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東京レトロゲームショウ2016:第39回 「The Elder Scrolls」の新作が待ちきれないので,「The Elder Scrolls III: Morrowind」で積極的に我慢したい
2015年末,全世界が待ち望んだ超大型RPG「Fallout 4」がついにリリースされた。プレイヤーの評価もすこぶる高く,名作の続編としての期待を裏切らなかった新たな名作,と称するにふさわしい作品だろう。
そんな「Fallout 4」を開発したBethesda Softworksの,もう1つの看板シリーズといえるのが「The Elder Scrolls」(以下,「TES」)だ。「Fallout 3」→「The Elder Scrolls V: Skyrim」→「Fallout 4」とリリースされてきたので,次は(いつになるか分からないものの)「TES」シリーズの最新作が登場する,というのがBethesdaの偉い人以外の全人類共通の予測というか希望というか願望だ。
というわけで今回の「東京レトロゲームショウ2016」は,そんな「TES」シリーズの新作に備えるため,シリーズの中でも人気の高い「The Elder Scrolls III: Morrowind」(以下,「Morrowind」)を強引に取り上げてみたい。
Steam「The Elder Scrolls III: Morrowind」紹介ページ
GOG.com「The Elder Scrolls III: Morrowind」紹介ページ
「TES」シリーズ22年の歩み
本題に入る前に,まずは「TES」シリーズを軽くおさらいしておこう。これまでに登場したおもなタイトルは,以下のとおりだ。
- The Elder Scrolls: Arena(1994年)
- The Elder Scrolls II: Daggerfall(1996年)
- The Elder Scrolls Legends: Battlespire(1997年)
- The Elder Scrolls Adventures: Redguard(1998年)
- The Elder Scrolls III: Morrowind(2002年)
- The Elder Scrolls IV: Oblivion(2006年)
- The Elder Scrolls V: Skyrim(2011年)
シリーズ第1作「Arena」がリリースされたのはなんと,22年前だ。初代PlayStationやセガサターンが登場し,ゲームセンターでは「バーチャファイター2」が大ヒットしていた頃だ。
そんな中,登場した「Arena」は,メインクエストを無視して好きなように散策できるという自由度の高さが評判になった。ゲームの舞台は,シリーズを通して共通のタムリエル大陸で,「タムリエルを自由に歩き回れるRPG」というコンセプトは,この段階ですでにガッチリできあがっていたことになる。
「Morrowind」は,今から14年前の2002年にリリースされた作品で,本作以降,対応OSがMS-DOSからWindowsになり,日本でもグッとプレイしやすくなった。ちなみに,海外ではXbox版も発売されており,当時は輸入ゲームショップなどで見かけることがあった。壮大な世界観や遊び尽くせないほどのボリュームなど,その完成度の高さから海外で大ヒットし,日本でもコアゲーマーの間でちょっと話題になったことを覚えている。
続編の「The Elder Scrolls IV: Oblivion」(以下,「Oblivion」)で,ついにPlayStation 3とXbox 360版の日本語版がリリースされ,日本での知名度が飛躍的に上昇したのは,記憶に新しいところ。「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,「Skyrim」)なんて,ついこないだ出ました,みたいな印象があるけど,もう5年も前の話なんですね。時間が経つのって早いー。
遊びにくいけど,やっぱり名作!
前置きが長くなったが,いよいよ「Morrowind」について紹介していこう。本作の舞台は,タムリエル大陸の北東に位置するMorrowind(モロウウィンド)地方の,Vvardenfell(ヴァーデンフェル)という島だ。主人公はこの地に送られてきた囚人で,Morrowind地方を冒険しつつクエストをこなし,やがて大きな物語に巻き込まれていくことになる。主人公が囚人という設定も,初代からずーっと続くシリーズのお約束。
キャラクターメイキングの細かさも,本シリーズの特徴だろう。種族は「Khajiit」(カジート)や「Argonian」(アルゴニアン)など10種類から選択でき,性別や髪型も選択可能だ。ただし,鼻の高さや目の形といった細部の調整は,まだ実装されていない。
基本的なゲームの進め方は,「Oblivion」や「Skyrim」と変わらない。町の人と会話して情報を集め,クエストをこなしたりすることでストーリーが進んでいく。シリーズの魅力である自由度の高さは本作でも健在……というか,それまでのシリーズ作品よりもはるかに高く,物語の流れも1つではない。メインストーリーに関係するキャラクターが,不慮の事故で死んでしまうことさえあるほどだ。
戦闘は,「Oblivion」以降と大きく異なる。物理攻撃の命中判定や魔法詠唱の成功率にスキルの値が関わっているため,例えば,敵に近づいて剣を振るい,当たったように見えても,スキルが低ければ空振りとなってダメージを与えられない,という具合だ。
戦闘に限らず,スキルが低いうちは何をしてもミスばかりで,非常にストレスが溜まる仕様になっている。幸い,お金を支払えばスキルを一定値まで成長させてくれるシステムがあるので,まずは調合などでお金を貯めてからスキルを学ぶというのが本作のセオリーだ。スキルが上がれば,戦闘も楽になる。
つまり,効率よくステータスを上昇させたければ,レベルアップするまでに,なるべくスキルを上げておくことが望ましいという,かなり面倒なシステムになっているのだ。
もっとも,これは最高の効率を求めた場合の話で,通常はそこまで気にせずに遊んでも問題ない。ちなみにこのシステムは「Oblivion」にも引き継がれたが,「Skyrim」ではステータス自体が廃止されてしまったため,とてもシンプルになり,衝撃を受けた記憶がある。
個人的に最も魅力的な部分は,やはりその世界観だ。奴隷制度がまだ残っているため,気の毒なKhajiitが囚われていたり,遠距離の移動で巨大ノミに乗ったりなど,クセが強くダークな雰囲気が濃い。万人受けするテイストではないものの,そのぶん異世界感が強く出ており,現実とはまったく違う世界を冒険している気分に思いっきり浸れる。これは,「Oblivion」や「Skyrim」では十分に味わえないポイントだと思う。
本作は2002年のゲームだが,改めて遊び直してみると,いろいろと不親切で分かりにくいことに驚きを覚えた。筆者が軟弱になってしまったのかもしれないが,「TES」シリーズがこの10数年でどれだけ進化したかを,しっかり体感した形だ。上記のように,万人向けになった「Oblivion」や「Skyrim」では味わえない独特のテイストがあり,これを魅力だと感じる人は,ハマってしまうはず。多少の不満には目をつぶってでも,「TES」シリーズのファンにとって遊んでみる価値はあると思う。
ちなみに本作は,日本語版が存在していないことも遊びにくいポイントの1つ。ただし,有志が作成した日本語化MODが存在しているので,気になるけど英語はちょっと……という人は,導入してみるのも選択肢の1つかもしれない。ただし,使用はあくまで自己責任で。日本語MOD以外にも数多くのMODが作成されているので,それらを活用すれば遊びの幅がさらに広がるはずだ。
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- The Elder Scrolls III: Morrowind Game of the Year Edition (輸入版)
- Software
- 発売日:2006/04/26
- 価格:¥16,699円(Amazon)