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EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏
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印刷2016/05/31 18:19

イベント

EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏

 2016年5月22日,東京都渋谷区のSocial Club Tokyoにおいて,ゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」が開催された。

 このイベントは,タイトル通りEDMにフォーカスしたもの。EDMとは「エレクトロニック・ダンス・ミュージックの略称で,読んで字の如く“電子楽器を用いたダンスミュージック”の意味だ。

画像集 No.028のサムネイル画像 / EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏
 メインフロアには佐野電磁氏と加藤浩義氏によるコラボユニット“SATO”をはじめ,「Cytus」などに楽曲を提供したswitchworks氏,アレンジャーのG☆Eさん,バンダイナムコスタジオの大久保 博氏,ノイジークロークの加藤浩義氏川越康弘氏,ポケラボのサウンドチームによるユニット“GrizzlyWorks”が出演。EDMアレンジのゲームミュージックなどで,集まったオーディエンスを大いに沸かせていた。

 ラウンジフロアではサクセスのWASi303氏や元ZUNTATAのCOSIO氏などがメインフロアに負けないプレイを披露したほか,安藤武博氏のMCによるトークセッションも実施された。トークセッションは,第1部にノイジークロークの加藤氏と川越氏,第2部に“GrizzlyWorks”のKenTheGrizzly氏とMitsuTheGrizzly氏がゲストとして出演し,EDMの定義や,EDM系の楽曲を作るときに用いるソフト(DAWは「ACID」や「Logic Pro X」,プラグインは「NEXUS」シリーズやNative Instruments製品が挙げられた)などについて語り合った。

 なお「EDG音撃 -EDM IS GAME-」は,単発のイベントで終わらず第2回も実施する予定とのこと。VGMファンは,続報に期待してほしい。

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●出演者(敬称略)
【メインフロア】
 switchworks
 G☆E
 大久保博
 加藤浩義+川越康弘,SAK.
 MitsuTheGrizzly
 SATO
【ラウンジフロア】
 rainwood
 WASi303
 COSIO
 motoko128k
 yusuke3rd
【トークセッション】
 安藤武博VS加藤浩義+川越康弘
 安藤武博VS加藤浩義+ポケラボサウンドチーム


画像集 No.001のサムネイル画像 / EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏
フロアによく似合う,トランステイストの楽曲をプレイするswitchworks氏
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自分の出番以外にも,たびたび乱入したG☆Eさん。マイクを握り,激しくオーディエンスを煽っていた
バンダイナムコスタジオの大久保 博氏。「鉄拳」シリーズや「リッジレーサー」シリーズのアップテンポな楽曲でフロアを盛り上げる
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トークセッションにて,「どんな曲がEDMなんですか?」と聞く安藤氏に対し,「(電子音源が使われたダンスミュージックなら)全部EDM」と答える加藤氏。安藤氏は最終的に,「考えるな。感じろ」とブルース・リー的に解釈していた
画像集 No.017のサムネイル画像 / EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏
ノイジークローク代表の坂本英城氏も話の流れで登壇。坂本氏は「EDMには明るくない」という旨を語っていたが,同氏がatomsoak名義で手掛けたダンスミュージックは非常にクールなので,EDM的な楽曲も聞いてみたいところだ
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ポケラボサウンドチームのメンバーによるプライベートチーム“Grizzly Works”から,MitsuTheGrizzly氏とKenTheGrizzly氏が登場。ちなみにMitsuTheGrizzly氏が被っているのはライオンだ
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サプライズゲストとして出演した,ヒューマンビートボクサーのサイボーグかおりさん。サイボーグかおりさんがリズムを刻み,安藤氏が即興でラップを被せ,ポケラボの2人がそれを見守るという,異様なワンシーンが繰り広げられた
COSIO氏は,タイトー在籍時代に手掛けた最後のタイトルである「LINE アルカノイドvsインベーダー」の楽曲をプレイ。なお,トークセッションのBGM選曲もCOSIO氏が担当していた
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ノイジークロークのパートでは,シンガーのSAK.さんも出演。「消滅都市」のオンボーカル曲を歌い上げた
画像集 No.024のサムネイル画像 / EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏
ポケラボタイトルのEDMアレンジ曲をプレイするMitsuTheGrizzly氏。デジタルアルバム「Pokelabo x EDM」は好評を得ており,KenTheGrizzly氏によると「瞬間的にはiTunesランキングでPerfumeを抜いた」とのこと
大トリを務めるのはSATOの2人。「EDM IS GAME」の楽曲で,フロアを大いにアゲていく
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チロルチョコを撒く佐野氏。このチロルチョコは,包装フィルムに「EDM IS GAME」のジャケットビジュアルが印刷されたDECOチョコだ
画像集 No.027のサムネイル画像 / EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏
再度SAK.さんが登壇して,「TAKING OFF」を熱唱!
ラウンジフロアには「グルーヴコースター3 リンクフィーバー」と「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」の試遊台が設置されており,後者では5月31日に配信予定の「EDM IS GAMEパック」の楽曲をプレイできた
画像集 No.003のサムネイル画像 / EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏 画像集 No.002のサムネイル画像 / EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏

 ちなみに,本イベントが“音撃”というタイトルを冠していることについて,2012年に開催された野外ライブ「音撃 〜Game Sound Impact〜」との関係性が気になる人もいるだろう。いろいろと話をうかがったところ,「音撃 〜Game Sound Impact〜」の企画者が本イベントの企画にも協力しており,その人が“音撃”の名前を復活させたのだという。

 また,イベント終了後にSATOの2人からコメントをいただいたので,以下に紹介する。



4Gamer
 本日はお疲れ様でした。出演した感想をお聞かせください。

佐野電磁氏(以下,佐野氏)
 想像以上でしたね。「こんな感じになるかな?」と思っていた以上のイベントになりました。とても楽しかったです。

4Gamer
 今年初頭の「グルーヴコースター2」への楽曲実装から,4月のアルバムCDリリース(※),今回のイベントと,速いペースで展開されましたが,当初からこのような構想があったのでしょうか。

※M3会場およびSweepRecordSHOPで先行発売。一般販売は6月22日から

佐野氏
いえ,違います。タイトーさんから、「グルーヴコースターでなにか新しい展開をできないか」という話をいただいたので「EDMをやりたい」と話して,最初はそれだけですね。そのころはライブをやるどころか,フルアルバムの制作も決まっていなかったです。

加藤浩義氏(以下,加藤氏)
 1年以上前は,曲の提供だけの予定でしたね。

佐野氏
 実際に加藤さんと楽曲を書いたら思いのほか楽しかったので,そこから「フルアルバムにしよう」という話になりました。それが決まったあとに,「EDG音撃をやる」という話があって,「それなら是非」と出演することにしたんです。

4Gamer
 なぜEDMというジャンルを選ばれたのでしょうか。

佐野氏

 壇上で冗談めかして「EDMは音楽でなくゲームだ!」って言いましたけど,これは本気の発言で,まさにEDMのゲーム的な楽しさにやっと気付いたんです。加藤さんはもっと前に気付いていたので,大型フェスなどに連れていってもらって,マインドから教えてもらいました。加藤さんは僕の師匠です(笑)。

加藤氏
 今日はそれを少しフィードバックできればと思っていました。

佐野氏
 フィードバックできましたね! 「細かすぎて伝わらないモノマネ」みたいになっているかも知れないですけど(笑)

4Gamer
 EDMは「音楽ジャンル」と言うよりも,「遊び道具」という感覚なのでしょうか。

佐野氏
 ええ。今回は「『グルーヴコースター』という媒体を通して皆と遊びたい」と思って,EDMを選びました。

 「リッジレーサー」のときと似た構図ですね。1990年ごろのゲームミュージックって,フュージョン寄りだったんですよ。それはそれで好きだったんですけれども,そのころ「何か違うものをやりたいな」と思ってたらテクノが出てきたんです。

 当時,自分が好きな感じのテクノはクラブでも掛かっていなかったので,「自分で作って,ゲームを遊んでくれた人と,その曲を流して一緒に遊びたい」と思いました。「リッジレーサー」の曲は,細江慎治さんを中心に,そういう気持ちで作られていった感じです。「鉄拳」のブレイクビーツ的な楽曲も全く同じ意図です。

 EDMは(当時のテクノと違って)たくさんの人に知られてはいますけど,自分みたいなオジサンは知らないので,ゲームを通してオジサンとEDMを楽しもうと(笑)。ただ,「どういう音を作ればいいか」が分からないので,加藤さんに泣きついたんです。ゲーム音楽界では一番,“好きな気持ち”も含めてEDMを知っている人ですからね。
 「知ってるよ」っていう人はたくさんいるんですよ。でも,そういう人って本当は分かっていないんですよね。これはテクノやハウスもそうですが,好きじゃない人は作る曲が違うんです。

加藤氏
 単に“っぽい音”になりますね。

佐野氏
 なんか心が入ってないんです。小馬鹿にして作っている感じが出ちゃうんですよ。

4Gamer
 作曲において影響を受けた,特定のアーティストはいますか。

佐野氏
 スティーヴ・アオキです。影響されたどころじゃなく,ステージングはインスパイアしています(笑)。彼はEDMを「音楽」でなく,パーティグッズの1つとしてやっていると思うんですよね。
 僕はそこに感銘を受けたんですよ。最近「音楽は高尚なもの」という考え方がしんどくなってきたので,「たかだかパーティグッズじゃん?」みたいな感じがいいですね。

加藤氏
 結構いますが,挙げるとしたらアーミン・ヴァン・ブーレンですね。トランス寄りですが,EDMでもウケている人です。

4Gamer
 「これからEDMを聴いてみよう」という人に向いた,入門向けのアーティストを挙げるとすると誰になりますでしょうか。

加藤氏
 難しいですね。2年ぐらい前なら主流があったのですが。

佐野氏
 今はジャンルが多岐に分かれてますからね。その点で言えば,“ザ・EDM”を流しているSATOは向いていると思いますよ。

4Gamer
 EDG音撃は第2回も開催するとのお話でしたが,SATOとしての活動は予定はいかがでしょうか。

佐野氏
 反応次第なので,それがよければ……世界に向けて活動していきたいと思います!

4Gamer
 これからの活躍も楽しみにしています。ちなみに,他にコラボしてみたいアーティストはいますか?

佐野氏
 誰でしょうね……僕は「誰でもいい!」というノリではなくて,ものすごく人を選ぶんですよ。良い方がいればとは思うんですが。
 ただ,コラボは面白いですね。この歳になると,悪い意味で“こなれてきちゃう”ので,刺激になります。

加藤氏
 コラボはやりたいですね。作曲家に限らず,ボーカリストとか,色々な方と。


「EDG音撃 -EDM IS GAME-」公式サイト

  • 関連タイトル:

    グルーヴコースター3 リンクフィーバー

  • 関連タイトル:

    グルーヴコースター 2 ヘヴンリーフェスティバル

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