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スマホゲームのセルラン分析(2022年11月17日〜11月23日)。今週の1位は「プロ野球スピリッツA」。日本で圧倒的な人気を誇るスクエニの深掘りも
データ分析を専門に行うSensor Towerによると,2021年におけるスマートフォン向けゲームの国内収益は約2兆3746億円に達している(※関連記事)。そんな世界有数のスマホゲーム大国となった日本で,現在最も売れているタイトルを始めとした,さまざまなデータを毎週お届けするのが,本連載「スマホゲームのセルラン分析」である。
スマホゲームのセールスランキング
(2022年11月17日〜11月23日)
順位 | 前週 | タイトル | DL数の前週比 | 収益の前週比 |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | プロ野球スピリッツA | 4% | -2% |
2 | 5 | パズル&ドラゴンズ | -12% | 33% |
3 | 1 | 勝利の女神:NIKKE | -65% | -35% |
4 | 3 | Fate/Grand Order | 17% | -10% |
5 | 7 | 原神 | 8% | 63% |
6 | 6 | ウマ娘 プリティーダービー | -2% | 23% |
7 | 13 | 雀魂 | 16% | 91% |
8 | 4 | モンスターストライク | -21% | -42% |
9 | 8 | ドラゴンクエストウォーク | -9% | -21% |
10 | 10 | パズルサバイバル | 4% | -8% |
11 | 11 | メメントモリ | -43% | -7% |
12 | 19 | プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク | 15% | 38% |
13 | 14 | 放置少女 | -9% | -2% |
14 | 25 | RPG ロマンシング・サガ リ・ユニバース | -3% | 89% |
15 | 20 | FFBE幻影戦争 | -11% | 32% |
16 | 31 | ブルーアーカイブ | -31% | 104% |
17 | 9 | Pokémon GO | 3% | -34% |
18 | 16 | 魔法使いの約束 | 25% | -9% |
19 | 41 | にゃんこ大戦争 | 64% | 140% |
20 | 107 | ドラゴンボールZ ドッカンバトル | 9% | 559% |
21 | 23 | LINE ポコポコ | 129% | 1% |
22 | 15 | 荒野行動 | 17% | -38% |
23 | 22 | ONE PIECE バウンティラッシュ | -13% | -11% |
24 | 28 | ホームスケイプ | 2% | 11% |
25 | 76 | eFootball 2023 | 75% | 221% |
26 | 12 | あんさんぶるスターズ!!Music | -11% | -56% |
27 | 30 | マフィア・シティ | 24% | -2% |
28 | 36 | Top War | 2% | 6% |
29 | 38 | ガーデンスケイプ | 6% | 10% |
30 | 152 | グランサガ | 97% | 428% |
31 | 27 | Echocalypse -緋紅の神約- | -36% | -24% |
32 | 26 | 幻塔 | -20% | -29% |
33 | 126 | PUBG MOBILE | 9% | 281% |
34 | 18 | 三國志 真戦 | 13% | -53% |
35 | 35 | モリノファンタジー | -31% | -17% |
36 | 34 | Call of Duty: Mobile | -4% | -19% |
37 | 24 | ONE PIECE トレジャークルーズ | -5% | -40% |
38 | 65 | ポコロンダンジョンズ | 23% | 69% |
39 | 58 | 商人放浪記 | 17% | 45% |
40 | 49 | 新信長の野望 | -14% | 14% |
41 | 17 | アークナイツ | -39% | -63% |
42 | 44 | ドラゴンクエストタクト | -1% | 2% |
43 | 45 | 日替わり内室 | -11% | 6% |
44 | 37 | Age of Origins | 4% | -21% |
45 | 43 | フィッシュダム | 1% | -11% |
46 | 46 | リネージュW | -35% | -5% |
47 | 21 | ディズニー ツイステッドワンダーランド | -14% | -56% |
48 | 42 | 白猫プロジェクト | 28% | -22% |
49 | 84 | 三國志 覇道 | -17% | 64% |
50 | 47 | ロードモバイル | 6% | -17% |
※掲載データはSensor Towerから引用したものです。データの無断転載を禁じます
※iOSとAndroidの収益の合計をもとにしたランキングです。マルチプラットフォーム展開を行うタイトルでも,PCや家庭用ゲーム機向けの収益は含まれていません
今週のランキング1位は,KONAMIの「プロ野球スピリッツA」(iOS / Android)である。今回の集計期間中,Sランクの選手が登場する「アニバーサリープレイヤー(第2弾)」や10連ガチャのイベントが実施されたことで,収益が大きく伸びたようだ。
本連載を毎週見ている読者ならお気付きかもしれないが,プロスピAは常に高い収益を上げている。今週のように,たとえプロ野球のペナントレースが行われていなくても,ゲーム内イベントでセルランの首位を取ることすらあるのだ。
ランキングの各タイトルをあらためて俯瞰すると,プロスピAはこの中でかなり異質のようにも思える。それだけにKONAMIは,スポーツゲームの開発/運営面において,他社にはない様々なノウハウも蓄積していそうだ。
現在,サッカーのワールドカップが盛り上がっているが,KONAMIはサッカーゲームに関しても「eFootball 2023」「eFootball ウイコレ CHAMPION SQUADS」「Jリーグクラブチャンピオンシップ」などを展開している。なかでもeFootball 2023の収益はじわじわと伸びており,しかも本作の日本における収益の割合は43.7%しかない(※過去1か月間の集計)。そう遠くない将来に,サッカー人気の高い国でeFootball 2023が爆発的にヒットすることも起こりうるのかもしれない。
スクウェア・エニックス内でのセールスランキング
(2022年07月01日〜09月30日)
以下に掲載するのは,同社内で売上を確認できたスマホゲームのセールスランキングである。先週紹介したバンダイナムコエンターテインメントと同様に,各タイトルの右には参考用として,ワールドワイドにおける日本の収益の割合を添えている。
順位 | タイトル | 日本の割合 |
---|---|---|
1 | ドラゴンクエストウォーク | 99.9% |
2 | ドラゴンクエストタクト | 95.5% |
3 | ロマンシング・サガ リ・ユニバース | 99.8% |
4 | 鋼の錬金術師 MOBILE | 100% |
5 | FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS | 45.9% |
6 | 星のドラゴンクエスト | 100% |
7 | FFBE幻影戦争 WAR OF THE VISIONS | 57.0% |
8 | とある魔術の禁書目録 幻想収束 | 100% |
9 | 魔法科高校の劣等生 リローデッド・メモリ | 99.3% |
10 | ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト | 98.2% |
11 | NieR Re[in]carnation | 71.8% |
12 | ドラゴンクエストけしケシ! | 100% |
13 | オクトパストラベラー 大陸の覇者 | 51.7% |
14 | ディシディアファイナルファンタジー オペラオムニア | 49.7% |
15 | 聖剣伝説 ECHOES of MANA | 71.2% |
16 | スクールガールストライカーズ2 | 100% |
17 | ドラゴンクエスト ダイの大冒険 -魂の絆- | 81.4% |
18 | ディズニー ミュージックパレード | 100% |
19 | タイトーオンラインクレーン | 100% |
20 | ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ | 100% |
21 | SHOW BY ROCK!! Fes A Live | 100% |
22 | おじさまと猫 | 100% |
23 | ヒットマンスナイパー | 10.8% |
24 | ドラゴンクエストV 天空の花嫁 | 73.5% |
25 | ドラゴンクエストモンスターズ2 | 100% |
26 | ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争 | 16.6% |
27 | FINAL FANTASY VII | 30.5% |
28 | ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 | 50.8% |
29 | FFVII THE FIRST SOLDIER | 0% |
30 | クロノ・トリガー | 15.9% |
31 | FINAL FANTASY VI | 33.9% |
上記の表で注目してほしいのが,特に大きな収益を上げている「ドラゴンクエストウォーク」「ドラゴンクエストタクト」「ロマンシング・サガ リ・ユニバース」「鋼の錬金術師 MOBILE」の4タイトルで,日本の割合がほぼ100%という部分である。海外の収益割合が高いタイトルもあるにはあるが,同社のスマホゲーム全体の収益を見ても,日本の割合は91.4%と非常に高いものとなっている(※ちなみに先週紹介したバンナムの場合は61.4%)。
そしてこれは,日本で複数のタイトルを大成功させられれば,海外展開を行わずともワールドワイドのセルランで上位に入るほどの収益を上げられることを証明している。
「ドラゴンクエストウォーク」 |
「ドラゴンクエストタクト」 |
「ロマンシング・サガ リ・ユニバース」 |
日本は世界有数のスマホゲーム大国で,しかもスクウェア・エニックスはドラゴンクエストやファイナルファンタジーをはじめとした,国内最強クラスのゲームIPを数多く所有している。であれば海外展開を行うよりも,日本向けに徹底的にチューンしたスマホゲームに注力するほうが手堅いと考えてもおかしくはないだろう。
ちなみに同社は2022年5月に,これまで傘下に抱えていたEIDOS INTERACTIVEやCRYSTAL DYNAMICSを売却している(※関連記事)。海外展開に対するプライオリティも,以前より低くなっているのかもしれない。
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーは初代作の登場から35年近くが経過している。往年のファンも,現在は購買力のある年代になっており,これも同社の収益の高さにつながっているのだろう。また,同社のブランドがいきなり崩れるとは考えにくいが,今後10年,20年といった長期スパンを見据えて,どういった戦略を立てているのかは気になるところではある。
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