居で始めてみたが,お分かりいただけたであろうか? 「Call of Duty」シリーズは北米の大手パブリッシャであるActivisionの看板シリーズであり,言うまでもなく世界的に売れまくっているビッグネームだ。その衰えを知らない人気のため,毎年のようにリリースされるのだが,正直,筆者を含めてそろそろ,前後関係などが分からなくなっている人もいるのではないだろうか。そこで,2015年の最新作が発表されたこのタイミングで簡単に整理してみよう,少なくともその努力ぐらいはしてみよう,というわけだ。
「Call of Duty」シリーズは全部で何作あるのか
まずはシリーズ作品のタイトルと発売年,対応機種,そしてデベロッパを以下にリストアップした。ちなみにここでは,しばらく悩んだ末,北米のデータをメインにした。海外では発売されたが,日本では出てないとか(逆はないが),発売時期が異なるといったことがあるので,軽くご注意を。また,2013年に配信が始まった「Call of Duty:Strike Team」(2013年)などスマホ向けの作品,そしてコンパニオンアプリもリストには含めていないので,その点もぜひご了解願いたい。
さて,リスト中青字で示したタイトルが,PCや据え置き型のコンシューマ機向けにリリースされた,いわゆる“メインストリーム”となる。「Call of Duty 4: Modern Warfare」まではナンバーが振られていて分かりやすかったが,それ以降はサブタイトルだけになり,「ナンバリングタイトル」という表現も使えなくなってしまった。
ともあれ,以下のリストにしたがうと,最新作の「Call of Duty: Black Ops III」はシリーズ18作め,メインストリームでは12作めということになる。合ってますよね?
・Call of Duty (2003年)PC※1 Infinity Ward
・Call of Duty: Finest Hour (2004年)PlayStation 2/Xbox/GameCube Exakt Entertainment(GameCube版),Spark Unlimited(PlayStation 2版,Xbox版)
・Call of Duty 2 (2005年)PC/Xbox 360 Infinity Ward
・Call of Duty 2: Big Red One (2005年)PlayStation 2/Xbox/GameCube Treyarch,Gray Matter Interactive
・Call of Duty 3 (2006年)PlayStation 3/PlayStation 2/Xbox 360/Xbox/Wii※2 Treyarch
・Call of Duty 4: Modern Warfare (2007年)PC/PlayStation 3/Xbox 360/Wii/NDS Infinity Ward※3
・Call of Duty: Roads to Victory (2007年)PSP Amaze Entertainment 日本未発売
・Call of Duty: World at War (2008年)PC/PlayStation 3/Xbox 360/Wii Treyarch※4 日本未発売
・Call of Duty: World at War‐Final Fronts (2008年) PlayStation 2 Rebellion Developments 日本未発売
・Call of Duty: Modern Warfare 2 (2009年)PC/PlayStation 3/Xbox 360 Infinity Ward
・Call of Duty: Modern Warfare: Mobilized (2009年)NDS n・Space 日本未発売
・Call of Duty: Black Ops (2010年)PC/PlayStation 3/Xbox 360/Wii/NDS Treyarch※5
・Call of Duty: Modern Warfare 3 (2011年)PC/PlayStation 3/Xbox 360/Wii Infinity Ward Sledgehammer Games※6
・Call of Duty: Black Ops II (2012年)PC/PlayStation 3/Xbox 360/Wii U Treyarch
・Call of Duty: Black Ops: Declassified (2012年)PS Vita nStigate Games
・Call of Duty: Ghosts (2013年)PC/PlayStation 4/PlayStation 3/Xbox One/Xbox 360/Wii U Infinity Ward※7
・Call of Duty: Advanced Warfare (2014年)PC/PlayStation 4/PlayStation 3/Xbox One/Xbox 360 Sledgehammer Games※8
※1欧米向けにダウンロード専用の「Call of Duty Classic」がPlayStation Network,Xbox Live Arcadeでリリースされている
※2Wii版は日本では未発売
※3ニンテンドーDS版の開発はn-Space,Wii版がTreyarch。Wii版は日本では未発売
※4Wii版はExakt Entertainment,マルチプレイ部分はArkane Studios
※5ニンテンドーDS版はn-Space
※6Wii版はTreyarch,DLCはRaven Softwareが担当
※7マルチプレイ部分はRaven SoftwareとCertain Affinity,ExtinctionモードはNeversoftが担当
※8High Moon Studiosが制作協力。マルチプレイとExo Zombiesモード,そしてDLCはRaven Softwareが担当
第二次世界大戦ものから現代戦にシフトしてメガヒット
まずは,テーマから見ていこう。「Call of Duty」から「Call of Duty 3」までは,第二次世界大戦が描かれていたが,「Call of Duty 4: Modern Warfare」で現代の戦いにスイッチし,これがあなた大ブレイク。その段階ですでに開発に入っていたと思われる「Call of Duty: World at War」は第二次世界大戦に戻ったものの,2009年以降,第二次世界大戦をテーマにした作品は作られていない。
第1作を開発したInfinity Wardは,Electronic Artsで「Medal of Honor: Allied Assault」を制作した2015, Inc.のメインスタッフが退社して作ったデベロッパだ。EA時代から現代戦をテーマにしたFPSを作りたいという希望があったが,新たにパブリッシャとなったActivisionは,自社に「Soldier of Fortune」シリーズがあるからという理由でそれを拒否。仕方なく「Call of Duty」を制作したという逸話が残っている。
第1作が高い評価を獲得したため,パブリッシャであるActivisionは早くから複数のデベロッパに並行して開発させ,毎年リリースすることとマルチプラットフォーム(というか,主力はコンシューマ機)で展開するという方針を採ったようだ。「Call of Duty 3」は,Activisionが2001年に買収したデベロッパ,Treyarchが開発を担当した作品で,多くのコンシューマ機向けに作られたが,PC版はリリースされなかった。
同じTreyarchが制作した「Call of Duty: World at War」が発売された当時は,Infinity Wardが現代戦シリーズを,Treyarchが第二次世界大戦シリーズを制作して隔年で発売するのではないかという(もっぱら筆者による)予想があったが,Infinity Wardの「Call of Duty: Modern Warfare 2」の翌年にリリースされた「Call of Duty: Black Ops」は,上にも書いたように第二次世界大戦後の東西冷戦時代が描かれて,その予想は覆った。
これは,どう差別化していくのだろうかという(もっぱら筆者の)声もあったが,「Call of Duty: Black Ops」は発売から24時間で実に560万本売れ,この数字は前年に発売された「Call of Duty: Modern Warfare 2」をしのぎ,北米エンタテイメント史上でも例のない成功を収めた。というわけで,差別化なんかいらないよね,みたいな。2013年の段階で「Call of Duty: Black Ops」は,累計2600万本のセールスを記録しているという。
ちなみに「Call of Duty: Black Ops」がリリースされた2010年,Infinity WardとActivisonの関係が金銭問題に端を発して悪化し,ActivisionはInfinity Wardの主要メンバー2名を解雇,それに対して解雇された側がActivisionを契約不履行で訴えるというトラブルが発生している。人気タイトルのデベロッパとパブリッシャの内部対立であることから,欧米メディアがセンセーショナルな報道合戦を繰り広げたものの,第三者には詳しい状況の分かりにくい出来事だった(関連記事)。その後,元Infinity WardのスタッフはRespawn Entertainmentを設立し,Electronic Artsから「Titanfall」を発売した。
3社体制で,毎年のリリースを目指す
リストにもあるように,メインストリーム内のシリーズとしては,「Modern Warfare」と「Black Ops」の2つがある。ただ,Modern Warfareは1から3まで作られたが,2013年にInfinity Wardが作ったのは,世界観を一新した「Call of Duty: Ghosts」で,Modern Warfareシリーズは3作品を以て終了した。
さらに,Treyarchが担当とすると思われた2014年の新作は,Sledgehammer Gamesの開発した「Call of Duty: Advanced Warfare」になった。2009年に設立されたSledgehammerは,「Call of Duty: Modern Warfare 3」の制作に協力した経験があるのみで,「Call of Duty: Advanced Warfare」が実質的な処女作となる。シングルプレイの背景となるのは2054年と,シリーズでは最も未来が描かれている。
ゲームの規模が大きくなり,さらに対応すべきプラットフォームも増えたことなどから,開発には今まで以上の時間が必要になり,Activisionとしては,これまでのInfinity WardとTreyarchにSledgehammerを加えた3社体制で,「Call of Duty」シリーズの展開を進めていくようだ。
シリーズのシングルプレイキャンペーンには,とくに主人公を設けず,複数の人物がそれぞれの視点から戦争に関わっていくという展開が1つの特徴だった。第1弾の「Call of Duty」では,プレイヤーはアメリカ軍,イギリス軍,そしてソ連軍それぞれの兵士となり,ノルマンディーからベルリンまでを戦い抜く。テーマが現代または未来の戦いにシフトし,実際の戦史ではなく架空のストーリーが使われるようになっても,それが踏襲されており,操作していた人物がカットシーンで撃ち殺されたりするので油断できなかったりした。もっとも,「Call of Duty 4: Modern Warfare」以降は,キャラクターの中にも「主役」的な人物が登場し,「Call of Duty: Advanced Warfare」では,いよいよ主人公1人だけしか操作できなくなっている。
最新作「Call of Duty: Black Ops III」について詳しい情報は発表されていないが,上記のように,大ヒットした「Call of Duty: Black Ops」シリーズの最新作となる。三部作だとすれば,これが完結編ですな。「Call of Duty: Black Ops」の背景になったのは,1960年代のキューバ危機からベトナム戦争で,歴史に埋もれた巨大な陰謀をめぐるダイナミックなストーリーが展開した。
もっとも,もともとマルチプレイの人口が非常に多いシリーズだけに,大評判になったのは「ゾンビモード」だったかもしれない。これは,同じTreyarchの「Call of Duty: World at War」で最初に登場したミニゲーム「Nazi Zombies」を独立,大規模化させたもので,襲い来るゾンビの大群を4人のプレイヤーがチームを組んで撃退するというCo-opモードだ。マルチプレイにCo-opが採用されたのも,「Call of Duty: World at War」が最初だった。
以上,調べ続けた筆者がそろそろ音をあげつつあるので,このへんで終わりにしたいが,まとめてみようとした努力だけは買ってほしい。ちなみに,「Call of Duty: Black Ops III」については,北米時間の4月26日だから,割とすぐに詳細が発表される予定になっている。前回,冷戦時代と近未来を行き来して,微妙にややこしくなっちゃったような気もする展開に,どのようなオチをつけるのか(つけないかもしれないが),あの人やこの人はどうなるのか,マルチプレイの新たなフィーチャーはなんなのか,シリーズ18作め(メインストリームとしては12作め)の発表を盛り上がりつつ待とう。
- 関連タイトル:
Call of Duty: Black Ops III
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