インタビュー
PS4用ソフト「Marvel’s Spider-Man」には,東映スパイダーマンネタも? メディア向け体験会とインタビューの模様をお届け
体験会は,Stevenson氏による本作のプレゼンテーションからスタートした。スパイダーマン好きのスタッフが多いInsomniac Gamesとって,スパイダーマンを題材としたゲームを開発できるというのは夢のプロジェクトだったとのことで,相当なこだわりを持って本作の開発に取り組んだそうだ。その中でもとくに重視したのはストーリーだという。
マーベルの作品は,コミックや映画といった媒体によって異なるユニバース(世界線)が用意されているのだが,ゲームではこれまで既存の設定をなぞるものが多かった。しかし,「Marvel’s Spider-Man」では,マーベル監修の下,完全オリジナルストーリーの実現に成功している。
ユニバースが異なるため,本作に登場するキャラクターは,コミックや映画とはまた違った立ち位置となる。たとえば,ピーターの恋人であるメリー・ジェーン・ワトソンは,女優ではなく犯罪記事などを主に扱うジャーナリストになっており,ノーマン・オズボーンに至ってはニューヨーク市の市長という設定だ。別のユニバースでスパイダーマンとなったマイルズ・モラレスが,友人として登場するというのだから驚きである。
また,本作はスパイダーマン誕生の物語ではないというところもポイントになる。本作のピーターは15歳の高校生ではなく,大学を卒業して科学者としてのキャリアをスタートした23歳の青年だ。8年間スパイダーマンとして戦い続けてきた実績もあるので,ゲーム開始時からすでに熟練のスーパーヒーローになっている。
ただ,本作はスパイダーマンとして活躍している彼を描くだけで終わらないという。ゲーム内では,ピーター個人やメリー・ジェーンとして物語を進めていくパートも用意されており,アクション一辺倒の内容にはなっていない。アクション,アドベンチャー,謎解き,探索など,あらゆるアプローチで本作オリジナルの世界を描いているというわけだ。
アクション面では,戦闘と移動の2つにこだわったという。Insomniac Gamesにとってのスパイダーマンの戦闘とは,アクロバティックかつ即興的なものであり,敵の攻撃を華麗に回避して反撃したり,周りのオブジェクトをウェブで引っ張って攻撃に利用したりと,スパイダーマンらしい振る舞いをしっかりとプレイヤーが表現できるようなっているそうだ。
移動については,誰でもすぐにウェブスイングが楽しめる作りになっている。同時に,アクションが得意な人にはよりテクニカルな移動を追求できるよう,パルクールやウォールランといった要素も取り入れているとのこと。
こうした移動システムについては,「Sunset Overdrive」で培った経験が活きたという。Sunset Overdriveは三人称視点のシューターであったが,同時に移動の楽しさにもこだわった作品であり,どのようにアプローチすれば移動が楽しくなるかは,すでに心得ていたそうだ。
「Marvel’s Spider-Man」成長要素を細かくチェック
今回の体験会では,ゲームの序盤とその後のフリーロームがプレイできた。ただ,筆者はすでにE3 2018でのプレイレポートを掲載しているので,今回はそこで確認できなかった成長要素をメインに紹介しよう。
スパイダーマンの成長システムは,「スキルの習得」「スーツの作成・強化」「ガジェット作成・強化」の3つで成り立っている。
スキルは,ウェブシューターを使った攻撃が習得できる「イノベーター」,近接攻撃や回避・カウンターが習得できる「ディフェンダー」,移動系の技が習得できる「ウェブスリンガー」という3つのカテゴリーに分けられ,イノベーターには12個,ディフェンダーとウェブスリンガーには11個のスキルが用意されている。これらを習得するにはレベルアップ時にもらえるスキルポイントが必要で,強力なスキルほど消費ポイントも多いといった具合だ。
スパイダーマンのスーツは20種類以上用意されており,素材を使って作成できる。スーツの中には独自のアビリティを持つものもあり,一度開放されたアビリティは,ほかのスーツに付け替えることも可能だ。また,スーツには3つのアップグレードを組み込めるので,このスーツ作りだけでも相当な時間を費やしてやり込めそうな気配だ。スーツの性能は,防御力・攻撃力・ステルス・機動力のそれぞれで評価されるので,いずれかに特化したスーツにするのも面白いだろう。
スーツと同じように,戦闘に使うガジェットも作成,強化できる。初期装備であるウェブシューターもガジェットの1つだが,ほかにも,スパイダー・ドローンやウェブ・ボムなど,今回確認できた限りでは8種類あり,いずれも戦闘における立ち回りが大きく変化する。自分好みのガジェットを見つけてひたすら強化していくのもいいし,いろいろなガジェットをアンロックして臨機応変に切り替えれば,戦略性の高いバトルが楽しめるだろう。
「スーツの作成・強化」と「ガジェット作成・強化」で重要となるのが,トークンと呼ばれる素材で,これはサイドミッションの報酬などで入手できる。トークンの種類は以下の6つだ。
◯犯罪
突発的に発生する犯罪事件を解決するともらえるトークン。強盗退治や,逃走車とのカーチェイスなど,本作のニューヨークではいろいろな犯罪が発生する。
◯収集
ピーターの思い出が詰まったバックパックを回収するサイドミッション「収集アイテム」をクリアするともらえるトークン。
◯リサーチ
ピーターのパートでプレイするパズルを攻略するともらえるトークン。
◯ランドマーク
ニューヨークの街にある有名スポットを撮影するともらえるトークン。
◯拠点
敵の拠点を一層するともらえるトークン。今回体験できた拠点ミッションは,敵の襲撃を指定されたWAVE数だけ耐えるというものになっていた。
◯チャレンジ
ゲーム内に用意されるさまざまなチャレンジミッションをクリアするともらえるトークン。
以上が,今回の体験会で確認できた成長要素となる。いずれもしっかりとやり込めそうな仕組みになっており,キャラクターもののゲームでありながら,自分好みのプレイスタイルを追求できそうだ。
James Stevenson氏にインタビュー。東映スパイダーマンについても聞いてみた
4Gamer:
初回生産限定特典である「アイアン・スパイディ・スーツ」のトレイラーが先日公開されましたが,あのスーツの特徴でもある金属の腕が確認できませんでした。
James Stevenson氏(以下,Stevenson氏):
僕たちもあのアームは大好きですよ。本作で登場するスーツには特殊なアビリティが設定されています。先日のトレイラーではそのアビリティを見せていませんが,アビリティでアームが付くというのは良いアイデアだと思います――としか言えませんね(笑)。
4Gamer:
なんとなく察しました(笑)。本作にはいろいろなスーツが登場しますが,デザインはすべてオリジナルなのでしょうか。
Stevenson氏:
スーツのデザインは「コミック」「映画」「オリジナル」の3つに大きく分けられます。スパイダーパンクスーツなどがコミック,先ほどおっしゃったアイアン・スパイディ・スーツやホームメイドスーツが映画,そこに,Insomniac Gamesデザインしたものと,有名デザイナーがデザインしたものが,オリジナルとして加わる形ですね。
4Gamer:
ヴィランの顔ぶれを見たところ,シンビオート系がいませんが。
Stevenson氏:
ヴェノムやカーネイジは今回登場しません。その代わりプレイヤーは,私達が考えたシニスター・シックスと対峙することになります。すでにお見せしているのは,ライノ,スコーピオン,バルチャー,エレクトロ,ミスター・ネガティブですが,シニスター・シックスなので,少なくともあと1体登場します。
あと,正確にはヴィランではないのですが,シルバーセーブルもいます。彼女は市長のノーマン・オズボーンに雇われて,スパイダーマンを含むいろいろな存在が街を破壊するのを防ごうと活動します。ほかにも,サプライズをいくつか用意しているので,期待していてください。
4Gamer:
ところでノーマン・オズボーンが市長ということは,グリーンゴブリンはどうなるのでしょうか。
Stevenson氏:
皆さまのご想像にお任せします。
4Gamer:
アベンジャーズの仲間や,ほかのマーベルヒーローは登場しますか。
Stevenson氏:
このゲームに関しては,スパイダーマンのユニバースにいるキャラクターのみに限定しています。ですが,ゲームの舞台となっているのはマーベルのニューヨークなので,アベンジャーズタワーや,ワカンダ大使館というのはしっかりと用意されています。ぜひ探してみてください。
4Gamer:
本作を開発するうえで,過去のスパイダーマン作品はプレイしましたか。
Stevenson氏:
Neversoftが制作したスパイダーマンから現在に至るまでの作品はすべてプレイしました。また,「バットマン・アーカム シリーズ」「Horizon Zero Dawn」「inFAMOUS」といったほかのアクションゲームも研究しました。それは,インスピレーションを得るためでもありましたし,僕たちがやりたいことを明確にしていくためでもありました。
4Gamer:
コミックや映像作品はどうでしょうか。
Stevenson氏:
Insomniac Gamesの開発者のかなりの人数がスパイダーマンファンで,ずっと昔からコミックは読んでいました。今回開発するうえでもう一度読み直したのですが,なんだか仕事をしているようには思えなかったです(笑)。
4Gamer:
では,相当スパイダーマンを知り尽くしてるわけですね。では最後に1つ,東映が制作した日本オリジナルのスパイダーマンはご存知ですか。
Stevenson氏:
巨大なロボットが出てくるスパイダーマンの映像は,Insomniac Games社員の間でも話題になりましたよ(笑)。実のところ,Insomniac Gamesの中には日本のスパイダーマンファンがたくさんいるんです。日本のスパイダーマンをご存知の人は,このゲームをプレイするときに音声に注目してみてください。きっとニヤリとできるでしょう。
4Gamer:
まさかネタとして盛り込まれているとは……。本日はありがとうございました。
「Marvel’s Spider-Man」公式サイト
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