プレイレポート
初心者から上級者まで幅広く楽しめるリアルレースシミュレーション,「PROJECT CARS 2」のプレイレポート
レースゲームファンお待ちかねの新作「PROJECT CARS 2」(PC/PlayStation 4)がバンダイナムコエンターテインメントから発売中だ。レースゲームにはいろいろなタイプがあるが,本作はいわゆる“ガチ”なレースシミュレーションで,市販車やレースカーの挙動やグラフィックスを,こだわりのリアルさをで再現したところが最大のセールスポイントになっている。
「PROJECT CARS 2」公式サイト
開発は,イギリスのデベロッパSlightly Mad Studiosが担当しており,2015年5月にリリースされた「PROJECT CARS」の待望の続編となる。今回,PC版を主にプレイしたので,インプレッションをお届けしたい。
日本車や日本のサーキットも収録された待望の続編がついに登場
まずは,本作に登場する車について紹介しよう。「PROJECT CARS 2」には,最新フォーミュラカーやビンテージフォーミュラーカー,インディカーといったオープンホイールマシン,国内外のレースに出場するツーリングカー,ル・マンなど耐久レースを戦うプロトタイプのレーシングカー,市販車やスーパーカーなどのロードカー,そして未舗装路のクローズドサーキットでレースをするラリークロスマシンなど,180種類以上の車が収録されている。
自動車メーカーも,アウディ,BMW,フォード,マクラーレン,メルセデス・ベンツ,ルノーなど,海外の有名どころがずらりと顔を並べている。個人的には,ライセンスの関係で収録されないことが多い,フェラーリ,ランボルギーニ,ポルシェなどの車がラインナップされているところが非常に嬉しい。
前作では収録台数が少なかった日本車についても,今回は日産,トヨタ,ホンダ,マツダ,三菱から30種類以上の日本車が収録されており,ラインナップもトヨタ 86,トヨタ TS020 GT-ONE,日産 スカイライン KDR30 スーパーシルエット,日産 300ZX ターボ ル・マンなど,なかなかマニアックだ。さすが,分かっているという感じだ。
ほとんどすべての車種においてメーカーやレースチームのライセンスを獲得し,モデリングは実車の設計図に基づいているというから驚きだ。外観や内装,カラーリングなど細かなところまで,実車そのままの緻密さで再現されており,前作同様,多数の車をいろんな角度から自由に眺められる「ショールーム」モードが用意されている。さらに,アングルを自由に変更したり,絞りや焦点距離などを調整して写真が撮影できる「フォト」モードも実装され,ゲーム中,ポーズ画面からいつでも,迫力あるレースシーンを撮影して保存することが可能だ。
本作にはまた,実在のものから架空のものまで,前作の倍以上となる60以上のサーキットが収録されている。フルコース,ショートコースなど,レイアウトの違いを含めると実に100以上のコースレイアウトが用意されていることになる。
レースファンに知られた実在のサーキットとしては,ニュルブルクリンク,ホッケンハイムリンク,ブランズ・ハッチ,ブルノ・サーキットなどがあり,さらに,ロエアック,リッデンヒルなどのラリークロスサーキットも収録されている。
また,本作では,富士スピードウェイ,スポーツランドSUGOという日本のサーキットも収録されている。
前作でもサーキットの再現度には定評があったが,本作ではドローンによる撮影やフォトグラメトリー技術を駆使して,現実同様の高低差や起伏,バンク角を可能な限り正確に再現している。筆者は実際に走ったことはないので,どの程度の再現具合かは分からないものの,世界中のサーキットの走行を疑似体験できると断言してしまおう。
刻々と変化する路面状況,リアルタイムに変化する挙動を克服して勝利を目指せ!
個人的に,レースシムでは,いかに市販車やレースカーの挙動変化を再現できるかが重要になると思っている。上のほうで「リアルだ」とさんざん書いたが,実はこの点について前作は,コテコテのシミュレーションではなく,実車の挙動変化などを再現しつつも比較的走りやすい味付けになっていた。本作でもそういった雰囲気は踏襲されており,走りを楽しみつつ,オプションを変更することで実車に近い挙動を楽しめる。したがって,とにかくリアルさが欲しいのだ,という人から,手軽に遊びたいアーケード派まで,幅広いプレイヤーに適応しているといえる。
収録された車は,有名プロレーサー達によってテストや調整が繰り返されており,実際のドライブフィールや挙動変化などは可能な限り実車に近づけられている。実際,ヒストリックカーを使うと,昔のドライバーはよくこんな車でレースしてたなと思うほど運転しにくいが,同じサーキットを最新のレースカーで走ると,いとも簡単に次元の違うタイムと走りを見せてくれる。
レースに慣れるにつれて,サーキットや車ごとに細かくセッティングを変更してベストなものを煮詰めていきたくなるはずだ。本作では,タイヤ,ブレーキ,シャーシ,サスペンション,ダンパー,ECU,エンジンなどの各設定を,スライドバーで細かく調整できるようになっている。
項目ごとに,調整するとどう反映されるのかを教えてくれるヘルプがあるので,ビギナーでも調整しやすいが,「レースエンジニア」と呼ばれるオプションを使えば,自分のプレイスタイルと車に関するいくつかの質問に答えるだけで,ある程度,調整してくれる。例えば,「ブレーキ中にスライドしてしまう」「直線でスピードが出ない」「高速コーナーでスピンしてしまう」といった不満をレースエンジニアに伝えることが可能なので,なんとなく,プロドライバーになった気分になれる。
車のリアルな動きを生み出すために採用されたのが,新技術の「LiveTrack 3.0」だ。これは,舗装路,非舗装路,ぬかるみ,雨,雪,氷など,それぞれの路面状況について,摩擦抵抗やタイヤ温度などをリアルタイムに計算し,挙動の変化を再現するというものだ。
さらに,レース中に降り出す雨の表現も強化されており,降雨の強弱や,路面が次第に濡れてくるところ,さらにコーナーのイン側にできる水たまりなど,見ているだけで楽しい。
こうした天候の変化でありがちなのが,ウェットタイヤを履いてスタートしたが,レースの途中で雨が上がったという状況だろう。ピットに入ってタイヤの交換をするか,テクニックで切り抜けるかに頭を悩ませるはずだが,乾いた路面ではタイヤの温度もドンドン上がってしまうため,濡れた部分を走って温度を下げるなどの対応も必要になってくるのだ。
また,第1コーナーは雨が強く,途中は比較的乾いていて,メインスタンドの反対側あたりはどしゃ降りなんてことも,実際のレースと同様,よく起きるため,常に天候や路面状況には気をつけなければならない。
また,従来のドライブ&レースシミュレータでは採用されていなかったり,固定されている部分だが,本作では「季節」をサーキットごとに自由に変更でき,天候や路面温度が変化する。同じサーキットでも季節が変ればそれぞれ異なる美しい風景を見せてくれるので,走りが忙しくて景色なんて見ているヒマがないという意見もごもっともながら,ぜひ感動してほしい。
さて,掲載したスクリーンショットですでにお気づきの人もいると思うが,前作には出てこなかった未舗装路や泥,雪,氷の路面も本作には登場する。滑りやすい路面の走行は車種によって泣きたくなるほど苦労するが,そうした路面をステアリングとアクセル,ブレーキを駆使してコントロールする難しさを体験しよう。
なにしろ,普通は「フォーミュラーカーで雪上を走る」などということはあり得ないが,ゲームではそれがいとも簡単に体験できるのだから,やらない手はない。使用する車種によっては,まともに走ることさえおぼつかなかったりするが,市販車で手軽にドリフト走行するのは楽しい。
なお,ゲームパッドでもプレイできる作りにはなっているが,車種によってはコントロールがかなり難しいこともあったので,やはりステアリングコントローラでのプレイをオススメしたい。今回はロジクール ドライビングフォース G29を使用してプレイしたが,ステアリングから伝わるフォースフィードバックにより,一段とリアリティが増した。
レースに勝利する難しさを味わいながらトップドライバーを目指せ!
ゲームモードには,トップドライバーを目指して奮闘する「キャリア」,シングルプレイやマルチプレイで好きな車種,サーキット,天候などを選んでレースが楽しめる「クイックプレイ」,特定の車種,サーキットを使って世界中のライバルとタイムを競う「コミュニティイベント」,自由な車種,サーキットでファステストラップを競い合う「タイムトライアル」,そして,進行中のイベントに参戦できる「コミュニティ」が用意されている。
メインとなるキャリアは複数あり,それぞれ6つのティアで構成されている。そして,1つのティアはレースカテゴリで分けられた複数のレースイベントで成り立っている。ティア6が新人向けで,数字が小さくなるにつれて上級者向けになるので,トップドライバーのティア1を目指していくのだ。
ティア6からティア3まで,どのカテゴリのレースから挑戦するかはプレイヤーの自由なので,ティア6から地道にステップアップしてもいいし,腕に自信があればティア3からキャリアを始めても構わない。
キャリアでは,同じメーカーの車を使うことでメーカーとの相性が上がり,「製造社イベント」と呼ばれる,自動車メーカーがオファーするレースに挑戦できる。また,キャリアをこなしていくとアンロックされてプレイできるようになる「招待イベント」など,淡々とレースをこなすだけではない,ちょっとしたスパイスがいろいろと用意されており,やり応えは十分だ。
クイックプレイでは細かいレースの設定ができるので,なんだったら大雪のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイをプロトタイプレーシングカーで走るといったことが可能だ。レース中に天候が変化するという設定もあるので,いろいろなシチュエーションでレースに挑める。
オンライン対戦(PlayStation 4版は最大16人,PC版は最大32人)は今回,都合により試せなかったが,コミュニティイベントが稼働していたため,これを遊ぶことができた。コミュニティイベントは,車種やサーキット,天候など,同じ条件で世界中のライバルとラップタイムを競うモードで,開催期間内であれば何度も繰り返し挑戦できる。早くもトッププレイヤーのタイムはとんでもないことになっており,これを埋めるには,大幅に走り方を見直す必要がありそうだ。
ゲーム性については前作から大きく変わっていないため,前作のファンは同じ感覚でプレイできるはず。一方で,収録車種,サーキットは大幅に増えており,とくに日本車や日本のサーキットが増えたのは嬉しい。車ごとの挙動の違いなど,細かい部分までしっかり再現されており,レースカーを操作する楽しみが十分に味わえる本作。変化する天候やタイヤマネジメントなど,一段と現実に近いレース運びが要求されるほか,ラリークロスや雪上,氷上レースにいろいろな車で挑戦できるなど,レースシムとしての完成度はさらに高まった印象。レースゲーム初心者から上級者まで幅広い層で楽しめる作品として,オススメの一本だ。
「PROJECT CARS 2」公式サイト
※画面は開発中のものです。- 関連タイトル:
PROJECT CARS 2
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© 2017 Slightly Mad Studios Limited. Published and distributed by the BANDAI NAMCO Entertainment Group. Slightly Mad Studios, Project CARS, the SMS logo, and the Project CARS logo are trademarks or registered trademarks of Slightly Mad Studios Limited in the United Kingdom and/or other countries. The names, designs, and logos of all products are the property of their respective owners and used with permission.
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