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EDMをフィーチャーしたゲームミュージックのクラブイベント「EDG音撃 -EDM IS GAME-」をレポート。「EDMは音楽でなくゲームだ!」by佐野電磁氏
このイベントは,タイトル通りEDMにフォーカスしたもの。EDMとは「エレクトロニック・ダンス・ミュージックの略称で,読んで字の如く“電子楽器を用いたダンスミュージック”の意味だ。
ラウンジフロアではサクセスのWASi303氏や元ZUNTATAのCOSIO氏などがメインフロアに負けないプレイを披露したほか,安藤武博氏のMCによるトークセッションも実施された。トークセッションは,第1部にノイジークロークの加藤氏と川越氏,第2部に“GrizzlyWorks”のKenTheGrizzly氏とMitsuTheGrizzly氏がゲストとして出演し,EDMの定義や,EDM系の楽曲を作るときに用いるソフト(DAWは「ACID」や「Logic Pro X」,プラグインは「NEXUS」シリーズやNative Instruments製品が挙げられた)などについて語り合った。
なお「EDG音撃 -EDM IS GAME-」は,単発のイベントで終わらず第2回も実施する予定とのこと。VGMファンは,続報に期待してほしい。
【メインフロア】
switchworks
G☆E
大久保博
加藤浩義+川越康弘,SAK.
MitsuTheGrizzly
SATO
【ラウンジフロア】
rainwood
WASi303
COSIO
motoko128k
yusuke3rd
【トークセッション】
安藤武博VS加藤浩義+川越康弘
安藤武博VS加藤浩義+ポケラボサウンドチーム
フロアによく似合う,トランステイストの楽曲をプレイするswitchworks氏 |
自分の出番以外にも,たびたび乱入したG☆Eさん。マイクを握り,激しくオーディエンスを煽っていた |
ノイジークロークのパートでは,シンガーのSAK.さんも出演。「消滅都市」のオンボーカル曲を歌い上げた |
ポケラボタイトルのEDMアレンジ曲をプレイするMitsuTheGrizzly氏。デジタルアルバム「Pokelabo x EDM」は好評を得ており,KenTheGrizzly氏によると「瞬間的にはiTunesランキングでPerfumeを抜いた」とのこと |
チロルチョコを撒く佐野氏。このチロルチョコは,包装フィルムに「EDM IS GAME」のジャケットビジュアルが印刷されたDECOチョコだ |
再度SAK.さんが登壇して,「TAKING OFF」を熱唱! |
ちなみに,本イベントが“音撃”というタイトルを冠していることについて,2012年に開催された野外ライブ「音撃 〜Game Sound Impact〜」との関係性が気になる人もいるだろう。いろいろと話をうかがったところ,「音撃 〜Game Sound Impact〜」の企画者が本イベントの企画にも協力しており,その人が“音撃”の名前を復活させたのだという。
また,イベント終了後にSATOの2人からコメントをいただいたので,以下に紹介する。
4Gamer:
本日はお疲れ様でした。出演した感想をお聞かせください。
佐野電磁氏(以下,佐野氏):
想像以上でしたね。「こんな感じになるかな?」と思っていた以上のイベントになりました。とても楽しかったです。
4Gamer:
今年初頭の「グルーヴコースター2」への楽曲実装から,4月のアルバムCDリリース(※),今回のイベントと,速いペースで展開されましたが,当初からこのような構想があったのでしょうか。
※M3会場およびSweepRecordSHOPで先行発売。一般販売は6月22日から
佐野氏:
いえ,違います。タイトーさんから、「グルーヴコースターでなにか新しい展開をできないか」という話をいただいたので「EDMをやりたい」と話して,最初はそれだけですね。そのころはライブをやるどころか,フルアルバムの制作も決まっていなかったです。
加藤浩義氏(以下,加藤氏):
1年以上前は,曲の提供だけの予定でしたね。
佐野氏:
実際に加藤さんと楽曲を書いたら思いのほか楽しかったので,そこから「フルアルバムにしよう」という話になりました。それが決まったあとに,「EDG音撃をやる」という話があって,「それなら是非」と出演することにしたんです。
4Gamer:
なぜEDMというジャンルを選ばれたのでしょうか。
佐野氏:
壇上で冗談めかして「EDMは音楽でなくゲームだ!」って言いましたけど,これは本気の発言で,まさにEDMのゲーム的な楽しさにやっと気付いたんです。加藤さんはもっと前に気付いていたので,大型フェスなどに連れていってもらって,マインドから教えてもらいました。加藤さんは僕の師匠です(笑)。
加藤氏:
今日はそれを少しフィードバックできればと思っていました。
佐野氏:
フィードバックできましたね! 「細かすぎて伝わらないモノマネ」みたいになっているかも知れないですけど(笑)
4Gamer:
EDMは「音楽ジャンル」と言うよりも,「遊び道具」という感覚なのでしょうか。
佐野氏:
ええ。今回は「『グルーヴコースター』という媒体を通して皆と遊びたい」と思って,EDMを選びました。
「リッジレーサー」のときと似た構図ですね。1990年ごろのゲームミュージックって,フュージョン寄りだったんですよ。それはそれで好きだったんですけれども,そのころ「何か違うものをやりたいな」と思ってたらテクノが出てきたんです。
当時,自分が好きな感じのテクノはクラブでも掛かっていなかったので,「自分で作って,ゲームを遊んでくれた人と,その曲を流して一緒に遊びたい」と思いました。「リッジレーサー」の曲は,細江慎治さんを中心に,そういう気持ちで作られていった感じです。「鉄拳」のブレイクビーツ的な楽曲も全く同じ意図です。
EDMは(当時のテクノと違って)たくさんの人に知られてはいますけど,自分みたいなオジサンは知らないので,ゲームを通してオジサンとEDMを楽しもうと(笑)。ただ,「どういう音を作ればいいか」が分からないので,加藤さんに泣きついたんです。ゲーム音楽界では一番,“好きな気持ち”も含めてEDMを知っている人ですからね。
「知ってるよ」っていう人はたくさんいるんですよ。でも,そういう人って本当は分かっていないんですよね。これはテクノやハウスもそうですが,好きじゃない人は作る曲が違うんです。
加藤氏:
単に“っぽい音”になりますね。
佐野氏:
なんか心が入ってないんです。小馬鹿にして作っている感じが出ちゃうんですよ。
4Gamer:
作曲において影響を受けた,特定のアーティストはいますか。
佐野氏:
スティーヴ・アオキです。影響されたどころじゃなく,ステージングはインスパイアしています(笑)。彼はEDMを「音楽」でなく,パーティグッズの1つとしてやっていると思うんですよね。
僕はそこに感銘を受けたんですよ。最近「音楽は高尚なもの」という考え方がしんどくなってきたので,「たかだかパーティグッズじゃん?」みたいな感じがいいですね。
加藤氏:
結構いますが,挙げるとしたらアーミン・ヴァン・ブーレンですね。トランス寄りですが,EDMでもウケている人です。
4Gamer:
「これからEDMを聴いてみよう」という人に向いた,入門向けのアーティストを挙げるとすると誰になりますでしょうか。
加藤氏:
難しいですね。2年ぐらい前なら主流があったのですが。
佐野氏:
今はジャンルが多岐に分かれてますからね。その点で言えば,“ザ・EDM”を流しているSATOは向いていると思いますよ。
4Gamer:
EDG音撃は第2回も開催するとのお話でしたが,SATOとしての活動は予定はいかがでしょうか。
佐野氏:
反応次第なので,それがよければ……世界に向けて活動していきたいと思います!
4Gamer:
これからの活躍も楽しみにしています。ちなみに,他にコラボしてみたいアーティストはいますか?
佐野氏:
誰でしょうね……僕は「誰でもいい!」というノリではなくて,ものすごく人を選ぶんですよ。良い方がいればとは思うんですが。
ただ,コラボは面白いですね。この歳になると,悪い意味で“こなれてきちゃう”ので,刺激になります。
加藤氏:
コラボはやりたいですね。作曲家に限らず,ボーカリストとか,色々な方と。
「EDG音撃 -EDM IS GAME-」公式サイト
- 関連タイトル:
グルーヴコースター3 リンクフィーバー
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グルーヴコースター 2 ヘヴンリーフェスティバル
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