プレイレポート
2K,「マフィア III」のメディア向けハンズオンを開催。TGS 2016にはプレイアブル出展されなかった本作を,約6時間じっくりプレイした
「マフィア III」公式サイト
先日開催された東京ゲームショウ2016ではプレイアブル出展されなかった(ムービーとデモプレイのみ)本作だが,ハンズオンだけあって,筆者は合計6時間ほど,じっくりとプレイすることができた。途中,開発者インタビューも行われたので,その様子も合わせてお届けしたい。試遊に使われたのはPlayStation 4版で,そのため,文中の表記もDUALSHOCK 4に準じたものになっている。
見事に再現された街並みと時代
「マフィア」シリーズ最新作となる本作の舞台は,1968年のアメリカの架空の都市,ニューボルドーだ。ベトナム戦争まっただ中の年で,主人公のリンカーン・クレイはベトナム帰還兵という設定だ。
「マフィア III」は,複数の人物による語りから始まるが,ゲームを進めるうち,彼らが物語の登場人物であり,過去に起きた出来事を話していることが分かる。こうした演出により,物語を立体的に味わえる。日本語版はテキストがローカライズされており,英語で書かれたメモなどのメッセージは,所定のボタンを押すと日本語字幕で内容が表示される仕様だ。
ニューオーリンズをモデルにしたというニューボルドーに帰ってきたクレイは,かつて所属していた黒人組織へ戻り,ジョルジ・マルカーノというイタリアンマフィアと共に銀行強盗を計画する。強盗は成功するが,ジョルジとその父でマフィアのドンであるサル・マルカーノの裏切りに遭い,金は持ち逃げされ,仲間は皆殺しに。自分も瀕死の重傷を負う。バラード神父の助けによって死の淵から甦った彼は,マルカーノとマフィアへの復讐を誓う,というのが物語の設定だ。
クレイの復讐劇には,のちにカサンドラ,バーク,ヴィトという,それぞれマフィアに恨みを持つ3人が加わるわけだが,そのうちのカサンドラは筆者がプレイした序盤から登場してくる。ゲーム中では,支配した区域のビジネスを彼女に任せることができるなど,かなりの活躍を見せる。
重厚なストーリーがセールスポイントになっている本作だけに,マルカーノ親子によるファミリー皆殺しまでの展開は非常に衝撃的だ。もう一つの売りであるオープンワールドについては,ミッションの展開は一本道で,作り込まれた街並みも,基本的に移動のみ。寄り道をしてアクティビティが楽しめるわけではない。
というのも,実はクレイが復讐を誓う場面までは「長いチュートリアル」という感じになっており,今回のハンズオンイベントでは,その後に何が起きるのか? という概略がムービーで紹介されたのち,ゲームの中盤あたりから再び試遊ができた。実は,この後半からのプレイが今回のハンズオンの目玉であり,本作の特徴をぞんぶんに味わうことができるものになっていた。
「マフィア III」は,ミッションをこなすことでプレイできるエリアが拡大するというシステムになっている。後半の試遊では,マップがそれまでの数倍の広さになっていたが,イベントでは,そのうち「フリスコ フィールズ」と「フランス街」から1つを選んでプレイすることができた。
リンカーンの目的は,マルカーノファミリーの壊滅だ。そのため,NPCから依頼を受けたり,協力者の情報を手がかりに,マップの各所でミッションに挑む。目的は,その地域を牛耳るマフィアに金銭的なダメージを与えて資金源を断つこと。特定の条件を満たすと,各地域に2人ずついるボスを倒すミッションが登場する。そして,彼らを倒すと,そのエリアが自分のものになるという仕組みだ。
筆者は,「フランス街」を選んでプレイした。ここは,多数の観光客を集めるエキゾチックな歓楽街だが,売春や性風俗,薬物などが横行する裏の顔を持っている。フランス街では,「用心棒達の始末」「ポン引きの尋問」「薬物運搬ボートの破壊」「ポルノフィルムの消却」などのミッションがあり,どれをどの順番で挑んでいくかはプレイヤーの自由だ。
ニューボルドーの街並みは時代背景に合わせて作られており,また,道を歩く人達の会話からは,ベトナム戦争やキング牧師暗殺など,当時の世相を表す話題が聞こえてくる。こうした,時代を感じさせる演出が随所に施されており,歩き回っているだけでも楽しい。
フィールドは広く,移動は車が主体となるが,リンカーンが乗る車も1960年代のアメ車が中心で,速くて頑丈だが,止まらない,曲がらないという特徴がある。時代的にカーナビも存在しないが,ミニマップによるナビゲーション機能があり,道路標識という形で画面に行くべき方向が表示されるところが面白い。なお,手に入れた車はチューンナップなども可能だという。
難度の高いミッション
ミッションはもっぱら,敵地に侵入して戦うというスタイルだった。カバーアクションを駆使して正面から撃ち合ってもいいし,敵に見つからないようにサイレンサー付きのピストルなどを使ったステルスアクションで対応してもいい。今回のプレイはゲームがかなり進んだ状態で難度もかなり高く,ゲームデザインは撃ち合いを楽しむことにフォーカスしているような気もしたが,筆者の好みで,もっぱらステルスを主体にプレイした。
隣の席でプレイを見ていた担当編集者は「正面から戦えばいいじゃん!」と煽ってきたが,「できるんだから,ステルスでもいいじゃん!」と反論し,そのまま続けた。実際,正面から戦ってどうしてもクリアできなかったミッションを,ステルスであっさりクリアできたこともある。
ゲーム中,タッチパッドを押すと「情報ビュー」という状態になり,周囲の敵やミッションのターゲットが壁越しでも見えるようになる。これで敵の存在を確認し,方向キーの左の長押しによる「口笛」で敵をおびき寄せ,[○]ボタンによるステルスキルで1人ずつ倒していく,という流れだ。クレイは近接戦闘にも長けていて,タイミングよくボタンを押せば,ナイフで一撃のもとに敵を倒してくれる。これがなかなか気持ちいい。
面白いのは,ミッションが発生する場所にいるのが,敵だけではないということだろう。上記のようにステルスキルで敵を倒しても,それを一般人に見つかると騒がれてほかの敵に気付かれたり,通報されて警察が現れたりする。また敵の中には「見張り」が存在し,こちらもやはり存在がバレると,敵の援軍が来てしまう。目撃者や見張りに気づかれたときは,画面に受話器のアイコンが出るので,何より先に受話器付きのキャラクターを処理する必要がある。
なお一般人による通報は,路上などで車を盗むときなどにも発生することがあり,やはり通報される前にしかるべき対処が必要だ(殺さなくても,電話ボックスなどの特定の場所で気絶させてもいい)。
また,正面から攻撃するスタイルの場合,資金を使って「襲撃部隊」を呼ぶことも可能だ。この襲撃部隊は数人の血に飢えた連中で,クレイと共に行動し,見つけた敵を見境なく攻撃してくれる。彼らの火力が頼りになるのはもちろん,敵の攻撃の囮としても活躍してくれる。
このように,戦術の幅はかなり広く,ミッションの舞台となるマップもよく考えられて作られているので,プレイヤーによってさまざまな攻め方が可能になるはずだ。
魅惑のオールディーズが雰囲気を盛り上げる
さて,プレイを続ける中,筆者のツボを突きまくったのが,ゲーム中に流れる1960年代を中心としたオールディーズミュージックだ。ローリング・ストーンズの「Paint It Black」,リトル・リチャードの「Long Tall Sally」,ジェームズ・ブラウンの「I Got You (I Feel Good)」など,当時のヒット曲のオリジナル音源が,要所でBGMに使われていたり,カーラジオから流れてくるのだ。
中でもバリー・マクガイアの「Eve of Destruction」(邦題「明日なき世界」。1965年に発売されたベトナム反戦歌)が流れてきたときは,ベトナム戦争がストーリーの背景にあることもあって,思わず身震いしてしまった。
楽曲はカバー曲も含め,100曲以上が収録されているとのこと。筆者のようなアラフォー〜アラフィフの,学生時代に洋楽をかじった世代にとって,かなり贅沢なサウンドといえるだろう。
ハンズオン後半で公開されたパートをプレイする限り,自由度はかなり高く,しかもミッションの結果がしっかりストーリーに絡んでいるくることが,本作の大きな特徴として感じられた。難度設定にもよるが,プレイスタイルで大きく変わるゲームバランスも興味深い。上記のように,筆者が好きなステルスアクションが推されているわけではなく,派手な銃撃戦こそが「マフィア」というタイトルには似合っていると思われる。製品版が発売されたら,臨機応変に戦ってみたいと思った。
敵の裏切りからの復讐劇というストーリー展開は,日本人にも分かりやすく,序盤の流れとその見せ方も巧い。中盤以降のストーリーは製品版でのお楽しみということで,ヴィトをはじめとするキャラクターがどのようにクレイに絡んでいくのか,彼らによる「シットダウン」がどのような流れで行われるのか(シットダウンはハンズオンでは体験できなかった),そして最大の目的であるマルカーノファミリーへの「ケジメ」をどうつけるのか,知りたくてたまらなくなった。
冒頭にも書いたように,会場では,本作のエグゼクティブプロデューサーであるDenby Grace氏へのインタビューも行った。その模様をお伝えして,本稿の締めくくりとしたい。
4Gamer:
まずは,Graceさんの本作での役割を教えてください。
Denby Grace氏(以下,Grace氏):
私は本作でエグゼクティブプロデューサーを務めています。2Kには12年ほど在籍し,「マフィア」シリーズには初代から関わってきました。そのほか,「EVOLVE」や「The Darkness」などの制作にも携わっています。
4Gamer:
「マフィア III」について,簡単に内容を解説をしていただけますでしょうか。
Grace氏:
私達は「マフィア III」のジャンルを「ハードボイルド クライムドラマ オープンワールド アクションゲーム」としていますが,もっと短く呼んでもかまいません(笑)。最大のポイントは,前作「マフィア II」と同様にストーリーに重きを置いている点ですが,プレイしてお分かりのとおり,本作ではオープンワールドという要素をかなり強化しています。
ベトナム帰還兵の主人公が,自分が育った黒人組織ごとイタリアンマフィアに裏切られ,彼らに復讐をするという内容です。
4Gamer:
今回プレイしたオープンワールドの部分は,ゲームの中盤以降となるんでしょうか。
Grace氏:
はい,ゲームが進むほど,オープンワールドの要素が強くなっていくというデザインになっています。メインとなるストーリーが1つあるのですが,プレイヤーがどんな戦い方をするのか,あるいはどんなビジネスに携わるのかといった選択によって,展開が少しずつ変わっていきます。
4Gamer:
カスタマイズ要素のようなものはありますか。
Grace氏:
見た目を変えたり,武器を強くしたりするといったカスタマイズはできないんですが,クレイの武装や車を選ぶことはできます。武器や車など,どれをアンロックするか選ぶことで,自分の好きな状態でゲームを進められるというわけです。また,どの仲間に地域の運営を任せるのかも,カスタマイズ的な要素と呼べますね。
4Gamer:
ステルスアクションが非常に面白かったのですが,戦い方にもかなり選択肢があるようですね。
Grace氏:
そこはオープンワールドというゲームシステムに合わせて,自由に戦えるようにしています。ステルスによるサイレントキルやスナイパーによる遠距離攻撃など,プレイヤーの自由ですね。また特定のミッションによっては,行動が指定されていて,そこでは戦い方が限定されることもあります。
4Gamer:
1960年代という舞台背景に合わせた音楽やニュースなどが使われているところにもグッときたんですが,そこはやはり意識されたところですか。
Grace氏:
時代の感覚は「マフィア」シリーズにおいて非常に重要なもので,本作では1960年代のアメリカ南部にいるような気分になれるような演出にこだわりました。とくにゲームの序盤,プレイヤーにそのことを強く意識してもらえるようにしているので,ゲームを始めた直後から,その時代感覚を楽しんでもらえるでしょう。
4Gamer:
ゲームはシングルプレイですか。
Grace氏:
はい,本作はシングルプレイのみで,マルチプレイはありません。
4Gamer:
では,日本のファンにはメッセージをお願いします。
Grace氏:
開発陣としても楽しんで作ってきた作品で,日本の皆さんにも必ず楽しんでいただけるゲームになっていると自負しています。10月の発売を楽しみにしていてください。
4Gamer:
分かりました。本日はどうも,ありがとうございました。
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